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「AIによる概要」は「グラウンディング」で動いている――ChatGPTとの決定的な違いを知らずに対策すると失敗する理由
2026年07月02日

「うちはChatGPTで社名が出るように対策しているから、Googleの『AIによる概要』でも自然に出るはずだ」――こんなお考えの企業のご担当者様に、私はしばしばお会いします。しかし、この考え方は残念ながら、対策の方向を大きく誤らせてしまう危険があります。
なぜなら、ChatGPTと「AIによる概要」は、見た目こそ似ていても、内部の仕組みがまったく違うからです。ChatGPT対策で成果が出ていても、「AIによる概要」ではまったく取り上げられない、という事態が実際に多発しています。逆もまた然りです。
この違いの正体は、「グラウンディング」という技術にあります。この記事では、ChatGPTと「AIによる概要」の決定的な違いを、初心者の方にもわかるように解説していきます。
ChatGPTと「AIによる概要」は何が違うのか?――一言で言うと
まず結論から申し上げます。両者の決定的な違いは、「答える前に情報を取りに行くかどうか」です。
ChatGPTは、基本的に「学習した知識だけ」で答えます。あらかじめ大量の文章を読み込んで、その内容をパラメーター(AIモデルの内部に組み込まれた数字の設定値のこと)として持っており、その知識を使って答えを組み立てます。
一方、「AIによる概要」は違います。あなたが検索したそのタイミングで、リアルタイムにGoogle検索インデックス(Googleが世界中のWebページを収集して整理したデータベース)から情報を引っ張ってきて、それを元に答えを組み立てます。

これを、Googleは「グラウンディング(Grounding)」と呼んでいます。グラウンディングとは、AIが自分の記憶だけで答えるのではなく、外部から取ってきた実在の情報に「根を下ろして(ground)」答える仕組みのことです。
「試験を暗記で受ける人」と「持ち込み可の試験を受ける人」
わかりやすく例えると、こういうことです。
ChatGPTは、「試験を暗記だけで受ける学生」に似ています。試験の前に大量の教科書を読み込んで頭に入れてきましたが、試験中は本を開けません。頭の中の記憶だけで答えを書きます。だから、教科書に載っていた内容は答えられますが、最新のニュースや教科書に載っていない内容は答えられません(あるいは、それらしく作り話をしてしまうこともあります)。
一方、「AIによる概要」は、「参考書持ち込み可の試験を受ける学生」に似ています。試験中に、必要に応じて参考書を開いて、必要な情報を引き出しながら答えを書きます。だから、最新の情報にも対応できますし、根拠となる出典も示すことができるのです。
この違いを理解すると、両者の対策がまったく別物であることが直感的にわかります。

ChatGPT対策と「AIによる概要」対策はまったく別物である
具体的に、対策の違いを整理します。
ChatGPTで取り上げてもらうための対策
ChatGPTは学習データを元に答えるため、対策の中心は「学習データに自社の情報を含めてもらうこと」です。具体的には、権威あるメディアで取材されたり、Wikipediaに掲載されたり、様々なブログで言及されたりと、Web上のさまざまな場所で自社の名前や情報が言及されている状態を作ることが重要になります。これらは「ブランドメンション」と呼ばれます。
「AIによる概要」で取り上げてもらうための対策
「AIによる概要」はリアルタイムにGoogle検索インデックスから情報を引くため、対策の中心は「Google検索インデックスの中で、質問の答えとして選ばれやすいページを持つこと」です。具体的には、SEOで検索順位を上げること、パッセージ(段落)単位で意味が完結する書き方をすること、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性の頭文字で、Googleがサイトを評価する重要な観点)を明示することが重要になります。
このように、対策の起点がそもそも違います。ChatGPT対策で成果が出ているからといって、「AIによる概要」でも自動的に成果が出るわけではないのです。
クライアントさんの事例
先日、あるEC通販会社のクライアントさんからこんなご相談をいただきました。「ChatGPTで社名が出るように、いろいろなメディアに取材されたり、SNSでの言及を増やしたりしてきた。実際、ChatGPTで社名が出るようになってきた。でも『AIによる概要』では全然引用されない。なぜでしょうか?」というものでした。
拝見したところ、そのクライアントさんは確かにブランドメンション(自社ブランドが他のサイト上で言及されること)を増やす活動をしっかりされていました。しかし、自社サイト自体は数年前から大きなアップデートがなく、Google検索順位でも中位以下に留まっている状態でした。
私は「ChatGPT対策と『AIによる概要』対策は別物です。ChatGPTは外部での言及が効きますが、『AIによる概要』はまずGoogle検索インデックスの中で上位に入っていないと選ばれません。自社サイト自体のSEOを再度立て直す必要があります」とお伝えしました。
その方針で、記事の全面的な見直し、内部リンク構造の整理、Webに関する主な指標(Googleが定めるWebサイトの表示速度・使いやすさに関する指標)の改善などを進めていただいたところ、数か月後には主要キーワードの検索順位が上がり、それに伴って「AIによる概要」の引用元カードにも表示されるようになったのです。
この事例が示すのは、「AIの種類が違えば、対策の入口も違う」ということです。
ChatGPT対策で「AIによる概要」対策になる部分もある
ここまで両者の違いを強調してきましたが、実は共通する部分もあります。それはE-E-A-Tに関わる部分です。
ChatGPT対策で行うブランドメンションの増加は、実は「AIによる概要」の対策にも部分的に効いてきます。なぜなら、Geminiも回答を生成するときに、参照元のサイトの「権威性」や「信頼性」を評価しており、そのシグナルとしてブランドメンションを見ているからです。
つまり、「ChatGPT対策」と「AIによる概要対策」は、完全に別物というより、一部が重なった別の円のようなイメージです。ChatGPT対策だけしていると、重なった部分の効果は得られますが、「AIによる概要」独自の部分の対策が抜け落ちてしまうのです。

両方で選ばれるサイトになるための3つの原則
では、ChatGPTと「AIによる概要」の両方で取り上げられるサイトを目指すには、どうすればいいでしょうか。私がクライアントさんによくお伝えしている3つの原則があります。
1つ目:まず自社サイトのSEOの土台を固める
「AIによる概要」で選ばれるためには、Google検索でトップ10に入っていることが大きな前提条件になります。ChatGPT対策より先に、まずは自社サイトの検索順位を上げる基礎的なSEOに取り組みます。
2つ目:パッセージ単位で意味が完結する記事を書く
「AIによる概要」は段落単位で情報を抽出するため、H2見出しを質問形式にして、その直下に短い答えを配置する構成が有効です。ChatGPTでも同じような書き方が学習データとして評価される可能性が高く、両方に効きます。
3つ目:ブランドメンションを増やす活動を並行して行う
外部メディアでの言及、SNSでの発信、業界内でのプレゼンスを継続的に増やしていきます。これは主にChatGPT対策として効きますが、「AIによる概要」のE-E-A-T評価にも部分的に効きます。
「AIによる概要」と「AIモード」の対策も別物である
もう1つ大事なポイントに触れておきます。それは、同じGoogle製のAI機能である「AIによる概要」と「AIモード」でも、対策の勘所が少しずつ違うという点です。
「AIモード」もグラウンディングを使っている点では「AIによる概要」と同じですが、ユーザーの検索行動が異なります。「AIによる概要」ではユーザーが比較検討的に振る舞う傾向があり、「AIモード」ではAIの回答をそのまま受け入れる傾向が強い、という調査結果があります。この違いを踏まえて、それぞれで選ばれるための書き方は微妙に異なるのです。
したがって、対策を考えるときには「ChatGPT」「AIによる概要」「AIモード」の3つを、それぞれ別の対策対象として扱う姿勢が必要です。1つの対策で全部カバーできる、という発想では取りこぼしが出てしまいます。
まとめ
今回の話をまとめると、ChatGPTと「AIによる概要」は、見た目こそ似ていても、内部の仕組みがまったく違います。ChatGPTは「学習知識だけ」で答え、「AIによる概要」は「その場でGoogle検索インデックスから引いてきた情報」で答えます。この違いは「グラウンディング」という技術の有無によって生じています。
したがって、対策の方向もまったく別です。ChatGPT対策の中心は「ブランドメンションの増加」であり、「AIによる概要」対策の中心は「自社サイト自体のSEO強化」と「パッセージ単位で意味が完結する記事作り」です。両者は一部重なりますが、完全に同じではありません。
両方で取り上げられるサイトを目指すのであれば、自社サイトのSEOを土台としつつ、外部でのブランドメンションを増やす活動を並行して進めていく――このハイブリッド戦略が最も現実的です。
AI検索時代になったからSEOが終わるのではありません。むしろ、本当に信頼される専門家や企業が評価される時代が始まったのです。今後のSEOで成果を出すためには、「検索順位を上げること」だけではなく、「AIやユーザーから信頼される存在になること」を目指す必要があるでしょう。
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