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2026年07月

「AIによる概要」は「グラウンディング」で動いている――ChatGPTとの決定的な違いを知らずに対策すると失敗する理由

2026年07月02日

「うちはChatGPTで社名が出るように対策しているから、Googleの『AIによる概要』でも自然に出るはずだ」――こんなお考えの企業のご担当者様に、私はしばしばお会いします。しかし、この考え方は残念ながら、対策の方向を大きく誤らせてしまう危険があります。

なぜなら、ChatGPTと「AIによる概要」は、見た目こそ似ていても、内部の仕組みがまったく違うからです。ChatGPT対策で成果が出ていても、「AIによる概要」ではまったく取り上げられない、という事態が実際に多発しています。逆もまた然りです。

この違いの正体は、「グラウンディング」という技術にあります。この記事では、ChatGPTと「AIによる概要」の決定的な違いを、初心者の方にもわかるように解説していきます。


ChatGPTと「AIによる概要」は何が違うのか?――一言で言うと


まず結論から申し上げます。両者の決定的な違いは、「答える前に情報を取りに行くかどうか」です。

ChatGPTは、基本的に「学習した知識だけ」で答えます。あらかじめ大量の文章を読み込んで、その内容をパラメーター(AIモデルの内部に組み込まれた数字の設定値のこと)として持っており、その知識を使って答えを組み立てます。

一方、「AIによる概要」は違います。あなたが検索したそのタイミングで、リアルタイムにGoogle検索インデックス(Googleが世界中のWebページを収集して整理したデータベース)から情報を引っ張ってきて、それを元に答えを組み立てます。


これを、Googleは「グラウンディング(Grounding)」と呼んでいます。グラウンディングとは、AIが自分の記憶だけで答えるのではなく、外部から取ってきた実在の情報に「根を下ろして(ground)」答える仕組みのことです。


「試験を暗記で受ける人」と「持ち込み可の試験を受ける人」


わかりやすく例えると、こういうことです。

ChatGPTは、「試験を暗記だけで受ける学生」に似ています。試験の前に大量の教科書を読み込んで頭に入れてきましたが、試験中は本を開けません。頭の中の記憶だけで答えを書きます。だから、教科書に載っていた内容は答えられますが、最新のニュースや教科書に載っていない内容は答えられません(あるいは、それらしく作り話をしてしまうこともあります)。

一方、「AIによる概要」は、「参考書持ち込み可の試験を受ける学生」に似ています。試験中に、必要に応じて参考書を開いて、必要な情報を引き出しながら答えを書きます。だから、最新の情報にも対応できますし、根拠となる出典も示すことができるのです。

この違いを理解すると、両者の対策がまったく別物であることが直感的にわかります。



ChatGPT対策と「AIによる概要」対策はまったく別物である


具体的に、対策の違いを整理します。

ChatGPTで取り上げてもらうための対策


ChatGPTは学習データを元に答えるため、対策の中心は「学習データに自社の情報を含めてもらうこと」です。具体的には、権威あるメディアで取材されたり、Wikipediaに掲載されたり、様々なブログで言及されたりと、Web上のさまざまな場所で自社の名前や情報が言及されている状態を作ることが重要になります。これらは「ブランドメンション」と呼ばれます。

「AIによる概要」で取り上げてもらうための対策


「AIによる概要」はリアルタイムにGoogle検索インデックスから情報を引くため、対策の中心は「Google検索インデックスの中で、質問の答えとして選ばれやすいページを持つこと」です。具体的には、SEOで検索順位を上げること、パッセージ(段落)単位で意味が完結する書き方をすること、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性の頭文字で、Googleがサイトを評価する重要な観点)を明示することが重要になります。

このように、対策の起点がそもそも違います。ChatGPT対策で成果が出ているからといって、「AIによる概要」でも自動的に成果が出るわけではないのです。


クライアントさんの事例


先日、あるEC通販会社のクライアントさんからこんなご相談をいただきました。「ChatGPTで社名が出るように、いろいろなメディアに取材されたり、SNSでの言及を増やしたりしてきた。実際、ChatGPTで社名が出るようになってきた。でも『AIによる概要』では全然引用されない。なぜでしょうか?」というものでした。

拝見したところ、そのクライアントさんは確かにブランドメンション(自社ブランドが他のサイト上で言及されること)を増やす活動をしっかりされていました。しかし、自社サイト自体は数年前から大きなアップデートがなく、Google検索順位でも中位以下に留まっている状態でした。

私は「ChatGPT対策と『AIによる概要』対策は別物です。ChatGPTは外部での言及が効きますが、『AIによる概要』はまずGoogle検索インデックスの中で上位に入っていないと選ばれません。自社サイト自体のSEOを再度立て直す必要があります」とお伝えしました。

その方針で、記事の全面的な見直し、内部リンク構造の整理、Webに関する主な指標(Googleが定めるWebサイトの表示速度・使いやすさに関する指標)の改善などを進めていただいたところ、数か月後には主要キーワードの検索順位が上がり、それに伴って「AIによる概要」の引用元カードにも表示されるようになったのです。

この事例が示すのは、「AIの種類が違えば、対策の入口も違う」ということです。


ChatGPT対策で「AIによる概要」対策になる部分もある


ここまで両者の違いを強調してきましたが、実は共通する部分もあります。それはE-E-A-Tに関わる部分です。

ChatGPT対策で行うブランドメンションの増加は、実は「AIによる概要」の対策にも部分的に効いてきます。なぜなら、Geminiも回答を生成するときに、参照元のサイトの「権威性」や「信頼性」を評価しており、そのシグナルとしてブランドメンションを見ているからです。

つまり、「ChatGPT対策」と「AIによる概要対策」は、完全に別物というより、一部が重なった別の円のようなイメージです。ChatGPT対策だけしていると、重なった部分の効果は得られますが、「AIによる概要」独自の部分の対策が抜け落ちてしまうのです。



両方で選ばれるサイトになるための3つの原則


では、ChatGPTと「AIによる概要」の両方で取り上げられるサイトを目指すには、どうすればいいでしょうか。私がクライアントさんによくお伝えしている3つの原則があります。

1つ目:まず自社サイトのSEOの土台を固める


「AIによる概要」で選ばれるためには、Google検索でトップ10に入っていることが大きな前提条件になります。ChatGPT対策より先に、まずは自社サイトの検索順位を上げる基礎的なSEOに取り組みます。

2つ目:パッセージ単位で意味が完結する記事を書く


「AIによる概要」は段落単位で情報を抽出するため、H2見出しを質問形式にして、その直下に短い答えを配置する構成が有効です。ChatGPTでも同じような書き方が学習データとして評価される可能性が高く、両方に効きます。

3つ目:ブランドメンションを増やす活動を並行して行う


外部メディアでの言及、SNSでの発信、業界内でのプレゼンスを継続的に増やしていきます。これは主にChatGPT対策として効きますが、「AIによる概要」のE-E-A-T評価にも部分的に効きます。


「AIによる概要」と「AIモード」の対策も別物である


もう1つ大事なポイントに触れておきます。それは、同じGoogle製のAI機能である「AIによる概要」と「AIモード」でも、対策の勘所が少しずつ違うという点です。

「AIモード」もグラウンディングを使っている点では「AIによる概要」と同じですが、ユーザーの検索行動が異なります。「AIによる概要」ではユーザーが比較検討的に振る舞う傾向があり、「AIモード」ではAIの回答をそのまま受け入れる傾向が強い、という調査結果があります。この違いを踏まえて、それぞれで選ばれるための書き方は微妙に異なるのです。

したがって、対策を考えるときには「ChatGPT」「AIによる概要」「AIモード」の3つを、それぞれ別の対策対象として扱う姿勢が必要です。1つの対策で全部カバーできる、という発想では取りこぼしが出てしまいます。


まとめ


今回の話をまとめると、ChatGPTと「AIによる概要」は、見た目こそ似ていても、内部の仕組みがまったく違います。ChatGPTは「学習知識だけ」で答え、「AIによる概要」は「その場でGoogle検索インデックスから引いてきた情報」で答えます。この違いは「グラウンディング」という技術の有無によって生じています。

したがって、対策の方向もまったく別です。ChatGPT対策の中心は「ブランドメンションの増加」であり、「AIによる概要」対策の中心は「自社サイト自体のSEO強化」と「パッセージ単位で意味が完結する記事作り」です。両者は一部重なりますが、完全に同じではありません。

両方で取り上げられるサイトを目指すのであれば、自社サイトのSEOを土台としつつ、外部でのブランドメンションを増やす活動を並行して進めていく――このハイブリッド戦略が最も現実的です。

AI検索時代になったからSEOが終わるのではありません。むしろ、本当に信頼される専門家や企業が評価される時代が始まったのです。今後のSEOで成果を出すためには、「検索順位を上げること」だけではなく、「AIやユーザーから信頼される存在になること」を目指す必要があるでしょう。

Geminiが検索結果を書いている!?「AIによる概要」の裏側で動いている技術を専門家がわかりやすく解説

2026年07月04日

Google検索で調べ物をすると、検索結果の一番上にAIが数百字の回答を書いてくれる「AIによる概要」。この機能を毎日のように目にしている方は多いと思います。しかし「あの回答文は誰が書いているのか?」と聞かれると、意外にも答えられないという方が少なくありません。

先日開催したセミナーで参加者の皆さんにお聞きしたところ、「Googleの中の人が書いていると思っていた」「AIが書いているとは知っていたが、どんなAIかまでは知らない」というお声が大半でした。

実は、あの回答文を書いているのは、Googleが独自に開発した「Gemini(ジェミニ)」という生成AIです。そしてGeminiは、ChatGPTとは大きく異なる仕組みで動いています。この仕組みを理解しているかどうかで、SEO対策の精度が大きく変わってきます。

本記事では、私が長年SEOコンサルティングの現場で多くの企業の順位改善を支援してきた経験と、英語圏の最新の技術情報を交えながら、「AIによる概要」の裏側で動いている技術をわかりやすく解説していきます。


「AIによる概要」の中身は「Gemini」というGoogle製の生成AI


まず基本から確認します。「AIによる概要」の回答文を実際に書いているのは、Google独自の生成AIモデル「Gemini」です。

ChatGPTの中身がOpenAI社の「GPTシリーズ」だとしたら、「AIによる概要」の中身はGoogle製の「Gemini」だと考えてください。両者はいずれもLLM(大規模言語モデル、大量の文章データを学習して人間のような文章を作れるAIのこと)と呼ばれるジャンルのAIですが、開発元も、学習データも、動作環境も、まったく別物です。

Geminiは、大量の文章、コード、画像、動画、音声を学習したマルチモーダル(テキスト・画像・動画・音声など複数の種類の情報を同時に扱えること)なAIです。テキストだけを扱うのではなく、画像や動画も同時に理解できるように設計されている点が大きな特徴です。この特性が、後述する「YouTube動画が『AIによる概要』に頻繁に引用される」現象と深く関係しています。


Geminiは自社製チップ「TPU」の上で動いている


もう1つの技術的な特徴として、GeminiはGoogleが自社設計したTPU(Tensor Processing Unit、AI処理に特化してGoogleが自社開発した専用チップ)の上で動いています。ChatGPTが主にNVIDIA製のGPU(Graphics Processing Unit、画像処理から派生した並列計算用のチップ)で動作しているのに対し、Geminiは自社製ハードウェアで動作している点も、業界の中では大きな違いとして知られています。



自社製チップを使うことで、Googleは膨大な検索クエリに対してもコストを抑えつつAI回答を返せる仕組みを持っています。これが、Google検索という「毎秒数万件のクエリが来る舞台」でAI検索を大規模に提供できている理由の1つです。

つまり「AIによる概要」に取り上げてもらう対策を考えるということは、突き詰めると「Geminiに気に入られる情報発信をする」ということに他なりません。ChatGPTの対策とはまったく別のアプローチが必要になるのです。



Geminiは学習知識だけで答えているのではない――「グラウンディング」という技術


ここからが「AIによる概要」を理解する上で最も重要な部分です。

Geminiは、ChatGPTのように「学習した知識だけを使って答える」ということはしていません。むしろ、あなたが検索したそのタイミングで、リアルタイムにGoogle検索インデックス(Googleが世界中のWebページを収集して整理したデータベース)から情報を引っ張ってきて、それを元に答えを組み立てているのです。

この仕組みをGoogleは「グラウンディング(Grounding)」と呼んでいます。


グラウンディングとは、AIが自分の頭の中の記憶だけで答えるのではなく、外部から取ってきた実在の情報に「根を下ろして(ground)」答える仕組みのことです。Googleの公式開発者ドキュメントには、グラウンディングとは「まず質問に関する事実を『取得(retrieve)』し、それをモデルに渡してから回答を『生成(generate)』する仕組み」と定義されています。この一連の流れは、技術的にはRAG(Retrieval-Augmented Generation、検索によって拡張された生成、という意味の技術用語)とも呼ばれます。

わかりやすく言い換えると、こういうことです。ChatGPTが「頭の中の記憶だけで答える人」だとしたら、Geminiは「頭の中の記憶に加えて、その場でスマホで検索して裏取りをしながら答える人」です。


グラウンディングがSEO対策に与える重大な影響


このグラウンディングという仕組みの違いは、SEO対策の観点でとても大きな意味を持ちます。なぜなら、Geminiが答えるためには、必ず「その場で参考にする情報源」が必要になるからです。そしてその情報源として選ばれるのは、Google検索インデックスに登録されているサイトのページです。

ここに、私たちがSEO対策で狙うべきポイントがあります。「AIによる概要」に取り上げてもらうためには、まずGoogle検索インデックスにきちんと登録され、かつ検索順位でも上位に入っている必要があります。分析データによれば、「AIによる概要」で引用されるページの多くは、元のキーワードで検索順位トップ10に入っているページです。逆に言えば、まずは従来型のSEOで上位表示できるだけの土台を作ることが、AI検索対策の入口になるということです。


私はよくクライアントさんに「AI検索対策は、SEOを飛ばして直接狙えるものではなく、SEOの土台の上に積み上げるものです」とお伝えしています。SEOをやらずにAIO(AI検索最適化)だけを狙うというのは、家の1階を建てずに2階から建てようとするようなもので、そもそも成り立たないのです。


1つの検索が「複数の質問」に分解される――クエリファンアウト


「AIによる概要」を動かしているもう1つの重要な技術が「クエリファンアウト(Query Fan-Out)」です。これは日本ではまだあまり知られていませんが、SEO対策の考え方を根本から変える技術です。

クエリファンアウトとは、ユーザーが入力した1つの検索キーワードを、AIが裏側で自動的に複数の関連検索(サブクエリ)に展開して、それぞれで検索を実行する仕組みのことです。「クエリ(検索キーワード)」を「ファンアウト(扇状に広げる)」させる、というイメージの技術名です。

Googleの公式開発者ドキュメントは、「『AIによる概要』と『AIモード』は、いずれもクエリファンアウトという技術を使う可能性があり、これはサブトピックとデータソース全体にわたって複数の関連検索を発行して応答を生成するものである」と説明しています。


わかりやすく言うと、こういうことです。ユーザーが「歯科矯正 費用」と検索した瞬間、Geminiは裏側で自動的にこのキーワードを複数のサブクエリに展開しています。たとえば「歯科矯正の平均費用はいくらか」「歯科矯正の種類ごとの費用の違い」「歯科矯正の費用が高くなる要因」「歯科矯正の費用を抑える方法」「歯科矯正の医療費控除」――といった具合に、1つの検索が裏で5〜10個の関連検索に展開され、それぞれの結果を統合して1つの回答文が作られているのです。


クライアントさんの事例:クエリファンアウトを前提にした記事構成に切り替えた歯科医院


先日、ある歯科医院のクライアントさんからこんなご相談をいただきました。「うちのサイトは『歯科矯正 費用』でSEO対策をがんばっているのに、『AIによる概要』の引用元に入らないのはなぜでしょうか」と。

拝見したところ、そのサイトは「歯科矯正の費用」というテーマだけを深く掘り下げた記事構成になっていました。私は「Geminiは1つのキーワードを複数のサブクエリに展開して情報を集めています。1つのテーマだけを深掘りするより、費用に関連する周辺の質問――費用の内訳、比較、抑え方、医療費控除など――にも同じ記事内で答えていく方が、引用されやすくなります」とお伝えしました。

その方針で記事を書き直していただいたところ、数か月後には「AIによる概要」の引用元カードにそのクライアントさんのサイトが表示されるようになったのです。

このように、クエリファンアウトを前提にすると、「1記事1キーワード」という従来のSEOの常識は少し古くなります。1つの記事の中で、メインキーワードとその周辺のサブクエリに幅広く答えていく「情報網羅性」の設計が、AI検索時代のカギになるのです。


Geminiは「ページ全体」ではなく「特定の段落」を評価している


さらにもう1つ、SEO対策の考え方を変える重要な技術があります。それが「パッセージレベル抽出(Passage-level Extraction)」です。

パッセージレベル抽出とは、Googleがページ全体ではなく、ページ内の特定の段落(パッセージ、英語で「一節」「一段落」の意味)を1つの評価単位として抽出する仕組みのことです。

これまでのSEOでは、Googleは「ページ全体」を評価単位として順位を決めていました。ページ全体のテーマ、キーワードの含有率、リンク構造、といったものを総合的に判断していたのです。


しかし「AIによる概要」の裏側では、Geminiは「ページ全体」ではなく「特定の段落」を評価単位として抽出しています。つまり、あなたのページの中の「ある1つの段落」だけが引用されて、他の段落は使われない、ということが日常的に起きているのです。

これは、図書館の司書のイメージで考えるとわかりやすいです。従来のSEOでは、司書は「この本全体はどんなテーマか」を評価して並べ方を決めていました。しかし「AIによる概要」の司書は違います。「この本の何ページの何段落目に、質問への答えが書かれているか」を評価して、その段落だけを取り出して読者に手渡してくるのです。


パッセージレベル抽出に対応する3つの書き方


したがって、Geminiに選ばれる記事を書くためには、次のような設計が必要になります。

1つ目:見出し(H2)を質問形式で書く
「歯科矯正の費用の仕組み」ではなく「歯科矯正の費用はいくらかかるのか」というように、実際にユーザーが検索する質問形式のH2を並べます。Geminiは、質問と答えのペアが明確なページを好みます。

2つ目:見出しの直下に「短い答え」を置く
H2の直下、最初の1〜2文で、その質問に対する簡潔な答えを直接的に述べます。長さは日本語で100〜200文字程度が目安です。その後に、詳細な説明や事例を続けます。

3つ目:段落が単独で意味を持つように書く
その段落だけを切り取っても意味が通じるように、独立性の高い書き方をします。前後を読まないと意味が取れない文章は、Geminiから見ると「引用に使いにくい」と判定されてしまいます。


Geminiが「動画」も理解できることの意外な影響


最後に、Geminiのもう1つの重要な特徴に触れておきます。それは、Geminiがマルチモーダル(テキストだけでなく画像や動画も同時に理解できる特性)であることの影響です。この特性のおかげで、「AIによる概要」ではYouTube動画が情報源として引用されることが頻繁に起きています。他のAI検索と比べても、Google製のAIならではの現象と言えます。


先日、ある不動産会社のクライアントさんから「うちのサイトは頑張って記事を書いているのに、『AIによる概要』の引用元に競合のYouTubeチャンネルばかりが出てくる」というご相談をいただきました。

拝見したところ、そのクライアントさんのサイトは記事の質そのものは高かったのですが、動画コンテンツをまったく発信していませんでした。私は「Geminiは動画も理解できるので、テキスト記事だけでなく、YouTubeでの発信も並行して行うことで、複数の入口から引用される確率が上がります」とお伝えしました。

数か月後、そのクライアントさんが物件紹介動画や地域情報動画を継続的にアップロードしていったところ、動画も「AIによる概要」の引用元カードに表示されるようになったのです。


これからは「複数フォーマット」での情報発信が有効になる


つまり、これからの情報発信では、テキストだけ、動画だけ、という単一の形式に留まらず、複数のフォーマットを組み合わせていくことが有効になります。

特に「実際にやってみた」「実演してみせる」といった動画は、Geminiが経験(Experience、E-E-A-Tのうちの1つ。実体験に基づく発信のこと)のシグナルとして評価しやすい素材でもあります。E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性の4つの頭文字で、Googleがサイトを評価する際の重要な観点)の観点からも、動画の活用はこれからのAI検索対策の重要な柱になっていくでしょう。


まとめ


今回の話をまとめると、「AIによる概要」の裏側では、Google製の生成AI「Gemini」が動いており、その動作は次の3つの中核技術で支えられています。

・グラウンディング:学習知識だけでなく、リアルタイムにGoogle検索インデックスから情報を取得して回答を生成する仕組み。
・クエリファンアウト:1つの検索を裏で複数のサブクエリに自動展開し、それぞれの結果を統合して回答を作る仕組み。
・パッセージレベル抽出:ページ全体ではなく、特定の段落を評価単位として抽出する仕組み。

これらの技術を知っているかどうかで、SEO対策の精度は大きく変わってきます。従来の「1記事1キーワード」「ページ全体で勝負」という発想から、「1記事で複数のサブクエリに答える」「段落単位で意味を完結させる」という新しい設計へと切り替えていく必要があります。

そしてGeminiはマルチモーダルなので、テキストだけでなく動画も理解できます。YouTubeを含めた複数のフォーマットで情報発信することで、より多くの入口から引用される確率が上がります。

AI検索時代になったからSEOが終わるのではありません。むしろ、本当に信頼される専門家や企業が評価される時代が始まったのです。今後のSEOで成果を出すためには、「検索順位を上げること」だけではなく、「AIやユーザーから信頼される存在になること」を目指す必要があります。

「AIによる概要」は「引用」ではなく「要約」――多くの企業が誤解している仕組みの本質とは

2026年07月05日

Google検索の画面上部に、AIが数百字の回答を書いてくれる「AIによる概要」。この機能が広く一般化してから、多くの企業のご担当者様から「うちの記事の一部分がAIに使われているようだが、これは著作権的に大丈夫なのか」「引用してもらえるためにはどう書けばよいか」といったご相談をいただくことが増えました。

しかしここで一つ、非常に大切な誤解があります。それは、「AIによる概要」は決して「引用」ではなく「要約」だという事実です。この違いを正しく理解しているかどうかで、SEO対策の方針が180度変わってきます。

本記事では、私が長年SEOコンサルティングを通じて多くの企業様の順位改善を支援してきた経験と、英語圏の最新の技術情報を交えながら、「AIによる概要」の本質を分かりやすく解説します。


「引用」と「要約」――似ているようで根本から違う2つの概念


まず整理しておきたいのは、「引用」と「要約」の違いです。

引用とは、他者が書いた文章をそのまま、原文の形で自分の文章の中に取り込むことをいいます。カギ括弧や引用ブロックで囲み、出典を明示するのがルールです。原文の言葉が変わってはなりません。一方、要約とは、他者が発信した情報を自分の言葉で短くまとめ直すことをいいます。原文の言葉遣いは残らず、意味や主旨だけが受け継がれます。

私はよくクライアントさんにこんな例え話をお伝えしています。「引用は、本の一節をコピーしてノートに貼り付けるようなもの。要約は、その本を読んだ友人があなたに『こういう本だったよ』と教えてくれるようなもの」だと。

友人はあなたに本の話を伝えるとき、本文をそのまま読み上げたりはしません。自分の頭で理解した内容を、自分の言葉で伝えてくれます。そのとき友人が参考にするのは、複数の章、複数の登場人物のセリフ、ときには他の関連書籍の内容だったりもします。

「AIによる概要」がやっていることは、まさにこの後者――「要約」の方です。あなたのサイトの文章が原文のまま検索結果に貼られているのではなく、Geminiという人工知能が、あなたのサイトを含む複数の情報源を「読んで」、自分の言葉でまとめ直しているのです。



「AIによる概要」を動かしているのは「グラウンディング」という技術


「AIによる概要」の要約文を実際に書いているのは、Googleが開発した「Gemini(ジェミニ)」と呼ばれる生成AIです。ChatGPTの中身が「GPTシリーズ」であるように、「AIによる概要」の中身は「Gemini」だと考えていただければ分かりやすいと思います。

このGeminiが動作するとき、Googleは「グラウンディング(Grounding)」という技術を使っています。Googleは公式ドキュメントの中で、グラウンディングを「まず質問に関する事実を『取得(retrieve)』し、それをモデルに渡してから回答を『生成(generate)』する仕組み」と定義しています。この一連の流れは「RAG(Retrieval-Augmented Generation)」とも呼ばれます。

つまり、「AIによる概要」は、あなたが検索したキーワードに関連する情報を、リアルタイムでGoogle検索インデックスから引っ張ってきて、それをGeminiに読ませて、Geminiが自分の言葉で答えを書く――という流れで動いているのです。



ここで重要なのは、Geminiは「あなたの文章をそのまま貼り付ける」ことはしていない、という点です。あなたのサイトを「情報源の1つ」として参考にしながら、他のサイトの情報も合わせて、Gemini自身の言葉で回答を作り上げているのです。ここが、単純なコピー&ペーストとは根本的に違う部分になります。

さらに理解を深めるためにお伝えしておきたいのは、Geminiが情報源として選ぶサイトは、検索順位トップ10のページである確率が高い、という点です。分析データによれば、「AIによる概要」で引用されるページの多くは元のキーワードで検索順位トップ10に入っています。つまり、そもそもの土台となる従来型のSEOがしっかりできていないと、要約の材料としても選ばれにくいのです。


この違いを理解していないと、対策の方向を間違える


もし「AIによる概要」を「引用」だと勘違いしたまま対策を進めると、どんな失敗が起こるでしょうか。

引用だと考えると、「良い言葉、キャッチーなフレーズを盛り込めば、そのまま抜き出してもらえるはずだ」という発想になります。ですから、レトリックの効いた言い回しや、独自の造語を頑張って作ってしまう企業様が少なくありません。

しかし、これは残念ながら的外れです。Geminiは「言い回しの巧さ」を評価してくれるわけではありません。Geminiが評価するのは、次のような要素です。

・その情報が事実として正確か
・わかりやすい構造で書かれているか
・著者に専門性・信頼性があるか
・質問への答えが直接的に述べられているか
・数字や具体例が伴っているか

こうした「要約の材料としての質」が問われているのです。

先日、あるリフォーム会社のクライアントさんからこんなご相談をいただきました。「うちのブログ、力を入れて書いているのに、なぜAIに取り上げてもらえないのでしょうか」と。

拝見したところ、その記事は情緒的で読み物としては魅力的な内容でした。しかし、「築30年のマンションのリフォーム費用の目安はいくらか」といった具体的な問いに、直接的に数字で答える情報が本文の奥深くに埋もれていたのです。

私は「これは要約されにくい書き方です。Geminiは、質問に対する事実的な答えを見つけやすい形で欲しがっているのです」とお伝えして、記事の構成を変えていただきました。冒頭で結論と数字を提示し、その後に理由や体験談を続ける形に整えていただいたのです。数か月後、狙っていたキーワード群でついに「AIによる概要」の引用元カードにそのクライアントさんのサイトが表示されるようになりました。

このケースが示しているのは、「読み物としての魅力」と「AIに要約してもらいやすい構造」は別物だ、ということです。両方を兼ね備えることは可能ですが、そのためには意識的な設計が必要になります。


「要約されやすいサイト」になるための3つの条件


では、Geminiに要約の材料として選ばれるためには、何が必要でしょうか。私が普段クライアントさんにお伝えしている3つの条件があります。

1つ目:事実密度が高いこと
数字、日付、固有名詞、具体的な事例といった、「事実」がぎっしり詰まっている文章が要約されやすい傾向にあります。「多くの人が…」といった曖昧な表現よりも、「70%以上のユーザーが…」といった具体的な数字を含む記事の方が、Geminiに選ばれやすくなります。

これは私が数多くのクライアントさんの記事を見てきた実感とも一致します。同じテーマの記事でも、抽象論に終始している記事より、具体的な数字や事例で語られている記事の方が、明らかにAIの引用元カードに表示される確率が高いのです。

2つ目:パッセージ単位で意味が完結していること
「AIによる概要」の裏側では、ページ全体ではなく、特定の段落(パッセージ)を単位として抽出が行われています。したがって、1つの段落を切り取ったときにその段落だけで意味が通じるように、独立性の高い書き方をする必要があります。前後を読まないと意味が取れない文章は、AIから見ると「要約に使いにくい」と判定されてしまいます。

3つ目:著者の権威性・信頼性が明示されていること
「AIによる概要」は、YMYL(Your Money Your Life)分野をはじめとして、著者の経験や資格、専門性を強く重視します。E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)が明示されているサイトが、要約の材料として選ばれやすくなります。運営者情報が薄いサイトや、著者名が明記されていないブログは、AIから「信頼できる情報源」と見なされにくくなります。
《関連情報》 YMYLとは?

先日、ある税理士事務所のクライアントさんに、記事の末尾に「監修:○○税理士(税理士登録番号第△△号/実務経験25年)」という形で監修者情報を追加していただいたところ、それまで一度も引用されていなかった相続関連のキーワードで、「AIによる概要」の引用元カードに表示されるようになりました。同じ内容の記事でも、「誰が書いたか」「誰が監修しているか」が明示されているだけで、AIの評価が変わることを実感した事例です。


「引用される」から「要約される」への発想転換を


ここまでご説明してきた通り、「引用される記事」を目指すという発想では、綺麗な言葉遣いや印象的なフレーズに意識が向かいがちです。しかし、「要約の材料として選ばれる記事」を目指すという発想に切り替えると、事実密度、段落の独立性、著者の権威性――といった、まったく別のポイントに意識が向かうようになります。

私がSEOコンサルティングの現場で日々感じているのは、この発想の転換ができた企業から、着実に「AIによる概要」で自社が引用元として表示されるようになっているということです。逆に、いつまでも「うちの独自のキャッチコピーを覚えてもらいたい」という発想から抜け出せない企業様は、なかなか結果が出ません。

そして、この「AIによる概要」の仕組みは、隣接する「AIモード」でもほぼ同じ考え方が通用します。「AIモード」も、Geminiが情報源を要約して答える点は共通しているからです。今後、「AIによる概要」と「AIモード」の両方に取り上げられるサイトを目指すのであれば、まずは「要約されやすい情報発信」という基本姿勢を固めることをおすすめします。

まとめ


今回の話をまとめると、「AIによる概要」は「引用」ではなく「要約」であり、この違いを理解することが対策の第一歩になります。

Geminiは、あなたのサイトを含む複数の情報源を読み、自分の言葉でまとめ直しているのです。ですから、綺麗なフレーズを盛り込むより、事実密度を高めること、段落の独立性を保つこと、著者の権威性を明示すること――この3つを地道に積み上げていくことが、「AIによる概要」で選ばれるサイトへの近道になります。

Google検索がAI検索へと大きく舵を切っているこの時代に、「引用」と「要約」の違いを正しく認識することは、遠回りに見えて実は最短距離の対策です。ぜひ今回ご紹介した3つの条件を、自社サイトの見直しの視点として取り入れてみてください。

AI検索時代になったからSEOが終わるのではありません。むしろ、本当に信頼される専門家や企業が評価される時代が始まったのです。今後のSEOで成果を出すためには、「検索順位を上げること」だけではなく、「AIやユーザーから信頼される存在になること」を目指す必要があるでしょう。

なぜ「AIによる概要」は「同じキーワードで検索しても内容が変わる」のか?その揺らぎの正体

2026年07月05日

Google検索で「AIによる概要」を目にする機会が増えてきましたが、少し不思議な現象に気づいた方はいらっしゃらないでしょうか。それは、「昨日と今日で、同じキーワードで検索したのに『AIによる概要』の内容が違う」「引用元に自社サイトが入っていたのに、翌日は消えていた」という現象です。

私のセミナー参加者の方からも「これはバグでしょうか?」「Googleの何かの障害でしょうか?」というご質問をよくいただきます。答えは、どちらでもありません。これは「AIによる概要」の仕組みが本質的に持っている「揺らぎ」なのです。

この揺らぎの正体を知らないと、「昨日出ていたのに今日出ないから、SEO対策に失敗した」と誤った結論を出してしまいます。逆に、揺らぎの仕組みを理解すれば、「一時的な引用」ではなく「安定した引用」を狙う戦略が立てられるようになります。

本記事では、長年SEOコンサルティングの現場で多くの企業を支援してきた経験と、英語圏の最新の技術情報を交えて、「AIによる概要」の揺らぎの正体を4つの視点から解説していきます。


「AIによる概要」の揺らぎとは何か?――70%の確率で内容が変わる


まず数字で確認しておきます。分析データによれば、「AIによる概要」は同じキーワードで検索しても、およそ70%の確率で内容が変化することが分かっています。文言が微妙に違ったり、引用元カードのサイトが入れ替わったり、回答の構成そのものが変わったりします。

これは決して珍しい現象ではありません。むしろ「AIによる概要」を毎日ウォッチしていると、揺らぎがない方が例外だと感じるほどです。

例えると、「AIによる概要」は、腕のいい料理人が毎日目の前で料理を作ってくれるレストランのようなもの。同じメニューを頼んでも、その日の食材の入荷状況、料理人のさじ加減、盛り付けの気分で、微妙に違う一皿が出てきます。一方、従来のGoogle検索結果は、あらかじめ作り置きされたお弁当のようなもの。よほど大きなアルゴリズム更新がない限り、同じお弁当が出てきます。

この違いを理解することが、揺らぎを正しく受け止める第一歩です。


揺らぎの原因1:Temperatureという「AIの創造性の設定」


揺らぎを生み出している最も根本的な原因は、Temperature(テンパラチャー、生成AIが回答を作るときの「確率的なばらつき」を制御するパラメーターのこと)です。

生成AIは、次に来る単語を選ぶときに「確率的に」選択しています。「猫は」と入力されたら、次に来る単語として「かわいい」「動物」「好き」「寝る」などの候補を確率つきで持っていて、その中から選ぶのです。

Temperatureが低いと、確率の高い単語ばかり選ぶので、いつも似た回答になります。逆にTemperatureが高いと、確率が中程度の単語も選ばれやすくなり、回答にバリエーションが出ます。

Googleは「AIによる概要」において、Temperatureをある程度高めに設定していると考えられます。理由は、まったく同じ回答ばかりだと「AIっぽい」「機械的」な印象を与えてしまい、ユーザー体験を損なうからです。ある程度の揺らぎがあることで、自然な言い回しのバリエーションが生まれ、読み物として快適になるのです。

この時点で、「同じキーワードでも回答が変わるのは、仕様である」ということがお分かりいただけると思います。



揺らぎの原因2:クエリファンアウトの結果のばらつき


もう1つ大きな要因が、クエリファンアウト(1つの検索キーワードを裏で複数の関連検索に自動展開する仕組み)の結果のばらつきです。

前述の通り、「AIによる概要」は1つの検索を裏で5〜10個のサブクエリに展開して情報を集めています。しかし、この「どのサブクエリに展開するか」「どのサブクエリの結果を重視するか」という判断自体が、毎回まったく同じとは限りません。



たとえば「歯科矯正 費用」というキーワードで検索したとき、あるときは「歯科矯正の平均費用」「歯科矯正の内訳」「保険適用」というサブクエリに展開されるかもしれません。別のときは「歯科矯正の費用相場」「歯科矯正のローン」「医療費控除」というサブクエリに展開されるかもしれません。展開されるサブクエリが変われば、参照される情報源のページも変わり、結果として要約文の内容が変わります。

これがクエリファンアウト起点の揺らぎの正体です。



揺らぎの原因3:インデックスの日々の更新


3つ目の要因は、Google検索インデックス(Googleが世界中のWebページを収集して整理したデータベース)が日々更新されているという事実です。

「AIによる概要」の情報源は、Google検索インデックスから引かれています。そのインデックスは、毎日毎時間、新しいページが追加され、古いページが更新され、削除されるページも出てきます。競合サイトが今朝新しい記事を公開したかもしれません。あるサイトが記事を大幅に書き直したかもしれません。

そうしたインデックスの変化を、「AIによる概要」はリアルタイムに反映しています。だから、昨日は引用元に入っていたサイトが今日は入っていない、ということが日常的に起きるのです。



この点は、従来のSEOの順位変動と似ています。ただし、順位変動はゆっくりとした波であることが多いのに対し、「AIによる概要」の変動はより短いサイクルで起きる、と考えていただければイメージしやすいと思います。


揺らぎの原因4:パーソナライゼーションの影響


4つ目の要因は、パーソナライゼーション(検索する人ごとの状況や履歴に合わせて結果を変える仕組み)です。

Googleは検索結果を、検索する人の位置情報、検索履歴、使用言語、デバイスなどに応じてカスタマイズしています。「AIによる概要」も同様に、検索する人の状況を踏まえた回答を生成する場合があります。

つまり、あなたが昨日会社のパソコンで検索した「AIによる概要」と、今日自宅のスマートフォンで検索した「AIによる概要」は、そもそも別のユーザーとして扱われている可能性があるのです。当然、内容も違ってきます。



自社サイトが「AIによる概要」に表示されるかどうかを検証するとき、この点を忘れると混乱します。「シークレットモードで検索したのに出ない」「別のスタッフの端末で検索したら出た」――こうした現象はパーソナライゼーションが関わっていることが多いのです。


クライアントさんの事例:揺らぎに驚かされていた税理士事務所


先日、ある税理士事務所のクライアントさんから、深刻な表情でご相談をいただきました。「先週まで『相続税 計算』の『AIによる概要』にうちのサイトが引用されていたのに、今週入っていない。何か対策を間違えたのでしょうか?」というご相談です。

拝見したところ、そのクライアントさんは毎朝1回、同じ端末から検索して、その結果だけを見て一喜一憂していました。私は「揺らぎを前提にすると、1回の結果だけで判断してはいけません。同じキーワードを、時間帯を変えて、複数の日にわたって、複数の端末で検索してみて、そのうちの何回引用されているかで判断すべきです」とお伝えしました。

実際に検証していただいたところ、そのクライアントさんのサイトは10回中7回引用されていたのです。1回の結果だけを見て「引用されなくなった」と焦っていたのですが、実際は安定して7割の頻度で引用されていました。これは「AIによる概要」対策としてはむしろ成功に近い状態です。

この事例が示すのは、「揺らぎを前提にした計測」の重要性です。1回の検索結果だけで判断するのは、コイン投げの1回の結果でコインが偏っているかを判断するようなもの。何十回とサンプルを取って初めて意味のある結論が出るのです。

揺らぎを前提にした「AIによる概要」対策


以上の4つの要因を踏まえて、「AIによる概要」対策の考え方を整理しておきます。

1つ目:計測は複数回・複数日で行う
同じキーワードで、時間帯を変え、日を変え、可能なら端末やアカウントも変えて、複数回検索します。そのうえで「引用される割合」を計測するのが正しい方法です。1回の結果に一喜一憂しません。

2つ目:狙うのは「常時引用」ではなく「頻度の高い引用」
「AIによる概要」の性質上、100%引用され続けることはほぼ不可能です。目標は「10回中7〜8回引用される」といった、高い頻度での引用を安定的に実現することです。

3つ目:定期的な情報更新で「鮮度シグナル」を送り続ける
インデックスの更新に対応して安定引用を維持するには、記事の定期的な更新や新規記事の追加が有効です。放置されている情報源は、時間とともに引用頻度が下がっていく傾向があります。


まとめ


今回の話をまとめると、「AIによる概要」の揺らぎは、次の4つの要因から生まれています。

1. Temperature:AIの回答に確率的なばらつきを与える設定。同じキーワードでも表現が変わる原因。
2. クエリファンアウトのばらつき:裏で展開されるサブクエリが毎回変わり、参照される情報源も変わる。
3. インデックスの日々の更新:情報源のプールそのものが毎日変わっているため、選ばれるサイトも変わる。
4. パーソナライゼーション:検索する人の状況によって、そもそも表示される回答が変わる。

これらを知らないと、「AIによる概要」の1回の結果に一喜一憂して、対策の方向を見失ってしまいます。揺らぎを前提にして、複数回の計測で「引用頻度」を把握し、高頻度での安定引用を狙う――これがAI検索時代の新しい計測姿勢です。

AI検索時代になったからSEOが終わるのではありません。むしろ、本当に信頼される専門家や企業が評価される時代が始まったのです。今後のSEOで成果を出すためには、「検索順位を上げること」だけではなく、「AIやユーザーから信頼される存在になること」を目指す必要があります。
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