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なぜ「AIによる概要」は「同じキーワードで検索しても内容が変わる」のか?その揺らぎの正体

2026年07月05日

Google検索で「AIによる概要」を目にする機会が増えてきましたが、少し不思議な現象に気づいた方はいらっしゃらないでしょうか。それは、「昨日と今日で、同じキーワードで検索したのに『AIによる概要』の内容が違う」「引用元に自社サイトが入っていたのに、翌日は消えていた」という現象です。

私のセミナー参加者の方からも「これはバグでしょうか?」「Googleの何かの障害でしょうか?」というご質問をよくいただきます。答えは、どちらでもありません。これは「AIによる概要」の仕組みが本質的に持っている「揺らぎ」なのです。

この揺らぎの正体を知らないと、「昨日出ていたのに今日出ないから、SEO対策に失敗した」と誤った結論を出してしまいます。逆に、揺らぎの仕組みを理解すれば、「一時的な引用」ではなく「安定した引用」を狙う戦略が立てられるようになります。

本記事では、長年SEOコンサルティングの現場で多くの企業を支援してきた経験と、英語圏の最新の技術情報を交えて、「AIによる概要」の揺らぎの正体を4つの視点から解説していきます。


「AIによる概要」の揺らぎとは何か?――70%の確率で内容が変わる


まず数字で確認しておきます。分析データによれば、「AIによる概要」は同じキーワードで検索しても、およそ70%の確率で内容が変化することが分かっています。文言が微妙に違ったり、引用元カードのサイトが入れ替わったり、回答の構成そのものが変わったりします。

これは決して珍しい現象ではありません。むしろ「AIによる概要」を毎日ウォッチしていると、揺らぎがない方が例外だと感じるほどです。

例えると、「AIによる概要」は、腕のいい料理人が毎日目の前で料理を作ってくれるレストランのようなもの。同じメニューを頼んでも、その日の食材の入荷状況、料理人のさじ加減、盛り付けの気分で、微妙に違う一皿が出てきます。一方、従来のGoogle検索結果は、あらかじめ作り置きされたお弁当のようなもの。よほど大きなアルゴリズム更新がない限り、同じお弁当が出てきます。

この違いを理解することが、揺らぎを正しく受け止める第一歩です。


揺らぎの原因1:Temperatureという「AIの創造性の設定」


揺らぎを生み出している最も根本的な原因は、Temperature(テンパラチャー、生成AIが回答を作るときの「確率的なばらつき」を制御するパラメーターのこと)です。

生成AIは、次に来る単語を選ぶときに「確率的に」選択しています。「猫は」と入力されたら、次に来る単語として「かわいい」「動物」「好き」「寝る」などの候補を確率つきで持っていて、その中から選ぶのです。

Temperatureが低いと、確率の高い単語ばかり選ぶので、いつも似た回答になります。逆にTemperatureが高いと、確率が中程度の単語も選ばれやすくなり、回答にバリエーションが出ます。

Googleは「AIによる概要」において、Temperatureをある程度高めに設定していると考えられます。理由は、まったく同じ回答ばかりだと「AIっぽい」「機械的」な印象を与えてしまい、ユーザー体験を損なうからです。ある程度の揺らぎがあることで、自然な言い回しのバリエーションが生まれ、読み物として快適になるのです。

この時点で、「同じキーワードでも回答が変わるのは、仕様である」ということがお分かりいただけると思います。



揺らぎの原因2:クエリファンアウトの結果のばらつき


もう1つ大きな要因が、クエリファンアウト(1つの検索キーワードを裏で複数の関連検索に自動展開する仕組み)の結果のばらつきです。

前述の通り、「AIによる概要」は1つの検索を裏で5〜10個のサブクエリに展開して情報を集めています。しかし、この「どのサブクエリに展開するか」「どのサブクエリの結果を重視するか」という判断自体が、毎回まったく同じとは限りません。



たとえば「歯科矯正 費用」というキーワードで検索したとき、あるときは「歯科矯正の平均費用」「歯科矯正の内訳」「保険適用」というサブクエリに展開されるかもしれません。別のときは「歯科矯正の費用相場」「歯科矯正のローン」「医療費控除」というサブクエリに展開されるかもしれません。展開されるサブクエリが変われば、参照される情報源のページも変わり、結果として要約文の内容が変わります。

これがクエリファンアウト起点の揺らぎの正体です。



揺らぎの原因3:インデックスの日々の更新


3つ目の要因は、Google検索インデックス(Googleが世界中のWebページを収集して整理したデータベース)が日々更新されているという事実です。

「AIによる概要」の情報源は、Google検索インデックスから引かれています。そのインデックスは、毎日毎時間、新しいページが追加され、古いページが更新され、削除されるページも出てきます。競合サイトが今朝新しい記事を公開したかもしれません。あるサイトが記事を大幅に書き直したかもしれません。

そうしたインデックスの変化を、「AIによる概要」はリアルタイムに反映しています。だから、昨日は引用元に入っていたサイトが今日は入っていない、ということが日常的に起きるのです。



この点は、従来のSEOの順位変動と似ています。ただし、順位変動はゆっくりとした波であることが多いのに対し、「AIによる概要」の変動はより短いサイクルで起きる、と考えていただければイメージしやすいと思います。


揺らぎの原因4:パーソナライゼーションの影響


4つ目の要因は、パーソナライゼーション(検索する人ごとの状況や履歴に合わせて結果を変える仕組み)です。

Googleは検索結果を、検索する人の位置情報、検索履歴、使用言語、デバイスなどに応じてカスタマイズしています。「AIによる概要」も同様に、検索する人の状況を踏まえた回答を生成する場合があります。

つまり、あなたが昨日会社のパソコンで検索した「AIによる概要」と、今日自宅のスマートフォンで検索した「AIによる概要」は、そもそも別のユーザーとして扱われている可能性があるのです。当然、内容も違ってきます。



自社サイトが「AIによる概要」に表示されるかどうかを検証するとき、この点を忘れると混乱します。「シークレットモードで検索したのに出ない」「別のスタッフの端末で検索したら出た」――こうした現象はパーソナライゼーションが関わっていることが多いのです。


クライアントさんの事例:揺らぎに驚かされていた税理士事務所


先日、ある税理士事務所のクライアントさんから、深刻な表情でご相談をいただきました。「先週まで『相続税 計算』の『AIによる概要』にうちのサイトが引用されていたのに、今週入っていない。何か対策を間違えたのでしょうか?」というご相談です。

拝見したところ、そのクライアントさんは毎朝1回、同じ端末から検索して、その結果だけを見て一喜一憂していました。私は「揺らぎを前提にすると、1回の結果だけで判断してはいけません。同じキーワードを、時間帯を変えて、複数の日にわたって、複数の端末で検索してみて、そのうちの何回引用されているかで判断すべきです」とお伝えしました。

実際に検証していただいたところ、そのクライアントさんのサイトは10回中7回引用されていたのです。1回の結果だけを見て「引用されなくなった」と焦っていたのですが、実際は安定して7割の頻度で引用されていました。これは「AIによる概要」対策としてはむしろ成功に近い状態です。

この事例が示すのは、「揺らぎを前提にした計測」の重要性です。1回の検索結果だけで判断するのは、コイン投げの1回の結果でコインが偏っているかを判断するようなもの。何十回とサンプルを取って初めて意味のある結論が出るのです。

揺らぎを前提にした「AIによる概要」対策


以上の4つの要因を踏まえて、「AIによる概要」対策の考え方を整理しておきます。

1つ目:計測は複数回・複数日で行う
同じキーワードで、時間帯を変え、日を変え、可能なら端末やアカウントも変えて、複数回検索します。そのうえで「引用される割合」を計測するのが正しい方法です。1回の結果に一喜一憂しません。

2つ目:狙うのは「常時引用」ではなく「頻度の高い引用」
「AIによる概要」の性質上、100%引用され続けることはほぼ不可能です。目標は「10回中7〜8回引用される」といった、高い頻度での引用を安定的に実現することです。

3つ目:定期的な情報更新で「鮮度シグナル」を送り続ける
インデックスの更新に対応して安定引用を維持するには、記事の定期的な更新や新規記事の追加が有効です。放置されている情報源は、時間とともに引用頻度が下がっていく傾向があります。


まとめ


今回の話をまとめると、「AIによる概要」の揺らぎは、次の4つの要因から生まれています。

1. Temperature:AIの回答に確率的なばらつきを与える設定。同じキーワードでも表現が変わる原因。
2. クエリファンアウトのばらつき:裏で展開されるサブクエリが毎回変わり、参照される情報源も変わる。
3. インデックスの日々の更新:情報源のプールそのものが毎日変わっているため、選ばれるサイトも変わる。
4. パーソナライゼーション:検索する人の状況によって、そもそも表示される回答が変わる。

これらを知らないと、「AIによる概要」の1回の結果に一喜一憂して、対策の方向を見失ってしまいます。揺らぎを前提にして、複数回の計測で「引用頻度」を把握し、高頻度での安定引用を狙う――これがAI検索時代の新しい計測姿勢です。

AI検索時代になったからSEOが終わるのではありません。むしろ、本当に信頼される専門家や企業が評価される時代が始まったのです。今後のSEOで成果を出すためには、「検索順位を上げること」だけではなく、「AIやユーザーから信頼される存在になること」を目指す必要があります。
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一般社団法人 全日本SEO協会 代表理事

 鈴木将司

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