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2026年10月17日

フランスで「AIによる概要」が始まりクリック率が23%下がった――順位は落ちないのにアクセスが減る理由と対策

2026年10月17日

検索順位は変わっていない。検索結果に表示される回数も減っていない。それなのに、サイトへのアクセスだけが減っている。最近、こうした相談を受けることがあります。

その理由をはっきり示すデータが、フランスから出てきました。SEOツールを提供するAhrefs(エイチレフス)社が、フランスで「AIによる概要」が始まった前後のデータを比べたところ、「AIによる概要」がよく表示されるサイトでは、クリック率が中央値で23.1%下がっていたのです。

「AIによる概要」とは、Googleの検索結果の一番上に表示される、AIが作った回答のことです。検索した人は、各サイトのリンクを見る前に、まずAIがまとめた説明を読むことになります。

この記事では、Ahrefs社の調査の中身と、日本のサイト運営者がそこから学べる重要ポイント、そしてサーチコンソールで今すぐ確かめたいことを、SEOのコンサルティングに長く携わってきた立場から解説します。


フランスでは2026年7月に始まった


「AIによる概要」は、米国で2024年5月に始まり、日本でも2024年から表示されています。一方、フランスでは長いあいだ提供されておらず、始まったのは2026年7月22日のことでした。

ある日を境に、それまでなかった「AIによる概要」が一斉に表示され始める。これは、影響を測るうえでとても珍しい機会です。始まる前と後のデータを比べれば、「AIによる概要」がクリックにどれだけ影響したかを、ほかの要因と切り分けて調べやすくなるからです。

Ahrefs社はこの機会を利用して調査を行い、フランス語版を8月に、英語版を2026年9月16日に公開しました。


963ドメインの前後を比べた調査


調査の対象は、フランスでクリック数の多い上位1,000ドメインのうち、データがそろっていた963ドメインです。ドメインとは、「example.com」のようなサイトの住所のことで、ここでは1つのサイトと考えてください。

データの出どころは、サーチコンソールです。サーチコンソールとは、Googleが無料で提供している、自社サイトの検索での表示回数やクリック数などを確認できる分析ツールのことです。

比べたのは、開始前の28日間と、開始後の9日間です。そのうえで、各サイトが表示される検索語のうち、どのくらいの割合で「AIによる概要」が出るかによって、サイトを分けました。

1. よく表示されるサイト
表示される検索語の20%を超える割合で「AIによる概要」が出るサイトです。

2. ほとんど表示されないサイト
その割合が2%未満のサイトです。こちらを比べる基準として使いました。



よく表示されるサイトほどクリック率が下がった


結果は次のとおりです。

963ドメイン全体で見ると、クリック率の変化はマイナス3.4%でした。ところが、「AIによる概要」がよく表示されるサイトに絞ると、クリック率は中央値で23.1%も下がっていました。中央値とは、数字を小さい順に並べたときにちょうど真ん中にくる値のことで、極端な数字に引っ張られにくい平均の一種です。

一方、ほとんど表示されないサイトでは、同じ期間にクリック率が2.3%上がっていました。季節やGoogleのほかの変更の影響を取り除くために、この差を差し引いて計算し直すと、下がり幅は24.8%になります。

さらにAhrefs社は、「AIによる概要」が出る割合が1ポイント増えるごとに、クリック率がおよそ1ポイント下がるという関係も示しています。よく表示されるサイトのうち、82.2%でクリック率が下がっていました。

クリック数そのものの減り方も見ておきましょう。調査対象のサイト全体のうち、1日あたりのクリック数が10%以上減ったサイトは48%、30%以上減ったサイトは19%、半分以上を失ったサイトも5%ありました。わずか9日間でこれだけの変化が出たことになります。

また、フランスの「.fr」ドメインのサイトは、クリック数が中央値で12.3%減っており、調査対象全体の8.8%より大きな落ち込みでした。

先に、注意を一つ。この調査はAhrefs社が自社で行ったもので、第三者の検証は経ていません。同社はSEOツールを販売している会社でもあります。また、開始後のデータは9日分しかなく、同社も期間を延ばして改めて分析するとしています。



表示回数は減らないのにクリックだけが減る


この調査で最も重要なのは、表示回数の動きです。

「AIによる概要」がよく表示されるサイトでも、表示回数は横ばいか、むしろ増えていました。極端な例では、表示回数が183%増えたのに、クリック数は1.9%減っていたサイトもあったそうです。

表示回数が落ちていないということは、検索結果から消えたわけではない、ということです。サイトは今までどおり検索結果に出ている。しかし、その上に表示されるAIの回答を読んで満足し、サイトまで来ない人が増えたのです。

これは、商店街のお店に例えると分かりやすいと思います。店の前を通る人の数は変わらないのに、店の入口の前に案内係が立ち、通行人の質問にその場で答えてしまう。そうなると、わざわざ店に入る人は減ります。表示回数は店の前の人通りで、クリックは店に入った人の数です。

Ahrefs社も、表示回数を見て判断するのはやめるべきで、打撃を受けたのはクリック率だとはっきり書いています。


どんな分野が大きく影響を受けたのか


分野別に見ると、最も強く影響を受けたのは医療・健康の分野でした。この分野では、検索語の22.2%で「AIによる概要」が表示され、クリック率は20.4%下がっていました。

医療や健康の調べものには、「〇〇の症状は」「〇〇の原因は」といった、短い答えで済む質問が多く含まれます。こうした情報収集のための検索は、AIの回答でそのまま用が足りてしまいやすいのです。

反対に、商品の購入や予約につながる検索、ツールを使わないと答えが出ない検索、人の意見や体験を求める検索が多い分野は、比較的影響が小さかったとされています。



日本ではすでに2年前から始まっている


フランスの数字は、日本のサイト運営者にとっても無関係ではありません。

フランスの調査はあくまでフランスのデータで、日本の数字を測ったものではありません。ただ、日本ではすでに2024年から「AIによる概要」が表示されており、同じ仕組みが働いていると考えるのが自然です。

また、Ahrefs社は以前の世界規模の調査で、「AIによる概要」が出る検索での1位のサイトのクリック率への影響が、2025年春のマイナス34.5%から、同年末にはマイナス58%に広がったとしています。時間がたてば影響が薄れるのではなく、むしろ大きくなっているというのが同社の見方です。

米国のマーケティング会社Seer Interactive(シア・インタラクティブ)社が顧客企業42社のデータで行った分析でも、「AIによる概要」が出る検索のクリック率は、2024年6月から2025年9月までの間に61%下がっていました。これも事業者が自社の顧客データをもとに公表したもので、第三者の検証を経たものではありません。


「アクセスが減ったのに順位は変わらない」という相談


先日、ある歯科医院のクライアントさんからこんなご相談をいただきました。「ブログ記事のアクセスが1年前の半分近くになっている。でも順位を調べると、ほとんど変わっていない」と。

サーチコンソールで一緒に確認すると、アクセスが大きく減っていたのは「親知らずを抜いた後の注意点」「歯ぐきから血が出る原因」といった、短い答えで済む記事ばかりでした。表示回数はほぼ横ばいで、クリック率だけが下がっていたのです。

一方で、「インプラントの費用と治療の流れ」のように、自院の料金表や治療期間、実際の症例を載せていたページは、ほとんど影響を受けていませんでした。

私は、減った記事を書き直すよりも、AIの短い答えでは済まない情報を足すことをお勧めしました。その医院でしか分からない料金、通院の回数、患者さんからよく受ける質問への院長自身の回答などです。現在は、アクセスが減った記事から順に手を入れているところです。


サーチコンソールで確かめたい3つのこと


自社のサイトで同じことが起きていないか、サーチコンソールで次の3つを確かめてみてください。

1. 期間を比べてクリック率の変化を見る
「検索パフォーマンス」の画面で、期間の比較を選び、たとえば直近3か月と前年の同じ3か月を比べます。合計クリック数だけでなく、平均クリック率の変化を見てください。

2. 表示回数が減っていないのにクリックが減ったページを探す
「ページ」のタブを開き、表示回数とクリック数の両方の変化を並べます。表示回数は横ばいか増えているのに、クリック数が減っているページが、AIに答えを先に言われている可能性が高いページです。

3. そのページの検索語を確認する
該当するページをクリックし、「検索キーワード」のタブで、どんな言葉で表示されているかを確かめます。「〇〇とは」「〇〇の原因」のような短い答えで済む検索語が多ければ、「AIによる概要」の影響を受けやすいページです。

なお、Googleの説明では、「AIによる概要」からのアクセスは、サーチコンソールでは通常の検索と同じ「ウェブ」の中に含まれて集計されます。「AIによる概要」の分だけを切り分けて見ることはできないため、表示回数とクリック率の動きから推し量るしかありません。




クリックされるページに変えるには


影響を受けているページが見つかったら、AIの短い答えでは済まない情報を足していきます。たとえば、次のような情報です。

自社の料金表、実際の事例や施工例、ほかの選択肢との比較表、担当者自身の経験にもとづく意見などです。どれも、AIが一般的な知識だけでは答えられない、その会社にしかない情報です。

また、Seer Interactive社の分析では、「AIによる概要」の中で引用されたブランドは、引用されなかったブランドに比べて、通常の検索結果のクリック率が35%高かったとされています。クリックが減る時代だからこそ、AIの回答の中で名前を挙げてもらえる存在になることにも意味があります。


まとめ


今回の話をまとめると、フランスで2026年7月22日に「AIによる概要」が始まった後、よく表示されるサイトのクリック率は中央値で23.1%、比較対象との差で見ると24.8%下がりました。表示回数は横ばいか増えており、検索結果から消えたのではなく、クリックだけが減ったことになります。医療・健康分野の影響がとくに大きく、日本でも同じ仕組みが働いていると考えられます。

これからのSEOでは、表示回数という「店の前の人通り」だけを見て安心することはできません。見るべきなのは、何人が店に入ってくれたかです。入口の案内係が答えてしまえる質問ではなく、店の中に入らなければ手に入らないもの。料金や事例や、あなた自身の言葉を、店の一番目立つ棚に並べておきましょう。
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一般社団法人 全日本SEO協会 代表理事

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