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2025年11月
「AIによる概要」でエラー表示が出た時の原因と対処法
2025年11月02日

最近、Google検索で「AIによる概要」が出てほしいのに『エラーが発生しました』と表示されて出ない、ログインしてるのに 「AIによる概要」が機能しない・・・という相談が複数ありました。
確かに、Google の 「AIによる概要」という機能は便利ですが、いつも正しく動くわけではありません。原因は複数考えられます。この記事では、私の現場での経験やユーザー報告、技術情報を元に、「AIによる概要」でエラーが発生する原因、そのときに試すべき対処法、運営者として抑えておきたい注意点などを初心者にもわかりやすく解説します。
「AIによる概要」エラーが出る具体例と報告
まず、実際にユーザーが経験しているエラー表示をいくつか紹介します。
uBlock Origin(広告ブロッカーなど)を有効にしていると、Google 検索画面で「Can’t generate an AI overview right now. Try again later(今は 「AIによる概要」を生成できません。後でもう一度どうぞ)」というメッセージが表示される、という報告があります。これは、広告ブロックやスクリプトブロック設定が 「AIによる概要」関連の API 呼び出しを遮断している可能性を示唆します。

また、Google のヘルプ コミュニティには「AI Overviews(「AIによる概要」) が私のアカウントで機能しない」「Incognito モードだと 「AIによる概要」が出ない」「ログインしていても表示が出ない」などの相談が複数投稿されています。

これらは、必ずしも重大な不具合ではなく、設定・環境・Google 側の制限・仕様変更等が影響している可能性があります。
考えられる原因とそのメカニズム
「AIによる概要」がエラーになる原因は、ユーザー側・ネットワーク側・Google 側の仕様・アルゴリズム制御など、複数の要因が絡み合っています。以下に主な原因とその背景を整理します。
(1)ブロッカー・プライバシー保護設定が干渉している
広告ブロッカーやスクリプト遮断系拡張機能(例:uBlock Origin, AdGuard, NoScript など)を使っていると、Google が概要生成時に使う API やスクリプト呼び出しを遮断してしまい、概要ブロックを生成できずエラーになるケースがあります。先述の uBlockOrigin フォーラムでは、これが原因で概要が「エラー表示」される例が実際に報告されています。

また、ブラウザのプライバシー設定(トラッキング防止モード、Cookie 制限、サードパーティ Cookie のブロックなど)が 「AIによる概要」のデータ取得を妨げる可能性があります。
(2)アカウント設定やログイン状態・地域制限
「AIによる概要」は、Google アカウントにログインしていることや、Search Labs オプトイン設定が必須になるケースがあります。ログアウト状態、Incognito(シークレットモード)使用中、地域制限(その国や言語で 「AIによる概要」未提供)などが要因となって、概要生成機能が無効化されている可能性があります。

(3)Google 側でそのクエリには概要表示を抑制している
Google はすべての検索クエリに 「AIによる概要」を出すわけではなく、内部アルゴリズムで「概要を出す価値が低い/誤情報リスクが高い」と判断したクエリでは、概要を生成しないよう制御しています。これが「エラー」と表示されているように見えるケースの一部と考えられます。
さらに、Google の発表にもあるように、「AIによる概要」が誤情報を出したケースがメディアで話題になった後、Google は複数の技術改善を行っています。たとえば、ナンセンスなクエリ(意味をなさない問い)や信頼性の低いユーザー生成情報への依存を抑えるフィルター強化などを導入したとの報告があります。
《出典》
Google Admits Its AI Overviews Search Feature Screwed Up(Wired)
Google AI Overviews under fire for giving dangerous and wrong answers(Search Engine Land)
Google's AI Overview can give false, misleading, and dangerous answers(Ars Technica)
Google Admits Its AI Overviews Search Feature Screwed Up(Wired)
Google AI Overviews under fire for giving dangerous and wrong answers(Search Engine Land)
Google's AI Overview can give false, misleading, and dangerous answers(Ars Technica)
(4)一時的なサーバー負荷・通信エラー
「AIによる概要」はリアルタイムで生成を行う処理が関わるため、サーバー負荷や通信遅延、タイムアウトなどのインフラ側要因で概要生成が失敗し、「エラーが発生しました」表記になることがあります。
ユーザーが試せる対処法
エラー表示が出たときに、まず試してみるべき対処法を段階的に紹介します。
| ステップ | 方法 | ポイント |
|---|---|---|
| @ 拡張機能無効化 / ホワイトリスト化 | uBlock Origin や AdGuard などの広告ブロック・スクリプト遮断拡張を一時的にオフ、もしくは www.google.com を信頼サイトに追加 | 先述のフォーラム報告でもこの方法でエラーが消えた例がある |
| A ログイン状態・モード確認 | 一度ログアウト → 通常モードで再度 Google 検索。Incognito モードをオフにしてみる | ログイン時・標準閲覧モードでしか AI 概要を有効化していない設定もあるため |
| B ページ再読み込み・キャッシュクリア | Ctrl+F5(PC)やページ更新、Cookie/キャッシュ削除を試す | 通信やキャッシュの問題で読み込み失敗しているケースがあるため |
| C 他のクエリで試す | 同じ端末で他のキーワード(一般的な質問型)を検索し、AI 概要が出るか試す | もし他のクエリで概要が出るなら、対象クエリに制限がある可能性 |
| D 他端末・ブラウザで試す | スマホ・別ブラウザ等で同じクエリを検索し、AI 概要が出るか確認 | 端末依存の設定や環境差を切り分けるため |
| E フィードバック送信 | Google の「フィードバックを送信」機能で問題を報告 | Google 側の改善材料となる可能性がある |
これらを順番に試せば、多くの場合はエラー表示が解消される可能性があります。ただし、Google 側の制御や仕様変更が原因の場合は根本的な解決にはなりません。
「AIによる概要」エラーとSEOの関係
この「AIによる概要」が出ない・エラーになる現象は、ユーザー体験の問題であると同時に、サイト運営者側のSEO戦略にも関係してきます。
(1)「AIによる概要」が出ない=コンテンツがAIに引用されない可能性
Googleの「AIによる概要」は、検索結果から信頼できる情報を自動的に抽出・要約して生成します。もし特定テーマの検索で「エラー」や「概要が生成されない」となっている場合、GoogleがそのテーマをAIにとって「リスクがある」「十分な情報がない」と判断している可能性があります。
つまり、その分野ではまだ「AIが引用できる信頼性の高い情報源」が少ない状態です。これは逆に言えば、その領域で正確かつ構造的な情報を提供するサイトが現れれば、将来的に「AIによる概要」の引用元として選ばれるチャンスがあるということでもあります。
(2)誤情報リスクが高い分野では、「AIによる概要」が意図的にオフになる
Googleは2024年5月以降、「AIによる概要」のアルゴリズムを大幅に見直し、「医療・法律・政治など、誤情報が社会的影響を及ぼすテーマでは「AIによる概要」を抑制する」仕様を導入しました。この制御が強く働いている場合、検索画面には「エラーが発生しました」と表示されることがあります。
つまり、AIが出せないテーマは「まだAIに扱わせるには危険」とGoogleが判断している分野です。SEO的には、そうした領域こそ一次情報・専門家監修を備えた高品質コンテンツを出すべき場所と言えるでしょう。
サイト運営者ができる3つの「AIによる概要」対策
私が企業コンサルティングの現場で伝えているのは、「AIによる概要」に依存しないSEO体制を整えることです。AIがエラーを出すような検索状況でも、ユーザーが確実に正しい情報にたどり着ける導線を作ることが重要です。
(1)AIに引用される前提で「構造的なコンテンツ」を作る
AIは構造化されたページを好みます。
見出しタグ(h2, h3)を適切に使い、Q&A形式・箇条書き・要点のまとめなどで情報を整理しておくことで、AIが情報を再利用しやすくなります。
これは、「AIによる概要」だけでなく「音声検索」「生成AI回答型検索(AEO)」にも通じる対策です。
(2)公式情報を出典として明示する
「AIによる概要」エラーの一因に「出典が曖昧である」ことがあります。
「出典:」「参考:」「引用元:」をページ内に明示しておくと、AIや検索エンジンが「この情報は根拠がある」と認識しやすくなります。
GoogleもAI引用の判断基準として「明確な出典と日付」を推奨しています。
(3)AIが誤情報を出した際はフィードバックを送信
Google検索の「AIによる概要」下部には、「不正確な情報を報告」ボタンが設けられています。ユーザーや運営者がフィードバックを送ることで、GoogleのAIモデルが学習を改善します。

《参考情報》 Google 検索の問題を報告する
私のクライアントでも、複数回の報告後に、翌月には正しい情報が「AIによる概要」に表示されるようになった例がありました。つまり、誤情報を「放置せず改善に協力する」ことも、長期的には自社の信頼性を高める行動になるのです。
「「AIによる概要」のエラー」は「無視すべきバグ」ではない
「AIによる概要」で「エラーが発生しました」と表示されると、多くの人は単なる不具合と思いがちですが、実際にはGoogleがそのテーマに慎重になっているサインです。
それは、まだAIが安全に扱えないテーマ・信頼できる情報源が少ない領域で起きやすい現象です。
したがって、
• ユーザーとしては「信頼できる出典を確認する」
• サイト運営者としては「AIに引用されても誤情報にならないコンテンツを作る」
という意識が欠かせません。
SEOの世界では、検索順位だけでなく、AIやChatGPTのような生成エンジンに「引用される資格を持つサイト」であることが重要になります。AIが出せない情報を、正確に・分かりやすく・構造的に伝える。それこそが、AI時代の新しいE-E-A-Tの実践であり、検索アルゴリズムが変わっても生き残る唯一の道だと私は考えています。
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