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「AIによる概要」ばかり見るようになった自分に驚いた・・・精度向上とローカル検索への浸透が変えたもの

2026年08月09日

最近、私自身の検索行動が明らかに変わってきました。

Googleで何かを調べたとき、検索結果ページの一番上に表示される「AIによる概要」の内容が、以前よりもはっきりと正確になっていると感じるのです。少し前までは「一応読むけれど、結局は下の検索結果をクリックして確かめる」というのが私の使い方でした。ところが今は、「AIによる概要」を読んだ時点で疑問が解消してしまうことが増えています。

さらに驚いたのは、自分の中に生まれた感情のほうです。「AIによる概要」に求めていた答えが書かれていたとき、私は「良かった、これで分かった。検索結果のリンクをクリックしなくて済むから時間が節約できる」と喜んでいました。

Webサイトのアクセスを増やすことを20年以上仕事にしてきた人間が、リンクをクリックせずに済んだことを喜んでいる。この自己矛盾に気づいたとき、これは記事にすべき変化だと思いました。

今回は、私が体験したこの変化が、海外の調査データでどう裏付けられているのかを整理していきます。


「AIによる概要」の正答率は85%から91%に上がっていた


まず、「精度が上がった気がする」という私の実感は、気のせいではありませんでした。

ニューヨーク・タイムズがAIスタートアップのOumiと共同で行った分析によると、「AIによる概要」が事実確認用のテストに正しく答えられた割合は、2025年10月時点の85%から、2026年2月には91%へと上昇していました。わずか4か月で6ポイントの改善です。

この背景には、「AIによる概要」を動かしているAIモデルが、Gemini 2からGemini 3へと世代交代したことがあります。土台になっているエンジンが入れ替わったのですから、答えの質が変わるのは当然といえば当然です。

ただし、この調査には見逃せない指摘も含まれています。正解した回答のうち、出典として示されたページの内容では裏づけられないものの割合が、37%から56%へと悪化していたのです。

これは「グラウンディング」(AIが自分の学習した知識だけで答えるのではなく、検索して見つけてきた実在の情報に基づいて答える仕組み)が弱まっていることを意味します。つまり「答えは合っているのに、なぜその答えになったのかを示す根拠のほうがずれている」という状態が増えているわけです。

料理にたとえるなら、出てきた料理はおいしいのに、添えられたレシピに書かれた材料と実際に使われた材料が食い違っているようなものです。食べる分には困りませんが、同じ味を再現しようとすると途端に困ります。

なお、Googleはこの分析について、使われたテストに欠陥があり、実際にユーザーが行う検索を反映していないと反論しています。数字の受け止め方には少し幅を持たせておくのがよいと思います。


なぜ「AIモード」ではなく「AIによる概要」を選んでしまうのか



もう一つ自分でも意外だったのが、私が「AIモード」をほとんど使っていないという事実です。

Googleは対話しながら検索できる「AIモード」を大きく打ち出しています。それにもかかわらず、私は検索結果ページに自動的に出てくる「AIによる概要」ばかり見ている。この違いは何なのでしょうか。

説明してくれるデータがあります。2026年4月に実施された、高額な買い物185件を対象にしたユーザー行動調査です。

この調査では、「AIモード」で行われたタスクのうち88%で、ユーザーはAIが提示した候補リストをそのまま受け入れていました。74%が一番上に挙げられた選択肢を選び、64%は何もクリックせずに終えています。

一方、「AIによる概要」では、ユーザーはAIの答えを読みながらも、その下に並ぶ検索結果を見比べて評価を続ける傾向が確認されました。

つまり「AIモード」は全部おまかせ、「AIによる概要」は参考意見を聞きつつ自分でも確かめる、という使い分けが自然に起きているわけです。旅行にたとえるなら、「AIモード」はツアーガイドに完全についていく旅、「AIによる概要」は現地の人におすすめを聞いてから自分の足で歩く旅、というイメージで捉えてください。

私が「AIによる概要」を選んでしまうのは、無意識のうちに「自分で確かめる余地」を残しておきたいからだと気づきました。そして皮肉なことに、精度が上がるほど、その確かめる工程のほうを省くようになっていきます。


ローカル検索の68%に「AIによる概要」が出ている


私の依存度をさらに高めたのが、ローカル検索(地域名やお店を含む検索)での変化です。

少し前まで、ローカル検索といえば地図とお店が3件並ぶ「ローカルパック」が主役でした。ところが最近は、その上に「AIによる概要」が当たり前のように表示されます。


米国のローカルSEO専門企業Whitesparkの調査では、ローカル検索の68%に「AIによる概要」が出現していたのに対し、ローカルパックの出現は39%にとどまりました。

検索の意図別に見ると差はさらに歴然としています。「タコス サンフランシスコ」のように単純にお店を探す検索では15%程度でしたが、「近くの眼科検診はどれくらい時間がかかる?」といった情報を知りたい検索では92%、両方の要素が混ざった検索では97%に達していました。

ここで重要なのは、ローカルパックと「AIによる概要」では、選ばれ方の仕組みがまったく違うという点です。ローカルパックはGoogleビジネスプロフィールの登録情報から3件を引っ張ってきます。それに対して「AIによる概要」は、まず答えの文章を組み立てて、そのあとにどのサイトを出典として示すかを決めています。


そのため、ローカルパックでは上位に出ているのに、同じキーワードの「AIによる概要」ではまったく触れられない、という事業者が実際に出てきています。地域ビジネスにとって、これは無視できない変化です。


「クリックしなくて済んだ」と喜ぶ自分に驚いた話


そして冒頭に書いた、あの感情です。

こうした行動は「ゼロクリック」(検索した人がどのサイトにも移動せず、検索結果ページだけで用事を済ませてしまうこと)と呼ばれます。

米国の調査機関Pew Research Centerは、900人の成人が実際にどうブラウザを操作したかを追跡しました。その結果、「AIによる概要」が表示された検索で下の検索結果をクリックした人は8%にとどまり、表示されなかった場合の15%のほぼ半分でした。「AIによる概要」の中に置かれた出典リンクをクリックした人は、わずか1%です。

さらに象徴的なのが、「AIによる概要」を見たあとにそこで検索をやめてしまった人が26%いたという数字です。表示されなかった場合は16%でした。

この10ポイントの差こそ、まさに私が感じた「良かった、これで分かった」という満足感の正体だと思っています。ユーザーは競合サイトに流れたのではありません。行く必要そのものがなくなったのです。


日本のユーザーはまだ「AIによる概要」を素通りしている


ところが、ここで面白いデータがあります。

アウンコンサルティングが2026年7月に発表した、日本・アメリカ・ドイツ・インド・シンガポールの5か国を対象とした調査です。この調査で日本の回答者の最多回答は「AIによる概要は読まずに、下部の自然検索結果からウェブサイトにアクセスする」で36.7%。しかもこれは5か国中で最も高い数値でした。

つまり日本の平均的なユーザーは、今のところ私とは正反対の行動をとっているわけです。

ただ、私はこれを「日本はまだ大丈夫」という材料だとは考えていません。むしろ逆です。

日本のユーザーが「AIによる概要」を素通りしているのは、まだ内容を信用しきれていないからでしょう。しかし、その精度は先ほど見たとおり着実に上がり続けています。信用できると多くの人が感じた瞬間に、日本でも一気に私と同じ行動が広がります。

言い換えれば、今の日本は猶予期間の中にいます。この期間のうちに手を打てるかどうかで、数年後のアクセス数は大きく変わってきます。


あるリフォーム会社のクライアントさんに起きた変化


先日、あるリフォーム会社のクライアントさんからこんなご相談をいただきました。「地域名を入れたキーワードでの検索順位は下がっていないのに、問い合わせだけが減っている」と。

Googleサーチコンソールを拝見すると、表示回数はむしろ増えていて、クリック率だけが落ちていました。実際に検索してみると、上部に「AIによる概要」が出ており、そこには近隣の別会社のサイトが出典として並んでいたのです。

私は「順位を上げる作業ではなく、AIに引用してもらう作業に切り替えましょう」とお伝えしました。具体的には、施工費用の目安、工期、よくある質問への回答を、それぞれ独立した見出しと段落で書き直していただきました。1つの段落だけを抜き出して読んでも意味が通じる形にするのがポイントです。

数か月後、「AIによる概要」にそのクライアントさんのページが出典として表示されるようになり、問い合わせ数も戻ってきました。順位を追いかけていただけでは、この結果にはたどり着けなかったと思います。


これからのSEOで優先すべき3つのこと


ここまでの流れを踏まえて、今すぐ取り組むべきことを3つに整理します。

1:抜き出されやすい段落の書き方に変える
「AIによる概要」は、ページ全体ではなく特定の段落を単位として抜き出しています。そのため、前の文脈を読まないと意味が通じない書き方は不利になります。1つの段落だけを読んでも答えとして成立する形に整えてください。

2:情報を知りたい検索に答えるページを増やす
先ほどのデータのとおり、「AIによる概要」は情報を知りたい検索で圧倒的に多く出ます。「費用はいくらか」「期間はどれくらいか」「何が違うのか」といった疑問に正面から答えるページを持っている会社ほど、引用される機会が増えていきます。

3:誰が書いたのかを明示する
E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性という、Googleがコンテンツを評価するときに重視する4つの観点)を示すことは、AIに引用される確率にも直結します。著者名、経歴、保有資格、実績を必ず明記してください。名前のない情報は、AIにとっても信用しづらいものです。


まとめ


「AIによる概要」の正答率は85%から91%へ上がり、ローカル検索の68%にまで浸透し、その結果として利用者はリンクをクリックしなくなっています。そして私自身が、クリックせずに済んだことを喜ぶ側に回っていました。

日本のユーザーはまだ「AIによる概要」を素通りする傾向が5か国中で最も強く、その意味で日本の企業には準備の時間が残されています。しかし、それが長く続く猶予でないことは、精度の向上ペースを見れば明らかです。

やるべきことは、順位を上げる努力から、AIに引用される努力へと軸足を移すことです。段落単位で意味が完結する文章を書き、読者の疑問に正面から答え、誰が書いたのかを明示する。どれも地味な作業ですが、これが最も確実な道です。

AI検索時代になったからSEOが終わるのではありません。むしろ、本当に信頼される専門家や企業が評価される時代が始まったのです。今後のSEOで成果を出すためには、「検索順位を上げること」だけではなく、「AIやユーザーから信頼される存在になること」を目指す必要があります。
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一般社団法人 全日本SEO協会 代表理事

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