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「AIによる概要」の引用元がトップ10だったのは38%――前年の76%から半減した理由と、これからの対策
2026年09月06日

「AIによる概要」(Google検索結果の最上部に表示される、生成AIによる要約回答)に自社ページを引用してもらうには、まず検索順位でトップ10に入ることが大前提――ほんの1年ほど前まで、これは業界のほぼ共通認識でした。
ところが2026年に入って公表された複数の大規模調査によって、この前提が大きく揺らいでいます。引用元ページのうち、同じキーワードでトップ10にランクインしていたものの割合が、わずか8か月ほどで76%から38%へと半減したのです。調査によっては17%という、さらに低い数字も出ています。
この変化を「SEOはもう効かない」と読むのは早計です。順位が引用確率を押し上げる効果は、データ上はっきり残っています。ただし、「トップ10に入りさえすれば引用される」という古い前提のまま予算配分を決めている企業は、確実に成果を取りこぼします。
今回は、2026年時点で確認できる最新の調査データをもとに、検索順位と「AIによる概要」の引用の関係が今どうなっているのか、そして実務としてどこに手を打つべきなのかを整理していきます。
引用元のトップ10比率は76%から38%へ半減した
まず、最も規模の大きい調査から見ていきます。
Ahrefsが2026年3月に公表した調査は、86万3,000キーワード、400万件の「AIによる概要」引用URLを対象にした大規模なものです。この調査によると、引用されたページのうち、同じクエリの検索結果トップ10にもランクインしていたのは38%でした。
同社が2025年7月に実施した前回調査では、この数字は76%でした。つまり、8か月ほどで半分に落ちたことになります。
残りの引用がどこから来ているのかも重要です。11〜100位のページが31.2%、100位圏外のページが31.0%と、ほぼ均等に分かれています。広告・強調スニペット・「他の人はこちらも質問」といった検索結果内の各種枠を除外し、通常のオーガニック検索結果だけに絞った場合でも、トップ10が37%、トップ100圏外が36%という結果でした。

ここで押さえておきたいのは、「順位30位以下のページが引用される確率はほぼゼロ」といった認識は、少なくとも2026年時点では成り立たないということです。100位にすら入っていないページから、実に3割の引用が発生しています。
BrightEdgeの調査では17%――手法が変われば数字も変わる
同じテーマを扱った別の調査では、さらに低い数字が出ています。
BrightEdgeが2026年2月に公表したデータでは、「AIによる概要」で引用されたソースのうち、オーガニック検索トップ10にもランクインしていたのは約17%にとどまりました。しかもこの数値は、追跡期間を通じてほとんど動いていません。裏返せば、引用のおよそ6件に5件は、従来型検索の1ページ目に入っていないコンテンツから来ていることになります。
一方で、トップ100まで範囲を広げた場合の重なりは約49%から約53%へと、緩やかに上昇しています。「ランクインしているページ全体」との関係はむしろ強まっているのに、「1ページ目」との関係だけが弱いままだ、というのがBrightEdgeの示す構図です。

38%と17%――同じテーマでこれだけ差が出るのは、調査対象のキーワード群も、引用を検出する解析手法も異なるためです。社内やクライアントさんへの説明でこうした数字を使うときは、「どちらが正しいか」を争うのではなく、「調査手法によって17〜38%の幅がある。ただしどの調査も、以前より大幅に下がったという方向では一致している」と伝えるのが誠実で、実務的でもあります。
なぜ順位との相関が下がったのか
この急激な変化について、Ahrefsは2つの要因を挙げています。
1. 引用の検出精度が上がった
1つ目は、調査側の技術的な事情です。Ahrefsは、2025年7月の調査以降に引用箇所を読み取る解析手法を改善したと説明しています。以前は取りこぼしていた引用まで拾えるようになったため、2つのデータセットは厳密には直接比較できません。下落幅のうち一定部分は、Googleの挙動変化ではなく「以前は見えていなかったものが見えるようになった」ことによるものです。
2. クエリファンアウトの影響が大きくなった
2つ目が本質的な要因です。クエリファンアウト(ユーザーが入力した1つの検索キーワードを、Googleが複数の関連する小さな質問=サブクエリに自動的に分解し、それぞれについて裏側で検索を実行する仕組み)の比重が高まっている、とAhrefsは指摘しています。
「AIによる概要」が生成されるとき、Googleは元のキーワードだけを見ているわけではありません。分解された複数のサブクエリそれぞれの検索結果を横断して、繰り返し登場するページを引用元として選びます。つまり、あなたが順位を追いかけているそのキーワードは、実際にAIが参照している検索結果の一部でしかないのです。
これは、レストランの予約を任された秘書のようなものだと考えてください。「来週の会食の店を押さえて」と頼まれた秘書は、その言葉だけで検索するわけではありません。「駅から近い個室のある和食店」「接待に向く価格帯」「10名で入れる店」といった具合に、自分で複数の条件に分解して調べます。最終的に提案されるお店は、どれか1つの条件で1位だった店ではなく、複数の条件に何度も顔を出した店になります。
なお、Googleは2026年1月末に「AIによる概要」の基盤モデルをGemini 3へグローバルで切り替えており、Ahrefsはこのタイミングも背景の1つとして挙げています。ただしファンアウトの挙動そのものについて、Google側が具体的な変更を認めているわけではありません。
トップ100圏外から3割――その主役はYouTube
「100位にも入っていないページが3割も引用されている」という数字は、直感に反します。何が引用されているのでしょうか。
Ahrefsのデータによると、同じキーワードでトップ100に入っていなかった引用のうち、18.2%がYouTubeのURLでした。データセット全体で見ても、YouTubeは全引用の5.6%を占めています。同社のブランド分析ツールのデータでは、YouTubeは「AIによる概要」で最も多く引用されるドメインであり、直近6か月で34%伸びています。
この傾向は他社調査とも一致します。SE Rankingがドイツ語圏の健康関連クエリを対象に行った調査でも、YouTubeが医療機関の公式サイトを上回って最も引用されるドメインになっていました。
テキストのウェブページだけを競合として見ていると、この動きは視界に入りません。自社のテーマで動画コンテンツが引用され始めていないか、一度確認する価値があります。
それでも検索順位は効いている――相関データが示すもの
ここまでの数字だけを見ると「順位はもう関係ない」と結論したくなりますが、それは誤りです。
Ahrefsが別途行った相関分析では、トップ10入りしていることと「AIによる概要」の上位3引用に入ることの間に、スピアマン相関係数0.347という中程度の正の相関が確認されています。順位が高いほど引用されやすい、という関係自体は明確に存在します。
同時に、この分析は限界も示しています。1位のページであっても、上位3引用に入るのは約50%です。1位を取っても、引用されるかどうかは実質的にコイン投げに近いということです。
さらに興味深いのは、引用された場合の「扱われ方」です。引用URLの掲載位置とオーガニック順位の相関は0.445と、より強く出ています。順位が高いページは、引用される確率が上がるだけでなく、引用されたときに目立つ位置に置かれやすいのです。
54本の関連研究をレビューしたZyppyの分析も、同じ方向を示しています。AI引用に効く要因の多くは従来型SEOの実践と重なっており、結論は「SEOで勝てばAI引用でも勝てる。多くの場合、ただし追加の手間はかかる」というものでした。同分析では、URLがクロール可能でアクセス可能であること(robots.txtでのブロック、ペイウォール、エラー返しがないこと)が最も基礎的な条件として位置づけられ、検索順位はそのすぐ下に置かれています。
つまり、順位は「必要条件」ではなくなりましたが、「有力な条件」であり続けています。トップ10入りは入場券ではなく、当選確率を大きく引き上げるくじの枚数だと考えるのが実態に近いでしょう。
業種によって数字はまったく違う
もう1つ、実務上きわめて重要なのが業種差です。
BrightEdgeの調査では、トップ10とのオーバーラップはヘルスケア分野で24%、金融分野では11%と、2倍以上の開きがありました。「順位を上げれば引用されやすいのか」という問いへの答えは、業界によって変わるということです。
「AIによる概要」の表示率そのものにも大きな差があります。2025年2月から2026年2月にかけて表示率は58%増加し、ヘルスケアで88%、教育で83%、BtoBテクノロジーで82%と、ほぼすべての検索で表示される水準に達した分野がある一方、ECでは表示率がむしろ下がっています。Googleが広告を出しやすい取引型のクエリでは、AI要約の表示を意図的に抑えている可能性が指摘されています。
業界平均の数字をそのまま自社に当てはめると判断を誤ります。まずは自社の主要キーワード群で「AIによる概要」がどの程度表示されているかを実測することが出発点です。
実務としてどこに手を打つか
以上を踏まえ、優先順位を整理すると次のようになります。
1. 単一キーワードではなく、サブクエリ群のカバー率を見る
「そのキーワードで何位か」だけを追いかける管理は、もはや実態と噛み合いません。対策キーワードから派生する質問(比較、費用、注意点、失敗例、手順、選び方など)を洗い出し、それぞれについて自社サイト内に答えがあるかを点検します。ファンアウト先で何度も顔を出すサイトが引用されるという構造を、そのまま対策に落とし込む発想です。
2. トップ10入りは引き続き狙う。ただし目的を読み替える
順位対策をやめる理由はありません。1位で約50%という引用確率は、依然として他の何よりも高い水準です。ただし目的は「引用の保証」ではなく「確率の引き上げと、引用時の露出位置の確保」に読み替えます。
3. クロール可能性という土台を最初に確認する
robots.txtでのブロック、認証の壁、エラーを返すURL、レンダリングしないと本文が見えない構造――こうした要素があると、順位以前に引用の対象外になります。E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性というGoogleのコンテンツ品質評価軸)や構造化データ(スキーマ。ページの意味をGoogleに正確に伝えるためのタグ)の議論に入る前に、まずここを潰します。
4. テキスト以外のフォーマットを検討する
YouTubeが最多引用ドメインになっている以上、テーマによっては動画を持たないこと自体が機会損失になります。既存記事の内容を短い解説動画にするだけでも、引用の入口が1つ増えます。
産業機械メーカーのクライアントさんの事例
ある産業機械メーカーのクライアントさんはBtoB分野の専門性の高いキーワードでAIに取り上げられることを目指していました。
このクライアントさんは既に一部のキーワードでトップ10に入っていましたが、引用は限定的でした。調べてみると、製品の仕様や導入手順を説明したページの多くが、ログインが必要な会員エリアの中に置かれていました。最も専門性の高い情報が、AIから見えない場所にあったのです。
そこで、概要レベルの解説だけを公開領域に出し、詳細な設計データや価格表は会員エリアに残す、という分け方に変更していただきました。あわせて、技術担当者による短い解説動画をYouTubeに公開しました。
数カ月後、公開領域に出した解説ページからの引用が明確に増え、動画も一部のクエリで引用されるようになりました。順位を1つ上げる前に、「そもそもAIが読める場所にあるか」を疑うことの大切さを、あらためて実感した事例です。
まとめ
今回の話をまとめると、「AIによる概要」に引用されるページのうちトップ10にランクインしているものは、調査によって17〜38%であり、かつては76%だった水準から大きく下がっているということです。100位圏外からも約3割が引用されており、「上位表示していなければ引用されない」という前提はすでに崩れています。
一方で、順位が高いほど引用されやすいという相関は依然として存在し、1位のページは約50%の確率で上位引用に入ります。順位対策は「引用の保証」から「確率を引き上げる手段」へと役割が変わっただけで、価値を失ったわけではありません。
これからの実務は、単一キーワードの順位管理から、サブクエリ群を含めたトピック全体のカバー率と、クロール可能性・フォーマットの多様性を含めた総合的な設計へと軸足を移すことになります。まずは自社の主要テーマで「AIによる概要」がどの程度表示され、どのサイトが引用されているかを実測するところから始めてください。
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