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「AIモード」の月間利用者が10億人を突破――Googleの決算発表から読み解く検索の現在地と企業が見直すべきこと

2026年10月11日

GoogleのAI検索機能「AIモード」を使う人が、月に10億人を超えました。

Googleの親会社であるAlphabetは、2026年7月22日に第2四半期(4〜6月)の決算を発表しました。その説明会でGoogleのスンダー・ピチャイCEOは、2025年10月に「AIモード」を世界に広げて以降、月間アクティブユーザー(その月に1回以上使った人の数)が10億人を超えたと述べています。

「AIモード」とは、Google検索の中で使える対話型のAI検索機能です。質問を入力すると、AIが複数の情報源を調べて回答をまとめ、続けて質問を重ねることもできます。ピチャイCEOはあわせて、「AIモード」によって検索の総数が増えていること、AI機能を通じて毎週数十億回のクリックをWebサイトに送っていること、「AIモード」の回答にかかるコストが提供開始以来の最低水準になったことも説明しました。

この記事では、決算で語られた内容を整理したうえで、その数字をどう読めばよいのか、そして企業のWeb担当者が何を見直すべきかを、SEOのコンサルティングに長く携わってきた立場から解説します。


ピチャイCEOが決算で語ったこと


Googleの公式ブログに掲載されたピチャイCEOの発言のうち、検索に関係する主な内容は次のとおりです。

1. 「AIモード」の月間アクティブユーザーが10億人を超えた
2025年10月に「AIモード」を世界に広げて以降、月間アクティブユーザーが10億人を超えたと述べています。

2. 「AIモード」が検索の総数を押し上げている
AIを使った機能が検索の利用を増やしており、「AIモード」は検索全体の回数を上乗せする形で増やしていると説明しています。

3. AI機能を通じて毎週数十億回のクリックをWebサイトに送っている
検索のAI機能から、毎週数十億回のクリックがWebサイトに送られているとしています。

4. 「AIモード」の回答コストが提供開始以来の最低水準になった
より高度なAIの機能を加えながらも、この四半期に「AIモード」の回答にかかるコストを提供開始以来の最低水準まで下げたと述べています。

このほか、「AIによる概要」と「AIモード」を一つの検索体験に統合したことや、Geminiアプリの月間アクティブユーザーが9億5,000万人に達したことにも触れています。なお、これらはいずれもGoogle自身による発表で、第三者が検証した数字ではありません。


わずか1年あまりで10億人に届いた背景


「AIモード」は、2025年5月に米国で一般向けの提供が始まった比較的新しい機能です。
1年前の2025年7月の決算説明会では、「AIモード」の月間アクティブユーザーは、当時提供されていた米国とインドで1億人を超えたところだと発表されていました。米国のIT専門メディアTechCrunchが当時伝えています。

その後、2025年9月には日本語を含む5つの言語に対応し、日本でも日本語で「AIモード」が使えるようになりました。さらに10月には世界に提供地域が広がり、利用者が一気に増えていきます。

実は10億人という数字は、2026年5月の開発者向けイベント「Google I/O」の時点で、すでに公表されていました。そのときGoogleは、「AIモード」の検索の数が、提供開始以来、四半期ごとに2倍以上のペースで増えてきたとも説明しています。7月の決算は、その勢いが続いていることを改めて示した形です。


検索の回数はむしろ増えている


「AIで調べる人が増えると、従来の検索は使われなくなるのではないか」。セミナーなどで、こうした質問をいただくことがよくあります。
今回の決算でピチャイCEOは、「AIモード」は検索全体の回数を上乗せする形で増やしていると説明しました。つまり、従来の検索が「AIモード」に置き換わっているだけではなく、AIがあることで検索そのものの利用が増えているというのがGoogleの見方です。ピチャイCEOによると、検索などの事業の売上も前年同期比で17%増えています。

これは、これまで検索では答えが得にくかった複雑な質問や、長い相談ごとまで、検索で尋ねるようになった人が増えていると考えられます。「近くの歯医者」と短く調べていた人が、「子どもが歯医者を怖がるので、時間をかけて説明してくれる歯医者を探している」と、そのまま相談するようになっているのです。


「毎週数十億回のクリック」をどう読むか


Webサイトの運営者にとって最も気になるのが、「AI機能を通じて毎週数十億回のクリックをWebサイトに送っている」という説明でしょう。
ただし、この数字はGoogleが公表したもので、AI機能が登場する前と比べて増えたのか減ったのかは示されていません。数十億回という数字は大きく聞こえますが、Googleの検索全体の規模を考えると、それだけで安心できる材料とは言えません。

第三者の調査では、別の傾向も示されています。米国の非営利の調査機関Pew Research Centerが2025年に米国の成人900人の閲覧データを分析したところ、検索結果にAIの要約が表示されたとき、通常の検索結果のリンクがクリックされた割合は8%でした。AIの要約が表示されなかったときの15%と比べて、およそ半分です。

Googleの発表と第三者の調査は、どちらか一方だけが正しいというものではありません。全体として多くのクリックが送られていても、一つひとつの検索でクリックされる割合は下がっている可能性がある、と両方を合わせて読むのが現実的です。

大切なのは、世の中の平均の数字よりも、自社のサイトで何が起きているかです。Googleの説明によると、「AIによる概要」や「AIモード」から自社サイトへのアクセスは、サーチコンソールの検索パフォーマンスのレポートに、通常の検索と合わせて計上されます。また、生成AIの機能での表示状況を確認できる専用のレポートも用意されています。まずは自社のデータで、表示回数とクリック数の変化を確かめておきましょう。


回答コストの低下が意味するもの


決算の中で、SEOの担当者が見落としがちなのが「AIモード」の回答コストが下がったという話です。
AIが回答を作るには、膨大な計算が必要です。そのため、AIの回答は通常の検索結果を表示するよりも、ずっとお金がかかります。コストが高いうちは、AIの回答を出す検索を絞らざるを得ません。

ところが、より高度な機能を加えながらもコストが最低水準まで下がったということは、Googleが今後、より多くの検索でAIの回答を出しやすくなったことを意味します。レストランにたとえると、手間のかかる料理を安く作れる仕組みが整ったので、メニューのより多くの品に出せるようになった、という状態です。

もちろん、どの検索でAIの回答を出すかを決めるのはGoogleで、コストが下がったからといってすぐにすべての検索でAIの回答が表示されるわけではありません。それでも、AIの回答を広げる上での大きな壁の一つが低くなったのは確かです。AIの回答が表示される検索は、今後さらに広がっていくと考えて準備しておくべきです。


「AIによる概要」と「AIモード」の境目がなくなった


ピチャイCEOは、「AIによる概要」と「AIモード」を一つの検索体験に統合したことにも触れました。これは、2026年5月のGoogle I/Oで発表されたものです。Googleの公式ブログによると、通常の検索結果に表示される「AIによる概要」から、そのまま続けて質問すると、「AIモード」での対話に移れるようになりました。会話の流れは引き継がれ、パソコンでもスマートフォンでも、世界中で使えるようになっています。

これまでは、「AIによる概要」は検索結果の一番上に表示される要約で、「AIモード」は専用の画面で使う対話型の検索という、別々の機能でした。それが一つにつながったことで、検索した人が要約を読み、そのまま気になる点を質問し、さらに深く調べていく流れが自然にできあがります。

企業にとっては、最初の要約で名前が挙がるかどうかだけでなく、その後に続く質問の中で自社が紹介されるかどうかも大切になるということです。


「AIモード」で自院を調べてみた歯科医院


先日、ある歯科医院のクライアントさんから「『AIモード』が広がっているのは知っているが、うちの医院がどう扱われているのか分からない」というご相談をいただきました。

そこで、患者さんが実際に尋ねそうな質問を一緒にいくつか考え、「AIモード」に入力してみました。「◯◯駅の近くで、土曜日も診療している小児歯科は?」といった質問です。すると、医院の名前は回答にほとんど出てきませんでした。

医院のサイトを拝見すると、土曜日の診療時間や、子どもの治療で心がけていることが、画像の中にしか書かれていませんでした。私は「AIが読み取れるように、大切な情報は文章で書きましょう」とお伝えし、診療時間や子どもの治療方針を説明するページを文章で整えていただきました。数か月後、同じ質問をしてみると、回答の中に医院の名前が挙がるようになっていました。


10億人の時代に企業が見直したい3つのこと


最後に、「AIモード」の利用者が10億人を超えた今、企業が見直しておきたいことを3つ紹介します。

1. キーワードではなく「質問」で自社を調べる
自社のお客さんが「AIモード」に入力しそうな質問を考え、実際に入力してみます。自社が回答の中でどう紹介されているか、されていないかを確かめることが出発点です。

2. 大切な情報を文章で書く
画像やPDFの中にしか書かれていない情報は、AIが読み取りにくくなります。営業時間、料金、対応しているサービスなど、お客さんが知りたい情報は、ページの本文に文章で書いておきます。



3. 続けて聞かれる質問まで答えておく
「AIによる概要」から「AIモード」へと会話が続くようになった今、最初の質問だけでなく、その次に聞かれそうな質問への答えまで用意しておくことが大切です。よくある質問のページを充実させるのも有効です。



まとめ


今回の話をまとめると、Googleは2026年7月の決算で、「AIモード」の月間アクティブユーザーが10億人を超えたこと、「AIモード」が検索の総数を押し上げていること、AI機能を通じて毎週数十億回のクリックをWebサイトに送っていること、回答コストが提供開始以来の最低水準になったことを説明しました。「AIによる概要」と「AIモード」も、一つの検索体験として統合されています。

これらはGoogle自身による発表です。第三者の調査ではAIの要約が表示されるとクリックされる割合が下がるという結果も出ており、両方を合わせて読む必要があります。それでも、AIで検索することが10億人規模の当たり前の行動になったことは間違いありません。

10億人という数字は、AIで調べることがもう一部の人の特別な体験ではないことを示しています。来週の社内の打ち合わせでは、自社の名前ではなく、お客さんが抱えている悩みをそのまま「AIモード」に入力してみてください。そこに表示される回答が、これからのお客さんが最初に目にする「検索結果」です。
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一般社団法人 全日本SEO協会 代表理事

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