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Google の「AIモード」とは何か?検索の未来を変える機能を解説

2025年10月23日

最近、SEOコンサルティングのクライアントさんから、「Google の検索画面に『AIモード(AI Mode)』というタブが出たらしいが、これは何なのか?」「通常の検索とどう違うのか?」「自分のサイトにどんな影響が出るのか?」という質問をよく受けます。確かに、AIモードは「ただの要約」以上の機能を持つ検索体験を目指すものであり、これまでの検索とは異なる設計思想を持っています。今回は、私がSEOコンサルティングの現場経験も交えながら、AIモードとは何か、どのように使えるか、そしてサイト運営者が気をつけるべき点を初心者にもわかりやすく解説します。


AIモードとは? Google が目指す「より進化した検索体験」


まず、AIモード(AI Mode)とは、Google が提供する検索の新機能で、従来の青リンク中心の検索よりも、AIを使って「会話的に深く探る検索体験」を提供しようという試みです。この機能は、Google のブログで次のように説明されています:
「AI Mode は、Gemini 2.0 を基盤とした高度な推論能力と、Google の各種情報システムを組み合わせた検索体験です。複雑なクエリや対話的なフォローアップ質問(追質問)にも対応できるよう設計されています。」




また、Google は I/O 2025 で、AIモードの展開を正式に発表しました。従来実験機能(Labs)だったものを、一部地域ではオプトインなしで使えるように切り替えつつあります。

TechCrunch も、AIモードは「より深いリサーチ、比較ショッピングなどを支援する」機能を備えると報じています。

つまり、AIモードは「検索」の枠を越え、「対話的リサーチ支援ツール」に近づく存在と考えられます。


AIモードの主な特徴・機能


AIモードには、従来の検索にはない以下のような特徴・機能があります。

(1)複雑なクエリも扱える & フォローアップ質問対応


AIモードでは、複数の要素を含んだ質問や、前後の文脈を引き継いだ質問が可能です。たとえば、「スマートウォッチ vs スマートリング、睡眠トラッキング精度は?」と入力した後、「では、心拍変動 (HRV) の精度はどう違う?」と続けて聞くことができます。
このような「対話的探索」が可能なのは、AIモードの特徴です。

(2)マルチモーダル対応(テキスト・画像・音声)


AIモードは、テキストだけでなく、画像や音声を使った命令や質問に対応する能力を持ち始めています。たとえば、スマホで写真を撮って「この植物は何か?」と聞くような使い方も可能になるとされています。Google の検索案内ページでも、こういったマルチモーダル検索を前提に設計されていることが示されています。

The Verge も、AIモードが画像認識(Google Lens 統合)を取り込み、入力画像から理解できるようになると報じています。

(3)「Query Fan-out」 による複数検索統合


AIモードでは、ユーザーのクエリを複数のサブクエリに分解し、それらを並行して検索して、その結果を統合する手法(query fan-out)を用いて、より広く深い情報をまとめて提示する仕組みです。この手法により、単一キーワード検索以上のリサーチ幅が得られるようになります。

(4)深掘り(Deep Search)、データ可視化機能、比較表示


AIモードでは、より詳細な分析(Deep Search)や、金融データなどをグラフ可視化する機能が、段階的に導入されています。たとえば、AIモード内で株価推移をグラフ表示を伴って説明する機能もテスト中です。

Search Engine Land でも、AIモードが「複雑分析」「比較ショッピング」「モダリティ統合」などを導入すると報じています。


AIモードの利用方法・対象地域・制限


AIモードはすでに特定の地域やユーザーで展開され始めていますが、全世界・すべてのユーザーが使えるわけではありません。以下が現状の仕様・制限です。

(1)Search Labs を通じた有効化(実験的段階)


もともと AIモードは Search Labs(Google の実験機能プラットフォーム)でオプトイン方式で使われていました。

ユーザーは、Google アカウントでログインして検索履歴やパーソナライズ設定を有効にすることで AIモードを利用できることがあります。ただし、Search Labs の設定はすべてのユーザーに提供されているわけではなく、対象言語や地域も限定されています。

(2)米国を中心とした展開、オプトアウトなしの公開化の開始


2025年5月以降、Google は米国ユーザーに対し、AIモードをオプトインなしで表示する方向に切り替え始めました。つまり、ユーザーが設定をしなくても、検索画面に「AIモード」タブが表示されるケースがあります。

Search Engine Roundtable も、米国で AIモードが Search Labs 以外で展開され始めたという報告をしています。

ただし、この段階で Google Search Console における AIモードのトラッキングが完全には分離されていないという指摘もあります。Search Engine Land は、AIモードから発生したトラフィックは Search Console の「Web 検索」カテゴリに統合されると報じています。


AIモードがSEOに与える影響


AIモードは、これまでのGoogle検索と根本的に異なる仕組みで結果を表示します。
従来の「リンク型検索(10本の青リンク)」から、「回答提示型検索」へと移行しており、この変化はSEOにも大きな影響をもたらします。

(1)クリック率(CTR)が下がる傾向


AIモードでは、検索結果の上部にAIによる概要(要約+推奨リンク)が表示されるため、従来の自然検索リンクのCTR(クリック率)は低下する傾向にあります。
Pew Researchの調査によると、AI概要が表示される検索結果では、リンクをクリックするユーザーが約30%減少したと報告されています。




つまり、今後は「クリックされること」を前提としたSEOだけでなく、「AIに引用されること」を目的とした新しいSEO戦略が必要です。

(2)「AI引用SEO」という新しい概念の誕生


AIモードでは、AIが生成する回答の中に「参照リンク」として一部サイトを引用します。これに選ばれるサイトは、AIにとって信頼できる情報源と判断されたコンテンツです。したがって、今後のSEOは「検索上位表示」から「AIの参照元になる」方向に進化します。



(3)専門性・透明性が評価される


AIモードは、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を重視します。
たとえば、医療・法律・金融などの分野では、Googleのガイドラインに基づき「信頼度が高い発信者」の記事を優先的に参照する仕組みになっています。公式ドキュメントでも、AIモードの参照判断にE-E-A-Tが活用されることが明記されています。


つまり、AIモードに引用されるためには、
•実際の経験に基づいた発言(Experience)
•専門家による監修(Expertise)
•公的データや一次情報の提示(Authority)
•更新性・透明性・出典明記(Trust)

が必須となります。

AIモード時代の「サイト運営者がやるべきこと」


私がSEOコンサルティングの現場でクライアントに必ず伝えているのは、「AIモードの時代は、「AIに選ばれるサイト」を作ることが最重要」だということです。
そのための具体策を5つ紹介します。



(1)AIが理解しやすい構造を作る


AIは構造化された情報を好みます。見出し(H2・H3)、リスト、FAQ構造化データ、表などを用いて、要点を整理しましょう。
→ AIモードは段落よりも「構造」を優先して理解します。

(2)一次情報と体験談を盛り込む


AIは似たような二次情報の中から「オリジナル性の高い情報」を優先します。現場の体験や独自データを記載することで、AIに「唯一無二の情報源」として認識されやすくなります。

(3)質問形式の見出しを増やす


AIは「質問と答え」構造を好むため、記事タイトルや見出しに「〜とは?」「〜のやり方は?」を積極的に取り入れましょう。AIが拾いやすく、引用対象になりやすくなります。

(4)信頼できる出典を明示する


AIは引用元の出典を重視します。公式文書、統計データ、学会報告など、出典の信頼性を高めることでAIに選ばれやすくなります。
例:
「〜という調査結果が報告されています(出典:Statista, 2024)」
「〜とGoogle公式ブログで説明されています」

(5)AIモードでの露出をモニタリングする


AIモードではまだSearch Consoleで詳細分析ができませんが、AI概要に自社サイトが引用されているかどうかを定期的に確認する習慣が重要です。
検索キーワードを変えながらAIモードをチェックし、引用パターンを分析することで、将来のSEO戦略を最適化できます。

AIモードのリスクと注意点


AIモードは革新的ですが、リスクも伴います。
•誤情報表示のリスク:AIが誤ったまとめ方をすることがある。
•コンテンツ盗用問題:AIが他サイトの文章を要約して出してしまうケースがある。
•トラフィック分散:ユーザーがAI概要で満足してクリックしない。

Googleはこれらの問題に対して、AIモードの透明性を高める方針を発表しています。AI生成コンテンツには「AIによる回答である」旨を明示し、誤情報が出た場合は改善フィードバックを受け取る体制を整えています。

AIモードは「脅威」でなく「新しい検索の入口」


AIモードは、「検索の終わり」ではなく、「検索の進化」です。Googleは、AIを使って「より人に近い形で情報を届ける」ことを目指しています。SEOの目的も変わります。
これからは「上位表示される」よりも、「AIに引用される」ことが価値になるのです。そのためには、

•情報の正確性
•更新頻度
•出典の明示
•専門家としての信頼構築

が何より重要です。AIモードは、SEO業界にとって避けられない新時代の波です。AIを敵視するのではなく、AIに好かれるコンテンツを作ることが、これからのSEO成功の鍵となります。

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一般社団法人 全日本SEO協会 代表理事

 鈴木将司

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