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ビジネスモデル開発
ホットペッパーが上位10位を独占している!?垂直検索の怖さとは?
2015年11月27日
最近、各地で「美容室」というキーワードでGoogle検索するとリクルートが運営しているホットペッパーがほとんど検索結果上位を独占していることが明らかになりました。今、福岡で「美容室」というキーワードでGoogle検索しましたが、下図のように:
・広告枠はホットペッパーが3件も表示されて他者の広告が表示されていない
・自然検索枠も上位3位がホットペッパーが表示
・その下もホットペッパーが1件表示
そしてその他自然検索は6件しか表示されていません。
つまり・・・
広告枠3件 + 自然検索枠4件 で合計8件もがリクルートのホットペッパーへのリンクなのです。(hotpepper.jp からの検索結果 »というリンクも含めれば9件にもなります)
さらにその下にはホットペッパーほど知名度はありませんが、エステサロンや整体の世界ではかなり露出が多い「エキテン」が2件も表示されています。
他の地域はもっとひどい状態です。
東京都港区で「美容室」で検索すると下図のように:
・広告枠はホットペッパーが3件も表示されて他者の広告が表示されていない
・自然検索枠も上位7位がホットペッパーが表示
そしてその他自然検索は5件しか表示されていません。
つまり・・・
広告枠3件 + 自然検索枠7件 で合計10件もがリクルートのホットペッパーへのリンクなのです。
上位10件が同じサイトというのはあまりにもひどすぎます。
この事は何を意味するのでしょうか?
1、リクルートのSEO対策は現在非常に成功している
2、「美容室」でGoogle検索する人達のほとんどがホットペッパーという有名なポータルサイトを見るのでアクセスの実績をGoogleが評価している
3、現在のアルゴリズムではポータルサイトが有利な状況である
まず、1に関してはリクルート社のSEO技術が賞賛に値するものだということは確かです。周りは正直非常に迷惑ですが妬んでも始まりません。むしろ東京においては広告を含めて上位10位を独占するという歴史的な独占状態の原因を探る方が先決です。
2に関してはいかにGoogleがアクセスデータを重要しているか、そして美容室だけではなく、美容室関連の複合キーワードでの流入があるサイトを「美容室」というキーワードで上位表示させるという流入キーワードを重視するアルゴリズムを採用しているかがわかります。
ということは私達もトップページを例えば「脱毛」というキーワードで上位表示したければ下層ページを「脱毛 メリット」、「脱毛 おすすめ」、「脱毛 料金」、「レーザー脱毛 名古屋市」などのロングテールの複合キーワードで上位表示させて「脱毛」というキーワードを核にしたロングテールキーワードで上位表示させ、かつ検索結果上でユーザーにクリックしてもらうことが重要かそのことを学ぶことが出来ます。
3に関してが最も重要です。
それはWebの発展の中で今とてつもない大きな変化が訪れているということで、その変化からはどの業界の企業も逃れることが出来ないという重要ポイントです。
それは何かというと「垂直検索」が出来るポータルサイトが年々Googleで上位表示されてきているというポイントです。
ホットペッパーはもとより、エキテンも、ぐるなびも、楽天トラベルも、そして楽天、アマゾンもそうですが、1つの商品を探しているユーザーが細かな条件を指定してスピーディーに商品を見つけることが出来る詳細な検索機能を持っています。
そうした詳細な検索機能により検索することをSEOの世界では「垂直検索」と呼びます。
一方、あらゆるウェブの情報を網羅して平等に検索させるGoogleは「水平検索」と呼びます。
これまではGoogleを頂点とする「水平検索」の時代でしたが、時が経つにつれて各ジャンルの垂直検索エンジンをもつ有名ポータルサイトが台頭してきたのです。
今どきのネットユーザーは「美容室を探したい・・・」と思ったらGoogleやヤフーで美容室というキーワードで検索する人もいますが、その多くがGoogleやヤフーで「ホットペッパー」と指名検索キーワードで検索してしまうのです。
それによりGoogleは・・・
ホットペッパー = 美容室
美容室 = ホットペッパー
と機械的に認識してホットペッパーを高く評価してしまうのです。
このままの流れが続くと大変なことになってしまいます。
どのキーワードでもホットペッパーが「美容室」というキーワードで独占しているような事が起きそうです。
そうなるとGoogleの検索結果上位を独占する垂直検索エンジンをもつポータルサイトに広告料金、掲載料金を払わないとWebからは集客が出来なくなるという謂わば「通行税」のような新たな税金のようなものを払うはめになりかねません。
結局、私たちはどうすれば良いのでしょうか?
1、ポータルサイトが上位表示していないキーワードをなるべくたくさん発見してそれらでの上位表示を目指す
2、ポータルサイト内でも未だ取り扱われていない商材を発見、あるいは開発してその市場を自ら開拓してその先行者利益を取れる時に取れるだけ取る
というようにポータルサイトが囲い込めないジャンルを自らの創意工夫によって生み出すということになるはずです。
最近は、ポータルサイトだけではなく、比較検討サイト、比較ランキングサイトのような同じようなDNAを持っているサイトが増えています。
彼らに取り込まれたら終わりです。
彼らに生存ギリギリまで広告掲載料金を搾り取られることなるからです。
最初は彼らを利用するつもりで比較的低いコストで集客できたとしても、必ずその情報は市場に拡散して競合他社が殺到します。
そしてそれによりその市場に参加しようという企業が限界ギリギリまで広告掲載料金を支払うようになります。
そしてその先にあるのは売上は確保できたとしても利益のほとんどが広告掲載料金となり消滅し、何のために汗水たらして働いているのがわからなくなるのです。
利用するつもりが結局は利用される・・・ということになるのです。
もう一度言います。
競合他社と比較検討されるという立場に追い込まれたら結局は最安値を提供できる企業のみが最終的に1社か、2社だけ生き残りその他は全滅になるのです。
だからこそ、同じ土俵に立つのではなく、何度も失敗をする覚悟を決めて自社独自の土俵を作り、そこの一番乗りになるのです。
それが成功すれば他者に真似される時が来るまで比較検討対象にはならないで済みます。
その間に勝利に酔いしれることは許されません。その間にすべきことは次の土俵をまた作る作業です。
これを延々と繰り返すのが企業社会の歴史です。
その原理原則がネットの世界にも遂に来たのです。
独自の土俵 = 御社が創造する新市場
をあなたが作る!その日が必ず訪れることを祈っています。
敵は死角からやってくる!ディスラプターとは?
2015年08月04日
日経電子版 2015/7/30「あなたの業界に迫るウーバー ディスラプターは敵か :山川 隆義ドリームインキュベータ社長
」という記事があり、そこでマーケティングの世界での新しい言葉が紹介されていました。
それは・・・
ディスラプター = 関係のなさそうな業界を横から切り取っていく戦法
というものです。
ディスラプターは業界を超えて、こちらが予測もできないような死角から突然市場に進出してお客を奪っていく企業のことだそうです。
この言葉を知って、この20年くらいの間、日本市場で起きてきたことの多くの説明がつくと感じました。
例えば・・・
(1)iモードでケータイ王国を築き上げたユーザーを、パソコン業界のアップルが突然iPhoneというスマートフォンを発明して奪っていった
(2)同じくスマートフォンをというハードを販売しているアップルにソフト業界であるCD販売業界の顧客が奪われた
(3)コンビニが100円コーヒーや、ドーナッツを販売してドトールコーヒーや、ミスタードナッツの顧客が奪われた
などがすぐに思い浮かびます。
これらはリアルの世界での事例ですが、これから増えることが予測されるのがネットの世界です。
自社の商材とは全く違ったものを売っている企業が突然、競争力の高い練りに練った販売戦略でこちらの市場に入ってくることが予想されます。
何故このようなことが増えて来ているのかというと、同記事によると「背景には、(1)全てのものがつながることで業界の壁がなくなったこと(2)情報レイヤーと物理的な人のレイヤーの両方のつながりが生まれたこと−−この2つがある。」だということです。
ITの普及とクラウドや低コスト、高速ネット接続が可能になったことで顧客リストさえあれば誰でも何でも売れる時代になったというのはチャンスが増えて良いことでありますが、何も手を打たずに静観する企業にとっては怖い時代だとも言えます。
特に、国内というある意味身内ばかりを見ていると突然海外からディスラプターが入ってきて顧客を奪い去ることがあります。
そうした意味で今最も多くの業界にとって脅威なのがウーバーというタクシー配車サービスだと言えます。この会社の恐ろしいところはタクシー配車の専門会社というわけではなく、今後は空いているリソースをそれを必要とするユーザーにコンピューターとネットの力で最安値で紹介するシェアリングエコノミーを実現しようとするところです。
ビジネスの形態には色々とありますが、その一つが余っているものを蓄えて、それが最も高値で売れる時に高く売るという形態があります。
ITが普及していなかった時代は確かにそうしたことが可能でしたが、今後は難しくなるはずです。何故なら情報を蓄えて隠そうとしても競合他社がその情報をいち早くネットに放出することによりユーザーは余分な出費をしないでその時その時最適な購買決定をほとんどリアルタイムで実施することが出来るからです。
コンピューターの出現によりたくさんの情報を蓄えて、その情報を活用して高値で商品やサービスを販売することが可能だったはずのものが、ディスラプターの登場により情報が加速度的に早く出回ることになり企業ではなく、消費者が得をする時代が来るようになったのです。
現在の業績が安定している企業ほどディスラプターには気をつけなくてはなりません。何故ならそうした業界に魅力を感じたディスラプターが予想外のアングルからこちらの市場に侵入してくるからです。その時業界が破壊されて過去のやり方が通用しなくなります。
いつディスラプターが入ってくるのかを考えていても意味はありません。入ってくるということを前提としてこちらも動いて、手を打たなくてはなりません。
防御策は、ディスラプターが入ってきても全く問題が無いように現在のサービス、商品のクオリティーを高め、競争力を圧倒的に高めること
そして積極策は自社の顧客基盤を拡大するために自らがディスラプターになることです。
極端に単価の高い商材がネットで売れるようになってきている
2015年07月01日
今後のネット販売の方向性を示唆する2つのニュースが今日報道されました。『アマゾンジャパン(東京・目黒)は30日、積水ハウスなどと組みリフォームサービスの販売を始めた。キッチンや浴室、トイレなど計5千種類以上を扱い、価格は商品代に交換や取り付けなどの工事費を含めて定額で表示する。一般のリフォームサービスで手間がかかる見積もり作業などがなく、予算に応じてネットで手軽に申し込める。』(2015/7/1 日本経済新聞 朝刊)
『パナソニックは7月から個人向けの中古住宅の仲介事業を始める。中古物件ごとにリフォームの提案を組み合わせて紹介するウェブサイトを立ち上げる。同社の強みであるシステムキッチンや浴室といった住設機器などの情報も提供し、顧客ニーズにきめ細かく対応する。』(2015/7/1 日本経済新聞 朝刊)
の2つの記事です。
20年近く前に始まったネット販売の世界ではアマゾンが書籍やCD等の販売を始め、低単価商材からスタートしました。
当時はネットで商品を購入するのは騙されるリスクが高くお金を払っても商品が届かない等のトラブルがあり、消費者はネットで商品を購入することに躊躇していました。
テレビや新聞などのオールドメディアはネットの危険性を大きく報道してそうした恐怖は増幅されていきました。
しかし、徐々にネットでの商品購入に慣れてきた消費者は時間と共により高い単価の商品を購入するようになりました。
消費者にとって最も高い買い物は何でしょうか?それは恐らく自動車や住宅ではないでしょうか?
今年の4月1日に「BMW、アマゾンで新車 電気自動車「i3」、潜在需要を掘り起こし」(日本経済新聞 朝刊)というニュースが報道されました。
https://www.web-planners.net/blog/archives/000031.html
新車、それも価格が高い外車を物販サイトでいきなり販売するこの動きもネット商材の高単価化の流れにあるものです。
そして今回のアマゾン、パナソニック等のリフォームという住宅関連商材という高額な商材をネットで販売するという動きです。
これらの高額商材に関する報道には2つの重要なポイントがあると思います。
(1)大手企業のネット販売市場の参入
(2)高い商品を売るための消費者視点の工夫
の2つです。
(1)大手企業のネット販売市場の参入
これは最近特に強まっている傾向ですが、以前はネットを使わなくても一定の売上と成長をすることが出来てきた大手企業が、少子高齢化、消費税増税をきっかけにした消費不況、大手企業や公務員以外の所得の減少等によりそれまでのリアルの世界だけではその売上と成長を維持出来なくなってきたというトレンドです。
一時的に東京オリンピックやアベノミクスなどによる景気刺激により息抜きは出来たとしても長期トレンドとしては国内経済は縮小に向かっています。
そうした中、大手企業が生きるために出来ることは海外市場進出の他にはネット市場進出くらいしか選択肢はなくなってきています。
その結果、それまで大手企業がほとんど存在感の無かったネット市場において近年のモバイル時代をきっかけに本格的なネット市場への参入が起きてきています。以前はパソコンを持っている少数の人達だけが販売先で魅力はあまりなかったネット市場が子供からお年寄りまでが個人的に所有するスマートフォンやタブレット等のモバイル機器の普及とそのネット接続費の下落により激増した結果、リアル市場とほどんと同じ規模のとても魅力的なマーケットになりました。
このトレンドがダイレクトに影響を及ぼすのがこれまで比較的平和にネット市場で自社の立ち位置を築き上げてきた中小企業、個人企業です。
(2)高い商品を売るための消費者視点の工夫
アマゾンジャパンと今回提携した積水ハウスはこれまで不透明だった総額のリフォーム費用を明確化して総費用を明確に表示するようにしました。
その結果、隠れた費用の無い明瞭会計による住宅リフォームの申し込みが可能になり、消費者は安心して住宅リフォームをネットで申し込めるようになりました。
これは高い商品でも消費者がネットで申し込みがしやすくするための工夫です。
また、外車をアマゾンで販売するBMWはいきなりサイト上で契約を消費者に迫るのではなく、『購入者にはBMWのコールセンターから連絡が入り、購入に伴う正式な書類をやりとりする。支払いは5年契約のローンやリースを選ぶ。ローンの場合は頭金の99万円のみアマゾンが回収し、その後の支払いはBMW関連会社などと進める』(2015/4/1 日経新聞電子版)というように申し込みがしやすくなるための配慮がされています。
これまでネットでは高い商品は売れないと諦めてきた企業の方は、諦めるのではなくこうした工夫を参考にして消費者がより気軽にアクションを起こせる配慮を考案すべきです。
確かに、大手企業が相次いでネット市場に本格参入するのはこれまで平和にネット販売をやってきた中小・個人企業には厳しい現実です。
しかし、これをきっかけに売上の維持、拡大のために思い切って高単価の商材を取り扱って見てはどうでしょうか?
10万円の商品を100個売れば1000万円の売上ですが、同じ売上が500万円のもの2個売れば達成できます。
人員も、設備も大手企業に比べれば限られている中小・個人企業であればこそ少数の顧客により深いサービスを提供することによって客単価が飛躍的に伸びる可能性があります。
そして、それを可能にするためには消費者の心理的抵抗、心理的負担を軽減する販売方法と、経済的負担を軽減するためのローンの活用や助成金の取得のサポート等の工夫が必要です。
インターネットというものが存在する限り、ネット販売の世界に終わりはなく、信じられないスピードで変化が起きます。
このネット商材の高単価化というトレンドを座って見過ごすのではなく、自社の飛躍のチャンスにするためにも一度考えて見て下さい。
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