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2025年11月29日

AI時代にGoogle検索を再発明する:リズ・リード氏が語る「検索の未来」

2025年11月29日

2025年、Google検索はこれまでにない大転換期を迎えています。その中心にいるのが、Googleで20年以上にわたり検索開発を率いてきたリズ・リード(Liz Reid)氏です。彼女は『The Wall Street Journal(WSJ)』の動画シリーズ「Bold Names」で、「AIは情報の探し方そのものを変える最も大きな変化だ」と語りました。

AIモードや「AIによる概要」の登場によって、検索体験は急速に変化しています。私のもとにも、協会の会員や企業クライアントから「AIによってSEOの時代は終わるのですか?」という質問が届きます。私はそれに対していつも「いいえ、終わりではなく新しいSEOの始まりです」と答えています。

この記事では、全日本SEO協会代表理事として現場で数多くのコンサルティングを行ってきた経験をもとに、リズ・リード氏の発言を紐解きながら、AI時代の検索の本質と、これからのSEOの在り方についてわかりやすく解説します。


AIがもたらす「検索の再発明」


リズ・リード氏はインタビューの冒頭で、「AIはGoogle検索史上、最も深い変化をもたらしている」と明言しました。彼女はこれまでにもモバイル時代への移行など数々の技術的転換を経験していますが、AIはそれらとは比較にならないほど根本的な変化だと語っています。

検索とは、人々が「知りたい」「比較したい」「決めたい」といった意図を実現するための情報探索ツールです。そしてAIは、この「意図の理解」と「情報生成」という2つの側面で、これまでの検索エンジンを超える可能性を持っています。Google検索の役割は「情報の橋渡し」から「知識の案内人」へと進化しようとしているのです。

私がこれまで支援してきた企業の中にも、「AI検索によって人が検索しなくなるのではないか」と懸念する声がありました。しかし実際には、AIの発展によって検索への期待値が高まり、「より複雑な質問」「より個人的な情報探索」が増えています。つまりAIは、検索を「終わらせる」のではなく、「広げる」方向に働いているのです。


Googleは「ChatGPT以前」からAIを使っていた


ChatGPTが登場した2022年以降、世界中で「GoogleはAI競争で後れを取っているのではないか」といった論調が広まりました。

しかし、リード氏はインタビューの中で明確に否定しています。Googleはすでに数年前からAIを検索の中核に組み込んでおり、その代表例が2019年に導入されたBERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)です。

BERTは、検索クエリの「文脈」を理解するために開発されたAIモデルであり、ChatGPTが登場する以前から検索結果の精度向上に使われていました。つまり、「AIによる概要」は突発的な革新ではなく、長年にわたるAI研究の延長線上にあるものなのです。

私のコンサルティング現場でも、2019年以降は「キーワードの羅列ではなく文脈で語るコンテンツ」が上位表示しやすくなりました。たとえば「リフォーム 費用 相場」という単語を並べるだけの記事よりも、「リフォーム費用が変動する理由と、見積もりの正しい比較方法」といった「意図に基づいた構成」の記事の方が評価されやすくなっています。

これはまさにGoogleがAIによって「単語ではなく意味」を理解するようになった証拠です。したがって、今後のSEOでは「AIに理解されやすい文章構造」がますます重要になります。


AI時代でも「人の声」はなくならない


リズ・リード氏はAIの進化を肯定する一方で、「人々はAIだけの回答を求めているわけではない」と強調しています。彼女はこう語りました。
「人々はAIの答えだけでは満足しない。ファッションのアドバイスや商品レビューのように、人の視点や感情のこもった情報を求めている。」

この発言は、AI時代におけるコンテンツ作りの核心を突いています。AIは「最適な答え」を導くことができますが、「共感」や「信頼」を生み出すのは人間だけです。私が指導している企業サイトでも、体験談や専門家の見解が丁寧に書かれているページほど、検索エンジンで高い評価を得ています。E-E-A-Tの「Experience(経験)」と「Expertise(専門性)」を示すコンテンツこそ、AI時代のSEOで最も価値を持つのです。



AIはあくまでサポート役であり、主役はあくまで「人間の経験と知恵」であることを忘れてはいけません。


「AIによる概要」はクリックを減らしているのか?


「AIによる概要」の導入後、多くのメディア運営者が「検索からのクリック数が減った」と感じています。この変化に対して、リズ・リード氏は次のように説明しています。
「一部のクエリではクリック数が減っているが、全体では検索回数が増えており、結果的にバランスが取れている。」

つまり、AIが直接回答を提示することで一部のクリックが減少する一方で、「これまで検索しなかった小さな疑問」まで検索されるようになったということです。リード氏は、「AIによる概要」によって「検索のハードルが下がり、ユーザーがより多く質問するようになった」と述べています。



私がクライアント企業のアクセスデータを分析しても、確かに「クリック率は減少したが、滞在時間が増えた」ケースがいくつも見られます。これは、「AIによる概要」で概要を把握したユーザーが、より深い情報を求めて信頼できるページをクリックしているからです。

つまり、AIによって「浅い検索」が減り、「深い検索」が増えているのです。これを理解すれば、SEOの方向性も明確になります。今後は「クリックを奪い合う時代」ではなく、「AIに選ばれる情報を作る時代」になるはずです。


Google検索と広告収益の新しい関係


「AIによる概要」の登場によって、「ユーザーがリンクをクリックしなくなると広告収益が減るのでは?」という疑問を持つ人も多いでしょう。実際にWSJの記者もこの点をリズ・リード氏に質問しました。しかし、彼女の答えは意外にも前向きなものでした。
「確かに一部のクエリでは広告クリックが減少するが、検索全体の回数が増えており、結果的に収益は安定している。」

リード氏は、「AIによる概要」によって「検索行動そのものが増えた」と説明しています。たとえば以前なら、ある疑問を持っても「検索してもよく分からない」と諦めていた人が、AIが簡潔にまとめてくれるなら「ちょっと調べてみよう」と思えるようになる。この「検索のハードルの低下」が、新しい検索需要を生んでいるのです。Googleの狙いは単なるクリック数の維持ではなく、「検索の総量を増やす」ことにあります。


若年層は「検索」から「発見」へ:短尺動画の台頭


リード氏は、AIだけでなくユーザー行動の変化にも大きく言及しています。特に注目すべきは「若年層の情報探索が、テキスト検索からショート動画や音声へ移っている」という点です。彼女は次のように語りました。
「人々は今、特定の質問の答えを得るだけでなく、他人の意見や体験を求めている。特に若い世代は、フォーラムやショート動画、ポッドキャストなど、人間味のある情報源を好んでいる。」

実際、Z世代の約40%が「レストランや商品を探す際にGoogleではなくInstagramやTikTokを使う」と答えています。これは検索行動の根本的な変化を示しています。



つまり、検索が「質問する」行為から「発見する」行為へと進化しているのです。Google Discoverや「AIによる概要」、YouTubeショートなど、AIと動画が融合した「体験型の検索空間」に最適化することこそ、今後のウェブ戦略の鍵になるのだと思います。


「デッド・インターネット理論」とAI時代のウェブの健全性


インタビューの終盤で、記者がリード氏に投げかけた質問は非常に象徴的でした。
「インターネットの多くがAI生成コンテンツに置き換わり、「死んだウェブ(Dead Internet)」になるのではないか?」

この問いに対して、リード氏は明確に「No」と答えています。
「AI生成コンテンツのすべてが悪いわけではない。しかし、価値の低い「AIスロップ(AIの残飯)」を排除し、人間の視点と専門性を持つ高品質な情報を優先的に表示していく。」

Googleは、AI時代にこそ「人間らしい情報の価値」が高まると考えています。私もこの考えに深く共感します。AIが量産する薄い情報の海の中で、実体験・知見・独自性を持つコンテンツは、以前にも増して重要になります。実際に私が監修している企業サイトでも、「AI記事よりも、社員が書いた現場の体験談の方が上位に表示された」という事例が増えています。

これは、GoogleのE-E-A-T(Experience, Expertise, Authoritativeness, Trustworthiness)評価が今もなお健在である証拠です。AIが進化しても、「誰が、どんな経験をもとに書いたのか」が検索の中で最も重要であることに変わりはありません。


AIが生む「新しい学び方」:人を導く検索へ


リズ・リード氏は最後に、AIによって学び方そのものが変わると語っています。
「AIは人間の学びを奪うのではなく、手助けする。まるでチューター(家庭教師)のように、学びを始めるきっかけを与えてくれる。」

AIが自動的に情報を要約することで、「調べる手間が省かれるのでは?」という懸念がありますが、実際には逆です。リード氏によれば、AIが「とっつきやすく」してくれることで、これまで学ぶことを諦めていた人々が新しい知識の扉を開いているのです。

これは教育やビジネス、そしてSEOにおいても重要な示唆です。AIは検索の目的を「情報を探す」から「理解を深める」へと変えつつあります。これまでのSEOが「キーワードに答える」ものであったなら、これからは「ユーザーの学びを支援するコンテンツ」に進化しなければなりません。

まとめ:AI時代のSEOは「AIに選ばれる人間的コンテンツ」へ


リズ・リード氏の言葉を要約すれば、AI時代のGoogle検索は次の3つの方向に向かっています。

1. AIを中心に据えた検索体験の再構築(「AIによる概要」による情報要約)
2. 人間の声や体験を重視する評価軸の継続(E-E-A-Tの強化)
3. ユーザーの学びや発見を支援する新しい検索の形(Discover + AI検索)

これは、単に技術の進化ではなく、「検索とは何か」という哲学の再定義でもあります。AIは検索を「終わらせる」のではなく、「再び人間中心に戻す」ための手段なのです。
私がSEOコンサルティングの現場で見てきた成功企業の共通点は、どんな時代にも「人を理解し、人のために書いている」ことでした。

AI時代のSEOでもこの本質は変わりません。これから求められるのは、AIに「引用される」ことを目指すコンテンツではなく、AIが「参照すべき」と判断する唯一無二のコンテンツを作ることです。そしてそれは、あなた自身の経験・情熱・専門性からしか生まれません。AI時代の検索は、テクノロジーの進化でありながら、最終的には「人間の知恵の再発見」なのではないでしょうか。
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一般社団法人 全日本SEO協会 代表理事

 鈴木将司

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