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Googleの動向

重大事件が起きるとGoogleの検索アルゴリズムが自動的に切り替わる?

2019年07月13日

Googleの検索エンジン技術者Pandu Nayak氏に英国の大手新聞 The Guardian が取材したところ、Googleは銃撃事件など重大なニュースが報道された時には、権威のあるサイトが自動的に上位表示されるように自動的に検索アルゴリズムを微調整しているということがわかりました。

Pandu Nayak氏は「過去数年の間にいくつもの悲劇的な銃撃事件が発生している。こうした事件が発生すると偽情報が様々な形でネット上に出回ります。こうした状況に対応するために、Googleは悲劇的な大事件が発生したことを自動的に認識し、関連するクエリ(検索キーワード)の検索順位を決める時に権威性を重視したランキング方式を自動的に適用し、偽情報が検索の上位に表示されないように微調整するようにしている」
"In these last few years, there’s been a tragic increase in shootings,” Nayak said. “And it turns out that during these shootings, in the fog of events that are unfolding, a lot of misinformation can arise in various ways. And so to address that we have developed algorithms that recognise that a bad event is taking place and that we should increase our notions of ‘authority’, increase the weight of ‘authority’ in our ranking so that we surface high quality content rather than misinformation in this critical time here."(2019年7月2日)

と同取材で発言しました。

さらに同誌は「権威性とはGoogleの定義によるとGoogle General Guidelinesという166ページに渡るPDFドキュメントで定められた品質評価基準を見ながら16,000人の品質評価担当者たちが評価するものである」
"Authority, by Google’s definition, means pages that comply with the company’s search quality evaluator guidelines, a 166-page document (PDF) that the company distributes to its 16,000 search quality raters."

と伝えています。


【情報元】 The Guardian

このニュースで明らかになったことは:

1、Googleは偽情報を検索結果から追放する努力をしている

2、Googleはいつも同じ検索アルゴリズムですべてのクエリの検索順位を決めているわけではない

3、Googleは権威性が高いサイトを上位表示させることがある

4、権威性はGoogle General Guidelinesを用いる16,000人の品質評価担当者たちが評価する

という事実です。

1、Googleは偽情報を検索結果から追放する努力をしている


昨今、GAFAと呼ばれるGoogle、Apple、Facebook、Amazonらの巨大プラットフォーム企業はEUを始めとする各国政府から監視を強められている状況です。GAFAの筆頭格であるGoogleが万一品質の低い検索結果を提供した結果、社会問題が起きれば莫大な罰金がEU等の政府機関から課せられるリスクがあります。

そうした中Googleは必死で正確なコンテンツのあるサイトを上位表示させ、偽情報や科学的根拠に乏しいコンテンツがあるサイトを検索結果から追放、または下位に表示させる施策を取るのは理解出来ることです。

私達サイト運営者はこうした動きに対応して偽情報と捉えかねない科学的根拠に乏しいコンテンツが少しでもサイト上にあるかを徹底的に確認すべきです。そして少しでもあればそれらを削除または改善しなくてはなりません。

そうしないとGoogleから知らぬ間に信頼性の低いサイトだと認定されてしまい上位表示に不利な状況に追い込まれることになります。しかもやっかいなのは自社サイトが信頼性の低いサイトだと認定されているかどうかを調べるすべはありません。Googleに質問しても教えてくれません。

特に気をつけなくてはならないのが薬機法や医療広告ガイドラインに触れるような医療、健康、美容の情報を取り扱っているサイトや、法律や金融などの分野のサイトであるYMYL業種(Your Money Your Life: 医療・健康サイトのような人の命に関する情報を取り扱うサイトと、投資や金融などの人の経済に影響を与えるサイトの総称)、そして誇大広告的な表現をしている恐れのあるあらゆる分野のサイト運営者です。

2、Googleはいつも同じ検索アルゴリズムですべてのクエリの検索順位を決めているわけではない


以前のGoogleはすべての業種のクエリでの検索順位を決めるアルゴリズムは同じでしたが、近年明らかになってきているのは業種によって有効なSEOテクニックにばらつきが出てきていることです。

例えば、小売業のサイトで上位表示するテクニックは、地域ビジネスのサイトを上位表示させるテクニックとかなり異なって来ています。または医療関連のサイトを上位表示させるテクニックはそれ以外の業種のサイトの上位表示テクニックとはかなり異なるようになっています。

今回の発表によりGoogleは、クエリの種類により異なった検索順位算定のアルゴリズムを使用していることが完全に明らかになりました。一般的なSEOテクニックを知るだけではなく、自社の業界特有のSEOも学び、実践する必要がある時代になりました。

3、Googleは権威性が高いサイトを上位表示させることがある


これは当ブログで以前お伝えしたことですが、Googleは2019年2月15日にリリースした「How Google Fights Disinformation」(Googleはどのようにして偽情報と戦っているのか?)というレポートで「検索ユーザーが検索したキーワードがYMYLに関わるサイトを探すためのものだとGoogleのシステムが検知した際には、検索アルゴリズムが自動的にE-A-T(Expertise:コンテンツの専門性、Authoritativeness:権威性、Trustworthiness:信頼性)が十分にあるサイトが上位表示されやすいランキング方式で算出した検索結果を表示する」と発表していることと符合します。

このレポートではさらに具体的に「Googleのアルゴリズムは信頼性と権威性に関するシグナルを識別します。そのシグナルとはページランクというシグナルであり、ページランクは権威性があるかどうかを理解するためにリンク情報を使います」というようにサイトがどのようなサイトからリンクを張ってもらっているか、権威のあるサイトからリンクを張ってもらっているかが重要であるということがその時明らかになりました。

4、権威性はGoogle General Guidelinesを用いる16,000人の品質評価担当者たちが評価する


「How Google Fights Disinformation」のレポートではサイトに権威があるかどうかは被リンク状況で調査するとだけ書かれていました。しかし今回のニュースでは16,000人の品質評価担当者たちがGoogle General Guidelinesという品質評価マニュアルに基づいて肉眼でサイトを目視したり、ネット上での評判調査をしてサイトに権威性があるかをスコアリングしているということがはっきりしました。

以上ですが、まとめると・・・

Googleにサイトの権威性を認めてもらうためには:

(1)サイト上から偽情報と判断されかねないような信憑性の低い情報を消去する
(2)今後サイト上に客観的事実だと証明できないようなコンテンツは掲載しない
(3)権威のあるサイトからリンクを張ってもらう


この3つの施策をとらなくてはならいということです。

何を言っても良かった無邪気なインターネットの時代がGoogleの影響力の増大とともに終わりました。

今後は、責任ある行動がネットで情報発信をする全ての個人と法人に求められます。

Googleが求人サイトを立ち上げた!それはサイト運営者にとって何を意味するのか?

2019年01月27日

Googleが「Googleしごと検索」というサービスを提供開始したことが大きな話題になっています。

Googleで2019年1月23日から、求人に関するキーワード、例えば「渋谷 ホールスタッフ募集」で検索すると下図のように検索結果の上の方に枠付き3件の求人情報そのものが表示されるようになりました。

そしてその下にある「他 100 件以上の求人情報」というリンクをクリックするとちょうどGoogleマップのような検索結果ページが表示されます。


そこには職種や、地域などを細かく絞り込むことが出来て、「メール通知アラート」をオンにするとユーザーのメールに最新の求人情報が配信されます。



リクルート社が買収して国内でも非常に成功した求人情報業界版のGoogleと言えるIndeedのようなサービスを今度はGoogle自身が行うという点がここまで大きな話題になっている理由ではないでしょうか?

今後は中途半端な規模の求人サイトや求人サービスはGoogleのこの新サービスにより脅威にさらされる可能性が出てきました。

Indeedは元々Googleのようにサイト上の情報をクロールしてインデックスして、仕事を探しているユーザーがスピーディーに自分にあった求人情報を見つけるサービスを提供し成功した会社です。それを2012年の9月に約10億ドル(約1130億円)で買収したと言われています。
【参考】
リクルートの米Indeed買収がお得だった件(日経ビジネス 2017年3月14日)

人々がこのGoogleがIndeedのようなサービスを提供開始したことに騒ぐ本質的な理由は恐らく、どんなにビジネスを成功させたとしても、それがGoogleのような巨大企業が似たサービスを始めればそこで終わってしまうのではないかという恐怖があるからではないでしょうか?

実際に、日本の地図会社もGoogleと提携ができなく、かつデジタルシフト、モバイルシフトできなかった企業の業績が悪化したというニュースが昨年末に報道されたばかりです。

問題は、私たちサイト運営者にとって今回の「Googleしごと検索」のサービス開始は何を意味するかです。

それは単に情報をソフトウェアで自動的に収集し、それを加工するだけでお金が稼げる時代は終わりに近づいているとを認識し、スマートに行動することです。

こうした仕事はGoogleをはじめとするGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)だけでなく、ソフトバンクとその系列のヤフーや、NTTとその系列企業であるNTTデータ、そしてリクルート社のような企業の得意分野です。
魅力的な条件で非常に優秀な人々を採用して最高のソフトウェアを作り運営できるこうした企業が本気を出せばどのような企業やベンチャーも生存の確率は極めて小さいでしょう。

彼らは優秀な人の集め方に長けているのです。GAFAは優秀な大学が集積する大都市に本社を構え、魅力的なオフィス環境、社会的なステータス、そして報酬を与えることが出来る企業ですので、今後も業績が良い限りはこの傾向は長く続くはずです。

では、その中でもIndeedを運営するリクルート社は大丈夫なのかというと、優秀な学生を集めること自体をサービスとして提供しているくらいですから人材は優秀で、しかも何がコアコンピタンスかというと泥臭い営業に非常に長けていることで有名なのですから今回の脅威のおかげでモチベーションがさらに高まりIndeedはより良いサービスを提供するに違いありません。

では、こうした優れた企業の経営者以外はどうすれば良いのかですが、一言で言うと今は未だソフトウェアだけでは出来ない領域を見つけることと、こうした優れた企業で働く人たちが:

(1)嫌がる仕事(例:かっこ悪い、大企業らしくない)
(2)効率が非常に悪いと思う仕事
(3)市場規模が小さすぎると馬鹿にする分野


です。

これは私がセミナー講師を始めた時から、お節介を承知で受講者の皆さんに時折お伝えする必須3条件です。

これらはある意味、ウイルスに対する免疫力のようなもので、これらのうち1かそれ以上の条件が自社の商材に含まれる限り、諸行無常の食物連鎖の世界で自分より大きな魚に飲み込まれないための生きる知恵です。

1つより2つ、2つより3つ該当すればそれだけ長い時間生存が許されるはずです。

ただ、最近ではGAFAやソフトバンクなどは人工知能に対して投資を加速してきていますので、人工知能が普及してきたらその時間は確実に短くなるはずです。

そのときは仕方がありませんので、人工知能を使って戦う術を獲得する必要性が生まれます。それに失敗したときは不本意ですが、人工知能に使われる側に立たされるでしょうからこちらとしても必死で戦うざるを得ないでしょう。

人材不足で悩んでいる企業は今後自社の求人情報を無料でGoogleにインデックスしてもらい「Googleしごと検索」に表示してもらうことが可能になりました。それにより求人コストの削減が期待できます。

求人情報の登録手順は:
「しごと検索 レファレンス」
https://developers.google.com/search/docs/data-types/job-posting



にあります。Googleが指定したように構造化データを自社サイトに追加すれば誰でも無料で求人情報をアップできます。

今後もGoogleやGAFAなどの巨大企業は新しいサービスをリリースし続けるでしょう。

彼らがやりにくい、やりたがらない領域の事業開発が求められます。

詐欺行為をしたSEO業者をGoogleが告訴した!

2018年05月28日


Googleは 2018年5月23日、米国のSEO業者を告訴しました。
https://www.blog.google/topics/small-business/taking-action-against-scammers/

公式見解によると:

・ Googleは
Kydia Inc.
Point Break Media, LLC
Supreme Marketing Group, Inc

の3つのSEO業者を告訴した。


・これにより他の詐欺会社に対してGoogleは不当な勧誘に対しては法的措置を辞さないというメッセージを伝えることを望んでいる

ということです。

これらのSEO業者がどのような詐欺行為を行ったのかというと、その業者に料金を支払わないとクライアント企業の情報がGoogleの検索結果と地図検索部分(Googleマイビジネス)から表示されなくなると言って脅す詐欺行為です。

Googleの検索結果ページへのサイトの表示や地図検索ページのビジネス情報の掲載は無料のものであり、Googleに対しても、Googleで上位表示させることをサポートするSEO会社にもお金を払わなくてもできることです。

にもかかわらず、これら3つの業者は業者に料金を払わないと掲載されなくなると脅したことが不法行為であるとクライアント企業に伝えたことが問題です。

さらに今回の公式見解でGoogleは一部のSEO業者がGoogleと提携しているとクライアントに思わせるような肩書を騙っていたということで、これも許せないということです。

Googleは今後、こうした詐欺行為に対しては断固として法的措置を取るということと、そうした業者から詐欺的な営業勧誘を受けたらGoogleに直接通報するフォームを用意して再発を防止するということです。

《Googleマイビジネスの掲載サポートサービスを提供する業者で詐欺行為を行う業者を通報するフォーム》



日本でもかつてはヤフージャパンの提携していると嘘をいって電話勧誘していたSEO業者がいました。

現在ではGoogle検索と最近Googleが力を入れているGoogleマイビジネス(検索結果ページの上位にお店の情報が3件まで表示される地図枠:ローカルパック)での上位表示が加熱してきているためこうしたことが起きているのだと思われます。

《検索結果ページの上位にお店の情報が3件まで表示される地図枠:ローカルパック》



今回の事件は、米国のことですが、この日本でもいずれ詐欺行為をする一部のSEO業者に対してGoogleは告訴する可能性があります。

日本のSEO業者はこうしたことを決してクライアント対して行わないことと、クライアント企業はそうした不当な脅迫に屈してはいけません。

特に国内でも最近非常に加熱してきている地図枠での上位表示にはレビューの数を増やし、質を高める必要があり、そうした努力を自ら行いたくない企業、行うための知識が無い企業はレビューの数をお金さえ払えば増やしてくれる不正レビュー業者に頼る企業も増えてくると予想されます。

Googleは不正レビューに対しても目を光らせており、その運営ポリシーは年々厳しさを増してきています。
【関連情報:Googleの口コミ投稿に関するポリシーを読むと「越えてはならない一線」が分かる(2017年9月01日)】
https://www.web-planners.net/blog/archives/000258.html

Googleの運営ポリシーとSEOの仕組みを自社で学び、正しい対策を実践すればそもそもこうこしたことは問題にならないはずです。

他人に自社サイトの検索順位を委ねるだとか、Googleマイビジネスの管理や運用を任せるのではなく、企業自らが行うことが企業に求められます。
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一般社団法人 全日本SEO協会 代表理事

鈴木将司
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