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2026年05月29日
AI時代のSEOはどう変わったのか?―「AIに引用されるサイト」の条件
2026年05月29日

2025年、デジタルマーケティング支援企業である Siteimprove が、「The AI Search Survival Guide」というレポートを公開しました。この企業は、SEOやアクセシビリティ、サイト分析などを統合的に支援するプラットフォームを提供しており、欧米の大企業を中心に多くの導入実績を持つ会社です。
今回ご紹介するこのレポートは、同社の戦略責任者である Jeff Coyle と、SEOコンサルティング企業 iPullRank のマーケティング責任者である Garrett Sussman の知見をもとにまとめられています。
「検索のルールは書き換えられた」という現実
レポートの冒頭には、非常に象徴的な一文が書かれています。
「AIによる概要、AIモード、生成AI検索アシスタントの登場によって、これまでの可視性のルールは書き換えられた」
これは決して大げさな表現ではありません。
実際に私のところへ相談に来られる企業の多くが、ここ1年ほどで同じような変化を感じ始めています。
「検索順位は維持しているのにアクセスが減っている」
「以前より記事を増やしているのに問い合わせが増えない」
「ChatGPTには競合サイトばかり引用される」
こうした声は、今や珍しいものではなくなりました。
ある医療系サイトの担当者の方から、「1位なのにアクセスが減っています」と相談を受けたことがあります。実際に検索結果を確認すると、そのキーワードでは検索結果の最上部にAIによる概要が表示されていました。ユーザーはそこで答えを得てしまい、サイトをクリックする必要がなくなっていたのです。
私はその企業に対して、単純なSEO順位改善ではなく、「AIに引用されやすい情報設計」へ切り替える提案をしました。具体的には、
・結論を冒頭に書く
・FAQ形式を増やす
・専門家の実体験を追加する
・ページ同士の関連性を強化する
・運営者情報を強化する
といった改善を行いました。すると数か月後には、AIによる概要内でその企業の情報が引用されるケースが増え始め、アクセス数は以前ほど戻らなくても、問い合わせ率はむしろ改善していったのです。
クリックされない検索結果が当たり前になる
レポートの中では、さらに重要なデータが紹介されています。
「AIによる概要が表示されると、検索1位のクリック率は約34.5%低下する」
これは従来のSEOの常識を根本から覆す数字です。これまでSEOとは、「いかに検索順位を上げるか」という競争でした。しかし今後は、上位表示されていてもクリックされない時代になっていきます。つまり、「順位=成果」ではなくなりつつあるのです。さらにレポートでは、次のような内容も紹介されています。
「現在では検索の3分の2以上がクリックなしで完結している」
これは非常に大きな変化です。
従来の検索は、「情報を探しに行く行為」でした。しかし現在は、「検索結果そのものから答えを受け取る行為」に変わり始めています。実際、私自身も最近は「検索結果だけで満足してしまう」ケースが増えています。特に簡単な疑問や比較情報であれば、AIによる概要だけを見て終わるユーザーは今後さらに増えるでしょう。
協会の会員企業の中にも、「アクセス数は減ったが、問い合わせの温度感は上がった」という声が増えています。つまり、表面的な情報収集だけをしていたユーザーが減り、本当に比較検討しているユーザーだけがサイトに来るようになっているのです。
アクセスは減るが、質は上がるという変化
ここで、多くの方が不安に感じるのが、「アクセスが減ることは悪いことではないのか」という点です。協会の会員の方からも、この質問は非常に多く寄せられます。
私は最近、この質問に対してこう答えることが増えました。
「アクセス数だけを見ていると、本質を見失う時代になっています」
実際に、私がコンサルティングしている企業の中には、アクセス数が減少しているにもかかわらず、問い合わせ数や成約率が上昇しているケースが少なくありません。AIによって、情報収集段階のユーザーが途中で満足するようになった一方で、本当に興味を持ったユーザーだけがサイトを訪れるようになっているからです。
以前は、「とにかくPVを増やしたい」という相談が多かったのですが、最近はむしろ、
「問い合わせにつながるユーザーを集めたい」
「AIに信頼されるサイトにしたい」
という相談へ変わってきています。
私自身も最近は、単純なアクセス解析より、
・問い合わせ率
・再訪率
・指名検索数
・AIによる概要での引用状況
・ブランド名の露出
などを見る機会が増えました。つまり今後は、「どれだけ人を集めたか」ではなく、「どれだけ信頼されたか」が重要になっていくのです。
検索結果は「人によって変わる」時代へ
レポートには、さらに重要な指摘があります。
「検索結果はユーザーの属性、履歴、状況によって変わる」
従来のSEOでは、同じキーワードで検索すれば、基本的には誰に対しても似た結果が表示されていました。しかし現在では、同じ検索キーワードでも、検索する人によって表示内容が変わる時代になっています。例えば「SEOツール」と検索した場合でも、
・初心者には基礎解説記事
・経験者には比較記事
・企業担当者には導入事例
・経営者にはROI関連情報
などが優先表示されるケースがあります。実際に私は、クライアント企業のスタッフ数名に同じキーワードを検索してもらい、表示結果を比較したことがあります。すると、AIによる概要の内容や表示されるサイトがかなり違っていたのです。
これはつまり、「キーワードを攻略する時代」から、「ユーザー理解を深める時代」へ変わったことを意味しています。そのため最近のコンサルティングでは、私は以前以上に、
「このページは誰の悩みを解決するのか」
「どんな状況の人が読むのか」
を細かく確認するようになりました。単にキーワードを詰め込むだけでは、AI時代では評価されにくくなっているからです。
AIはユーザーの行動を記憶する
さらに重要なのが、AIの「記憶」の概念です。レポートには次のような内容があります。
「AIは過去のやり取りを記憶し、それを将来の回答に引き継ぐようになっている」
これはSEOにとって非常に大きな変化です。
これまでのSEOは、「1回の検索結果で勝つゲーム」でした。しかしこれからは、「ユーザーとの関係性の中で記憶される存在になること」が重要になります。例えば、あるユーザーが、1日目に「SEOツール」を調べ、2日目に「AIコンテンツ」を調べ、3日目に「コンテンツマーケティング」を調べた場合、AIはそれらのテーマを横断的に理解しているサイトを優先的に参照する傾向があります。つまり、単発の記事だけでは弱く、「サイト全体のテーマ性」が重要になっているのです。私自身も最近、クライアントサイトの改善では、「関連記事を増やすこと」を以前より重視しています。
単独ページだけを強くするのではなく、
・関連テーマを増やす
・内部リンクを整理する
・カテゴリ構造を整える
・FAQを関連付ける
といった改善を行うことで、AIによる概要への掲載率が上がるケースが増えているからです。
サイト全体で評価される時代へ
レポートでは、次のような重要な指摘もされています。
「権威性はサイト全体で形成される」
これは、AI時代のSEOを理解する上で非常に重要な考え方です。従来のSEOでは、「強い1ページ」があれば、そのページ単体で上位表示できるケースがありました。しかしAI時代では、サイト全体の整合性や専門性、一貫性がより重視されます。
実際、私のクライアントにも、非常に質の高い記事を持ちながら、AIに引用されにくいサイトがありました。分析してみると、過去に量産した低品質記事が大量に残っており、サイト全体の信頼性を下げていたのです。そこで私は、
・不要ページの削除
・類似記事の統合
・専門カテゴリの整理
・運営者情報の強化
・監修情報の追加
などを提案しました。
すると数か月後、AIによる概要への引用が徐々に増え始め、問い合わせ数も改善していったのです。この経験からも、「ページ単体」ではなく、「サイト全体」で評価される時代に入っていることを強く感じています。
編集品質はもはや必須条件
最後に、この章で特に強調されているのが「編集品質」の重要性です。レポートでは次のように書かれています。
「編集品質は妥協できない条件である」
最近はAIを使えば、誰でも簡単に大量の文章を生成できるようになりました。しかし、その内容に信頼性や実体験がなければ、AIにもユーザーにも評価されません。
私のところにも、「AIで記事を量産すればSEOに有利ですか?」という質問が頻繁に来ます。しかし私は、そのたびに、「AIだけで作った文章を大量投入すると、むしろサイト全体の評価を落とす危険があります」と説明しています。実際に、AI生成記事を大量公開したあとに検索流入が大きく落ちたサイトの相談を受けたこともあります。その際は、
・実体験の追加
・専門家コメントの追記
・図表の追加
・独自事例の挿入
・不要記事の削除
などを行い、改善を進めました。今後は、「AIを使うかどうか」ではなく、「AIをどう編集するか」が重要になっていくでしょう。
第1回まとめ
ここまで見てきたように、AIの登場によって検索のルールは大きく変わりました。上位表示だけを目指す時代は終わりつつあります。これから重要になるのは、
・AIに引用されること
・サイト全体で信頼されること
・テーマの一貫性を持つこと
・ユーザーとの接点を積み重ねること
です。
この変化を一言で表すなら、「SEOはクリックを集める技術から、信頼を積み重ねる戦略へ変わった」と言えるでしょう。次回は、AIによる概要とAIモードの違いをさらに深掘りしながら、「順位」ではなく「引用」が重要になる理由について、具体例を交えて解説していきます。
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