AIOとSEOの違いとは?AI検索時代に企業が知っておきたい5つの違い
2026年10月13日

「Google検索では上位に表示されているのに、ChatGPTやGoogleのAIモードで自社の商品がほとんど紹介されない」ECサイトを運営している方の中には、このような新しい悩みを抱えている方が増えています。これまでSEOに力を入れて検索順位を上げてきたのに、AI検索では競合の商品や企業ばかりが紹介されると、今までのSEO対策が通用しなくなったように感じるかもしれません。
結論からいうと、AIOとSEOはまったく別のものではありません。SEOを土台にしながら、AIがユーザーの質問に答えるために必要な情報を、より広い範囲から収集・理解・選択することを意識するのがAIOです。特に大きな違いは、従来のように特定のキーワードで上位表示することだけを考えるのではなく、「ユーザーはどんな質問をするのか」「自社や商品は第三者からどう評価されているのか」「AIが企業や商品について理解できる情報が十分に存在するか」まで考えなくてはならないことです。
この記事では、自社サイトがAI検索になかなか取り上げられず困っているECサイト運営者の方に向けて、AIOとSEOの違いを初心者にもわかるように解説します。この記事を読み終えたときに、これから自社サイトのどこを改善すればよいのかが見える状態になることを目指します。
AIOとは何か?SEOと完全に別の対策ではない
AIOとは、AI Optimizationの略として使われる言葉で、ChatGPT、GoogleのAIによる概要、AIモードなどの生成AIによる回答の中で、自社や自社サイトの情報が引用・参照・紹介されやすい状態を作るための取り組みを指します。一方、SEOはGoogleなどの検索エンジンで自社ページを見つけてもらいやすくするための取り組みです。
この説明だけを見ると、SEO=Google検索対策、AIO=AI検索対策という別々のものに見えます。しかし、実際にはそれほど単純ではありません。Googleは、AIによる概要やAIモードなどの生成AI検索について、従来から行われてきたSEOの基本的なベストプラクティスが引き続き重要であると説明しています。さらにGoogleの生成AI検索は、検索インデックスや既存の検索ランキングシステムを利用して、回答を裏付けるページを探しています。

つまり、「SEOでGoogleに正しく理解される→検索インデックスに登録される→AIがユーザーの質問に答える際の候補になる」という関係があります。AIOはSEOを捨てて新しい対策に乗り換えることではありません。「SEOの土台の上に、AIに選ばれるための考え方を追加する」と理解するとわかりやすいでしょう。
違い1 AIOではWebページだけでなく「実際のビジネスの評価」まで重要になる
従来のSEOでも、サイト内部だけが評価対象だったわけではありません。被リンクなど外部からの評価も以前から重要でした。しかしAI検索時代には、自社サイト以外に存在する「企業や商品の情報」をより強く意識する必要があります。
たとえばECサイトを運営しているとします。自社サイトには「高品質な商品です」「お客様から高い評価を得ています」と書いてあるとします。一方で、Googleビジネスプロフィールや第三者サイトには低評価の口コミが多数あり、SNSやフォーラムにも「問い合わせへの対応が悪かった」「発送が遅かった」といった書き込みが大量にあったらどうでしょうか。自社サイトに書いてある情報だけを見れば優良企業に見えても、Web全体を見ると違う姿が見えてきます。
Googleは、生成AI検索においてGoogleビジネスプロフィールや商品情報などを整備することを推奨しています。またGoogleのローカル検索では、口コミの数や評価がローカル検索順位に影響することも公式に説明されています。つまりAIOでは、「自社サイトに何を書くか」だけではなく、「Web上で自社がどのような企業として認識されているか」という視点が非常に重要になります。
ECサイトなら、商品レビュー、ショップレビュー、Googleビジネスプロフィール、比較サイト、専門メディア、動画、フォーラムなど、自社以外の場所でどのように評価・説明されているかも確認したほうがよいでしょう。ただし、「Googleが口コミ評価をそのままAI回答の順位決定要因にしている」とまでは公表されていません。AIOでは、自社サイトと実際のビジネスの評判を一致させることが重要だ、と考えるのが適切です。
違い2 キーワードだけでなく「ユーザーの質問」を考える必要がある
SEOでは長年、「どのキーワードで検索順位を上げるか」を考えてページを作る方法が一般的でした。もちろんキーワード調査は現在でも重要です。しかしAI検索では、ユーザーの検索方法そのものが変わってきています。
たとえば従来なら「メンズ 財布 通販」と検索していた人が、AI検索では「30代男性が仕事で使えて、安っぽく見えず、3万円以内で買える財布を教えて」のように質問できます。Googleは、AIモードなどでユーザーが従来より長く、具体的で複雑な質問をすることを説明しています。
さらに重要なのが「Query Fan-Out」です。AIは1つの質問を受け取ったとき、その質問だけを検索するのではなく、関連する複数のサブクエリを生成して情報を探す場合があります。先ほどの財布の例なら、「30代男性 財布」「ビジネス 財布」「3万円以下 財布」「革財布 耐久性」「男性 財布 人気ブランド」といった複数のテーマを調べ、総合して回答するイメージです。
そのためAIOでは、単一のキーワードだけを見るのではなく、「購入前にどんな疑問を持つのか」「比較するとき何を知りたいのか」「購入をためらう理由は何か」「購入後に何が気になるのか」という質問を洗い出すことが重要です。ただし、質問の細かな言い換えごとに大量のページを作ればよいわけではありません。Googleも、検索語句の微妙な違いごとにページを大量作成する方法を推奨していません。
大切なのはキーワードベースから「ユーザーの疑問・課題ベース」に発想を広げることです。
違い3 AIOではSNSや動画など自社サイト以外の情報発信も無視できない
AIOではSNSも重要になってきています。ただし、「Instagramのフォロワーが多ければAI検索で上位になる」という単純な話ではありません。GoogleはSNSのフォロワー数や「いいね」の数をAI検索の直接的なランキング要因だとは公表していません。
一方で、Google検索ではInstagram、TikTok、X、YouTubeなどのコンテンツそのものが検索対象になっています。2026年にはGoogle Search Consoleでも、Instagram、TikTok、X、YouTubeなどの投稿がGoogle検索でどのように見つけられているかを確認できる機能が拡充されました。
AI検索ではWebサイトだけではなく、動画、ブログ、フォーラムなどWeb上のさまざまな情報が参照されます。だからこそ、「Webサイトでは詳しい解説をする」「YouTubeでは専門家として説明する」「SNSでは最新情報や事例を発信する」「第三者メディアにも掲載される」というように、複数の場所で一貫した情報を発信することが重要になります。
AIO時代には「サイトだけを育てる」のではなく、「Web全体で専門家・企業・ブランドとしての存在感を育てる」という考え方が必要になってきたのです。

違い4 構造化データは重要だが、入れるだけでAIOに強くなるわけではない
AIO対策で注目されているものの1つが構造化データです。構造化データとは、ページに書かれている情報の意味を検索エンジンが理解しやすい形式で伝える仕組みです。
たとえばECサイトなら、商品名、価格、在庫状況、ブランド、レビューなどを決められた形式で記述できます。人間には普通のページを見れば意味がわかりますが、コンピューターに対して「これは商品名です」「これは価格です」と明確に伝える名札のようなものだと考えるとわかりやすいでしょう。
Googleも、構造化データによってページの内容をより正確に理解できると説明しています。その意味では、ECサイトのAIO対策でもProduct、Organization、Breadcrumbなど適切な構造化データを整備する価値があります。
ただし注意が必要です。Googleは2026年の生成AI検索向け公式ガイドで、構造化データを過度に重視すべきではないと明記しています。AI検索に表示されるための特別なSchema.orgマークアップはありません。つまり、「構造化データを入れればAIに引用される」というわけではありません。構造化データは、AIや検索エンジンが情報を誤解しにくい環境を作るための基礎整備と考えるのが適切です。
違い5 AIOはSEOより早く変化が見えるケースがあるが、保証はできない
AIO対策では、SEOより比較的短期間で変化が確認できるケースがあります。SEOの場合、競争の激しいキーワードで10位から3位、1位へ順位を上げるには、コンテンツ改善、被リンク獲得、サイト全体の評価向上などに時間がかかることがあります。
一方、生成AIの回答は質問によって参照するページの組み合わせが変化します。そのため、「特定の質問に答える情報を追加する」「専門家のコメントを追加する」「一次情報を追加する」「比較表を追加する」「不足していた情報を補完する」といった改善によって、特定の質問では比較的早く引用状況が変化するケースがあります。
生成AI検索の研究でも、コンテンツの表現や根拠の提示方法などによって生成AI回答内の可視性が変化することが報告されています。ただし「AIOなら必ずSEOより早く成果が出る」という意味ではありません。Google自身も、ページを変更してから再クロールされるまで数日から数カ月かかる場合があると説明しています。
AIOは検索順位だけを見るSEOよりも、特定クエリでの引用・言及という変化を確認しやすいケースがある、と理解するのが適切です。

SEOとAIOの違いを簡単に整理すると
SEOでは、検索エンジンにページの価値や関連性を正しく理解してもらい、検索結果で見つけてもらうことが中心になります。AIOでは、そのSEOを土台にしながら、「ユーザーがどんな質問をするのか」「その質問に対する答えが十分に用意されているか」「AIが企業・商品・専門家を正しく理解できるか」「第三者からどのように評価されているか」「Webサイト以外にも信頼できる情報が存在するか」まで視野を広げます。
つまりSEOがなくなってAIOに置き換わるのではありません。これからは「SEOで検索エンジンに評価される+AIOでAIの回答に選ばれる」という両方を考える必要があります。
まとめ SEOを土台に「AIから見た自社」を改善しよう
自社サイトがAI検索でなかなか取り上げられないと、「何か特別なAIOテクニックをしなければならないのではないか」と考えてしまうかもしれません。しかし、まず行うべきことは特別な裏技ではありません。
自社サイトのSEOを整えたうえで、ユーザーが実際に尋ねる質問に答えるコンテンツを増やし、商品情報や企業情報を正しく伝え、構造化データを整備し、SNSや動画、第三者サイトを含めたWeb全体で信頼される状態を作っていくことです。
特にECサイトなら、商品ページを増やすだけでなく、「どの商品を選べばよいのか」「他の商品と何が違うのか」「誰に向いているのか」「購入前に何を確認すべきなのか」「実際に使用した人はどう評価しているのか」といった購入者の疑問に答える情報を充実させてみてください。
そしてChatGPTやGoogleのAIモードなどで、自社がどの質問では表示され、どの質問では競合しか表示されないのかを定期的に確認します。表示されない質問が見つかったら、それは失敗ではなく「次に追加すべき情報が見つかった」ということです。
SEOで培ってきた土台を活かしながら、ユーザーの質問、第三者評価、企業情報、商品情報まで含めて少しずつ改善していけば、AIに理解され、引用・紹介される機会を増やしていくことができます。まずは自社のお客様がAIに尋ねそうな質問を20個ほど書き出し、自社サイトがその質問に十分答えられているか確認するところから始めてみてください。
正しい方向で検証と改善を積み重ね、SEOでもAI検索でも選ばれるサイトへ成長していくことを願っています。
「AIモード」の月間利用者が10億人を突破――Googleの決算発表から読み解く検索の現在地と企業が見直すべきこと
2026年10月11日

GoogleのAI検索機能「AIモード」を使う人が、月に10億人を超えました。
Googleの親会社であるAlphabetは、2026年7月22日に第2四半期(4〜6月)の決算を発表しました。その説明会でGoogleのスンダー・ピチャイCEOは、2025年10月に「AIモード」を世界に広げて以降、月間アクティブユーザー(その月に1回以上使った人の数)が10億人を超えたと述べています。
「AIモード」とは、Google検索の中で使える対話型のAI検索機能です。質問を入力すると、AIが複数の情報源を調べて回答をまとめ、続けて質問を重ねることもできます。ピチャイCEOはあわせて、「AIモード」によって検索の総数が増えていること、AI機能を通じて毎週数十億回のクリックをWebサイトに送っていること、「AIモード」の回答にかかるコストが提供開始以来の最低水準になったことも説明しました。
この記事では、決算で語られた内容を整理したうえで、その数字をどう読めばよいのか、そして企業のWeb担当者が何を見直すべきかを、SEOのコンサルティングに長く携わってきた立場から解説します。
ピチャイCEOが決算で語ったこと
Googleの公式ブログに掲載されたピチャイCEOの発言のうち、検索に関係する主な内容は次のとおりです。
1. 「AIモード」の月間アクティブユーザーが10億人を超えた
2025年10月に「AIモード」を世界に広げて以降、月間アクティブユーザーが10億人を超えたと述べています。
2. 「AIモード」が検索の総数を押し上げている
AIを使った機能が検索の利用を増やしており、「AIモード」は検索全体の回数を上乗せする形で増やしていると説明しています。
3. AI機能を通じて毎週数十億回のクリックをWebサイトに送っている
検索のAI機能から、毎週数十億回のクリックがWebサイトに送られているとしています。
4. 「AIモード」の回答コストが提供開始以来の最低水準になった
より高度なAIの機能を加えながらも、この四半期に「AIモード」の回答にかかるコストを提供開始以来の最低水準まで下げたと述べています。
このほか、「AIによる概要」と「AIモード」を一つの検索体験に統合したことや、Geminiアプリの月間アクティブユーザーが9億5,000万人に達したことにも触れています。なお、これらはいずれもGoogle自身による発表で、第三者が検証した数字ではありません。
わずか1年あまりで10億人に届いた背景
「AIモード」は、2025年5月に米国で一般向けの提供が始まった比較的新しい機能です。
1年前の2025年7月の決算説明会では、「AIモード」の月間アクティブユーザーは、当時提供されていた米国とインドで1億人を超えたところだと発表されていました。米国のIT専門メディアTechCrunchが当時伝えています。
その後、2025年9月には日本語を含む5つの言語に対応し、日本でも日本語で「AIモード」が使えるようになりました。さらに10月には世界に提供地域が広がり、利用者が一気に増えていきます。
実は10億人という数字は、2026年5月の開発者向けイベント「Google I/O」の時点で、すでに公表されていました。そのときGoogleは、「AIモード」の検索の数が、提供開始以来、四半期ごとに2倍以上のペースで増えてきたとも説明しています。7月の決算は、その勢いが続いていることを改めて示した形です。
検索の回数はむしろ増えている
「AIで調べる人が増えると、従来の検索は使われなくなるのではないか」。セミナーなどで、こうした質問をいただくことがよくあります。
今回の決算でピチャイCEOは、「AIモード」は検索全体の回数を上乗せする形で増やしていると説明しました。つまり、従来の検索が「AIモード」に置き換わっているだけではなく、AIがあることで検索そのものの利用が増えているというのがGoogleの見方です。ピチャイCEOによると、検索などの事業の売上も前年同期比で17%増えています。
これは、これまで検索では答えが得にくかった複雑な質問や、長い相談ごとまで、検索で尋ねるようになった人が増えていると考えられます。「近くの歯医者」と短く調べていた人が、「子どもが歯医者を怖がるので、時間をかけて説明してくれる歯医者を探している」と、そのまま相談するようになっているのです。
「毎週数十億回のクリック」をどう読むか
Webサイトの運営者にとって最も気になるのが、「AI機能を通じて毎週数十億回のクリックをWebサイトに送っている」という説明でしょう。
ただし、この数字はGoogleが公表したもので、AI機能が登場する前と比べて増えたのか減ったのかは示されていません。数十億回という数字は大きく聞こえますが、Googleの検索全体の規模を考えると、それだけで安心できる材料とは言えません。
第三者の調査では、別の傾向も示されています。米国の非営利の調査機関Pew Research Centerが2025年に米国の成人900人の閲覧データを分析したところ、検索結果にAIの要約が表示されたとき、通常の検索結果のリンクがクリックされた割合は8%でした。AIの要約が表示されなかったときの15%と比べて、およそ半分です。
Googleの発表と第三者の調査は、どちらか一方だけが正しいというものではありません。全体として多くのクリックが送られていても、一つひとつの検索でクリックされる割合は下がっている可能性がある、と両方を合わせて読むのが現実的です。
大切なのは、世の中の平均の数字よりも、自社のサイトで何が起きているかです。Googleの説明によると、「AIによる概要」や「AIモード」から自社サイトへのアクセスは、サーチコンソールの検索パフォーマンスのレポートに、通常の検索と合わせて計上されます。また、生成AIの機能での表示状況を確認できる専用のレポートも用意されています。まずは自社のデータで、表示回数とクリック数の変化を確かめておきましょう。
回答コストの低下が意味するもの
決算の中で、SEOの担当者が見落としがちなのが「AIモード」の回答コストが下がったという話です。
AIが回答を作るには、膨大な計算が必要です。そのため、AIの回答は通常の検索結果を表示するよりも、ずっとお金がかかります。コストが高いうちは、AIの回答を出す検索を絞らざるを得ません。
ところが、より高度な機能を加えながらもコストが最低水準まで下がったということは、Googleが今後、より多くの検索でAIの回答を出しやすくなったことを意味します。レストランにたとえると、手間のかかる料理を安く作れる仕組みが整ったので、メニューのより多くの品に出せるようになった、という状態です。
もちろん、どの検索でAIの回答を出すかを決めるのはGoogleで、コストが下がったからといってすぐにすべての検索でAIの回答が表示されるわけではありません。それでも、AIの回答を広げる上での大きな壁の一つが低くなったのは確かです。AIの回答が表示される検索は、今後さらに広がっていくと考えて準備しておくべきです。
「AIによる概要」と「AIモード」の境目がなくなった
ピチャイCEOは、「AIによる概要」と「AIモード」を一つの検索体験に統合したことにも触れました。これは、2026年5月のGoogle I/Oで発表されたものです。Googleの公式ブログによると、通常の検索結果に表示される「AIによる概要」から、そのまま続けて質問すると、「AIモード」での対話に移れるようになりました。会話の流れは引き継がれ、パソコンでもスマートフォンでも、世界中で使えるようになっています。
これまでは、「AIによる概要」は検索結果の一番上に表示される要約で、「AIモード」は専用の画面で使う対話型の検索という、別々の機能でした。それが一つにつながったことで、検索した人が要約を読み、そのまま気になる点を質問し、さらに深く調べていく流れが自然にできあがります。
企業にとっては、最初の要約で名前が挙がるかどうかだけでなく、その後に続く質問の中で自社が紹介されるかどうかも大切になるということです。
「AIモード」で自院を調べてみた歯科医院
先日、ある歯科医院のクライアントさんから「『AIモード』が広がっているのは知っているが、うちの医院がどう扱われているのか分からない」というご相談をいただきました。
そこで、患者さんが実際に尋ねそうな質問を一緒にいくつか考え、「AIモード」に入力してみました。「◯◯駅の近くで、土曜日も診療している小児歯科は?」といった質問です。すると、医院の名前は回答にほとんど出てきませんでした。
医院のサイトを拝見すると、土曜日の診療時間や、子どもの治療で心がけていることが、画像の中にしか書かれていませんでした。私は「AIが読み取れるように、大切な情報は文章で書きましょう」とお伝えし、診療時間や子どもの治療方針を説明するページを文章で整えていただきました。数か月後、同じ質問をしてみると、回答の中に医院の名前が挙がるようになっていました。
10億人の時代に企業が見直したい3つのこと
最後に、「AIモード」の利用者が10億人を超えた今、企業が見直しておきたいことを3つ紹介します。
1. キーワードではなく「質問」で自社を調べる
自社のお客さんが「AIモード」に入力しそうな質問を考え、実際に入力してみます。自社が回答の中でどう紹介されているか、されていないかを確かめることが出発点です。
2. 大切な情報を文章で書く
画像やPDFの中にしか書かれていない情報は、AIが読み取りにくくなります。営業時間、料金、対応しているサービスなど、お客さんが知りたい情報は、ページの本文に文章で書いておきます。

3. 続けて聞かれる質問まで答えておく
「AIによる概要」から「AIモード」へと会話が続くようになった今、最初の質問だけでなく、その次に聞かれそうな質問への答えまで用意しておくことが大切です。よくある質問のページを充実させるのも有効です。

まとめ
今回の話をまとめると、Googleは2026年7月の決算で、「AIモード」の月間アクティブユーザーが10億人を超えたこと、「AIモード」が検索の総数を押し上げていること、AI機能を通じて毎週数十億回のクリックをWebサイトに送っていること、回答コストが提供開始以来の最低水準になったことを説明しました。「AIによる概要」と「AIモード」も、一つの検索体験として統合されています。
これらはGoogle自身による発表です。第三者の調査ではAIの要約が表示されるとクリックされる割合が下がるという結果も出ており、両方を合わせて読む必要があります。それでも、AIで検索することが10億人規模の当たり前の行動になったことは間違いありません。
10億人という数字は、AIで調べることがもう一部の人の特別な体験ではないことを示しています。来週の社内の打ち合わせでは、自社の名前ではなく、お客さんが抱えている悩みをそのまま「AIモード」に入力してみてください。そこに表示される回答が、これからのお客さんが最初に目にする「検索結果」です。
「関連する質問」を開くとほぼ100%「AIによる概要」が表示される!――強調スニペットの時代の終わりと、質問に答えるページの新しい役割
2026年10月09日

Googleで検索したとき、検索結果の途中に「関連する質問」という欄が表示されることがあります。関連する質問がいくつか並び、気になる質問をクリックすると、その答えが開く機能です。
この「関連する質問」の答えの中身が、大きく変わりました。これまでは、Webサイトの文章をそのまま抜き出した「強調スニペット」と呼ばれる形で答えが表示されていました。それが今では、「AIによる概要」(英語圏では「AI Overviewと言われる)というラベルの付いた、AIが作った回答にほぼ置き換わっています。
英語の検索を分析した民間企業の調査によると、AIの回答の割合は2026年8月の86%から、9月初めには97%に増えました。別の調査会社は、8月の時点ですでに100%だったと報告しています。
この記事では、この変化の中身とデータの読み方、影響を受けやすいページの特徴、そしてサイト運営者が今確かめておきたいことを、SEOのコンサルティングに長く携わってきた立場から解説します。
「関連する質問」とはどんな機能か
「関連する質問」は、英語ではPeople Also Ask(PAA)と呼ばれる機能です。検索した言葉に関連して、ほかの人がよく調べている質問を一覧で表示します。
たとえば「確定申告」と検索すると、「確定申告はいつまで?」「確定申告をしないとどうなる?」といった質問が並びます。質問をクリックすると答えが開き、さらに関連する質問が下に追加されていきます。

これまで、この答えには「強調スニペット」が使われてきました。強調スニペットとは、Googleが質問への答えとしてふさわしいWebページを選び、その文章の一部をそのまま抜き出して表示するものです。答えの下にはそのページへのリンクが表示されるため、ここに選ばれることは、サイトにとって大きな集客の機会になっていました。
回答の97%がAIに置き換わった
この変化を報じたのが、海外のSEO専門メディアSearch Engine Roundtableです。2026年9月9日の記事で、2つの調査結果を紹介しました。
一つは、「関連する質問」の分析ツールを提供するAlsoAsked社のマーク・ウィリアムズ=クック氏の調査です。英語の検索およそ2,000万件を分析したところ、答えがAIの回答になっている割合は、8月の86%から、9月の第1週には97%に増えていました。同氏は「まもなく100%に達する可能性が高い」と述べています。
もう一つは、Allintitle社のサイード・コスラヴィ氏の報告です。同社のツールでは、2026年8月の時点で「関連する質問」の答えは100%AIが作ったものになっていたとしています。
新しい答えには「AI Overview」というラベルが付き、答えの下には出典となったWebページのリンクが表示されます。なお、Googleはこれらの数字についてコメントしていません。
《出典》 Almost 100% Of People Also Ask Results Are Answered By Google AI Overviews(Search Engine Roundtable)
海外メディアのSearch Engine Watchも同じ日にこの変化を伝え、コスラヴィ氏の「Googleは従来の『関連する質問』の答え、つまりWebページから直接抜き出した文章を完全に引退させた」という言葉を紹介しています。
14か月で12.6%からほぼ100%へ
この変化は、ここ2年ほどの間に段階的に進んできたものです。
最初に確認されたのは2024年11月です。Search Engine Roundtableによると、検索順位を調べるツールを開発するデレク・パーキンス氏が、「関連する質問」の答えとして、強調スニペットの代わりに「AIによる概要」が表示されるテストを見つけました。
2025年5月には、SEOのデータを提供するDataForSEO社が、「関連する質問」の答えが強調スニペットなのかAIの回答なのかを見分けられるよう、データの取得の仕組みを更新したと発表しています。ツールの会社が対応を急ぐほど、AIの回答が無視できない量になってきていたということです。
そして2025年7月の時点で、AlsoAsked社の計測では、AIの回答の割合は12.6%でした。残りの87.4%は、Webサイトを引用した強調スニペットです。そこからわずか14か月ほどで、ほぼすべてがAIの回答に置き換わったことになります。
新聞にたとえると分かりやすいでしょう。これまでの強調スニペットは、ある記事の一部を「切り抜き」としてそのまま見せるものでした。切り抜きの下には新聞社の名前が載っていて、続きを読みたい人はその新聞を手に取ります。これからのAIの回答は、記者がいくつもの記事を読んで、自分の言葉でまとめ直した解説のようなものです。元の記事の名前は添えられていますが、読者は解説だけで満足しやすくなります。
数字を読むときに押さえたい3つの限界
ただし、「ほぼ100%」という数字をそのまま受け取るのは注意が必要です。2026年9月11日に、デジタルマーケティング会社Relevant Audienceがデータの限界を整理しています。
1. 英語の検索だけが対象
どちらの計測も英語の検索だけを対象にしており、英語以外の市場の数字はありません。
2. クリックへの影響は分かっていない
クリック数やクリック率がどう変わったのかについてのデータはありません。
3. Googleは認めていない
数字はいずれも民間企業のツールによるもので、Googleの公式な発表やコメントではありません。第三者の検証も経ていません。
影響を受けやすいページと受けにくいページ
Relevant Audienceは、影響を受けやすいページと受けにくいページについても整理しています。
影響が大きいとみられるのは、やり方の解説、サポート情報、用語集、医療や金融の解説、質問の形をとったブログ記事などです。つまり、「◯◯とは」「◯◯のやり方」「◯◯はいつまで」といった質問に答えるページです。これまで強調スニペットとして「関連する質問」に選ばれやすかったページほど、影響を受けやすいことになります。
一方、社名や商品名での検索、購入を目的とした検索、地図の情報が中心となる地域の検索では、影響は比較的小さいとしています。
日本語の検索ではどうなっているのか
日本のサイト運営者にとって気になるのは、日本語の検索でも同じことが起きているかどうかです。結論から言うと、日本語の検索で「関連する質問」の答えがどれだけAIの回答に置き換わっているかを示すデータは、見つかりませんでした。
参考になるのが、SEOツールを提供する株式会社JADEの観測です。同社の2026年9月9日の記事によると、日本語の検索結果で「関連する質問」が表示されたキーワードの数は、8月12日の週に171,039件となり、前の週より11.3%増えました。検索結果の上位2枠以内に表示される割合も、10.85%から15.29%に広がっています。日本語の検索でも、「関連する質問」の存在感そのものは増しているということです。
同じ記事では、商品やサービスを比べる検索で「AIによる概要」が表示される割合が0.6%から47%に伸びたことも紹介されています。ただし、これらは同社が独自に追跡している十数万件のキーワードでの暫定的な数字で、日本全体を集計したものではありません。また、日本語の「関連する質問」の答えがAIの回答になっているかどうかについては書かれていません。
強調スニペットで集客してきた動物病院
先日、ある動物病院のクライアントさんから「以前は『関連する質問』に病院のページがよく表示されていたが、最近はAIの回答ばかりになった気がする」というご相談をいただきました。
その病院では、「子犬のワクチンは何回打つ?」「猫の避妊手術は何歳から?」といった飼い主さんの疑問に答えるページを、長年こつこつと書いてきました。こうしたページは強調スニペットに選ばれやすく、病院を知ってもらう入り口になっていました。
一緒に実際の検索結果を開いてみると、答えはAIの回答に変わっていましたが、その下の出典には病院のページが含まれていました。私は「これまで書いてきたページは、今もAIに信頼できる情報源として使われています。そのうえで、一般的な答えの先にある情報を足しましょう」とお伝えしました。地域で多い病気の傾向や、病院で実際によく受ける相談、費用の目安など、病院にしか書けない情報を加えていただきました。
自社の「関連する質問」を確かめる方法
日本語の検索でどこまで変化が進んでいるかを知るいちばん確実な方法は、自社に関わるキーワードで、実際に「関連する質問」を開いてみることです。

自社のサイトに集客しているキーワードを、Search Console(Googleが無料で提供しているサイト運営者向けの分析ツール)で確認し、その中から質問の形のキーワードをいくつか選びます。実際に検索して「関連する質問」の質問を一つずつ開き、答えに「AI Overview」や「AIによる概要」のラベルが付いているか、出典に自社のページが含まれているかを確かめてください。
結果は日によって変わることがあるので、月に一度など、決まった間隔で同じキーワードを確かめて記録しておくと、変化をつかみやすくなります。
AIの要約では満たせない情報で選ばれる
最後に、「関連する質問」の答えがAIに置き換わっていく中で、サイト運営者が取り組みたいことを3つ紹介します。
1. 出典として選ばれ続けるページを保つ
AIの回答の下には出典のリンクが表示されます。正確で分かりやすい答えを持つページは、今もAIの材料として選ばれます。これまで書いてきた質問に答えるページを、最新の情報に保っておきます。
2. 要約の先にある独自の情報を加える
Relevant Audienceは、独自のデータ、実際に使ったうえでの商品の詳しい情報、価格、地域の事情など、AIの要約では再現できない情報が、読者がクリックする理由になると指摘しています。一般的な答えだけで終わらず、自社にしか書けない情報を加えます。
3. 質問に答えるページへの集客の変化を見る
Search Consoleで、質問の形のキーワードの表示回数とクリック数を定期的に比べます。表示回数は変わらないのにクリックが減っているページがあれば、そこから見直しを始めます。
まとめ
今回の話をまとめると、英語の検索では、「関連する質問」の答えが、Webサイトの文章を抜き出した強調スニペットから、「AI Overview」のラベルが付いたAIの回答へとほぼ置き換わりました。AlsoAsked社の調査では2026年8月の86%から9月初めに97%へ、Allintitle社は8月の時点で100%と報告しています。2025年7月の12.6%から、わずか14か月ほどでの変化です。
ただし、これらは英語の検索だけを対象にした民間企業の計測で、クリックへの影響は分かっておらず、Googleも認めていません。日本語の検索で同じことが起きているかを示すデータも、まだありません。だからこそ、自社のキーワードで実際に確かめることが大切です。
強調スニペットは、長い間「質問にきちんと答えたページ」へのごほうびのような存在でした。そのごほうびの形が、AIの回答の出典という形に変わろうとしています。これまで読者の疑問に誠実に答えてきたページは、形が変わっても材料として使われ続けます。次は、AIの答えを読んだ人が「もっと詳しく知りたい」と思ったときに、その期待に応えられるページになっているかを見直してみてください。
「Deep Search」という新機能――「AIモード」が数百の並列検索で作る「専門家レベルレポート」の正体
2026年10月07日

「AIモード」の中でユーザーが有効化できる「Deep Search」という新機能が、2026年5月のGoogle I/Oで発表されました。この機能は、単に情報を検索する道具というより、「専門の調査員がユーザーに代わって数百件の情報源を調べ、専門家レベルのレポートを作成する」ような働きをする、これまでのAI検索とは一線を画す仕組みです。
多くの企業のWeb担当者や経営者が、「Deep Search」を「単なる新機能の1つ」として認識しています。しかし、この機能は「AIモード」の中でも特別な位置付けを持ち、企業のコンテンツ戦略に対して独自の要求を突き付けます。「Deep Search」で選ばれる情報源になれる企業と、なれない企業では、専門的な検討をするユーザーからの信頼獲得において決定的な差が生まれるのです。
多くの企業の支援を行ってきた立場から見ると、「Deep Search」の登場は、コンテンツ発信の質を測る新しい基準の登場を意味しています。「一般ユーザー向けに書かれた記事」から「専門家の調査に耐える記事」へと、質の高い情報発信の水準そのものが引き上げられている状況です。この変化への対応が、これからのB2B企業や専門性の高いサービスを提供する企業の集客成果を大きく左右します。
今回は、「Deep Search」という新機能の正体、その仕組み、そして企業のコンテンツ戦略への影響について、実務の視点から解説します。
「Deep Search」とは何か
「Deep Search」は、「AIモード」の中でユーザーが有効化できる、深い調査に特化した機能です。
ユーザーが「AIモード」の中でDeep Searchを有効化すると、AIは通常のマルチターン検索(複数回の対話を1つのセッションとして扱う検索方式)とは異なる動作をします。1つの質問に対して数百件規模の並列検索を実行し、集めた情報を統合して、専門家レベルの詳細レポートを生成するのです。
生成されるレポートは、通常の「AIモード」の回答よりもはるかに深く、複数の観点を統合した詳細な内容になります。市場分析、技術動向調査、比較検討、業界レポートといった、通常なら専門調査会社に依頼するような水準の情報が、数分から数十分程度で生成される仕組みです。

数百の並列検索という仕組み
「Deep Search」が数百件の並列検索を実行する仕組みは、市場調査会社が数百のアンケートと文献から1つのレポートを作り上げる過程と似ています。
市場調査会社が業界レポートを作成する時、担当者が1人だけで情報を集めるわけではありません。複数の調査員が並行して、それぞれ異なる情報源(業界統計、企業インタビュー、消費者アンケート、公開資料など)から情報を集めます。集めた情報を統合し、専門家としての分析を加え、1つの詳細なレポートに仕上げる。この分業と統合のプロセスが、質の高い調査レポートを生む仕組みです。
「Deep Search」も、まったく同じ構造で動作します。ユーザーが1つの質問を投げかけると、AIは自動的に数百のサブクエリ(元のクエリを細分化した派生クエリ)を生成し、それぞれについて並行して情報を集めます。集めた情報を統合し、AIの分析を加え、1つの詳細レポートを組み立てるのです。
この仕組みの重要な点は、情報源の多様性が確保されることです。数百件の並列検索により、テキスト記事だけでなく、動画・PDFレポート・研究論文・専門メディア・コミュニティ投稿といった多様な形式の情報源が引用対象になります。

《出典》 Google Search adds Gemini 2.5 Pro, AI Deep Search, and agentic local calling(Search Engine Land)
「専門家レベルレポート」の構造
「Deep Search」が生成する「専門家レベルレポート」の構造を整理します。
生成されるレポートには、以下のような共通の構造があります。
1. 主題の全体像の提示
レポートの冒頭で、扱う主題の全体像・背景・重要性が整理されます。単なる情報の羅列ではなく、主題を体系的に理解できる構成です。
2. 複数の観点からの分析
主題を複数の観点(技術面・市場面・法規面・トレンド面など)から分析し、多面的な理解を提供します。1つの視点だけでは見えない全体像を、統合的に示します。
3. 具体的な数字とデータの提示
抽象的な議論ではなく、具体的な数字・統計・データを盛り込んだ分析が展開されます。「AIモード」で引用される情報源に、事実密度の高い情報が求められる理由です。
4. 引用ソースの明示
各分析の根拠となる引用ソースが明示されます。ユーザーはレポートの各部分について、元の情報源を確認できます。
5. 結論と示唆の整理
レポートの末尾では、集めた情報から導き出せる結論と、実務的な示唆が整理されます。

通常の「AIモード」との違い
Deep Searchと通常の「AIモード」の違いを整理します。
通常の「AIモード」は、ユーザーとの対話的なやり取りの中で、その都度必要な情報を提供します。1つの質問に対して比較的短時間(数秒〜数十秒)で回答を返し、追加質問に応じてさらに情報を深掘りしていく体験です。
Deep Searchは、ユーザーが最初に「徹底的に調べてほしい」と伝えた後、数分から数十分の時間をかけて、集中的に調査を実行します。ユーザーは待つ時間を許容する代わりに、はるかに深く網羅的なレポートを受け取れます。
この違いは、以下のような使い分けを生みます。日常的な情報検索や短時間の相談には通常の「AIモード」、専門的な調査や意思決定のための深い分析にはDeep Search、といった使い分けです。ユーザーは目的に応じて2つを使い分けるようになります。
Deep Searchが使われる場面
Deep Searchが実際に使われる場面を整理します。
1. 購買前の徹底調査
高額商品の購入前、複数の選択肢を徹底的に比較検討する場面で、Deep Searchが選ばれます。住宅・車・BtoB向けサービス・投資商品といった、大きな意思決定を伴う購買行動の初期段階です。
2. 業界動向の把握
業界のマクロトレンド、市場規模の推移、主要プレイヤーの動向といった、業界の全体像を把握したい時にDeep Searchが有効です。BtoB企業の担当者が調査目的で使うケースが増えています。
3. 専門的な意思決定支援
医療・法律・税務・金融といった専門的な意思決定の前段階で、Deep Searchによる調査が行われます。専門家に相談する前の予備知識として活用されます。
4. 研究や学習の資料集め
研究者・学生・専門家が、特定テーマについて既存情報を体系的に把握する目的で使います。文献調査の代替として機能する場面です。
Deep Searchで引用されるコンテンツの特徴
Deep Searchで引用されるコンテンツには、通常の「AIモード」以上に厳しい条件があります。
1. 徹底的に深く網羅的な情報
Deep Searchは、深い情報を求めるユーザーの調査に応えるため、断片的な情報ではなく、体系的で網羅的な情報を優先します。1テーマについて数千字から1万字規模の深い記事が有利になります。
2. 一次情報の豊富さ
独自調査データ、実務経験に基づく具体的事例、専門家としての独自解釈など、他では得られない一次情報が高く評価されます。
3. 著者の権威性が確立されている
E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性、Googleがコンテンツの質を判断する4つの指標)シグナルが明確な情報源が優先されます。専門家として業界内で認知されている著者による記事が選ばれやすくなります。
4. 業界メディアや権威ある情報源からの言及
自社サイト単独ではなく、業界メディアや権威ある情報源で言及されているブランドの情報が、Deep Searchで有利になります。エンティティ(実在する人物や組織としての情報の集合体)としての確立度が問われます。
企業のコンテンツ戦略への影響
Deep Searchが企業のコンテンツ戦略に与える影響を整理します。
1. 「専門家レベルの情報発信」への昇華
一般ユーザー向けの入門記事だけでなく、専門家に読まれても評価される深い情報の発信が求められます。BtoB向けの詳細な技術解説、業界レポート、実務経験に基づく専門的な分析といった、高い水準の情報発信が必要になります。
2. 業界内でのポジション確立の重要性
Deep Searchで引用される情報源は、業界内で認知された企業に集中する傾向があります。業界メディアへの寄稿、業界カンファレンスへの登壇、業界団体での活動といった、業界内でのエンティティ確立への投資が重要になります。
3. 一次情報の継続的な発信
自社の独自調査、業界動向の分析、実務データの公開といった、他では得られない一次情報の継続発信が、Deep Searchでの引用機会を高めます。
コンサル事例:中古自動車査定サービスでのレポート型コンテンツ
ある中古自動車査定サービスのクライアントさんの事例です。「中古車の売却を検討するユーザーがDeep Searchで詳細な相場調査を行うようになった」というご相談でした。
拝見すると、査定サービスの案内は整備されていましたが、中古車市場の動向・車種別の相場推移・売却時期の判断といった、調査目的で読まれる深い情報の発信が薄い状態でした。私は、月次で中古車市場のレポートを発表することを提案しました。人気車種の相場推移、季節要因、輸出動向、走行距離別の価格差など、業界データを体系的に整理したレポート形式です。数ヶ月後、中古車の売却相談的なクエリで「AIモード」のDeep Searchに自社レポートが引用されるようになりました。
まとめ
今回の話をまとめると、「Deep Search」は「AIモード」の中で動作する数百件の並列検索によって専門家レベルのレポートを生成する新機能で、企業のコンテンツ発信に「専門家に読まれても評価される深さ」という新しい水準を要求している、ということです。
徹底的に深く網羅的な情報の発信、一次情報の継続的な発信、業界内でのエンティティ確立、著者の権威性の明示という4つの方向で対応を進めることで、Deep Searchでの引用獲得が可能になります。この対応は、単なる新機能への対策ではなく、企業のコンテンツ発信の質そのものを引き上げる取り組みとして位置付けることが重要です。
AI検索時代になったからSEOが終わるのではありません。むしろ、本当に信頼される専門家や企業が評価される時代が始まったのです。今後のSEOで成果を出すためには、「検索順位を上げること」だけではなく、「AIやユーザーから信頼される存在になること」を目指す必要があるでしょう。
ChatGPT広告が「会話できる広告」に――Sponsored AgentsとShopify連携で何が変わるのか
2026年10月04日

ChatGPTの画面に広告が表示されるようになって、半年余りがたちました。日本でも2026年8月に広告の提供が始まり、ChatGPTの回答の下に「スポンサー」と書かれた広告を見かけた方もいるはずです。
その広告が、新しい段階に入ろうとしています。OpenAI社は2026年9月16日、ChatGPT広告の新機能をまとめて発表しました。目玉は「Sponsored Agents(スポンサード・エージェント)」と呼ばれる仕組みです。広告をクリックすると、その企業が用意したAIと会話できるようになります。
あわせて、広告文や画像をAIが提案する機能や、顧客管理ツールのHubSpot、ネットショップ作成サービスのShopifyとの連携も発表されました。
この記事では、発表された内容と日本の事業者への影響、そして実際に試すときの考え方を、SEOとWeb集客の相談に長く携わってきた立場から解説します。
ChatGPT広告に4つの新機能が加わった
OpenAI社が公式ブログで発表した主な新機能は、次の4つです。
1. 会話できる広告「Sponsored Agents」
広告をクリックした人が、その企業のAIと会話できる新しい広告の形です。現在は米国の一部の広告主とテストしている段階です。
2. 広告管理画面でのAIによる提案
広告文や画像の案を、AIが提案してくれる機能です。広告を出す手間を減らすためのものです。
3. HubSpotとの連携
HubSpotの画面から、ChatGPT広告の作成や成果の確認ができるようになりました。発表日から使えるとされています。
4. Shopify向けのアプリ
Shopifyでネットショップを開いている事業者が、専用アプリからChatGPT広告を出せるようになりました。米国で先に提供が始まり、9月23日からはChatGPT広告を扱うほかの国でも使えるようになるとされています。

Sponsored Agentsは会話できる広告
今回の発表で最も新しいのが、Sponsored Agentsです。
ここでいうエージェントとは、利用者の質問に答えたり、手続きを手伝ったりするAIの担当者のことです。Sponsored Agentsは、広告主である企業が用意したAIの担当者を、広告の先に置く仕組みです。
流れはこうです。ChatGPTで調べものをしていると、関連する広告が表示されます。その広告をクリックすると、企業のAIとの会話を始めるかどうかを選べます。会話を始めると、商品について質問したり、自分に合った説明を受けたりできます。納得したら、リンクから企業のサイトに進みます。
OpenAI社は、この会話にははっきりとラベルが付き、ChatGPT自身の中立的な回答とは区別されると説明しています。また、もともとChatGPTとしていた会話とも切り離されるとしています。

ここは、SEOやAI検索対策に取り組んでいる企業にとっても大事なポイントです。OpenAI社は広告を始めたときから、広告がChatGPTの回答の中身に影響することはないと説明してきました。つまり、お金を払えばChatGPTの回答の中で自社が推薦されるようになる、というわけではありません。
ChatGPTの回答そのものに自社の名前が出てくるかどうかは、これまでどおり、自社サイトの情報の質や、ほかのサイトでどう紹介されているかで決まります。広告はあくまで回答とは別の枠で、お金を払って見てもらう道です。自然に紹介されるための取り組みと、広告で見てもらう取り組みは、分けて考えておく必要があります。
広告をクリックした後に何が起きるのか
これまでのネット広告は、クリックすると企業のサイトに移動するのが普通でした。そこから先は、サイトの文章を読んで自分で判断するしかありません。
Sponsored Agentsは、そのあいだに「店員さんとの会話」を挟むようなものです。家具店でテーブルを見かけたとき、店員さんに「これは何人座れますか」「うちの部屋に入りますか」と聞いてから買うかどうかを決める。その体験を、ChatGPTの中で再現しようとしているわけです。
実際、OpenAI社の発表でも、広告で見かけたダイニングテーブルが自分の部屋に合うか気になっている買い物客の例が紹介されています。
なお、企業のAIとの会話の内容を広告主がどこまで見られるのかについては、今回の発表文では触れられていません。日本で提供が始まる際には、この点も確認しておきたいところです。
海外のSEO専門メディアSearch Engine Roundtableも、この発表を同じ日に報じています。同メディアによると、今回の発表には、成果を数える期間を7日、14日、30日から選べる機能や、広告の表示回数に応じて課金しながら成果につながるよう配信を調整する仕組みも含まれています。
広告づくりもAIが手伝う
続いて、広告管理画面でのAIによる提案です。広告管理画面とは、広告主が広告の作成や予算の設定、成果の確認を行う画面のことです。
OpenAI社の説明では、広告の飛び先となるページの内容と、広告の目的をもとに、AIが広告文と画像の案を出してくれます。さらに、見出しや説明文を会話の流れに合わせて調整したり、自動で翻訳したりする機能も加わりました。
広告文を考えるのが苦手な中小企業にとっては、出稿のハードルが下がる変化です。ただ、AIが出した案をそのまま使うのではなく、事実と違う表現や、自社らしくない言い回しがないかを必ず人の目で確かめてください。

HubSpotとShopifyとつながる意味
残る2つの新機能は、外部のサービスとの連携です。
HubSpotは、見込み客や顧客の情報をまとめて管理するためのツールです。今回の連携で、HubSpotの中からChatGPT広告を作り、成果を確認し、広告経由で問い合わせてきた見込み客へのフォローまで一か所で行えるようになりました。
Shopifyは、ネットショップを簡単に作れるサービスです。専用アプリを使うと、ChatGPT広告のアカウントを作ったり、すでにあるアカウントとつないだりして、ショップの商品データを広告管理画面に取り込めます。商品データとは、商品名、価格、画像、説明文などをまとめた一覧のことです。広告の作成や成果の確認も、Shopifyの画面から行えます。
米国のマーケティング調査会社eMarketerは、こうした連携によって新しいブランドが参入しやすくなる一方で、ChatGPTの利用者はGoogle検索よりずっと少ないため、当面は検索広告の予算のごく一部にとどめるべきだという見方を示しています。
日本の事業者はいつから使えるのか
日本の事業者にとって気になるのは、どの機能がいつから使えるかです。
まず、ChatGPT広告そのものは、日本でも使えます。OpenAI社は8月11日に、日本を含む5か国で広告を始めたと発表しました。また、広告主が自分で広告を出せる広告管理画面の提供国の一覧にも、日本が入っています。
Shopifyアプリについて、OpenAI社は9月23日からChatGPT広告の提供国でも使えるようになるとしています。発表文に日本の名前は出てきませんが、日本は広告の提供国に入っているため、対象に含まれると考えられます。実際に使えるかどうかは、自社のShopify管理画面でアプリを確認するのが確実です。
一方、Sponsored Agentsは、現時点では米国の一部の広告主とのテストにとどまっています。日本でいつ使えるようになるかは、発表されていません。
「Shopifyのお店でも出すべきか」というネットショップの相談
先日、インテリア雑貨のネットショップを運営しているクライアントさんから、こんなご相談をいただきました。「ShopifyからChatGPT広告が出せるようになったと聞きました。うちも今すぐ始めたほうがいいでしょうか」と。
拝見すると、このショップは商品数は多いものの、商品の説明文が短く、サイズや素材が書かれていない商品が目立ちました。私は「広告を出す前に、まず商品データを整えましょう」とお伝えしました。
ChatGPT広告は、会話の内容に合わせて広告が選ばれる仕組みです。説明が薄い商品は、どの会話に合うのかをAIが判断しにくくなります。さらに将来、Sponsored Agentsのような会話型の広告が日本でも使えるようになれば、AIの担当者が答えられるのは商品データに書いてあることだけです。
そこで、売れ筋の商品から順に、サイズ、素材、使い方、お手入れ方法を説明文に書き足していただくことにしました。広告はその作業が一段落してから、少額で試す予定です。
試すときに気をつけたい3つのこと
ネットショップや中小企業がChatGPT広告を試すなら、次の3つを意識してください。
1. 少額で始めてGoogle広告と比べる
ChatGPT広告には、まだ業種ごとの成果の基準値がありません。期間と予算の上限を先に決めて少額で始め、同じ期間のGoogle広告と比べて、問い合わせや売上につながったかを見ます。
比べるときは、成果を数える期間をそろえることも大切です。今回の発表で、ChatGPT広告でも広告に接してから何日後までの購入や問い合わせを成果として数えるかを、7日、14日、30日から選べるようになりました。Google広告の設定と期間が違うと、正しい比較になりません。
2. 商品データと飛び先のページを整える
AIが広告文を提案するときも、広告を会話に合わせるときも、材料になるのは自社のページと商品データです。古い価格や在庫切れの商品が残っていないかを確かめておきます。
3. 出せない話題があることを知っておく
OpenAI社は、健康や心の健康、政治といった慎重な扱いが必要な話題の近くには広告を表示しないとしています。また、広告が表示されるのは無料プランとGoプランの利用者だけです。自社の商品がどんな会話に合いそうかを考えてから出稿してください。
まとめ
今回の話をまとめると、OpenAI社は9月16日にChatGPT広告の新機能を発表しました。広告の先で企業のAIと会話できるSponsored Agentsは、米国の一部の広告主とのテスト段階です。AIによる広告文や画像の提案、HubSpotとの連携、Shopify向けアプリも加わり、Shopifyアプリは9月23日からChatGPT広告の提供国でも使えるようになるとされています。日本ではChatGPT広告そのものは使えますが、Sponsored Agentsの提供時期は未定です。
これまでのネット広告は、通りに立てる看板のようなものでした。Sponsored Agentsは、その看板の横に店員さんを立たせる仕組みです。ただ、どれほど話し上手な店員さんでも、商品のことをよく知らなければお客さんの質問には答えられません。会話できる広告が日本に来る日に備えて、今のうちに自社の商品情報を、AIが胸を張って説明できる中身にしておきましょう。
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