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2025年10月02日

AIモードはChatGPT化するのか?

2025年10月02日

2025年9月9日に国内で提供が始まったGoogleの「AIモード」を試してみると、まるでChatGPTを使っているような感覚がありました。もしかするとGoogleは、このAIモードの公開によって一気にChatGPTからユーザーを奪う戦略を狙っているのではないか、と感じさせられます。ChatGPTに後れを取ってきたGoogleが逆転を狙う手段として、世界中のGoogle検索ユーザーにAIモードを提供することが残されているからです。

Google AIモードとは何か?


Googleが2025年に導入を開始した「AIモード」は、検索体験そのものを根本から変える新しい仕組みです。従来のGoogle検索は「キーワードを入力すると青いリンクが並ぶ」というものでした。しかしAIモードでは、ユーザーがモードを切り替えると、検索ページ全体がAIによる文章回答を中心に再構築されます。


検索の冒頭に要約が追加される「AIによる概要」(AI Overviews)とは違い、AIモードは検索そのものを会話的な体験に置き換えるのが特徴です。Googleはこれを「より直感的で包括的な検索体験」と説明しており、自然な言葉で質問したり、フォローアップ質問を重ねたりできる点で、従来の検索とは一線を画しています。



ChatGPTとの共通点


実際にAIモードを試してみると、その体験はChatGPTに非常によく似ています。ユーザーが質問を投げかけると、AIは自然な文章で答えを返し、関連する情報源も一緒に示してくれます。また、続けて「もう少し詳しく教えて」や「別の観点ではどうか」と聞けば、それに応じた追加回答が得られます。この流れはまさにChatGPTと同じ「会話型AI」の感覚です。

米国の有力紙ワシントン・ポストも「GoogleのAIモードは検索にチャット型のインタラクションを導入し、ChatGPTの影響を色濃く受けている」と報じています。


ChatGPTとの相違点


ただし、AIモードとChatGPTはまったく同じではありません。ChatGPTはOpenAIが開発した独立型の対話AIで、幅広い用途に使える「万能アシスタント」として設計されています。一方、AIモードはGoogle検索に組み込まれた機能であり、あくまで検索エンジンの一部として動作する点が大きな違いです。

情報の扱い方にも違いがあります。ChatGPTは現在ではウェブ閲覧機能を通じて最新の情報を取得できますが、基本的な仕組みは学習済みデータをもとに応答を生成するモデルです。対してAIモードは、Google検索の膨大なインデックスを背景に持ち、その時点での最新のウェブ情報をダイレクトに反映できる強みがあります。

これは「検索エンジンを本体に持つGoogleだからこそできるアプローチ」であり、ChatGPTの仕組みとは根本的に異なるものです。フィナンシャル・タイムズも「Googleは検索インデックスを武器にすることで、ChatGPTとは違う形で「最新性」を強みにしようとしている」と報じています。


大手海外メディアが見る「ChatGPT化」の兆し


Google AIモードがChatGPTのようになっていくのかについては、複数のメディアが注目しています。
米ビジネスメディアのビジネス・インサイダーは、Google I/O 2025の発表を受けて「Googleは100以上のAIアップデートを通じて、自然な会話体験を検索に取り込もうとしている」と分析しました。これはまさにChatGPTが持つ「自然なやりとり」の強みを意識した方向性です。

また、米Fast Companyも「AIモードはChatGPT Searchへの直接的な回答であり、Googleが対話型検索の中心にAIを据えようとしている」と強調しています。


SEOへの影響


もしAIモードがさらにChatGPT化していくならば、SEOの世界は大きな変化を迎えることになります。従来は検索順位を上げることが目的でしたが、これからは「AIに推薦されるかどうか」が流入を左右するからです。

AIモードは回答を文章で提示し、その中でブランドやサービスを指名することがあります。つまり、自社サイトがリンクとして表示されるだけではなく、AIの文章の中にブランド名として登場できるかどうかが勝負になります。

米国のSEO専門メディア「Search Engine Journal」は、AIモードがChatGPTやAI Overviewsと比較して、ブランドを紹介する数は少ないものの、選ばれた場合の影響力は非常に大きいと報告しています。これはまさに「少数精鋭」の世界であり、選ばれるかどうかで勝敗が分かれるということです。


AEO・AIO・GEOの必要性


こうした流れを受け、従来のSEOに加えて新しい最適化の考え方が広がっています。

まず注目されているのが AEO(Answer Engine Optimization) です。これは検索エンジンというよりも「答えを返すエンジン」に向けた最適化の考え方で、AIが理解しやすい形に情報を整理し、構造化データを整備することが求められます。

次に AIO(Artificial Intelligence Optimization) があります。AI全般に対する最適化を意味しますが、特にGoogleの AI Overviews への対応が重要です。GoogleのAIが要約を生成する際に自社サイトを参照してもらうには、信頼性・権威性・網羅性を兼ね備えた記事を用意し、AIが引用しやすいコンテンツ設計を行う必要があります。

そして新しい概念として GEO(Generative Engine Optimization) が登場しました。これはChatGPTやGeminiといった生成AIに最適化するための施策で、AIモデルに認識されやすい形でデータを公開することを指します。すでに英語版Wikipediaでも解説が掲載されており、SEOに続く次なる潮流 として世界的に注目されています。


ユーザー行動とトラフィックの変化


AIモードの導入に伴い、ユーザー行動やトラフィックの流れも変化しています。AP通信の記事によれば、AIによる回答が直接検索結果に表示されることで、ユーザーがウェブサイトをクリックする必要が減り、サイトへの訪問数が減少しているケースがあると報告されています。これは従来の「検索流入=アクセス数増加」という図式が崩れつつあることを意味します。

また、The Economic Timesは、AIが参照する情報源に信頼性が欠けるケースがあると警鐘を鳴らしています。ChatGPTやPerplexityと同様に、Google AIモードもRedditなどのユーザー生成コンテンツを引用する場合があり、誤情報リスクがつきまとうのです。この点でも「信頼されるブランド」となることが重要だといえます。


今後の展望:AIモードはChatGPT化するのか?


結論として、現時点でGoogleがAIモードを完全にChatGPTと同じ自由対話サービスにするという公式発表はありません。しかし各種報道や実際の体験からは、AIモードが着実に「ChatGPT的な存在」に近づいていることがわかります。

The Vergeは「チャットボットのような体験」、ワシントン・ポストは「ChatGPTの影響を受けたインタラクション」、Business Insiderは「自然な会話体験の導入」と表現しており、方向性は一致しています。

Googleにとって、検索は最大の収益源であり、ここでChatGPTにユーザーを奪われることは致命的です。そのため、検索体験をChatGPT的に進化させるのは自然な流れといえるでしょう。ただしGoogleは検索広告との統合も重視しており、ChatGPTのように完全な自由対話に振り切るのではなく、「検索エンジンの強みを活かしながら会話型に寄せる」形で進化する可能性が高いと考えられます。


まとめ


AIモードはChatGPTと同じではありませんが、すでに多くの共通点を持ち、今後さらに似た存在に進化していくことはほぼ間違いないでしょう。SEO担当者やサイト運営者にとっては、AIに選ばれるための新しい対策を早急に取り入れることが求められます。検索順位だけを追う時代は終わりつつあり、今は「AIに推薦されるブランド」になることが最重要課題です。

今後、全日本SEO協会では、このGoogleのAIモードがChatGPT化していく可能性を見据え、AEOやAIO、さらにはGEOといった最先端の最適化技術に積極的に取り組んでいきます。そして皆さまと共に、AI検索時代に適応した最新のSEO戦略を共有し、実践していきたいと考えています。

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一般社団法人 全日本SEO協会 代表理事

 鈴木将司

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