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なぜ「AIモード」はChatGPTと並ぶ「もう1つの主要AI検索」に育ったのか?――普及の3つの決定的要因

2026年09月15日

AI検索といえば、これまでの中心はChatGPTでした。2022年11月のリリース以降、ChatGPTは世界的に月間アクティブユーザー数億人規模のサービスへと成長し、AIとの対話で情報を得る新しい検索行動を定着させてきました。そこに、Googleの「AIモード」が急速に成長し、月間10億ユーザーを突破しました。今や、ChatGPTと「AIモード」がAI検索の2大巨頭として並び立つ状況になっているのです。

多くの企業のマーケターや経営者が、「AI検索対策=ChatGPT対策」と考えて、対策を単一のサービスに集中させています。しかし、ChatGPTと「AIモード」は異なる仕組みと異なるユーザー体験を持つ別の存在であり、両方への並列対応が現実的に必要な時代になりました。「AIモード」が急速に成長した背景を理解することで、なぜ2つのAI検索に並列対応する必要があるのかが明確になります。

長年SEOコンサルタントとして、AI検索の進化を追い続けてきた立場から言うと、「AIモード」がChatGPTと並ぶまでに成長した過程には、単なる「Googleが強力だから」という以上の、構造的な要因があります。これら3つの決定的要因を理解することが、AI検索時代の企業戦略を組み立てる基盤になります。

今回は、「AIモード」がChatGPTと並ぶ「もう1つの主要AI検索」に育った3つの決定的要因について、実務の視点から解説していきます。


ChatGPTと「AIモード」が並ぶ2大AI検索という現状


ChatGPTと「AIモード」の現状の位置付けを、実務的に整理します。

現在、AI検索の分野には複数のサービスが存在しますが、ユーザー規模と実際の利用頻度で圧倒的な2大サービスとなっているのが、ChatGPTと「AIモード」です。この2つの存在感は、他のAI検索サービス(Perplexity AI、Claude、Copilotなど)とは一線を画す規模になっています。

この構造は、買い物客が用途に応じて、コンビニとスーパーの両方を日常的に使い分けている光景と似ています。多くの家庭では、コンビニとスーパーの両方を使い分けています。急に必要な少量のものはコンビニで、まとめ買いや専門的な商品はスーパーで、という具合に、目的に応じて自然に使い分けているのです。どちらか一方だけで生活する家庭は稀で、両方が並列に生活の一部として定着しています。



ChatGPTと「AIモード」の関係も、同じ構造になりつつあります。ユーザーは目的に応じて2つを使い分けており、「文章生成や高度な推論はChatGPT」「事実確認や最新情報が絡む調査は AIモード」といった使い分けが定着し始めているのです。企業のWeb集客も、この両方に並列対応する必要が生まれています。


決定的要因1: 既存Google検索ユーザーへのシームレスな展開


「AIモード」が急速に成長した第1の決定的要因は、既存Google検索ユーザーへのシームレスな展開です。

ChatGPTは、独立したサービスとして提供されているため、ユーザーは新しいアプリをインストールしたり、新しいアカウントを作ったりする必要があります。この初期障壁が、一定の普及ペースを規定していました。

一方、「AIモード」はGoogle検索の中に「タブ」として組み込まれているため、既存のGoogle検索ユーザーは、追加のアプリインストールもアカウント作成も不要で使い始められます。世界中で数十億人が既に使っているGoogle検索という強力な既存ユーザー基盤に、「新しいタブを追加するだけ」で、瞬時にサービスを届けられるのです。

この展開方法は、以下のような利点を持ちました。

1. 認知障壁の低さ
多くのユーザーが、通常検索を使う中で自然に「AIモード」タブの存在に気づきます。広告や告知に頼らずに、既存の検索体験の中で認知が広がりました。

2. 利用開始の摩擦のなさ
タブをクリックするだけで利用が始まるため、心理的な抵抗がほぼありません。「新しいサービスを覚えなければ」というプレッシャーもありません。

3. 既存の使い勝手との連続性
Google検索の使い勝手に慣れているユーザーが、そのままの延長で「AIモード」に触れられるため、学習コストがゼロに近い状態でした。


決定的要因2: マルチモーダル対応の一体化


第2の決定的要因は、マルチモーダル対応の一体化です。

マルチモーダル(テキスト・画像・動画・音声など複数の種類の情報を同時に扱えること)対応は、AI検索の重要な機能ですが、ChatGPTと「AIモード」ではその実装が異なります。

ChatGPTのマルチモーダル対応
ChatGPTでもマルチモーダル対応は提供されていますが、有料プランでの機能として位置付けられていたり、機能を切り替える操作が必要だったりする面があります。

「AIモード」のマルチモーダル対応
「AIモード」では、マルチモーダル入力(音声・画像・動画での質問)が最初から一体化されて提供されています。ユーザーがスマホのカメラで撮影した写真を、そのまま「AIモード」に投げかけるといった体験が、標準機能として組み込まれています。

さらに、GoogleはGoogleフォトやGoogleドライブといった既存のマルチメディアサービスとの統合も進めています。ユーザーが Googleフォトに保存した写真を、そのまま「AIモード」で分析できるといった連携が、シームレスに機能しています。

この一体化されたマルチモーダル体験が、モバイル時代のユーザーニーズに合致し、「AIモード」の急速な普及を後押ししました。


決定的要因3: Web全体の情報とのリアルタイム連携


第3の決定的要因は、Web全体の情報とのリアルタイム連携です。

ChatGPTは、基本的には学習時点までの知識に基づいて回答を生成する仕組みでした。近年ではWeb検索機能も追加されていますが、Web検索が主要な情報源ではなく、あくまで補助的な位置付けです。

一方、「AIモード」は、Googleの検索インデックス(Web全体の情報を整理したデータベース)を主要な情報源として活用します。回答生成の際、常にリアルタイムでWeb全体を検索し、最新の情報に基づいた回答を組み立てます。これは、グラウンディング(AIが学習知識だけでなく、検索インデックスから引いてきた実在の情報に基づいて回答する仕組み)と呼ばれる仕組みです。



このリアルタイム連携の効果は、以下のように現れます。

1. 最新情報への強さ
「AIモード」は、直近のニュースや最新の情報にも対応できます。学習時点で情報が固定されるモデルよりも、時事的なクエリに強いのです。

2. 引用ソースの透明性
「AIモード」の回答には、引用ソースが明示されます。ユーザーは、回答の根拠がどこにあるかを確認でき、必要に応じて元の情報源にアクセスできます。

3. ハルシネーションの低減
ハルシネーション(AIが事実に基づかない情報を、あたかも事実のように生成する現象)が、リアルタイムのWebインデックス参照によって低減されます。実在するソースに基づいて回答を組み立てるためです。


3つの要因の相乗効果


3つの決定的要因は、独立してではなく、相乗効果で「AIモード」の急成長を実現しました。

既存Googleユーザーへのシームレス展開により、まず認知と利用のハードルが下がりました。マルチモーダル一体化により、モバイル時代のニーズに合致した使いやすさを実現しました。リアルタイムWeb連携により、情報の鮮度と信頼性を担保しました。これら3つが揃った時、「AIモード」はChatGPTとは異なる価値提案を持つ独立したAI検索として確立されたのです。

つまり、「AIモード」はChatGPTの模倣ではなく、Googleの強みを最大限活用した独自の設計を持つサービスとして育ちました。ChatGPTと並ぶAI検索の巨頭になったのは、単に「Googleが大きな会社だから」ではなく、これらの構造的な要因があったからです。


企業がChatGPTと「AIモード」の両方に対応すべき理由


企業のWeb集客戦略において、ChatGPTと「AIモード」の両方に対応すべき理由を整理します。

1. ユーザーの使い分けが定着している
多くのユーザーが、目的に応じて2つを使い分けています。片方だけに対応していると、もう片方を使うユーザーからの認知獲得機会を逃します。

2. 引用される仕組みが異なる
ChatGPTと「AIモード」では、引用される情報の選び方が異なります。ChatGPTでは学習データとしての取り込みが重要ですが、「AIモード」ではリアルタイム検索インデックスでの評価が重要です。両方への対策は、異なるアプローチが必要です。

3. 認知経路の複線化
複数のAI検索から認知される企業は、単一のサービスに依存する企業より、認知経路が安定します。1つのサービスの仕様変更に翻弄されないためにも、両方への対応が有効です。


コンサル事例:相続不動産専門仲介での両立対応


先日、ある相続不動産専門仲介のクライアントさんからこんなご相談をいただきました。「AI検索対策としてChatGPT対策を進めていたが、『AIモード』にも対応すべきか迷っている」と。

拝見したところ、確かにChatGPT対策としての情報発信は進んでいましたが、「AIモード」の特性(リアルタイム検索インデックス活用)を意識した設計にはなっていない状態でした。特に、最新の税制情報や、相続不動産市場の最新動向といった、鮮度が重要な情報の発信が弱かったのです。

私は、両方への並列対応を提案しました。ChatGPT対策として、相続不動産に関する体系的な知識ベースの整備を継続。「AIモード」対策として、最新の税制改正情報の解説、直近の市場動向レポート、月次の相続不動産市場データの発表といった、鮮度の高い情報発信を追加する形です。

半年後、ChatGPTでも「AIモード」でも、相続不動産関連のクエリで自社の情報が引用される頻度が増えるようになりました。


両方に対応する実務ポイント


ChatGPTと「AIモード」の両方に対応するための実務ポイントを整理します。

1. 体系的な深い情報の発信
ChatGPTと「AIモード」の両方で評価されるのは、体系的で深い情報です。この基礎は両方に共通です。

2. 最新情報の鮮度管理
「AIモード」対策としては、最新情報の継続発信が重要です。四半期ごとの情報更新運用を組み込みます。

3. マルチモーダル発信
「AIモード」のマルチモーダル対応に備えて、動画・音声・画像といった多様なメディアでの発信を並行します。

4. 引用ソースとしての信頼性構築
両方のAI検索で共通するのは、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性、Googleがコンテンツの質を判断する4つの指標)シグナルの重要性です。この基礎を継続的に強化します。


まとめ


今回の話をまとめると、「AIモード」がChatGPTと並ぶ「もう1つの主要AI検索」に育った背景には、既存Google検索ユーザーへのシームレスな展開・マルチモーダル対応の一体化・Web全体の情報とのリアルタイム連携という3つの決定的要因があり、企業はChatGPTと「AIモード」の両方への並列対応が必要な時代に入った、ということです。

体系的な深い情報の発信、最新情報の鮮度管理、マルチモーダル発信、E-E-A-Tシグナルの継続強化という4つの実務ポイントで、両方のAI検索への対応が可能になります。片方だけへの対応は、もう片方を使うユーザーからの認知獲得機会を逃すため、両立対応の姿勢がAI検索時代の企業戦略の基本になります。

AI検索時代になったからSEOが終わるのではありません。むしろ、本当に信頼される専門家や企業が評価される時代が始まったのです。今後のSEOで成果を出すためには、「検索順位を上げること」だけではなく、「AIやユーザーから信頼される存在になること」を目指す必要があります。

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一般社団法人 全日本SEO協会 代表理事

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