このエントリーをはてなブックマークに追加

AI検索で自社サイトは取り上げられているか?ChatGPT・AIモード・Perplexityでの掲載状況を調べる方法

2025年12月09日

2025年にかけて、Google検索からの流入だけでなく、ChatGPT・Perplexity・Google AI モード、AIによる概要などの「AI検索」からの流入・認知の重要度が急速に高まっています。

私自身、全国のコンサルティング先から、
・「AIモードで調べたら自社の名前が出てこない」
・「ChatGPT が当社を紹介してくれた」
・「逆に競合ばかりが紹介されている」

という相談を受けることが非常に増えました。

AIがどの企業を「答えとして選ぶか」は、すでに SEO の延長線ではなく、新たな競争領域そのものです。
では、自社サイトが ChatGPT や Perplexity、Google AI モードで取り上げられているか、どんな質問で登場するのかを調べるにはどうすれば良いのでしょうか。この記事では、AI検索における「自社の掲載状況チェック方法」 を解説します。


AI検索には「公式の掲載状況チェック機能」が存在しない


Google検索には Search Console があり、掲載・インデックス状況を確認できます。
しかし AI検索には、「AI版 Search Console」のような公式ツールが存在しません。この点は海外SEO業界でも問題視されています。

この記事では、AI検索は個別ユーザーの質問ごとに生成されるため、従来の検索結果のように固定したランキングをトラッキングすることが難しいと指摘されています。
そのため、AI検索の掲載状況は、
・手動の質問テスト
・自社ドメインの引用状況チェック
・参照リンク分析
・外部ツールによるAIモニタリング

を組み合わせて確認する必要があります。


調査方法@:ChatGPTに「直接聞く」もっとも簡単で信頼性の高い方法


あなたが知りたいのは「ChatGPT は自社をどんな質問の時に紹介するのか?」という点だと思います。
これを調べるいちばん簡単な方法は、ChatGPTに直接質問することです。

効果的な質問例


・「池袋でおすすめの歯科医院は?」
・「東京で評判の良い司法書士を教えて」
・「オーストラリア留学で信頼できるエージェントは?」
・「中小企業向けのSEOコンサルで実績がある会社は?」



もっとも大事なのは、「ユーザーが本当に使いそうな自然文」で質問することです。なぜなら、AIへの質問の大半は自然文であることが研究で明らかになっているからです。

この論文では、ChatGPTへのクエリの多くが自然文・会話文で構成されていると説明されています。
そのため企業側も、ユーザーと同じ質問形式でテストすることが必須です。

表示された内容のチェックポイント


・自社名が出ているか
・競合ばかりが出ていないか
・自社ページが引用されているか
・情報が正確か

特に ChatGPT は学習データをもとに回答を生成するため、「AIが自社をどう認識しているか」 の評価テストとして有効です。


調査方法A:Perplexityで「証拠付き」で確認する


Perplexityは ChatGPT とは異なり、回答と同時に 参照URL(出典リンク) を表示します。これが AI検索時代には非常に重要です。



確認すべきポイント


1. 回答文中で自社が推薦されているか
2. 参照された URL の一覧に自社サイトがあるか
3. 競合ばかりが引用されていないか
4. どのページが根拠として扱われているか

Perplexity が参照型AIであることは Wikipedia でも説明されています。

ここでは、引用型AIは E-E-A-T の高いサイト(専門性・権威性が高いサイト)を優先的に参照すると書かれています。つまり、Perplexity に引用されるということは、「AIの目から見ても信頼されるコンテンツである」という証拠になります。


調査方法B:GoogleのAIによる概要で取り上げられるか確認する


GoogleのAIによる概要は、検索結果の「最上部」にAI要約を表示し、その中に根拠となった参照リンクが掲載されます。



調査手順


1. 自社業界のキーワードを検索する
2. AI要約の下部に「参照サイト」が表示される
3. 自社サイトが含まれているか確認する

Googleは E-E-A-T の高い情報源だけをAI回答に使うと明言しています。

AIによる概要に取り上げられない場合、専門性・権威性の証明が不足している可能性があります。


調査方法C:「業界でよくある質問」を100個リスト化し、すべてAIに投げる


私が最も実務的だと考えるのが、「業界特有の質問100個を作り、AIに全て質問してみる」という方法です。

例:留学エージェント業界


・「留学費用が安い国はどこ?」
・「治安が良い留学先を教えて」
・「オーストラリア留学でおすすめのエージェントは?」
・「帰国後の就職に強い留学エージェントは?」

AI検索の質問はロングテールが中心であることがデータで示されています。

つまり、短いキーワードよりも自然文・複合条件の質問が圧倒的に多い。だからこそ「100の質問テスト」は AI対策として極めて重要です。


調査方法D:AIの回答は「毎月変わるため」、定期チェックが必須


AI検索は、Google検索よりもはるかに高速で回答内容が変化します。理由は、AIモデルが継続的に更新されているためです。

この論文では AI がユーザー意図を継続的に学習し、同じ質問でも別の回答を返す可能性があると説明されています。そのため、AI掲載状況チェックは、最低でも月1回が必須です。


AI検索での掲載状況を「自動で」調査できるツール一覧


AI検索には公式の Search Console が存在しないため、実務の現場では「AIがどのブランドを引用し、どんな質問で紹介しているか」を外部のAIモニタリングツールによって把握する必要があります。

ここでは、業界でも信頼されている代表的なツールを表を使わず、自然文で分かりやすく紹介します。

Brand Radar(Ahrefs)


有名SEOツール「Ahrefs」の中に、AI検索時代向けの新しい機能として登場したのが Brand Radar です。
これは、ChatGPT・Perplexity・Google AI Overview が、どの質問であなたのブランドを取り上げているかを確認できるツールとして注目されています。



従来の Ahrefs は被リンク・キーワード分析が中心でしたが、Brand Radar は「AIに選ばれているかどうか」を数値として把握できる点で革新的です。とくに、ChatGPT や Gemini に対する「ブランド関連の質問」を自動生成し、それらの回答に自社が登場したかどうかをモニタリングできる点が非常に便利です。
《参考サイト》 https://ahrefs.com/brand-radar


Peec AI


Peec AI は、ChatGPT をはじめ Gemini、Claude、Perplexity など複数のAIモデルに対して、「どの質問でブランドが登場したか」 を自動でテストし、継続的にレポートしてくれるサービスです。



特徴として、単に登場するかどうかだけではなく、「どの国のユーザーに対する回答で登場するか」という地域分類まで計測できる点が優れています。また、競合ブランドとの比較も自動化されているため、たとえば 「なぜ競合は AI に紹介されているのに、自社は出ないのか」 を根拠を明確にしながら分析できます。
《参考サイト》 Peec AI


Otterly.AI


AI検索に最も強いと言われているのが Otterly.AI です。
ChatGPT、Perplexity、Gemini、Copilot、Claude など現行の主要AIすべてに対して、大量の質問テストを自動で行い、どれくらいの頻度で自社が紹介されているかを可視化します。



特徴は、AI検索時代の重要指標である「Share of Voice(AI上での可視性の割合)」を計算してくれることです。多くの企業は Google 検索での順位だけを見ていますが、Otterly.AI を使うと「AIの世界ではどれだけ自社が存在感を持っているか」をはっきり把握することができます。
《参考サイト》 Otterly.AI


LLMO コンパス(日本国内ツール)


日本語の AI 検索対策で注目されているのが LLMO コンパスです。
これは日本企業向けに開発されており、ChatGPT や Gemini 日本語モデル、そして Google AI Overview に対して、どの質問で自社ブランドが登場しているかを細かく記録します。



国内市場を相手にしている企業にとっては、海外ツールよりも 日本語検索に最適化されている ため導入しやすく、実務的に最も使いやすい選択肢の一つです。

とくに、
・日本語の質問リストの自動生成
・競合比較
・業界カテゴリごとの掲載率

が優秀です。
《参考サイト》 LLMO コンパス


SUPER ACT


こちらも日本発のツールで、ChatGPT、Perplexity、Gemini、Grok などに対するAI回答のモニタリングを定期的に自動で行うサービスです。
特に中小企業や士業、ローカルビジネスの利用が増えており、手頃な価格で AI 検索の掲載状況を把握できる点が評価されています。



また、AI検索における 「誤情報(自社について不正確な回答が出る現象)」 を検出する機能があり、誤解・風評の対策としても非常に有効です。
《参考サイト》 SUPER ACT


Keyword.com の AI Rank Tracker


従来は Google の順位チェックツールでしたが、近年のアップデートにより AI検索モニタリング機能が追加されました。



登録した 「キーワード」 や 「質問文」 に対して、
・ChatGPT
・Perplexity
・Gemini

などが自社サイトを紹介したかどうか、シンプルなレポートとして把握できます。AI検索初心者でも非常に使いやすいツールです。
《参考サイト》 AI Rank Tracker


一般的なブランドモニタリングツール(BrandMentions など)


AI検索に特化したツールではありませんが、Web・SNS 上での言及量が AI に影響するため、ブランドメンションの基礎データを取るのに役立ちます。



AIが専門家や信頼できる情報源を判断する際、Web 全体での言及数・評価が大きく影響することが分かっているため、AI掲載状況と合わせてチェックしておくことが推奨されます。
《参考サイト》 BrandMentions


まとめ


ここまで見てきたように、現代の検索は Google だけではありません。ChatGPT・Perplexity・Google AI モード、AIによる概要といった「生成AIが答えを作る検索」
が急激に広がっています。そしてこれらのAIは、共通してE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)が高い情報源を優先的に引用するという特徴があります。

だからこそ企業は、次の3つの対策を必ず行う必要があります。

AIに選ばれる企業がやるべき3つの対策


1. E-E-A-T(専門性・権威性・信頼性)を公式サイトに明示する
2. 業界でユーザーが聞く質問100個を作り、AIで答えを調査する
3. ChatGPT・Perplexity・AIモード・AIによる概要で、毎月「掲載状況チェック」を行う

これらを着実に実行する企業は、ChatGPT・Perplexity・AIモード、AIによる概要の中で継続的に取り上げられ、AI検索時代の「ファーストチョイスの企業」として選ばれ続けます。一方で、AI検索で取り上げられない企業は、ユーザーの「目に触れる機会」が激減し、競争力を急速に失うことになります。

だからこそ、今このタイミングでAI掲載状況を正しく把握し、戦略的に改善していくことが極めて重要です。


ChatGPTとMicrosoft Copilotの違いは?ー Copilotが生まれた経緯から、その評判と評価

2025年12月07日

ChatGPTが登場してから、私たちの働き方や情報の集め方は大きく変わりました。文章を考えてくれたり、分からないことを説明してくれたり、アイデアを広げてくれたりする「対話型AI」は、これまでのインターネットにはなかったまったく新しい存在です。

一方で、MicrosoftはChatGPTと同じOpenAIモデルを使いながら、「ソフトの中にAIを組み込む」という独自のアプローチをとりました。その結果として生まれたのが Microsoft Copilot です。登場した当初は、「これがOffice仕事を劇的に変えるのではないか」と大きな期待を集め、Windowsにも標準搭載されるなど、かなり強気の展開が続きました。

しかし現実には、ChatGPTほど高い評価を得られていません。むしろ、「期待したほど便利ではなかった」「思ったより使いこなしが難しい」という声が目立ちます。その一方で、企業ユーザーからは一定の評価を受けている部分もあり、両者の性質は大きく異なります。


Copilotが生まれた経緯


Copilotという名前が初めて広く知られたのは、2021年に登場した GitHub Copilot でした。これはプログラマー向けのAIアシスタントで、コードの続きを提案したり、関数を丸ごと書いてくれたりするツールです。利用者のあいだで「とても便利だ」と評判になり、MicrosoftのAI戦略に大きな手ごたえをもたらしました。

この成功があったことで、Microsoftは「AIを単体のサービスとして提供するより、すでに世界中で使われているOfficeやWindowsに組み込んだほうが圧倒的に普及する」と判断します。そして2023年、ついに Microsoft 365 Copilot を発表し、Word、Excel、Outlook、Teamsなど日常業務で必ず使うアプリにAIを統合し始めました。

Microsoftはこの動きを「AIの副操縦士」という意味で「Copilot」と呼び、社員全員がAIを使える未来をアピールしました。WindowsにもCopilotボタンを組み込み、EdgeブラウザにもAIを搭載し、「Microsoft製品を使う=AIを使う」という状況をつくろうとしたのです。

しかし、現実には、
・AIが状況を理解しきれない
・提案が不自然になることがある
・ユーザーが「どこで使えば便利なのか」をつかみにくい

という課題が表面化しました。そのため、当初の期待ほどのブレイクには至らなかったというのが正直なところです。


ChatGPTとは何か


ChatGPTは、OpenAIが開発した大規模言語モデル(GPTシリーズ)を使った対話型AIです。2022年末に一般公開されると同時に大きな話題になり、今では世界で最も利用されているAIサービスとなりました。

ChatGPTは、使ったその瞬間から「こんなことまでAIができるのか」と感じられるほど、
・文章生成
・要約
・翻訳
・学習支援
・スクリプトやプログラムの生成
・アイデア出し

といった幅広い用途で活躍します。

ユーザーが自由に質問できる「能動的なAI」であり、初心者でも直感的に使えることから、10代〜シニア層まで幅広く普及しているのが特徴です。


Microsoft Copilotとは何か


Microsoft Copilotは、ChatGPTと同じ基本モデルを使用していながら、目的がやや異なります。こちらは「Office作業を効率化するためのAI」として設計されており、文章の下書きやメールの返信、エクセルの分析、会議の議事録作成など、主に業務作業をラクにする方向で機能が整えられています。

ただし、使ってみた人からは、
・思ったほど文章がうまく書けない
・Excelの分析結果が浅い
・アイデアや説明力はChatGPTのほうが上
・どの場面で使うと効率化できるのかが分かりにくい

という感想がよく出ています。


評判:ネット上での肯定・否定の声


Copilotへの否定的な声
ユーザーの書き込みでは「期待より使えなかった」という意見が少なくありません。Wordの文章生成が単調だったり、Excelでの分析が的外れだったりするケースも報告されています。

Copilotへの肯定的な声
一方で、企業ユーザーからは「定型作業が楽になった」「Teamsの議事録が便利」という評価もあります。特にメール処理やレポートの下書きでは一定の成果が出ているようです。


ChatGPTとCopilotの利用状況の違い


AIチャットボットの世界的な利用シェアを見ると、ChatGPTが圧倒的な強さを持っていることがデータからもわかります。Statcounterの2025年の調査では、ChatGPTが世界シェアの8割以上を占めています。それに対し、Microsoft Copilotは10%前後にとどまっています。

多くのユーザーが「Copilotの存在は知っているけれど、実際にはあまり使わない」と答えている背景には、
・Copilotの使い方が分かりづらい
・「どんな時に役に立つのか」イメージしにくい

という問題があります。

これに対しChatGPTは、スマホからでも気軽にアクセスできるうえ、質問すればすぐに答えが返ってくる「わかりやすい体験」が強みです。


ChatGPTとCopilotの構造的な違い


両者は同じOpenAIのモデルを使うことがありますが、「AIとしての立ち位置」が大きく違います。ここを理解すると、なぜChatGPTのほうが広く使われているのかがよくわかります。

ChatGPTは、ユーザーが「何かを知りたい」「文章を書きたい」「アイデアがほしい」と思った瞬間に、自分からアクセスして使います。つまり、ユーザーが主体となってAIを使いにいく「能動的なAI」です。

質問すればすぐ答えが返ってきて、内容も丁寧です。困った時の「相談相手」として成り立つため、利用シーンが非常に広いのが特徴です。

一方Copilotは、Word、Excel、Outlook、Windowsに組み込まれたAIです。こちらは、ユーザーが使っているソフトの中でサポートすることを前提にしており、「文章を作成している時に案を出す」「メール返信のたたきを作る」といった「補助役」として設計されています。

つまり、AI自身に質問して活用するChatGPTとは真逆の性質で、「作業の中に自然に入り込んでアシストするAI」なのです。この構造の違いが、利用体験の差につながっています。


世間の評価はどうか?


ここでは、CopilotとChatGPTに対する世の中の評価を、第三者の報道や調査からまとめます。

Copilotの否定的な評価


The Guardianの記事では、「Copilotは期待されたほど文章作成能力が高くない」という意見が紹介されており、実際に使ってみたユーザーからも「文章が単調」「文脈を理解していない」といった声が寄せられています。


Copilotの肯定的な評価


Fast Companyでは、企業ユーザーから「Teamsの議事録が便利」「メール処理が早くなった」といった肯定的な声も挙げられています。特に、業務のなかで定型作業を多く行う人には、Copilotが一定のメリットをもたらしていることが明らかになっています。

ChatGPTへの評価


ChatGPTは、幅広い用途に使えること、文章生成の質が高いこと、学習コストが低いことから、多くのユーザーが「最も使いやすいAI」と評価しています。特に学生、ビジネスパーソン、クリエイターのあいだで強く支持されています。


私の使用感


結論:実用性ではChatGPTが圧倒的に優れています

私はSEO・Webマーケティングの現場で長年AIツールを使い続け、講座や企業研修でも両者を比較してきました。その経験から断言できるのは、実用的で「日々の仕事に役立つAI」を探している人には、ChatGPTのほうが圧倒的に向いているということです。理由は大きく3つあります。

@ ChatGPTは用途が広く、柔軟に対応できる


文章作成、要約、企画、データ整理、調査など、ほとんどの業務に対応でき、内容も高品質です。

A 直感的で、初心者でもすぐ使える


「AIに話しかけるだけ」というわかりやすい体験のため、学習コストがほぼゼロです。

B 拡張性が高く、企業利用にも向いている


APIやカスタムGPTなどが充実しており、小規模ビジネスから大企業まで利用しやすい仕組みになっています。

一方でCopilotは、あくまでOffice作業の補助として生まれたAIで、文章生成・アイデア出し・説明・企画・学習支援など、広い用途には向いていません。私自身が何度も使った結果としても、「ChatGPTほどの自由度はない」という印象が強いです。


今後のAI普及はどうなるのか?


MicrosoftはWindows・Office・Edgeといった巨大プラットフォームを持っているため、Copilotがこれからもビジネス向けに広がり続けることは間違いありません。特に、企業でOfficeを日常的に使っている人にとっては、今後AIによる自動化が進むでしょう。

しかし、個人ユーザーや中小企業、クリエイターなどが「主体的にAIを使って成果を出したい」と考える場合、ChatGPTのほうが向いています。


まとめ


・ChatGPTは「能動的に使う万能AI」
・Copilotは「Officeに埋め込まれた補助AI」
・世間の評判も、ChatGPTが高評価で、Copilotは賛否が分かれる
・私自身の評価でも、実用性・柔軟性・使いやすさではChatGPTが優位
・Copilotは企業の定型作業では役立つが、汎用AIとしての主役ではない

どちらも進化を続けていますが、「自分でAIを使って成果を出したい」という目的があるなら、ChatGPTのほうが活躍する場面は圧倒的に多いと感じています。用途に合わせて使い分けることで、AI時代をより効率的に進むことができるでしょう。

Googleの「関連する質問」が押せない・開かない原因と対処法

2025年12月05日

最近、会員さんから、「Google検索で『関連する質問』を押しても開かない」といった相談が複数ありました。「関連する質問」とは、Google検索結果に表示される質問形式のボックスで、「SEOとは?」「SEOは無料でできますか?」といったユーザーの関連疑問を自動で表示する機能です。

通常なら、質問をクリックするとその下に回答(抜粋テキスト)と出典ページへのリンクが展開されます。しかし、最近はこれが開かない、反応しないという現象が報告されています。私もクライアント企業の分析中に、複数のブラウザ・端末で同様の症状を確認しました。特にスマートフォンや広告ブロッカーを使用している環境では発生率が高いようです。この記事では、私が現場で検証して得た経験をもとに、「Googleの関連する質問が押せない・開かない原因」と「具体的な解決策」を初心者にもわかりやすく解説します。


「関連する質問」が開かないのはバグ?それとも仕様?


結論から言えば、この現象はGoogleの一時的な不具合またはブラウザ環境の影響によるものであり、ほとんどの場合は端末側の設定を調整することで解消できます。


ただし、近年はGoogleが検索UIを段階的に刷新しており、仕様変更の影響で一時的にクリックイベント(開閉動作)が無効化されるケースもあります。Googleは定期的に検索機能の実験(A/Bテスト)を実施しており、「関連する質問」の動作仕様が地域・端末・ユーザーごとに異なることも珍しくありません。実際、Search Engine Roundtableでは、2024年後半に「関連する質問セクションが一部ユーザーで動作しない」問題が報告されています。


よくある原因@:ブラウザの広告ブロッカー・拡張機能の影響


最も多い原因は、広告ブロッカーやスクリプト制御系のブラウザ拡張機能(例:uBlock Origin、AdGuard、Privacy Badger など)が、GoogleのJavaScript動作を部分的にブロックしてしまっているケースです。



Googleの「関連する質問」は、クリック時にJavaScriptが非同期通信(AJAX)を行って回答データを読み込みます。そのため、スクリプトブロックやプライバシー強化設定を有効にしていると、データの取得が妨げられ、結果的に「押しても何も起きない」状態になります。

■ 対処法


1. 一時的に広告ブロッカーをオフにする
2. Google検索を「例外サイト(ホワイトリスト)」に追加する
3. ブラウザのキャッシュとCookieを削除し再起動する

特にスマートフォンのブラウザでは、セキュリティアプリやプライバシー設定が自動的にスクリプトを制御する場合があります。それらを一時的に無効化すると解消するケースが多いです。


よくある原因A:ブラウザやアプリのバージョンが古い



Googleは検索インターフェースを頻繁に更新しているため、古いバージョンのブラウザやGoogleアプリを使用していると、UI要素が正常に動作しないことがあります。
特にAndroidの標準ブラウザやiOSの旧Safariなどでは、クリックイベントが反応しない不具合が過去にも複数報告されています。
《参考情報》 Google Search Not Working

■ 対処法


・Google ChromeやSafariを最新バージョンに更新する
・Googleアプリ(モバイル)を最新版にアップデートする
・別のブラウザ(Edge、Firefoxなど)で試してみる

私がサポートしている企業の担当者が遭遇したケースでは、Android端末のChromeを更新しただけで「関連する質問」が正常に開けるようになりました。Googleの新しいレンダリングエンジンが導入された影響と思われます。


よくある原因B:JavaScriptが無効になっている



「関連する質問(People Also Ask)」は、JavaScriptを使って質問ボックスを展開します。そのため、ブラウザでスクリプトを無効化している場合、ボックスが開かなくなります。とくにセキュリティ強化のために「JavaScriptをブロック」設定している企業ネットワーク環境ではこの現象がよく発生します。

■ 対処法


・Chromeの場合:
右上メニュー → 設定 → プライバシーとセキュリティ → サイトの設定 → JavaScriptを「許可」にする

・Safariの場合:
設定 → 詳細 → JavaScriptをオンにする
設定後にGoogle検索を再読み込みすれば、クリックで質問が開くようになります。Google自身も公式ヘルプで「検索機能の一部はJavaScriptに依存している」と明記しています。


よくある原因C:Googleのテスト仕様・地域差



GoogleはAIによる概要やAIモードを展開しており、これにより一部の地域やユーザーでは関連する質問の動作が変更されることがあります。2025年現在、米国ではAIによる概要と関連する質問が統合テストされており、AI概要が表示される検索では「関連する質問」が非表示またはクリック無効になるケースがあります。

私のコンサルティングクライアントのうち、米国市場向けにサイトを展開している企業では、「AIによる概要が表示されるクエリでは関連する質問ボックスが押せない」現象が実際に確認されました。これは一時的な実験の可能性が高く、日本の検索でも同様の現象が見られると推測されます。


スマートフォンで「関連する質問」が開かないときの対処法


クライアントから最も多く寄せられるのは、「スマホでだけ関連する質問が押せない」という相談です。この現象は、モバイルブラウザやGoogleアプリ固有の問題であるケースが多く、次のような手順で解決できる可能性があります。

(1)ブラウザのキャッシュとCookieを削除する


モバイル端末ではキャッシュが破損していると、クリックイベントが動かなくなることがあります。ブラウザ設定からキャッシュとCookieをクリアして再起動すると、多くの場合正常に開けるようになります。

(2)Googleアプリではなくブラウザで検索する


Android端末やiPhoneでGoogleアプリを使っている場合、アプリ版では一部のJavaScript機能が制限されることがあります。この場合、SafariやChromeブラウザを開いて「google.com」で検索してみてください。アプリでは反応しなかった関連質問が、ブラウザ経由では正常に開くケースが多いです。

(3)省データモードをオフにする


モバイルの「データセーバー」や「省データモード」が有効になっていると、Googleの非同期通信が途中で遮断されることがあります。設定からデータセーバーをオフにし、Wi-Fi環境で再試行すると改善されやすいです。

(4)別の端末・アカウントで検証する


Googleは検索結果の表示をアカウント単位でテストしているため、自分のアカウントでのみ不具合が出ることもあります。他の端末・アカウント・ネットワークで同じキーワードを検索し、動作を比較すると原因の切り分けがしやすくなります。


その他の技術的要因と確認ポイント


(1)VPNやセキュリティソフトの干渉


VPNを利用している場合、アクセス地域の違いによってGoogleが異なるインターフェースを提供することがあります。特に米国以外のVPNを通している場合、関連する質問が非表示・非反応になることがあります。VPNを一時的にオフにして試すと改善することがあります。

また、企業内ネットワークで通信制御ソフトを導入している場合、Googleのajax.googleapis.comドメインがブロックされていることもあります。これによりクリック後の展開動作が止まる場合があります。システム管理者に確認するのが良いでしょう。

(2)JavaScriptエラーの確認


Webブラウザの開発者ツール(F12キー)を開き、「コンソール」タブでJavaScriptエラーが出ていないか確認します。もし「Uncaught TypeError」「Blocked by client」といったエラーが出ていれば、拡張機能やスクリプト制限が干渉しています。特に「Blocked by client」は広告ブロッカー系拡張機能が原因のサインです。

(3)GoogleのA/Bテストによる一時的挙動


Googleは機能変更を段階的にテストするため、「一部ユーザーだけ関連する質問が押せない状態」になることがあります。Search Engine Landでも、「関連する質問が開かない問題はテスト中の副作用であり、数日後に修正された」と報告されています。

こうした場合はユーザー側での修復は不可能で、Googleの修正を待つしかありません。


SEO視点から見た「関連する質問が開かない」現象の意味


私のSEOコンサルティング経験上、「関連する質問」が開かない状態が一時的に発生しても、検索順位や評価に直接影響することはありません。これはあくまでUI(ユーザーインターフェース)の不具合であり、インデックスや評価ロジックとは無関係だからです。

ただし、GoogleがAIによる概要とAIモードを世界的に展開していく中で、「関連する質問」はAIによる質問生成のデータ基盤として機能しています。もしこの部分に頻繁な不具合が生じている場合は、検索画面の改修やAI統合の準備段階である可能性があります。

つまり、「関連する質問が押せない・開かない」という現象は、Googleが次世代検索に移行している兆候でもあるのです。


現場で見られた実例


ある協会会員のWeb担当者が報告してくれた例では、社内ネットワーク上では「関連する質問」が押せず、家庭のWi-Fi環境では正常に動作していました。調べてみると、企業のセキュリティソフトがJavaScript通信を遮断していたことが原因でした。設定を調整することで解決しています。

また、別のクライアントでは、uBlock Originを使っていたChromeで関連する質問が動作せず、Edgeブラウザでは問題なく開けるという現象もありました。


こうしたケースからわかるのは、「関連する質問の不具合のほとんどはGoogleではなく、端末や拡張機能側にある」ということです。一方で、AIモードや新しいUI実験が始まった直後に全世界的な関連する質問不具合が起きることもあり、最新ニュースを追うことも重要です。


まとめ


Googleの「関連する質問」が押せない・開かないとき、焦る必要はありません。ほとんどの場合、広告ブロッカーや拡張機能、JavaScriptの設定など「環境依存の問題」です。ブラウザのキャッシュ削除、アプリの更新、スクリプト許可設定を確認すれば、ほぼ解消できます。

ただし、AIモードの導入が進む中で、Googleは検索結果の構造を大きく再設計しています。今後は、関連する質問 が「AIによる概要」や「AIモード」に統合され、クリック展開式の質問が廃止される可能性もあります。そのため、SEO担当者としては「関連する質問が動かない=チャンス減少」ではなく、「AIに引用される構造を整える好機」と捉えるべきです。

ChatGPTとPerplexityの比較:どちらを使うべき?その理由と今後の展望

2025年12月03日

生成AIの世界では、OpenAIの「ChatGPT」と、新興の「Perplexity」が大きな注目を集めています。両者はどちらも「質問をするとAIが答えてくれる」という意味では似ていますが、その成り立ちや設計思想、提供する体験には大きな違いがあります。ChatGPTは会話を中心にしたAIとして世界的に普及し、最も一般的な生成AIサービスの座を築きました。一方でPerplexityは「検索を置き換えるAI」として成長を続け、急速に存在感を強めています。

この記事では、まずChatGPTとPerplexityの基本的な特徴を整理し、その違いを明らかにしていきます。そのうえで、今後両者がどのように発展し、ユーザーや企業にどのような影響を与えるのかを展望します。


ChatGPTとは何か


ChatGPTは、OpenAIが開発した大規模言語モデルGPTシリーズに基づく会話型AIです。公開は2022年末ですが、わずか数か月で1億ユーザーを突破し、インターネット史上最速の普及を遂げました。その特徴は、会話の自然さと応用範囲の広さです。ユーザーは簡単な質問をするだけでなく、長文記事の作成やコード生成、翻訳や要約、さらにはクリエイティブなストーリー制作まで幅広い用途に活用できます。

ChatGPTが世界中で広がった背景には、その「万能感」があります。特定の分野に限らず、あらゆる領域の文章生成をこなせることが、個人ユーザーから企業、教育機関まで幅広い層に受け入れられました。OpenAIは有料プランであるChatGPT Plusや、法人向けのChatGPT Enterpriseを提供し、収益モデルも確立しています。


Perplexityとは何か


Perplexityは、2022年に設立された新興企業が提供するAI検索サービスです。ChatGPTのように会話形式でやり取りができますが、大きな違いは「必ず情報源を示す」という設計思想にあります。ユーザーが質問すると、Perplexityは回答文を提示すると同時に、どのウェブサイトを参照したのかを明確に表示します。これにより、回答の信頼性が担保され、利用者は裏付けをすぐに確認することができます。

またPerplexityは「検索の置き換え」を強く意識しています。従来の検索エンジンのようにリンクを羅列するのではなく、AIが情報を整理して回答を返す仕組みは、まさにGoogle検索の代替になり得るものです。2024年以降、急速にトラフィックを伸ばしており、投資家からの注目度も高まっています。


ChatGPTとPerplexityの違い


ChatGPTとPerplexityは、表面上は似たような「会話型AI」ですが、その立ち位置と設計は大きく異なります。ChatGPTは汎用的なAIアシスタントとして設計されており、知識や言語表現の幅広さを生かして、あらゆるテーマで自然なやり取りを可能にしています。そのため、回答の裏付けが明示されないこともあり、ユーザーは「もっともらしいが事実と異なる情報(ハルシネーション)」に注意する必要があります。



一方でPerplexityは、AIが必ず出典を示すことで「信頼できる検索体験」を実現しようとしています。これは、インターネット検索で培われた「どの情報を信じるかはユーザーが選ぶ」という文化を引き継ぎつつ、AIによって効率化した新しい検索スタイルです。



つまりChatGPTが「会話を楽しみながら何でも相談できる万能アシスタント」であるのに対し、Perplexityは「信頼性と透明性を重視した検索代替AI」という位置付けになります。

私自身、SEOコンサルティングや講座運営において毎日のように両方のAIを使い比べていますが、実際の使用感はまったく異なります。

まずChatGPTは、私の仕事の中で「考える作業」を一番強力に支えてくれるAIです。ブログ記事の構成を一緒に考えたり、専門的な内容を初心者向けにわかりやすく書き直したり、SNS投稿のアイデアを出したりと、まさにアシスタントのような存在です。とくに長い文章を作るときの滑らかな語彙選択や論理構成のうまさは、現在のAIの中でも群を抜いていると感じます。一方で、出典を出さずに断言してしまうことも多いため、正確さが求められるシーンでは私自身が内容を検証するクセを必ずつけています。

一方のPerplexityは、使ってみるとすぐに「これは検索の未来だ」と感じるツールです。回答のすぐ下に出典URLが並ぶので、SEOの調査や海外の最新動向を追うときに非常に助かります。特に私はGoogleのAIモードや米国SEO業界の論文を常にチェックしていますが、Perplexityは記事を横断的に調べてエビデンス付きで情報を返してくれるので、情報の信頼性を確かめたいときには欠かせません。また、ChatGPTよりも「情報探索力」が強い印象があり、調査リサーチ系の業務では大きな時短効果を感じます。

総合すると、ChatGPTは「思考と文章を一緒につくるパートナー」、Perplexityは「検索と調査を迅速に行うリサーチャー」という位置づけで、両者を併用するのが現代のAI活用では最も効果的だと強く実感しています。


成長の勢いと市場シェア


現時点での市場シェアを見てみると、ChatGPTが依然として圧倒的です。世界全体では80%以上を占めており、最も広く使われるAIチャットボットとなっています。一方でPerplexityは10%に満たない規模ながらも、成長率では上位に位置しています。調査会社FirstPageSageの分析では、2025年時点での四半期成長率はChatGPTが7%であるのに対し、Perplexityは13%と倍近い伸びを示しています。

この数字は、すでに成熟しつつあるChatGPTに対し、Perplexityが急成長フェーズにあることを表しています。特に米国やインドではPerplexityの利用者が急増しており、従来の検索の代替として使われるケースが増えています。


今後の展望


これからの数年、ChatGPTとPerplexityは異なる進化を遂げながらも、市場においては相互に影響を与える存在になると考えられます。ChatGPTは、既に巨大なユーザー基盤とブランド力を持っているため、その優位性はすぐに崩れることはありません。特に教育やクリエイティブ分野、そして企業向けのカスタマイズサービスにおいては、安定した需要が続くでしょう。

一方でPerplexityは、検索代替という明確なコンセプトを武器に、Google検索に依存してきた情報収集習慣を変えようとしています。ChatGPTが「万能の相談相手」であるのに対し、Perplexityは「情報の信頼性を担保する検索の再定義者」としてユーザーの支持を拡大していくはずです。これはつまり、両者が真っ向から競合するのではなく、それぞれが異なるニーズを満たしながら市場を広げていく可能性を示しています。


企業やユーザーにとっての意味


企業にとって、ChatGPTとPerplexityの違いを理解することは、AIをどう活用するかを決める重要な指針になります。例えば、マーケティング部門や広報活動では、自由でクリエイティブな発想を支援するChatGPTが役立ちます。新しい広告コピーを考えたり、ソーシャルメディア向けの投稿案を素早く作成したりする際には、ChatGPTの柔軟性が強みとなるからです。

一方で、調査やレポート作成のように「正確性」と「出典の明示」が欠かせない業務では、Perplexityが強い味方になります。出典リンクが示されることで情報の裏付けが簡単に取れるため、社内報告書や研究資料の作成に活用しやすいのです。つまり、両者は競合でありながら補完関係にもあり、利用シーンに応じた使い分けが今後ますます一般的になるでしょう。


成長率の裏にあるユーザー心理


成長率という観点から見たとき、Perplexityが急伸しているのは「ユーザーがAIに信頼性を求め始めている」ことの表れでもあります。初期のChatGPTブームでは、とにかく便利で面白い体験が重視されました。しかし利用が広がるにつれて、ユーザーは「この情報は本当に正しいのか?」という疑問を抱くようになり、信頼できる情報源を提示するAIに価値を見いだすようになっています。

この点で、出典を常に示すPerplexityの設計思想は時代に合致しています。今後AIが検索や調査の主要な手段となれば、「情報の信頼性」と「説明責任」はますます重要になるでしょう。ChatGPTもこの課題を認識しており、外部検索機能や参照リンクの統合を進めていますが、Perplexityのアプローチは最初からそこに焦点を当てているため、一定の優位性があります。


まとめ


ChatGPTとPerplexityは、どちらも会話型AIという共通点を持ちながら、その本質的な役割には違いがあります。ChatGPTは万能性を武器に、教育からクリエイティブ、ビジネスまで幅広く活用される「総合アシスタント」として進化を続けています。対してPerplexityは検索の再発明を目指し、信頼性と透明性を前面に出した「AI検索エンジン」として成長しています。

今後は両者が直接的に競い合うというよりも、互いに異なるニーズを満たしながら市場を拡大していく可能性が高いでしょう。ユーザーにとっては、どちらか一方を選ぶのではなく、目的に応じて両方を使い分けることが当たり前になるはずです。そして企業にとっては、ChatGPTとPerplexityをどう組み合わせて業務に取り入れるかが競争力を左右する重要な要素になっていくでしょう。

AIの進化は日々続いています。数年後、検索や情報収集のあり方は今とはまったく違うものになっているかもしれません。その未来を見据えるためにも、ChatGPTとPerplexityの違いを理解し、両者の強みを最大限に活かす視点を持つことが求められています。

あなたの会社がAI検索で取り上げられない理由は何か?BrightEdge最新レポートから見えた改善ポイント

2025年12月01日

2025年10月17日、米国のSEOテクノロジー企業 BrightEdgeが、AI検索エンジン(ChatGPT、Googleの「AIによる概要」「AIモード」、Perplexity など)が「どのブランドをおすすめとして紹介するのか」を調べた、とても興味深いレポートを発表しました。BrightEdge は世界10万社以上が使うSEO分析プラットフォームを提供している企業で、海外のプロフェッショナルから最も信頼されていると感じる会社の一つです。

今は「AI検索」が急速に広がっている時代です。私の元にもクライアント企業や会員企業から「ChatGPTで名前が出てこない」「GoogleのAIでうちは表示されない」という相談が増えています。今回のBrightEdgeのレポートは、その原因をとてもわかりやすくデータで示した内容です。


BrightEdgeレポートの大事なポイント


今回のレポートは、いくつかのAI検索エンジンに同じ質問(クエリ)をして、それぞれのAIがどのブランドをどれくらい紹介するか?を調べたものです。レポートの中で、AI検索エンジンにはそれぞれ「性格の違い」がある、という表現があります。

“Each AI engine has its own personality that determines which brands are surfaced.”
(AI検索エンジンは、それぞれが「どんなブランドを出すか決める性格」を持っている。)

これは、まさに私がSEOの現場で感じてきたことです。
「同じ質問でも、AIによって答えるブランドが違う」という現象が実際に起きています。


ChatGPTは「たくさん紹介するタイプ」、Googleは「控えめタイプ」


今回の調査で特に衝撃的だったのは、「AIによって紹介するブランドの数が全然違う」という点です。


ChatGPT の回答の特徴


“ChatGPT mentioned brands in 99.3% of ecommerce queries and named an average of 5.84 brands per response.”
(ChatGPTは、EC関係の質問の99.3%でブランドを名前入りで紹介し、1回の回答で平均5.84社ものブランドを挙げていた。)

ChatGPTは、とにかくたくさんの選択肢を見せてくれるタイプです。
「おすすめの〇〇は?」と聞くと
・大手
・人気
・新しいブランド

など、どんどん出してきます。


Googleの「AIによる概要」 は逆の特徴


“Google AI Overview mentioned brands in only 6.2% of ecommerce responses.”
(Googleの「AIによる概要」 はブランド名を紹介したのは6.2%だけ。)

GoogleのAIは「慎重な性格」です。あまりブランドの名前を出さず、解説がメインになります。
これは、Googleが昔から「偏りなく情報を見せる」ことを重要視してきたためです。


GoogleのAIモード(日本でも2025年9月に提供開始)はその中間


“Google AI Mode mentioned brands in 81.7% of ecommerce responses.”
(Google AI Mode は81.7%の回答でブランド名を紹介。)

GoogleのAIモード は「ちょうど良いバランス型」と言えます。
ChatGPTほど多くはないけれど、Googleの「AIによる概要」 ほど控えめでもない。


これが何を意味するか?


とてもシンプルな結論があります。
「AIによって、紹介される会社が違う」ということです。

例えば、
・ChatGPT ではあなたの会社が出てくる
・でも Googleの「AIによる概要」 では全く出てこない
・Perplexity では競合ばかり紹介される

ということが普通に起こるのです。

実際、私のもとにも最近このような相談が増えています。私がサポートしているあるサービス業のクライアントも、
「GoogleのAIモードでは1位なのに、ChatGPTでは名前すら出てこない」
という状態でした。

その会社はSEOで成功していたので、本人たちは
「なぜAIでは出てこないのか?」
と強い不安を感じていました。

BrightEdgeのレポートは、その答えをデータで示してくれたのです。


Google公式の説明と照らし合わせるとどうなるか


Googleは「AIによる概要」について、次のように説明しています。
“AI Overviews are designed to help users quickly understand complex topics with summarized information.”
(「AIによる概要」は複雑な話をすばやく理解できるように、要点をまとめて説明するためのもの。)

つまりGoogleは、
・ブランドをたくさん出すこと
よりも
・解説として正しい内容を出すこと
を大事にしているのです。

だからブランドをあまり出さない傾向になるのです。


中小企業がAI検索で「名前が出ない理由」


では、なぜ多くの会社がAI検索で名前が出てこないのでしょうか?
これも、BrightEdgeレポートと私の現場経験が完全に一致します。

原因の多くは次の3つです。

1. 外部サイトでの情報が少ない


AIは1つのサイトだけでは判断しません。「ネットのあちこちに同じ情報があるか?」を確認します。

例えるなら、
「その人を知っている第三者が何人いるか?」
を見ているようなものです。

2. 会社の特徴が文章で説明されていない


AIは文章で企業の特徴を理解します。

しかし中小企業は…
・SNSのプロフィールが短い
・外部サイトに紹介されていない
・自社サイトでも「どんな会社か」が曖昧

というケースがとても多いです。

3. E-E-A-T(信頼性)の証拠がない


Googleは次のように説明しています。
“High-quality content demonstrates expertise, authoritativeness, and trustworthiness.”
(高品質なコンテンツは、専門性・権威性・信頼性を示す。)
Search Quality Rater Guidelines(Google)
AI検索もこの考え方を強く受け継いでいます。


中小企業でもAI検索に「選ばれる」ための方法


これまで「AI検索で名前が出ない理由」をお伝えしてきました。

ここからは、私が実際にコンサルティングで行っている改善方法を、初心者でも今日から取り組めるレベルにかみ砕いて解説します。
AI検索に選ばれるためのポイントは、とてもシンプルです。
「AIがあなたの会社のことを正しく理解できるようにすること。」
これだけです。

ただし、この「理解できる」ためにはコツがあります。

ポイント@:あなたの会社の「説明書」をネット上に作る


AIは、会社のことを文章で理解しようとします。つまり、人間が読んでわかりやすい文章=AIにとっても理解しやすい文章なのです。

ここで重要なのが、
「あなたの会社は何をしている会社なのか?」
という説明がネット上に十分あるかどうかです。

私が支援した企業では、説明が弱いケースがほとんどでした。

《よくある悪い例》
・「地域密着店です」だけ書いてある
・「私たちの強み」に関するページに強みが3行しか書かれていない
・SNSのプロフィール欄に会社紹介の説明がほぼゼロ
・外部サイトでの紹介が一切ない

これだとAIは判断できません。

《改善のために必要なこと》
・自社サイトに「会社の特徴」「サービスの特徴」を詳しく書く
・SNSにも「少し長め」のプロフィールを書く
・外部サイト(地元メディア・口コミサイト)に紹介してもらうための掲載依頼をする

AIは、いろいろなサイトの情報を組み合わせて会社を理解します。そのため、複数の場所に「同じ説明」があると理解が加速します。

BrightEdgeのレポートでもこう言っています。
“AI engines rely heavily on consistency across the web to validate brand identity.”
(AIエンジンは、ブランドの正当性を判断するため、ウェブ全体における説明の一貫性に強く依存している。)

まさにその通りです。

ポイントA:外部サイトで「第三者から紹介」されるようにする


AIは自社サイトの情報を参考にはしますが、それよりも第三者サイトがあなたの会社についてどう説明しているかを重視します。

つまり、あなたの会社を
・地元のニュースサイト
・業界団体のサイト
・口コミサイト
・専門ブログ
・比較サイト

などが紹介していると、AIにとって「信頼できる会社」に見えます。ここが「SEOとAI検索の大きな違い」です。

検索エンジン対策(従来)は主に
・自社サイトを改善して順位アップ

しかし…
AI検索は
・ウェブ全体で信頼されている企業を推薦する

という違いがあります。

私が支援したある歯科クリニックは、外部サイトで院長の紹介記事を増やしたところ、ChatGPTで地域のおすすめとして名前が出るようになりました。

ポイントB:FAQ(よくある質問)を作るのが効果的


これは初心者にもすぐにでき、AI検索でも一番効果が出やすい方法です。GoogleはFAQを非常に高く評価していて、AIが理解しやすい構造だと明言しています。
“Structured Q&A content helps AI systems understand question–answer relationships.”
(Q&A形式の構造化コンテンツは、AIが質問と回答の関係を理解するのに役立つ。)

あなたのサイトに FAQ があると、
・AIがあなたの会社の得意分野を理解しやすい
・お客さんの疑問を解消できる
・高品質なページとしてGoogleにも評価される

という「三つの効果」があります。


AIに「好かれる会社」は何が違うのか?


AIにはそれぞれ「性格」があり、好む会社の特徴も違います。
ここでは初心者向けに極限までわかりやすくまとめます。

● ChatGPTに好かれる会社


ChatGPTは「話題が多い会社」が好きです。
・SNSでレビューが多い
・ブログで紹介されている
・比較サイトで言及されている
・お客様がネットで質問している会社

こういう会社は ChatGPT によく名前が出ます。

● Googleの「AIによる概要」、AIモードに好かれる会社


Googleは「説明がしっかりしている会社」が好きです。
・サービスの説明が丁寧
・専門性のある文章が多い
・お客様の役に立つ情報が豊富
・医療・法律など専門分野は特に丁寧な解説が必要

大事なのは「正しさ」と「丁寧さ」です。

● Perplexity に好かれる会社


Perplexity は「証拠がある会社」を好みます。
・具体的なデータ
・専門的な根拠
・外部リンク
・出典がはっきりしている情報

こうした「裏付け」がある会社が上位になります。


私が現場で見た「AI検索の成功例」と「失敗例」


成功例:地域の工務店がAI検索で「急浮上」


ある工務店はGoogle検索で強かったのに、ChatGPTで名前が出ませんでした。

そこで
・外部サイトに施工事例を掲載
・地元新聞に寄稿
・FAQを強化
・SNSで施工の裏側を丁寧に紹介

これを行った結果、ChatGPTの「おすすめの工務店」で名前が出るようになりました。

失敗例:EC企業がAIに完全無視されたケース


あるEC企業は、
・サービス説明が2行
・SNSに会社紹介がゼロ
・外部サイトから紹介されていない
・商品カテゴリが曖昧

という状態でした。

AIは「何の会社かわからない」と判断し、どのAI検索にも全く出ませんでした。AI検索は「正体が見えない会社」を選びません。ここが最大のポイントです。


まとめ


BrightEdgeのレポートが教えてくれたことは、とてもシンプルです。
・AIには「それぞれ性格がある」
・AIは「情報量の多い会社」を優先する
・AIは「外部からの紹介」を強く重視する
・AIは「丁寧でわかりやすい説明」が好き
・SEOで勝っていてもAIでは勝てないことが多い

そして、私のコンサル経験から言えることは、AI検索の時代は「理解される会社」が強い。

今までは「Google検索で上位に入れば十分」という時代でした。しかしこれからは「AIに理解されるための情報発信」が必要になります。

その第一歩は、
・会社の説明を丁寧に書く
・SNSにプロフィールを整える
・FAQを作る
・外部サイトで紹介してもらう
・記事やページの文章を増やす

…という、誰にでもできることから始まります。

AI検索はこれからもっと普及し、企業選びの基準は大きく変わっていきます。この記事が、その変化にいち早く適応するためのヒントになれば幸いです。


1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 >
このエントリーをはてなブックマークに追加
                    
鈴木将司の最新作品
プロフィール
一般社団法人 全日本SEO協会 代表理事

 鈴木将司

フォローしてSEOを学ぼう!
X facebook insta tiktok youtube
2025年 12月 >>
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
最新記事