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2026年10月19日

「AIによる概要」のリンクがWebページではなく「AIモード」を開くテスト――クリックの行き先が変わるとき、サイト運営者が知っておきたいこと

2026年10月19日

検索結果の一番上に表示される「AIによる概要」。その中にある下線付きの文字は、これまでなら、クリックするとその情報の元になったWebページが開くものだと考えるのが自然でした。

ところが2026年9月、その「当たり前」とは違う動きが見つかりました。「AIによる概要」の回答の中にあるリンクをクリックすると、外部のWebページではなく、Googleの対話型AI検索「AIモード」が開くというテストです。

見つけた人物は、これを「通常の検索結果から『AIモード』へ利用者を誘導する新たな手法」だと指摘しています。Googleはこのテストについて、まだ公式なコメントを出していません。

「AIモード」とは、Google検索の中で使える対話型のAI検索機能です。質問を入力すると、AIが複数の情報源を調べて回答をまとめ、続けて質問を重ねることもできます。この記事では、今回のテストの中身と、Googleが進めているリンクの見直しの流れ、そしてサイト運営者が確認しておきたいことを、SEOのコンサルティングに長く携わってきた立場から解説します。


「AIによる概要」のリンクをクリックすると「AIモード」が開く


このテストを報じたのは、海外のSEO専門メディアSearch Engine Roundtableのバリー・シュワルツ氏です。2026年9月22日の記事で、「AIによる概要」の回答の下部に表示されるリンクが、外部のWebページではなく「AIモード」へ移動するテストが行われていると伝えました。

記事では、そのリンクにマウスの矢印を合わせた画面や、クリックして「AIモード」が開く様子を収めた動画も紹介されています。見た目はふつうのリンクと変わらないため、利用者はWebページが開くと思ってクリックすることになります。

海外メディアのSearch Engine Watchによると、こうしたリンクをクリックすると、最初に検索した内容を引き継いだまま「AIモード」が開くとのことです。




発見者が指摘した「新たな手法」


このテストを最初に見つけたのは、X(旧Twitter)で検索の変化を発信しているガガン・ゴトラ氏です。同氏は次のように投稿しました。

「『AIによる概要』の回答の中で、Googleは今、Webページではなく『AIモード』に移動するリンクを表示するテストをしている。また別の日、また別の手法。通常の検索結果から利用者を『AIモード』へ押し出すためのGoogleの手法だ」

「また別の手法」という言葉には、Googleがこのところ、さまざまな形で利用者を「AIモード」へ導こうとしていることへの皮肉が込められています。

Search Engine Watchは、これまでにも「AIによる概要」の中のクリックできる文字が、Webページではなく通常の検索結果の新しい検索につながるテストがあったと伝えています。今回は、その行き先が通常の検索結果から「AIモード」に変わった点が違うということです。


Googleのコメントはまだない


ここで押さえておきたいのは、今回のテストがGoogleによって公式に認められたものではないという点です。

これまでのGoogleのテストの中には、広報担当者や担当の副社長が存在を認め、意図を説明したものもありました。今回は、外部の専門家が見つけて報じた段階にとどまっています。どのくらいの利用者に表示されているのか、どの国や端末で行われているのか、正式な機能として採用されるのかは分かっていません。

ですから、「Googleはもう、AIの回答からWebサイトへリンクしなくなる」と決めつけるのは早すぎます。一方で、どのような方向を目指したテストなのかを理解しておくことは大切です。


5月には「Webへのリンクを増やす」と発表していた


今回のテストが注目を集めた背景には、Googleがこれまで、AIの回答からWebサイトへのリンクを増やすと説明してきたことがあります。

Googleは2026年5月6日、公式ブログで「AIモード」と「AIによる概要」のリンクに関する5つの改善を発表しました。回答の中の関連する文章のすぐ横にクリックできるリンクを増やすこと、パソコンではリンクにマウスを合わせるとWebサイトの名前やページのタイトルが表示されること、回答の最後に別の視点の記事を紹介することなどです。

Googleで検索のプロダクト管理を担当するヘマ・ブダラジュ副社長は、リンクを見つけやすく役立つものにし、オリジナルの声を紹介することで、Webの豊かさを発見する手助けをしていきたいと述べています。


リンクは増えたがすべてがWebに向かうわけではない


実際に、「AIによる概要」の中のリンクは増えているというデータもあります。

海外のSEO専門メディアSearch Engine Journalによると、AI検索の分析ツールを提供するPeec AI社のデータでは、「AIによる概要」の回答の本文中に外部のWebページへのリンクが含まれる割合が、9月10日ごろまではほぼゼロだったのに対し、9月20日には26.2%まで増えていました。ただし、調査の対象数や国、端末、どこまでを本文中のリンクと数えたのかといった方法は明らかにされていません。民間企業の計測で、第三者の検証も経ていない数字です。

Search Engine Journalは、この記事の見出しで「『AIによる概要』のリンクは増えたが、すべてがWebに届くわけではない」と表現しています。リンクの数が増えても、その一部が「AIモード」を開くものであれば、Webサイトへの入り口が同じだけ増えたことにはなりません。

ショッピングモールにたとえると分かりやすいでしょう。案内板にお店の名前がたくさん書かれるようになったのに、その矢印のいくつかをたどると、お店ではなくモールのインフォメーションカウンターに戻ってくる。今回のテストは、そうした状態に近いと言えます。




サーチコンソールの数字にも影響が出る可能性


サイト運営者にとって見逃せないのが、効果を測る数字への影響です。

サーチコンソールでは、検索結果から自社サイトへのクリックが記録されます。Webページへのリンクがクリックされれば、それは自社サイトへのクリックとして数えられます。

一方、Search Engine Journalは、「AIモード」を開くリンクがクリックされても、それは自社サイトへのクリックとしても表示回数としても記録されない可能性があると指摘しています。Googleの資料でこの扱いがはっきり説明されているわけではありませんが、「AIによる概要」の中で自社の情報が使われていても、その先のクリックは自社の数字に表れないことがある、と理解しておく必要があります。



8月の全文表示と合わせて見えてくる方向性


今回のテストは、ほかの変化と合わせて見ると、その意味がよりはっきりします。

2026年8月には、一部の検索で「AIによる概要」が「もっと見る」を押さなくても最初から全文表示され、続けて質問できる欄が開いた状態になる変化が確認されました。Googleの広報担当者はこれを認め、システムが最も役立つと判断した話題では「AIによる概要」が動的に拡張されることがあると説明しています。

5月に「AIによる概要」と「AIモード」が一つの検索体験としてつながり、8月には「AIモード」への質問欄が最初から開かれるようになりました。そして9月には、回答の中のリンクまで「AIモード」への入り口として試されています。Googleは、さまざまな入り口から利用者を「AIモード」へ導こうとしていると見るのが自然です。


「引用されているのにアクセスが来ない」と悩む不動産会社


先日、ある不動産会社のクライアントさんから「地域の住宅ローン減税を解説したページが『AIによる概要』で引用されているのに、そのページへのアクセスが思ったほど増えない」というご相談をいただきました。

一緒に検索してみると、「AIによる概要」がページの内容を詳しくまとめていて、利用者は回答を読むだけで要点をつかめる状態でした。回答の中のリンクも、すべてが会社のページにつながっているわけではありませんでした。

私は「引用されていること自体は、AIに信頼できる情報源として認められている証拠です。そのうえで、要約だけでは分からない情報をページに用意しましょう」とお伝えしました。物件の種類ごとの減税額の試算例や、地域の金融機関で実際によく聞かれる質問などを加えていただきました。AIの要約で満足する人もいれば、その先の具体的な情報を求めてクリックする人もいます。そうした人の期待に応えられるページであることが大切です。


リンクの行き先が変わる時代に確認したい3つのこと


最後に、今回のテストを踏まえて、サイト運営者が確認しておきたいことを3つ紹介します。

1. 自社が引用されている「AIによる概要」を実際に見る
主要なキーワードで検索し、自社のページが「AIによる概要」のどこで、どのような形で紹介されているかを確かめます。リンクをクリックして、本当に自社のページが開くかどうかも確認してください。

2. クリック数だけで成果を判断しない
「AIによる概要」で引用されていても、クリックとして数字に表れないことがあります。Search Consoleのクリック数だけでなく、指名検索の件数や問い合わせの数など、複数の数字で効果を見ていきます。

3. 要約の先にある情報でクリックする理由をつくる
AIの要約で得られる一般的な説明だけでなく、自社の事例、具体的な数字、地域の事情など、ページを開かなければ分からない情報を用意します。それが、利用者がリンクをクリックする理由になります。



まとめ


今回の話をまとめると、2026年9月、「AIによる概要」の回答の中にあるリンクが、外部のWebページではなく「AIモード」を開くテストが見つかりました。発見者は、通常の検索結果から利用者を「AIモード」へ誘導する新たな手法だと指摘しています。Googleはこのテストについて、まだ公式なコメントを出していません。

Googleは5月にWebへのリンクを増やすと発表しており、実際に回答の中のリンクは増えているというデータもあります。一方で、そのすべてがWebサイトにつながるわけではない可能性が出てきました。8月の全文表示と合わせて見ると、Googleがさまざまな入り口から利用者を「AIモード」へ導こうとしていることがうかがえます。

AIの回答の中に自社の名前が出ることと、自社のサイトに人が訪れることは、もはや同じ意味ではなくなりつつあります。だからこそ、引用されることと、クリックしたくなる理由をつくることの両方が必要です。次に自社のページが「AIによる概要」に引用されているのを見つけたら、そのリンクを自分の手でクリックして、どこに連れて行かれるのかを確かめてみてください。
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一般社団法人 全日本SEO協会 代表理事

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