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Google検索で「AIによる概要」を非表示にする方法

2025年11月12日

最近、SEOコンサルティングのクライアントさんや全日本SEO協会の会員さんから、「Googleで検索すると、ページの上の方に 「AIによる概要」が出て邪魔だ」「通常の自然検索結果ページのリンクだけ見たいのに要約が先に出てしまう」といった相談をよく受けます。確かに、「AIによる概要」は便利な場合もありますが、視覚的に邪魔に感じたり、リンクを探しづらくなったりすることもあります。

本記事では、「Google検索で 「AIによる概要」を非表示にしたい」方向けに、現時点で使える設定・回避策・注意点を解説します。完璧な「オフスイッチ」が公式に用意されているわけではありませんが、現場で使われている有効な方法はいくつかありますので、まずは実践できる手順から見ていきましょう。


Google は 「AIによる概要」を完全にオフにできる設定を提供していないが不可能ではない


まず押さえておきたい基本として、Google は現時点で、「AIによる概要」を完全に無効化する公式の「グローバルなオフスイッチ」を提供していません。Google サポートの説明では、「AI Overviews and more」を Search Labs でオフにできる可能性はあるが、それでもすべての 「AIによる概要」を抑制できるわけではないと明記されています。


つまり、Google が 「AIによる概要」は検索体験の一部として組み込んでおり、完全には排除できない設計になっている、というのが今の状況です。ただし、ユーザーが自分の使いやすい表示に近づけるための「設定」や「裏技的手段」はいくつか報告されています。以下、それらを順に紹介します。


公式オプション:Search Labs での切り替え(限定的)


Google が試験的に実施している Search Labs(検索ラボ) では、「AI Overviews and more」という実験機能をオン/オフできる場合があります。

ただし、この設定はあくまで 試験機能としての 「AIによる概要」 に対してのみ作用する場合があり、すべての 「AIによる概要」を排除するものではありません。公式にも「AIによる概要」 は Google Search の一部であり、完全にオフにできるわけではないとの注意書きがあります。

また、Android端末で Google アプリを使っている場合、この Labs 設定を調整できることがありますが、すべての地域で提供されているわけではありません。つまり、Search Labs のオン/オフは 一部の場合に 「AIによる概要」を非表示にする手段にとどまり、万能ではありません。


検索結果を「Web フィルタ」で絞る


もっとも手軽にできる方法として、検索後に表示される「フィルタ」を使って結果を絞る手段があります。この方法では、「AIによる概要」を除いた「通常の Web リンクだけの表示」に切り替えることができます。

具体的には、検索結果画面で「Web(ウェブ)」というフィルタを選ぶと、「AIによる概要」や強調スニペットなどのリッチ要素を除いたクラシックな青いリンク中心の一覧が表示されます。この「Web」フィルタは、Google が公式に提供している表示モードの一つです。

ただし、この方法は 「検索ごとに切り替える」 必要があります。デフォルト表示を Web モードに固定する設定が Google が提供されているわけではないため、毎回操作が必要となる点は手間です。


URL パラメータ 「&udm=14」 を使う裏技


Web フィルタを使う方法のもう一歩進んだバージョンとして、検索 URL に特定のパラメータを加える方法があります。それが 「&udm=14」 というパラメータです。たとえば、あなたが検索したいキーワードが「SEO 対策」であれば、通常の検索 URL が

https://www.google.com/search?q=SEO+対策
ですが、これを
https://www.google.com/search?q=SEO+対策&udm=14

とすると、「AIによる概要」を非表示にして 「Web 表示モード」 に切り替わる検索結果が返ってきやすくなります。この手法は、いわゆる「URL 改変による裏技」として多くのユーザーが情報共有しており、ブラウザの検索エンジン設定に組み込むことで手間を軽減できます。

また、Tom’s Guide 記事でもこのパラメータ方式が紹介されています。

さらに、カスタム検索エンジンとしてこの 「&udm=14」 を常時付与するよう設定しておく手法も広く報告されています。

例:Chrome の「Manage Search Engines(検索エンジン管理)」で、デフォルト検索に 「{google:baseURL}search?q=%s&udm=14」 を使う設定を追加するなど。

ただし、この方法も万能ではなく、Google が将来的に仕様を変えると動かなくなるリスクがあります。


Chrome拡張機能で「AIによる概要」を自動で非表示にする


デスクトップ版のGoogle Chromeを使っている場合、「AIによる概要」を自動で隠すための便利な拡張機能が登場しています。代表的なのが 「Hide Google AI Overviews」 や 「Bye Bye, Google AI Overviews」 といったChromeウェブストアで公開されている拡張機能です。

これらは検索結果ページのHTML構造を解析し、「AIによる概要」のブロック要素(id="ai-overview"など)を自動的に非表示にしてくれます。



拡張機能をインストールすると、Google検索を開いた瞬間に「AIによる概要」部分が消え、従来の青いリンク中心の表示になります。ただし、拡張機能の動作はGoogleのUI変更に影響を受けるため、Googleが要素構造を変えると効かなくなることもあります。定期的な更新チェックが必要です。拡張機能を使うメリットは、「毎回フィルタを切り替える手間がない」点です。日常的にデスクトップ検索を使う方にとっては最も快適な回避策と言えます。


モバイルで「AIによる概要」を減らすコツ


スマートフォンでGoogle検索を使う場合、PCほど自由度がありません。とはいえ、次のような工夫で「AIによる概要」の表示を抑えられるケースがあります。

(1)ブラウザ版Googleで「Web表示」に切り替える


モバイルブラウザ(SafariやChrome)で検索結果ページを開いたあと、上部の「すべて」「画像」「ニュース」などのタブの中から「Web(ウェブ)」を選ぶと、「AIによる概要」を含まないリンク一覧に切り替わることがあります。

(2)Googleアプリよりもブラウザ検索を使う


AndroidやiPhoneのGoogle公式アプリでは、「AIによる概要」が強制的に出る場合があります。もし非表示にしたい場合は、アプリではなくSafariやChromeの「google.com」に直接アクセスして検索する方が良い結果になることが多いです。

(3)URL末尾に 「&udm=14」 を付ける


前半で説明した 「&udm=14」 パラメータは、スマホのブラウザでも有効です。検索バーに入力したあと、URL末尾にこの文字列を加えて検索を実行すると、「AIによる概要」なしのページが表示されます。ブックマークしておくと毎回入力する手間が省けます。



注意点:「完全非表示」は現時点では不可能


ここまで紹介した手法を組み合わせると、ほとんどのケースで「AIによる概要」を見ないで検索できるようになります。しかし、完全に「AIによる概要」を非表示にする方法は現状存在しません。Google自身が「「AIによる概要」を検索体験の中心的要素」と位置付けているため、設定で完全にオフにする選択肢は用意されていません。


私のクライアントの現場で見た反応


私のクライアント企業や協会の会員の中には、「AIによる概要」を見たい派と消したい派に分かれています。

・見たい派は、「顧客の質問意図がわかる」「自社コンテンツが引用されているか確認できる」という目的で積極的にAI概要をチェックしています。
・消したい派は、「作業中にノイズになる」「結果が隠れてしまう」「正確性に不安がある」という理由で、なるべくAI概要を排除したいと考えています。

どちらの立場にも一理ありますが、私は「完全に消す」のではなく、「AIによる概要」がどう出ているかを観察しつつ、自分が見たいときだけ表示するという使い方をおすすめしています。SEO戦略を立てるうえで、「AIによる概要」の挙動を知ることは非常に重要だからです。


「AIによる概要」を「コントロールして使う」時代へ


「AIによる概要」は、Google検索の「新しい標準」として今後ますます普及していくと考えられます。その一方で、ユーザーが自由に情報を選びたいときには、これが「邪魔」になることもあります。現時点では「完全に非表示にする」ことはできませんが、

・Search Labs でAI機能をオフにする
・「Web」フィルタや 「&udm=14」 パラメータを活用する
・Chrome拡張機能で自動的に隠す

といった手法で、かなりの範囲で「AIによる概要」を避けることができます。SEOの現場では、「AIによる概要」をどう扱うか がこれからのテーマになるでしょう。「消す」だけでなく、「どう出ているかを理解し、引用されるようなサイトを作る」ことが最終的には最も強いSEO戦略です。AIを敵視するのではなく、自分の情報をAIに正しく届ける。これこそが、AI時代の検索とSEOの本質だと私は考えています。


クエリファンアウトとは?GoogleのAI検索を理解するカギをやさしく解説

2025年11月10日

最近、「AIによる概要」や「AIモード」という言葉をよく耳にするようになりました。しかし、これらのAI検索がどのようにして情報を集めているのか、具体的にイメージできる人は少ないのではないでしょうか?

その仕組みを理解する上で欠かせないキーワードが「クエリファンアウト(Query Fanout)」です。これは、GoogleがAIを使って「1つの質問を複数の小さな質問に分けて検索する」という新しい仕組みのことです。この記事では、AI検索時代のSEOに欠かせない「クエリファンアウト」の考え方を、初心者の方にもわかりやすく解説します。


クエリファンアウトとは何か?


クエリファンアウトとは、GoogleのAIが1つの検索(クエリ)をもとに、それに関連する複数の小さな質問に「枝分かれ」させて調べる仕組みのことです。

たとえば、あなたがGoogleで「自分に合ったランニングシューズの選び方」を検索したとします。AIはこの大きな質問を、そのまま単純に処理するのではなく、より具体的な情報を得るために、いくつもの小さな質問に分けて調べます。AIが分解して調べる小さな質問の例としては、次のようなものがあります。

・ランニングシューズの種類と特徴(クッション性・安定性など)
・足の形(アーチの高さや幅)とシューズの相性
・初心者と上級者で異なる選び方
・フルマラソン用と日常ジョギング用の違い
・専門家やスポーツ医学の見解

AIはこれらの質問をそれぞれ独立して調べ、専門サイトやレビュー、論文などの信頼性の高い情報源をもとに答えをまとめていきます。つまり、「ランニングシューズの選び方」という1つの検索の裏で、AIはまるでリサーチチームのように、複数の視点から情報を収集・統合しているのです。




なぜGoogleはクエリファンアウトを使っているのか?


従来の検索は、ユーザーのクエリに「最も関連性が高いページをリストで表示する」仕組みでした。しかし、人間が本当に知りたいことは、1つのページだけで答えられないことが多いのではないでしょうか。

たとえば「ダイエット 健康的に痩せる方法」という検索の場合、人によって知りたいのは「食事の工夫」だったり「運動の習慣」だったり、「サプリの効果」だったりします。こうした「検索意図の多様性」に対応するために、GoogleはAIによってクエリを広げ、複数の観点から情報を集めるようになったのです。

それがクエリファンアウトの目的です。この仕組みによって、AIモードでは「より深く、より多面的な回答」ができるようになりました。言い換えれば、AIモードは人間のリサーチ力をAIが再現しているとも言えます。



SEOにどんな影響があるのか?


クエリファンアウトが導入されたことで、Googleは1つの検索に対して「裏で何十もの検索」を同時に行うようになりました。そのため、関連性の高いトピックを網羅的に扱っているサイトがAIに選ばれやすくなっています。

私のクライアントの中には、「AIによる概要」に引用された記事のほとんどが、1つのテーマを深く掘り下げた長文記事や、内部リンクで関連ページをしっかりつないでいるサイトでした。

たとえば、健康食品を扱う企業サイトで「ビタミンCの効果」というページを作る場合、次のような関連トピックを内部リンクで接続すると効果的です。

・「ビタミンCの摂取量の目安」
・「ビタミンCを多く含む食品」
・「ビタミンCのサプリを選ぶポイント」

こうした関連性のあるページ同士を連携させることで、Googleのクエリファンアウトによる情報収集の対象に入りやすくなります。


クエリファンアウト時代に評価されるサイトの特徴


AIモードやAIによる概要に取り上げられているサイトを分析すると、いくつかの共通点があります。

・トピックの深掘り:1つのテーマを複数の角度から丁寧に解説している
・関連性の高い内部リンク:関連テーマへ自然に誘導している
・構造化データの整備:AIが内容を正確に理解できる形で情報を記述している
・E-E-A-Tの明示:著者名や専門性、実績をしっかり公開している
・読者中心の構成:検索ユーザーの悩みを解決する順序で書かれている

つまり、クエリファンアウトの時代においては、「読者の疑問に多角的に答えるサイト」がAIに選ばれるということです。


クライアント現場での実感


私が日々コンサルティングを行っている中で感じるのは、AIモードに選ばれているサイトほど「内容の整理」と「構造化」が丁寧にできているということです。

たとえば、ある製造業のクライアントは「素材別の特徴」「加工方法」「製品事例」をそれぞれ別ページに分け、トップページからそれらをしっかり内部リンクでつなぎました。その結果、AIによる概要で自社ページの説明が引用されるようになったのです。

このように、クエリファンアウトに対応するということは、単に記事を増やすことではなく、全体を体系的に整理することだと言えます。


クエリファンアウトを理解すればAI時代のSEOが見えてくる


クエリファンアウトとは、AIが人間のように複数の角度から調べて答えを作るための仕組みです。つまり、AIは「1つの質問=1つの答え」ではなく、「1つの質問=複数の視点から導かれた総合的な答え」を提供しているのです。

そのため、これからのSEOでは「専門性を持ちながら、関連する情報を広くカバーする」ことが重要になります。そしてそのために必要なのは、小手先のテクニックではなく、
ユーザーにとって価値のある知識を体系的に伝える構成力です。AI検索が進化しても、評価されるのは「人の役に立つコンテンツ」です。クエリファンアウトを理解しておくことは、AI時代のSEOで生き残るための第一歩になるでしょう。

Googleが「AIモード」の公式ガイドを公開!これからのSEOはどう変わる?

2025年11月09日

2025年、Googleはついに「AIモード」に関する公式ガイドを世界に向けて公開しました。これまで多くの方が「AIによる概要(AI Overviews)」や「AIモードって一体どういう仕組みなの?」「どんなページが選ばれるの?」と疑問を感じていたと思います。

今回のGoogle公式ガイドによって、その仕組みや考え方が初めて明確に説明されました。私は企業や店舗、専門家の方々のSEO対策をコンサルティングという形でサポートしていますが、最近は「AIによる概要に自社サイトを載せたい」「AIモードで取り上げられるようにしたい」という相談が非常に増えています。この記事では、Googleが発表したAIモードのガイダンスをわかりやすく紹介しながら、私自身が現場で見ている「AI検索時代のSEO」の変化と、これから取るべき対策について解説します。


Googleがついに公式に説明した「AIモード」とは?


Googleの開発者向け公式サイト「Search Central」に、新しいドキュメント「AI機能とウェブサイト(AI Features in Search)」が公開されました。この中では、「AIによる概要」や「AIモード」がどのように動いているのか、どんなコンテンツが選ばれるのかについて、初めて公式に説明されています。

Googleによると、AIモードで特別なマークアップや新しいSEO設定を行う必要はありません。つまり「AIモード対応」といっても、特別なタグを入れたり、AI専用の設定を追加したりすることは不要ということです。

基本的には、これまでのSEOの基本をきちんと守っていれば、AIモードでも評価されるという考え方です。ただし、AIモードの内部では従来とは違う「検索の仕組み」が使われています。それが「クエリファンアウト(Query Fanout)」という新しい考え方です。


「クエリファンアウト」とは?


クエリファンアウトとは、AIが検索のときに行う「情報の広げ方」のことです。たとえば、あなたがGoogleに「コーヒーは健康に良いの?」と入力したとします。AIはその質問を1つのまま検索するのではなく、次のように複数の小さな質問に自動的に分けて検索します。

・コーヒーの健康効果についての研究
・カフェインの取りすぎのリスク
・1日あたりの適切なコーヒー摂取量
・睡眠への影響
・医療機関や専門家の見解

このようにAIは、1つの質問から「関連するテーマ」をいくつも枝分かれさせて検索し、それぞれの情報を集めた上で要約して表示します。これが「クエリファンアウト(Query Fanout)」の仕組みです。



つまり、AI検索では人間が調べ物をするときのように、「複数の角度から調べて、総合的にまとめる」というリサーチを自動で行っているのです。この仕組みの登場によって、AI検索やAIモードでは「幅広く、しかも深い情報を提供しているサイト」が選ばれやすくなりました。逆に、内容が薄かったり、1つの視点しかない記事はAIに選ばれにくくなる傾向があります。


AIモードで評価されるサイトの特徴


Googleの公式ガイドでは、「AIモードで選ばれるために特別な設定をする必要はない」と述べています。しかし、AIがどのようにページを選んでいるかを理解すると、「選ばれやすいサイトの特徴」が見えてきます。たとえば、次のようなサイトです。

・各ページがしっかりとインデックス登録されている
・内部リンクの構造が整理されていて、関連ページ同士がつながっている
・読者にとってわかりやすい内容と見やすいレイアウトになっている
・本文と構造化データ(schema)の内容が一致している
・ページの読み込み速度が速く、スマートフォンでも快適に見られる

私がコンサルティングを行っている企業でも、これらの基本をしっかり実践しているサイトほど、AIによる概要に引用される可能性が高い傾向があります。AIモードでは、単に「キーワードを入れたページ」よりも、「トピックを深く掘り下げ、関連テーマにもきちんとリンクしているページ」が評価されます。これはまさに、従来のSEOで重要とされてきた「専門性と網羅性」の考え方と一致しています。


SEOの本質は「AIになっても変わらない」


AIモードの登場によって、検索の見た目や仕組みは大きく変わりました。しかし、Googleが最も重視しているのは今も昔も「ユーザーにとって役立つ情報を提供しているか」です。

私のもとに相談に来るクライアントの中には、「AI検索の時代になったらSEOは終わりなのでは?」という不安を抱える方もいます。しかし、実際にAIモードを詳しく分析してみると、AIによる概要に引用されているページの多くは、これまでのSEOでも高く評価されていたサイトばかりです。

つまり、SEOの本質は何も変わっていません。GoogleはAI時代になっても、「人々に信頼される情報」「専門的で正確な内容」「読みやすく、理解しやすい構成」を重視しているのです。


AIモードでの検索データはどう見ればいいのか?


AIモードが登場してから、サーチコンソールでのデータの見方も少し変わってきました。Google公式によると、「AIによる概要」や「AIモード」で表示されたページも、通常の検索と同じ「ウェブ検索」タイプとして計測されています。



つまり、AIモード経由でアクセスがあった場合でも、サーチコンソール上では通常検索からのクリックとしてカウントされています。このため、今後は単にクリック数や表示回数を見るだけでなく、「どんなクエリでAIによる概要が表示されたのか」「その時に表示された自社ページはどんな特徴があるのか」を意識して分析することが大切です。

私が企業コンサルティングでよく行っている方法は、「滞在時間」や「離脱率」も合わせて見ることです。AIによる概要に引用されたページは、ユーザーが内容を信頼しているため、滞在時間が長くなる傾向があります。こうしたデータの変化を観察すると、自社のコンテンツがAIモードでどのように評価されているかを間接的に把握できます。




中小企業や個人サイトが今からできる「AIモード対策」


AIモードは、まだすべての検索で表示されるわけではありませんが、すでに全検索クエリの50%以上で「AIによる概要」が検索結果ページに表示されています。つまり、今から準備をしておくことが非常に重要です。特に中小企業や個人の方でも、次のようなシンプルな取り組みでAIモードに評価されるチャンスを増やすことができます。

@ トピックを深く掘り下げる記事を作る


1つのテーマについて、表面的な説明で終わらせず、「背景」「理由」「具体例」「注意点」などをセットで書くようにしましょう。AIは「深さ」を見ています。つまり、ユーザーの疑問を先回りして答える構成のページが選ばれやすいのです。

A 関連ページを内部リンクでつなげる


クエリファンアウトでは、AIが「関連する複数のページ」を横断的に見ています。そのため、1つのテーマだけでなく、関連トピックにもリンクを張っておくことが大切です。私のクライアントであるある工務店のサイトでは、「リフォーム費用」「断熱リフォーム」「補助金」などのページを相互リンクでつなげたところ、「AIによる概要」への引用に成功したことがあります。

B 構造化データを正しく記述する


GoogleはAIによる概要を作る際、構造化データ(schema.org)も参考にしています。記事の内容と一致した構造化データを正しく設定しておくと、AIが内容をより正確に理解できます。

C 実名・実績を明示する


AI時代では「誰が書いた情報か」も重視されます。
著者名を明記し、専門的な立場や経験を紹介しておくと、AIによる評価が上がる傾向があります。これはE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の観点でも重要です。


現場で感じる「AIモードで成功しているサイトの共通点」


私が全日本SEO協会で日々、多くの会員企業のデータを見ている中で、AIモードで引用されやすいサイトには共通点があります。それは、「人の悩みを解決しているサイト」であるということです。

たとえば、ある美容クリニックの事例では、「シミ治療 費用」「ダウンタイム 比較」「失敗例」というように、ユーザーが不安に感じるキーワードに丁寧に答えるページを作ったところ、AIによる概要に引用されるようになりました。

また、ある学習塾では「勉強 集中できない」「やる気を出す方法」など、生徒や保護者のリアルな悩みに答える記事を増やした結果、AIモードで上位に表示されるケースが増えています。これらの例に共通しているのは、「ユーザー視点に立った構成」と「明確な専門性」です。つまり、AIモードでも従来のSEOでも、「人の役に立つ情報」が最も強いということです。


Googleが強調する「特別なAI対策は不要」というメッセージ


Googleは公式ガイドの中で、「AI機能に合わせて特別な最適化を行う必要はありません」とはっきり述べています。AIモードで引用されるサイトは、これまでのSEOの基本をきちんと実践しているだけなのです。この点は非常に重要です。

AIモード時代のSEOは、技術的なトリックよりも「本質的な信頼性」が問われています。つまり、「このサイトの情報は正確そうだ」「この人の説明なら信頼できそうだ」と思われるような運営体制を築くことが最も効果的なのです。


AIモード時代のSEOは「原点回帰」


AIによる概要やAIモードの登場によって、検索の見え方は確かに大きく変わりました。しかし、Googleの基本方針はこれまでと変わっていません。

検索エンジンが進化しても、最終的に評価されるのは「ユーザーに役立つ内容」「信頼できる情報」「わかりやすく整理された構成」です。これまで私が20年以上にわたってSEOを研究・指導してきた中で、最も成果を上げてきたサイトは、どれもこの基本を徹底していました。

AI時代になっても、それは変わりません。むしろ、AIが人間の代わりに「信頼できるサイト」を探してくれるようになった今こそ、本物の専門家としての情報発信が求められています。AIモードの時代は、テクニックよりも「誠実なコンテンツづくり」が成果を分ける時代です。この変化をチャンスと捉え、自社の強みや専門性をわかりやすく伝えるコンテンツを育てていきましょう。

AIエージェントとは何か? 現在人気のAIエージェントと将来の展望

2025年11月06日

最近、「AIエージェント」という言葉が注目を集めています。これは単に「会話ができるAI」という意味ではありません。AIチャットボット(例えばChatGPT)とは異なり、AIエージェントは「自律的に目標を遂行しようとするAI」です。タスクを判断し、ツールを使い、計画を立てて行動するという、高度な知的主体性を備えた存在です。この記事では、AIエージェントがどんな概念であり、現在どんなエージェントが人気を集めているのか、そして今後どう進化していくのかをわかりやすく解説します。


AIエージェントとは何か?


AIエージェントとは、目標達成のために自律して行動できる人工知能システムのことです。一般的なチャットボットが「ユーザーの入力に反応するだけ」であるのに対し、AIエージェントは自らタスクを分解し、適切なツールを使い、状況を判断しながら動く能力を持ちます。

例えば旅行の計画を任せると、目的地や予算、日程に基づいて自ら調べ、フォームに入力し、予約まで進める存在です。こうしたエージェントは、ユーザーの意図を踏まえて「仕事をしてくれるAI」と言えます。こうした定義は、Google Cloudの解説でも紹介されており、AIが感知し、計画し、意思決定し、実行に移すことがエージェントの本質とされています。


現在人気のあるAIエージェントは?


2025年現在、注目されているAIエージェントにはいくつかの潮流があり、それぞれ用途やユーザー層が異なります。まず、GoogleのGemini Agent Modeは、フォーム入力やブラウザ操作に特化し、自動でタスクを完了できます。このエージェントは、最も高いマーケットシェアを持ち、利便性の面でトップです。

AnthropicのClaude(Computer Use)は知識ワーカー向けに注力され、コード作成や資料の作成などで活用が進んでいます。一方、Devin AIはソフトウェア開発タスクに特化し、プロジェクトを自動で完成させる能力でも注目されています。

またAutoGPT、LangChain Agents、AgentGPTなどはいわゆるオープンソース系エージェントとして、旅行の計画や契約文書の要約など多様な用途を持ち、小規模組織や個人による利用が増えています。

さらにGoogle DeepMindのProject Marinerは、ウェブブラウザ操作を自動化する技術実験として注目され、チャットとブラウザ操作を融合した新しいエージェント体験として進化しています。


AIエージェントの市場シェアの現状


2025年の調査によると、AIエージェント市場はすでに明確なリーダーが存在し、特定のプラットフォームが大きなシェアを握っています。
AIエージェントとは、ユーザーが設定した目標をもとに、自律的にタスクを分解し、計画を立て、実際に行動を起こす人工知能システムのことです。単なるチャットボットと異なり、状況を判断してツールを使い分けながら、複数のタスクを連続して実行できる点が特徴です。

今回の調査では、主要AIエージェントの月間アクティブユーザー数(MAU)をもとに、市場シェアが算出されました。その結果、Googleの「Gemini(Agent Mode)」が全体の約58%を占め、圧倒的な首位となりました。これは検索エンジンやAndroidとの統合による広範なユーザー基盤が背景にあります。

次いで「Claude(Computer Use)」や「Devin」など、知識労働者や開発者向けのエージェントが上位に入りました。一方で、「LangChain Agents」や「AgentGPT」「AutoGPT」など、企業の業務自動化や個人の生産性向上に使われるエージェントも急速に利用が拡大しています。

この結果からは、次のような市場動向が読み取れます。
・大手プラットフォームとの連携を持つエージェントがシェアを独占している。
・一方で、個人や中小企業向けの軽量エージェントの成長率が高く、今後の拡大が期待される。
・企業向けのエージェントは導入コストや運用体制の整備に時間を要し、普及スピードはやや緩やかである。

《AIエージェントの比較》




市場規模と成長率


AIエージェント市場はまだ始まったばかりですが、その成長速度は驚異的です。調査会社FirstPageSageのレポートによれば、2025年のAIエージェント市場は既に数十億ドル規模に達しており、2030年までに年間成長率30%以上で拡大すると予測されています。

特にGoogle Geminiの「Agent Mode」が発表されて以降、消費者の関心が一気に高まりました。旅行予約やオンラインショッピングの自動化といった具体的なユースケースが提示されたことで、一般ユーザーにも「自律的に働くAI」という概念が理解されやすくなったのです。

さらに、ソフトウェア開発に特化したDevin AIの登場は、開発者の間でAIエージェントの実用性を強く印象付けました。コード生成やバグ修正だけでなく、テストの実行やドキュメント作成までを自律的にこなすことで、「AIがエンジニアの一部業務を肩代わりする未来」が現実味を帯びてきたのです。


企業や消費者への影響


企業にとってAIエージェントは、単なる生産性向上ツールにとどまりません。たとえば金融業界では、AIエージェントが投資分析や顧客相談を行い、担当者はより高度な判断に集中できるようになります。小売業界では、在庫管理や需要予測をAIエージェントが担うことで、ヒューマンエラーを減らし効率化を図る動きが進んでいます。

消費者の生活面でも影響は大きく、AIエージェントが生活の一部を「代行」するようになっています。旅行の計画を立てるときには、ユーザーが条件を指定するだけで宿泊先や航空券の予約を完了し、スケジュール表まで自動で生成してくれる。買い物に関しても、定期的に必要な日用品をエージェントが自動発注するようになれば、人々の生活はより効率的で快適なものになります。

こうした変化は一部の未来予想ではなく、既に一部のユーザーが体験している現実です。AIエージェントが普及すればするほど、私たちは「探す」「比較する」「選ぶ」といった時間のかかる行動から解放され、AIに任せる領域が広がっていくでしょう。


安全性と信頼性の課題


ただし、AIエージェントの普及には課題も伴います。最大の懸念は「意思決定の透明性」と「安全性」です。ユーザーが依頼したタスクをエージェントがどのような基準で処理し、どのような情報源を参照しているのかが不明瞭な場合、誤情報や偏った判断が入り込むリスクがあります。

IBMはAIエージェントの解説の中で、エージェントが扱う情報の信頼性やアルゴリズムの透明性を確保することが不可欠だと強調しています。特にヘルスケアや金融のような人々の生活に直結する分野では、AIエージェントの判断に誤りがあれば重大な影響を与える可能性があるため、監査可能な仕組みと人間の最終判断を組み合わせる必要があります。


将来の展開予想


AIエージェントは今後どのように進化するのでしょうか。第一の方向性は「日常生活への浸透」です。スマートフォンやパソコンに標準搭載され、ユーザーが特別にアプリを開かなくても常時タスクを処理してくれる存在になるでしょう。GoogleやAppleのようなプラットフォーマーは、OSレベルでAIエージェントを組み込むことで市場を支配しようとしています。

第二の方向性は「専門分野への特化」です。Devin AIのように開発者向け、あるいは医療専門エージェントや教育支援エージェントといった形で、特定領域に最適化されたエージェントが次々に登場すると予想されます。これはChatGPTのような汎用型モデルと共存し、状況に応じて使い分けられる世界をつくるでしょう。

第三の方向性は「協調型エージェント」です。将来的には複数のエージェントが連携し、ひとつのプロジェクトを自律的に進めるようになるかもしれません。たとえば建築プロジェクトであれば、設計エージェント、法規制確認エージェント、資材調達エージェントが協力し、効率的にタスクを完了させる未来が想像されます。



まとめ


AIエージェントとは、ユーザーの指示を単に待つのではなく、自ら考え、ツールを使い、タスクを遂行する自律的な存在です。現在はGoogle GeminiのAgent ModeやAnthropicのClaude Computer Use、Devin AIなどが注目を集めており、オープンソース系のAutoGPTやLangChain Agentsも開発者の間で利用が広がっています。市場は急速に拡大しており、2030年には日常生活やビジネスの多くの領域に浸透することが予想されます。

ただし、その一方で安全性や透明性、倫理的な利用に関する課題も残されています。AIエージェントの未来は明るいものですが、信頼性を確保しつつ社会に統合していくための議論と技術開発が不可欠です。これから数年の間に、私たちは「AIが人間の代わりに考え、行動する社会」を本格的に体験することになるでしょう。

SNS運用から撤退する会社が多い本当の理由と、成果を出す再挑戦の道

2025年11月04日

最近、東京商工リサーチが発表した「企業のSNS運用に関するアンケート(2023年)」の結果を読むと、驚きを禁じえません。全企業の 54.8% が「SNSを運用していない」と回答しており、資本金1億円以上の大企業でも 53.1% が運用を行っていないという状況です。
なぜ、多くの企業がSNS運用に踏み切れず、あるいは途中で撤退してしまうのでしょうか? 本記事では、私がSEO・Webマーケティング支援を多数手がけてきた経験、および協会会員やコンサル先からの相談をもとに、「なぜ撤退が多いか」を整理したうえで、後半では「どうすればSNS運用で成果を出せるか」の具体策を解説します。


なぜ撤退が多いのか?


SNS運用から撤退を選ぶ企業が多い理由を、複数の要因に分けて分析します。



1. リソース・人材不足(時間・人手・予算の制約)


東京商工リサーチの調査報告でも、SNS未運用の最大要因として「リソース(人員・予算・時間)が割けない」が挙げられています。

中小企業であれば特に、Web部門もマーケティング部門も兼任しているケースが多く、SNS担当者を専任できない、また投稿準備やクリエイティブ作成に手がかかるという実務負荷が壁になります。

同じく、大企業であっても「SNSという領域を担当する部門」が明確でないケースが多く、現場で手が空いている人がちょっと投稿する程度、という「寄せ集め対応」になりがちです。そうなると、投稿頻度・質ともに維持できず、労力に見合った成果が出ない→モチベーション低下、最終的に撤退という流れになります。

また、SNS運用には撮影・編集、コピーライティング、デザイン、広告運用、投稿スケジュール管理、ユーザー対応など多様なタスクがあります。これらを社内でまかなえる体制がなければ、初期段階でつまずくことになります。

2. ノウハウ・スキルの不足


SNSごとにアルゴリズムや特性(タイムライン、リール、ストーリー、ハッシュタグ、ハッシュバズ、インフルエンサー連携など)が異なるため、「これが正解」という汎用フォーマットは存在しません。特にBtoB企業など、SNSで何を発信すればよいか・どの切り口が響くかがわからず、手探りで進めて失速するケースが多いです。

東京商工リサーチの調査では、SNSを運用している企業のうち 29.3% が「効果は得られなかった」と回答しています。

これは、ノウハウ不在が要因になっていることを示しています。たとえば、「投稿頻度が低すぎてフォロワーが増えない」「内容がセールス色が強すぎて反応されない」「ユーザーとのエンゲージメント(いいね/コメント)が続かない」など、よくある壁です。

また、SNS広告やインフルエンサー連携、効果測定(KPI設計、分析)などは高度なスキルを要する分野であり、内製では難しいと判断して外部に委託したもののコスト対効果が見合わないというケースもあります。

3. 成果が見えにくい/ROIが低い感覚


SNSは通常、即効で売上に直結するチャネルというより、認知・信頼形成・コミュニティづくりなど中長期の効果を期待するメディアです。しかし、社内経営層はしばしば「運用コストに見合うリターンが欲しい」と考えがちです。投稿しても「いいね」や「フォロワー数」が増えるだけで、具体的な問い合わせや売上につながらないと評価できず、「効果なし」と判断されてしまう。

このギャップは、SNSを 「媒体」 ではなく 「販促チャネル」 と捉えすぎる企業が陥る典型パターンです。特に、成果を数値(売上、問い合わせ件数)でしか評価しないと、SNS運用の持つ「関係性発展」「長期育成」などの価値が見えづらくなります。

4. リスク・炎上・ガバナンスへの不安


SNS運用にはリスクも伴います。投稿ミスや表現の炎上、クレーム対応、社内のポリシー違反、法規制遵守(著作権、肖像権、個人情報)など、ガバナンスをきちんと設計していないと企業イメージを傷つけるリスクがあります。新入社員教育や投稿ガイドライン整備をしていない企業では、「炎上したらどうしよう」という心理的なブレーキが強く働き、運用に踏み切れない、あるいは途中で停止することがあります。

特に、コメント対応を怠ると炎上や風評拡散につながる危険があり、それを恐れて 「発信だけやって放置」 という形でユーザー対応を怠ると逆効果になるため、管理可能性の観点から撤退を選ぶ企業もあります。

5. 組織文化・意思決定構造の壁


SNSは即時性・双方向性を持つメディアであるため、柔軟な意思決定や現場判断が求められます。社内承認プロセスが複雑であったり、担当者が発信を自由にできない体制(広報・法務チェックのラグが長いなど)では、発信が 「遅れる・躊躇する・回数が減る」 ことになります。結果として運用が停滞し、撤退に至るという流れです。

また、企業の文化として「慎重・失敗回避型」が強いと、リスクを取って発信を試すフェーズにも進みづらい。こうした企業風土の制約も、SNS運用を諦めさせる要因になっています。

6. 既存チャネル重視・SNS不要論


中には「わが社には既にホームページ/メール/展示会など従来チャネルがあり、SNSをやる必要性を感じない」という意見もあります。実際、東京商工リサーチの調査報告では、SNS未運用企業の意見としてそうした声も紹介されています。

しかし、この考え方はデジタル時代ではリスクも伴います。消費者接点がSNS中心へとシフトしている現代において、SNSを無視することは潜在顧客との接点を自ら放棄することになるかもしれません。

7. 成長フェーズの限界・飽和感


最初のうちはフォロワーが増えて盛り上がっても、ある時点から伸び悩む「壁」にぶつかる企業・アカウントも多く見られます。投稿ネタ枯れ、反応低下、エンゲージメント率の低下などが原因で、「これ以上伸びないなら止めよう」という判断を採ることがあります。

また、SNS運用を長く続けるには継続力と粘りが必要ですが、途中で方向転換せずに「惰性運用」になってしまい、効果が出ず、最終的に撤退を選ぶ企業も見られます。


SNS運用で成果を挙げるための実践策


ここからは、前半で述べた「撤退の原因」を乗り越え、SNSで実際に成果を出すための実践的なアプローチを紹介します。これは私がこれまで多くの企業をコンサルティングしてきた中で、成功した企業に共通していた考え方と行動の特徴でもあります。



(1)まず「目的」を明確にし、成果指標(KPI)を設計する


多くの企業が失敗する理由は、「SNSをなぜやるのか」という目的が曖昧なまま始めてしまうことです。
たとえば「売上を伸ばしたい」「認知度を上げたい」「求人応募を増やしたい」など、ゴールによって運用方針も、投稿内容も、評価指標も全く異なります。

「新規顧客獲得」が目的なら、KPIはフォロワー数ではなく「問い合わせ数」や「クリック率」を追うべきです。逆に「ブランディング」や「信頼構築」が目的であれば、「コメント率」や「エンゲージメント率」を優先します。

Googleも「目的とKPIを明確にしたうえで、データをもとに改善を繰り返すことが、成果の出るデジタルマーケティングの基本である」と明示しています。

目的と指標を定義せずに運用を続けると、いつの間にか「投稿が目的」になり、本来のビジネス成果に結びつかなくなります。

(2)フォロワー数より「関係性の深さ」を重視する


SNSの本質は「つながり」です。単にフォロワー数を増やすことよりも、「ユーザーとどれだけ双方向で関わりが持てるか」が重要です。

たとえば、Instagramのアルゴリズムでは「関係性の深いアカウント」が優先的に表示される仕組みになっています。過去にコメントを交わした相手、DMを送った相手、投稿をよく閲覧する相手ほど、ホーム画面やリールで表示されやすくなるのです。

私のクライアントの中でも、フォロワー数が1万人以下でも安定した集客を維持している企業が複数あります。共通点は、コメントへの返信率が非常に高いことです。ユーザーの声にリアクションを返すことで、「この会社はちゃんと見てくれている」という信頼が生まれ、再来訪やリピート購入につながります。

SNSの成果とは、単発のバズではなく「長期的な信頼関係の積み重ね」によって得られるものです。

(3)コンテンツを「顧客目線」で設計する


SNS運用が失敗するもう一つの大きな理由は、「発信内容が自社中心になっている」ことです。「自社商品をどう見せるか」ばかりを考えると、投稿は宣伝っぽくなり、ユーザーの関心を引けません。

たとえば、美容院なら「新商品トリートメントの紹介」よりも、「湿気の季節でも髪が広がらないケア方法」を教える投稿のほうが保存されやすく、コメントも増えます。

私のクライアントの美容サロンでも、こうした「顧客の悩みを解決する投稿」に切り替えた結果、エンゲージメント率が約3倍に向上しました。
SNSで反応が得られるのは、「役に立つ情報」「共感できる体験談」「人間味のあるストーリー」です。

企業であっても、「人が書いている感」を出すことが大切です。Googleの検索品質評価ガイドラインでも「E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)」が評価の中心にあります。これはSNSにも当てはまる考え方で、発信者が「実際に経験したこと」を語るほど信頼を得やすくなります。


(4)「継続」を仕組み化する


SNS運用の最大の敵は「三日坊主」です。最初は熱心でも、2〜3か月後には投稿が止まる企業がほとんどです。

投稿を続けるには、社内に「運用ルール」と「スケジュール」を明文化することが欠かせません。

・誰がどの曜日に投稿するか
・どんなテーマを扱うか
・どのKPIを毎週チェックするか

このように運用を「習慣化」すれば、担当者が変わっても継続できます。

また、AIツールを使えば投稿案や画像を自動生成できます。ChatGPTやCanvaなどをうまく組み合わせれば、投稿作業の負担を半減できます。

(5)SNSとSEOを連動させる


SNS単体では成果が出にくいと感じている企業も、「自社サイトやブログと連携させる」ことで一気に効果を高められます。

たとえば、ブログ記事を要約してInstagramで紹介したり、X(旧Twitter)で記事の冒頭を投稿してリンクを貼ることで、SNSが「トラフィックの入り口」になります。

SNSで反応の良かったテーマをブログで深掘りすれば、SEOでも上位表示を狙いやすくなります。Googleも「SNSの投稿が直接SEO順位を左右することはないが、ブランド認知や外部リンク獲得に寄与する」と明言しています。

つまり、SNSはSEOの「補助線」として活用すべきです。検索とSNSを別物と考えず、双方をつなぐ設計を行うことで、成果が長期的に安定します。

(6)広告を「テスト的」に活用する


オーガニック運用だけで伸び悩む場合、SNS広告を小規模で試すのも有効です。特にInstagramやFacebookでは、地域・年齢・興味関心を細かく設定できるため、ターゲットに直接アプローチできます。

ただし、最初から高額予算を投じるのではなく、まずは少額テストで「どんなクリエイティブが反応するか」を検証するのがコツです。データを分析しながら広告内容を改善すれば、無駄な出費を抑えつつ高い効果を得られます。


SNSを「やめる理由」ではなく「続ける価値」で考える


多くの企業がSNS運用から撤退しているのは、「やっても意味がない」からではなく、「目的や仕組みが整っていない」からです。SNSは時間も労力もかかりますが、それだけに積み重ねた信頼が競合との差を生みます。

AIの時代だからこそ、企業が人の言葉で語るSNS運用には価値があります。ユーザーは「共感できる企業」を選びます。そして、その共感がSEOにもブランドにも連鎖していくのです。

私が支援してきた企業の中には、「投稿1本から数百万円の案件につながった」「求人応募が2倍に増えた」という成果を上げた事例もあります。共通していたのは、「戦略的に継続していた」こと。SNSを続ける企業とやめる企業の分かれ道は、「発信を作業で終わらせるか、それとも戦略に昇華させるか」です。撤退ではなく、改善と再挑戦のサイクルを回すことで、必ず結果はついてきます。


SNS活用検定が2025年10月に始まる


本記事で述べたように、SNSを正しく運用するには体系的な知識と実践力が不可欠です。そこで全日本SEO協会では、2025年10月より新たに 「SNS活用検定」 を開始します。



この検定は、SNSを使って集客や売上アップを実現したい方のための 実務直結型スキル検定 です。2級では「安心して始められる基礎運用スキル」、1級では「成果を出すための投稿設計・広告運用・分析」まで体系的に学べます。

教材は、実際に企業や店舗のSNSを支援してきたプロチームが監修。写真・動画・文章の作り方から反応を増やすコツ、広告出稿や分析の基礎までをわかりやすく解説しています。

SNSを「なんとなく投稿する場所」から「成果を生み出すビジネスの武器」に変える——。それがこの新しい検定の使命です。SNS運用に課題を感じている方は、ぜひこの機会に「SNS活用検定」で体系的に学び、確かな知識と自信を持って、成果を出せるSNS運用へと一歩踏み出してください。

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一般社団法人 全日本SEO協会 代表理事

 鈴木将司

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