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AIはどのように情報を選んでいるのか?

2026年05月30日

前回は、AI検索の登場によって「上位表示=アクセス」という時代が終わりつつあること、そして検索が「クリックされるかどうか」ではなく、「AIやユーザーに記憶されるかどうか」の戦いに変わっていることをお話ししました。

今回はもう一歩踏み込んで、AIがどのように情報を選び、どのような仕組みで検索結果を作っているのかを見ていきます。この部分を理解しないままSEO対策を考えてしまうと、どうしても的外れな施策になりやすくなります。

AIによる概要とは何か


まず最初に押さえておきたいのが、AIによる概要の仕組みです。Siteimprove が発表した「The AI Search Survival Guide」というレポートでは、AIによる概要について次のように説明されています。

「AIによる概要は、検索結果の上に表示されるスナップショットの層である」

少し分かりやすく言えば、AIによる概要とは、検索結果の一番目立つ場所に表示される「AIが作った要約欄」のようなものです。さらにレポートでは、次のようにも説明されています。

「AIによる概要とは、従来の検索結果の上に表示される、AIが生成した要約ボックスである」

つまり、これまでのようにユーザーが検索結果を一つひとつクリックして情報を探すのではなく、Google側が先に複数の情報をまとめ、検索結果の上部で答えを提示する仕組みです。私が最近クライアントサイトを確認していても、このAIによる概要が表示されるキーワードでは、検索順位が高くてもクリック数が伸びにくくなっているケースが目立ちます。

以前なら、1位を取ればかなりのアクセスが期待できました。しかし今は、1位の上にAIによる概要が出てしまうため、ユーザーがそこで満足してしまうことがあります。これが、今のSEOで非常に厄介なところです。


AIは「まとめ記事」を勝手に作っている


ここで重要なのは、AIによる概要は単なる引用ではないという点です。レポートでは、次のように説明されています。

「AIはWeb上の複数のページから文章を抜き出し、それらをつなぎ合わせて、検索意図に合った回答を作る」

つまりAIは、1つのサイトをそのまま紹介しているわけではありません。複数のサイトから、回答に使えそうな部分を抜き出し、それらを再構成して、新しい要約を作っているのです。これは、いわばAIが検索結果上で「まとめ記事」を自動生成しているようなものです。この仕組みを理解すると、今後のSEOで何をすべきかが見えてきます。



単に記事を長くするだけでは不十分です。AIが抜き出しやすい形で、明確な答え、具体的な説明、信頼できる根拠、実体験に基づく補足が書かれている必要があります。私自身も最近のコンサルティングでは、記事の冒頭に「このページで分かること」や「結論」を入れるだけでなく、その後に専門家としての経験や事例を加えるよう提案することが増えました。なぜならAIは、単なる一般論よりも、「誰が、どの立場で、どのような経験に基づいて言っているのか」が分かる情報を使いやすいからです。


上位表示していなくても引用される


ここで、従来のSEOと決定的に違うポイントが出てきます。レポートには、次のような重要な指摘があります。

「引用は、検索結果の上位100位に入っていないサイトから行われることもある」

この一文は非常に重要です。これまでのSEOでは、検索結果の上位に入らなければ、ユーザーの目に触れることはほとんどありませんでした。特に1ページ目に入れなければ、アクセスを得るのはかなり難しかったのです。

しかしAIによる概要では、通常の検索順位に関係なく、内容が適切であれば引用される可能性があります。これは、SEOのルールが大きく変わったことを意味します。これからのSEOは、「検索順位を取るゲーム」だけではありません。「AIに回答材料として使われるかどうかのゲーム」でもあるのです。

私の会員の方の中にも、検索順位ではそれほど上位ではないのに、特定の質問型キーワードでAIによる概要に引用されるようになったサイトがあります。そのサイトに共通していたのは、検索順位を無理に追いかけるよりも、ユーザーの疑問に対して非常に具体的に答えていたことです。

たとえば、単に「費用はケースによって異なります」と書くのではなく、「初期費用、月額費用、追加費用、注意点」というように、ユーザーが知りたいことを先回りして整理していました。こうしたページは、AIにとっても回答材料として使いやすいのです。


サイト単位で信頼性が評価される


さらにレポートでは、次のようにも述べられています。

「権威性は、個別ページだけでなく、サイト全体の単位で評価される」

この点については、私のコンサルティング現場でも非常に強く感じています。ある企業では、特定の記事だけを見ると非常に質が高いのに、AIによる概要への掲載がなかなか増えませんでした。そこでサイト全体を調べてみると、過去に作った内容の薄い記事や、テーマがずれた記事が大量に残っていました。

つまり、良い記事がいくつかあっても、サイト全体として見ると「この分野の専門サイト」とは言いにくい状態だったのです。そこで私は、まず不要な記事を整理し、似た内容の記事を統合し、カテゴリごとにテーマを再設計することを提案しました。さらに、運営者情報、執筆者情報、監修者情報、実績、事例ページなども見直しました。

その結果、数か月後にはAIによる概要で引用されるページが増え、検索経由の問い合わせにも改善が見られるようになりました。この経験からも、AIは単体の記事だけではなく、「このサイト全体は信頼できるのか」「このテーマについて継続的に情報を発信しているのか」を見ていると考えるべきです。


AIモードというもう一つの検索体験


次に見ていきたいのが、AIモードです。レポートでは、AIモードについて次のように説明されています。

「AIモードは、会話型の検索体験の層である」

さらに、次のようにも説明されています。

「AIモードとは、AIアシスタントのように動作する、よりインタラクティブな検索体験である」

AIによる概要が、検索結果の上部に表示される要約だとすれば、AIモードはさらに一歩進んだ検索体験です。ユーザーは単発の検索だけで終わるのではなく、AIと会話しながら、次々と質問を深掘りしていきます。これはSEOにとって非常に大きな変化です。

なぜなら、ユーザーは最初から完璧な検索キーワードを入力する必要がなくなり、AIとのやり取りの中で自分の知りたいことを整理していくからです。私自身も、最近はセミナーや講座の中で、「今後は検索キーワードだけを見るのではなく、ユーザーがAIとどのような会話をするのかを想像する必要がある」とお伝えしています。これは、従来のSEOにはなかった視点です。




検索は「会話」に変わった


AIモードの特徴は、ユーザーが単発で検索するのではなく、会話を続けながら情報を得ていく点にあります。レポートでは、次のように説明されています。

「AIは推論モデルを使い、検索クエリを数十個の関連する小さな質問に分解して処理する」

これは非常に重要なポイントです。たとえばユーザーが「SEOツール」と検索した場合、AIはその言葉だけを見て答えを出すわけではありません。その背後にある意図を分解します。

「無料で使えるSEOツールを探しているのか」
「企業向けの本格的なSEOツールを探しているのか」
「競合分析をしたいのか」
「被リンクを調べたいのか」
「AI検索対策まで見たいのか」

このように、1つの検索語の裏側には、多くの小さな疑問が隠れています。AIはそれらを分解し、それぞれに合う情報を集め、最後にまとめて回答します。だからこそ、これからのSEOでは、1つのキーワードだけを狙ったページでは不十分になりやすいのです。


fan-outという考え方


この「fan-out」という概念は、AI時代のSEOを理解する上で非常に重要です。レポートでは、AIが1つの検索意図を複数の関連質問に広げて処理する仕組みとして説明されています。

たとえばユーザーが「SEOツール」と検索した場合、AIはその言葉をそのまま処理するのではなく、次のような観点に分解して情報を集める可能性があります。
・比較
・価格
・機能
・導入事例
・初心者向け情報
・中小企業向け情報
・AI検索対策への対応
・競合分析への活用
・レポート作成のしやすさ

そして、それぞれの観点に最も適した情報を組み合わせて、最終的な回答を作ります。ここで重要なのは、AIは1ページだけを見ているわけではないということです。
サイト内に関連する情報が複数あり、それらが内部リンクでつながっていると、AIにとって「このサイトはこのテーマを広く扱っている」と判断しやすくなります。



私が最近、SEO相談でよく提案しているのもこの部分です。単発の記事を増やすのではなく、「テーマのまとまり」を作ること。たとえば「SEOツール」という大きなテーマがあるなら、その周辺に「選び方」「比較」「費用」「導入事例」「初心者向け」「AI検索時代の使い方」といった関連ページを作り、相互に内部リンクでつなぐことが重要です。これは昔からSEOで言われてきたトピッククラスターの考え方にも近いですが、AI時代にはその重要性がさらに高まっています。


なぜ網羅性が重要になるのか


ここで、多くの方が疑問に思うのが、「なぜ網羅性が重要なのか」という点です。答えはシンプルです。AIが質問を分解して情報を集める以上、どこか一部分しか扱っていないサイトは、回答全体の中で使われにくくなるからです。レポートでは、次のようにも述べられています。

「fan-outによって、検索結果の上位100位に入っていないサイトからも文章が引き出されることがある」

これは裏を返せば、テーマを広く、深く、分かりやすくカバーしているサイトほど、AIに引用されるチャンスが増えるということです。

私がこれまで多くの業種でSEOコンサルティングをしてきて感じるのは、上位表示できるサイトには必ず「面の強さ」があるということです。1記事だけが強いのではなく、そのテーマに関するページが複数あり、ユーザーの疑問に広く答えています。

・医療であれば、症状、原因、検査、治療法、費用、よくある質問、症例、医師紹介がそろっている。
・士業であれば、手続きの流れ、費用、必要書類、よくある失敗例、相談事例、対応エリアがそろっている。
・ECサイトであれば、商品説明、選び方、比較、使い方、口コミ、メンテナンス方法がそろっている。

このように、ユーザーが知りたいことを一つのサイト内で十分に解決できる状態を作ることが、AI時代にはますます重要になっています。


検索結果は確率的である


さらにAIモードでは、検索結果が固定ではなくなります。レポートには、次のように書かれています。

「検索結果は確率的かつパーソナライズされており、2人のユーザーがまったく異なる結果を見る可能性がある」

ここが従来のSEOと大きく違う点です。

これまでは、順位という比較的分かりやすい指標がありました。もちろん地域や端末による違いはありましたが、それでも「このキーワードで何位か」という見方は成立していました。しかしAI検索では、同じ質問でも、ユーザーの状況、過去の検索履歴、会話の流れ、興味関心によって、表示される回答が変わる可能性があります。つまり、今後は「何位ですか?」という問いだけでは不十分になります。

むしろ、
「どのような質問で引用されているか」
「どのような文脈で紹介されているか」
「競合と比べてどのテーマで弱いか」
「指名検索やブランド認知は増えているか」

を見る必要があります。

私自身も、最近は順位チェックだけではなく、実際にChatGPTやGoogleのAI検索でさまざまな質問を投げ、どのサイトが出てくるかを確認する機会が増えました。これは地道な作業ですが、AI時代のSEOでは非常に重要な調査です。


「1回表示される」ことの価値が下がる


この変化によって、SEOの考え方も変わります。以前は、「1回でも上位表示されること」が非常に重要でした。検索結果の1ページ目に入れば、安定したアクセスが期待できたからです。

しかし今は、1回表示されても、次に同じように表示されるとは限りません。AIの回答は、ユーザーごとに変わり、質問の仕方によっても変わります。そのため重要になるのは、「一度選ばれること」ではなく、「何度も選ばれること」です。そして何度も選ばれるためには、単発の記事ではなく、サイト全体で信頼を積み重ねる必要があります。

私が最近よくお伝えしているのは、「AIに1回拾われるページ」ではなく、「AIが何度も参照したくなるサイト」を目指すべきだということです。そのためには、情報の量だけでは足りません。情報の正確性、構造、更新頻度、専門性、実体験、内部リンク、運営者の信頼性がすべて関係してきます。


レポートが示す重要な結論


この章の最後に、レポートは非常に重要なポイントをまとめています。

「一度引用されるだけでは不十分である」

さらに、次のようにも述べられています。

「相互にリンクされた権威あるコンテンツの集まりが、引用頻度を高める」

これは、今後のSEOの方向性を非常によく表している言葉です。つまり、AI時代に重要なのは、単発の記事を当てることではありません。テーマごとに信頼できるコンテンツ群を作り、それらを内部リンクでつなぎ、サイト全体として「この分野ならこのサイト」と認識される状態を作ることです。

これは、私が長年SEOの現場でお伝えしてきた「専門性の高いサイトを作る」という考え方とも一致します。ただし、AI時代にはその重要性がさらに高まっています。
なぜならAIは、1ページだけでなく、サイト全体の情報構造を見て、回答に使うべきかどうかを判断している可能性が高いからです。


私の現場での実感


この部分は、私自身の経験とも非常によく一致しています。単発の記事をどれだけ強くしても、AIから継続的に引用されることは難しいと感じています。一方で、テーマごとに複数の記事を用意し、それらが内部リンクで自然につながっているサイトは、明らかにAIによる概要に引用されやすくなっています。

ある企業では、単発の記事を量産するのをやめ、テーマごとに記事をまとめ直しました。具体的には、似たような記事を統合し、カテゴリを整理し、各記事の役割を明確にしました。さらに、各ページの冒頭に結論を追加し、FAQを整備し、実際の相談事例やお客様の声も加えました。その結果、以前より更新本数は減ったにもかかわらず、AIによる概要への掲載回数が増え、問い合わせの質も上がりました。

この経験からも、AI時代のSEOでは「量」より「構造」、「順位」より「引用」、「単発」より「継続的な信頼」が重要だと感じています。


第2回まとめ


ここまで見てきたように、AIは従来の検索エンジンとはまったく異なるロジックで情報を選んでいます。従来のSEOでは、検索順位を上げることが大きな目標でした。

しかしAI時代には、順位だけでは不十分です。重要なのは、AIが回答を作るときに「このサイトの情報を使いたい」と判断することです。

そのためには、
・ユーザーの疑問に明確に答えること
・テーマを広く深くカバーすること
・関連ページを内部リンクでつなぐこと
・サイト全体の専門性を高めること
・実体験や事例を加えること
・運営者や監修者の信頼性を示すこと

が必要になります。

この変化を理解することが、AI時代のSEOで結果を出すための第一歩です。

次回はいよいよシリーズ最終回です。AIに選ばれるために具体的に何をすればよいのか。そして、やってはいけない施策は何かについて、実務レベルで詳しく解説していきます。
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一般社団法人 全日本SEO協会 代表理事

 鈴木将司

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