SEO用語解説 - D
ドメインとは?その意味と正しい購入方法
執筆:一般社団法人全日本SEO協会代表理事 鈴木将司
作成:2021年8月15日
SEOとあまり関係ないことに見えてしまうかもしれませんが、自社サイトのURL(=Webページのアドレス)はSEOの結果に大きな影響を与えることが多々あります。
URLは適当に決めるものではありません。構造がありますしルールもあります。好きな文言にすることも不可能ではありませんが、すでにどこかのサイトが使っているURLと同じにすることは絶対にできません。
それと、URLを決めるときにとりわけ大事なのは「ドメイン」でしょう。ドメインは、いったん決めたらそう簡単に変更できるものではありませんし、SEOとも関係が深いです。無造作に決めるのはよくありません。
それではドメインの決め方・選び方について、手順を追いかけながら紹介しましょう。
ドメインとは? URLのどこを意味するのか?
Webサイトを新しくオープンしたい、そう思ったらURLを決めないといけません。
URLとはWebページのアドレスのことです。
そのURLの設定ですが、何からはじめたらいいのでしょうか? 最初にしないといけないのは、ドメインを取得することです。
ドメインは、
- お金を用意する
- ドメインの手続きを受け付けている組織にお願いする
以上の過程を経れば、誰でも手に入れられるようになっています。
ところでドメイン所有者になるにあたって、ドメインの中で自由に決められるのはどの部分でしょうか?
URLが
http://www.aaaaa.co.jp
だとしたら、下の中でどれが正解でしょうか?
- www
- aaaaa
- co
- jp
Bがいちばん自由に決められる~、と感じる方が多いかもしれませんが、厳密な正解はAですね。
Bの部分は、選べることもありますが絶対ではないからです(Bの部分に使いたいスペルがあっても、すでに他人が使っているならあきらめるしかありません)。
ではAは? Aに関しては、実は「あってもOK、なくてもOK」なのです。
http://www.aaaaa.co.jp
というURLも
http://aaaaa.co.jp
というURLも
どちらも、インターネットの世界では同じように存在するのです。
実際に「www.」が、ないWebサイトは、たくさんあります! 一般企業サイトも、その例外ではありません。
ではこの段階で、以下の図をご覧ください。ドメインは第1~第4と、区別されているのです。
ドメインの取得や選択の段取り
そもそも、ドメインはどうやって手に入れるのでしょうか? この答えはとてもシンプルで、「お金を払って購入する」のです。
ドメインの購入場所として、おすすめできるサイトは「Value domain(バリュードメイン)」というサイトです。そのほか、「お名前ドットコム」あたりもよく選ばれてきました。
※ドメイン名の購入は、これらのサイトでは即座に購入できます(ネット上での手続きですから、クレジットカードは必携です。カード決済するなら即座に取得できます)。
1、ドメインを購入できるWebサイト
それでは、Value domainにアクセスしてみましょう。
トップページにアクセスすると・・・
~今月のおすすめドメイン「.com 899円」~と、でかでかと表示されています。
この899円とは、年間の維持費用のことです。登録したら、毎年維持するために所定の料金が必須となります。
2、購入の手順
それではValue domainにて、ドメインを買い付ける手順を再現します。
1.この記入欄(<人気ドメイン>「.com」890円!)に好きなドメインを入力します。
たとえば、SEO検定のサイトを新たに開きたいときなら「seo-kentei」と入力するとよいかもしれません。
2.入力し終わったら、「検索」ボタンを押下します。
そういえば「seo-kentei」という文字列は、URLにおいてはどの部分に入るのでしょうか?
これは「.aaaaa」の部分ですね。つまり、第3レベルドメインです。第3レベルドメインは、購入時に自分自身に決定する権利があるわけですが、いったん購入したら変更は絶対にできません。
変更が不可能な以上、ドメインを変えたくなったときは新しく購入する必要があるわけです。第3レベルドメイン「.aaaaa」の部分は、自由に決めてよいとはいえ、後悔しないように慎重に決める必要があるのです。
3.検索結果を確認して、選択する
「seo-kentei」の検索結果によると、「.com」は購入できる模様です。
初年度「.com 899円」で「seo-kentei.com」というドメインを買えます。
それから、「.net」であっても買えることになっていますね。「seo-kentei.net」は1199円で買えるとのことです。
下までチェックすると、「.com」「.net」以外のほとんどの第4レベルドメインを買えることがわかります。
しかし1種類だけ買えません。「.jp 1.190円 ×」と出ています。
「.jp」は1190円で売りに出されていたようですが、すでに買い手がついてしまったのでしょう。
↓にはっきりと書かれていますが、ドメイン名は先着順です。まさに、早い者勝ちなのです。
3、選択できる第2レベルドメインの違い
「seo-kentei」というネーミングはなかなかユニークですし、SEOという特殊なサービスを展開する団体または個人でないと興味を持たないでしょう。というわけで、購入できる種類がこんなにもたくさんあるのです。
しかし、買いたがる団体・個人がたくさんいるようなジャンルの場合は、売り切れ続出になる運命です。
例をあげましょう。ホテル事業をやっている会社があって、そこが自社サイトを新設することになりました。
そこで思いついたのが、ものすごくわかりやすいドメインを使うことでした。
- hotel.com
- hotel.net
といったドメインなら、覚えやすいですし、宿泊客も歓迎しそうですね。
※第3レベルドメインは、短くて1語であるのが理想です。
「seo-kentei」よりは「seo」のほうがいい、ということです。1語ですし、たったの3文字ですから。
では、「検索」を押下したら、果たしてどうなるでしょうか?
残念なことに「×」だらけ、ほとんどが売り切れになっています。
売れ残っているのは「hotel.inc」ですね。しかし、98000円もします!
プレミアム金額がついてしまっています。
4、第2レベルドメインの価格帯
ドメインの価格は、いくらくらいするものなのでしょうか?
(インターネットの歴史はまだ30年くらいしかありませんし、昔といってもそんな大昔ではありませんが)昔は定価で購入契約できるドメインが当たり前でした。
10年以上前は年間10,000円、または100ドルくらいで買えることがふつうでした。
そして昨今では、年間1,000円くらいの料金が当たり前になりました。特殊なドメインでも2,000~4,000円くらいで契約できることが普通でしょう。
しかし、hotel.incは98,000円もします……それでも、金を積むなら誰でも買えるのです。
ところでhotel.or.jpなら3,780円で買えます。
しかしこのようなドメインは、誰でも買えるわけではありません。
「or.jp」は、社団法人や財団法人のような団体でないと使ってはいけないドメインなのです。民間企業や個人が買うことは許されていないのです。
※私が運営している「全日本SEO協会」は一般社団法人です。このため「or.jp」も買えます。ただしひとつしか買えません。「.net」や「.com」だったら、購入数に制限がありませんし、誰でも買えるのですが。
全日本SEO協会は「ajsa.or.jp」というドメインをすでに購入しています。第3レベルドメインは「ajsa」です。
URL全体を書くなら「https://www.ajsa.or.jp」となります。
さて、ドメインネームをめぐって、大金が動くことを説明したばかりですが…値段が一定ではないことも覚えておいたほうがよいでしょう。
先ほどの「hotel~」という第3レベルドメインの例で言いますと…
しかし時間が経つと、値上がりするかもしれません。初年度が数百円でも、2年目から1,000円を超えることがあるのです。
ドメインの契約は何年も続くわけですから、2年目以降に損をしてしまう恐れもあるわけです。
5、買いたかった第2レベルドメインが、すでに買われているときは?
人気がある文字列である場合は、買いたくてももう買えないということがほとんどです。
では、Value domainのようなサイトで調べたら、もう買えなくなっていたときは? あきらめるしかないのでしょうか?
世の中には、このようなときにあきらめられない方だっているわけです。このため、ドメインの転売や買収が頻繁に実施されています。
※ドメインの売買は、実際のところ難しいことではありません。
すでに取得済みのドメインを使って何らかのWebサイトを開いている場合でも、ドメインの買い取りはできるようになっています。
とてもシンプルなドメインであれば、ショッキングなほどの高値が付く運命となっています。
アメリカ合衆国では、数百万円どころか1億円くらいの買い取り額になることだってザラにあります。 ちなみにアメリカの場合は、投機目的での売買が行われているふしがあります(日本ではそのようなケースはまだめったになさそうですが)。
※10年以上前に、大統領選挙で数回立候補した経験を持つペロー氏という人物がテキサス州にいました。
選挙に何回も出られるということは、資金力がなければなりません。実際にこのペロー氏、荒稼ぎの手段をいくつも知っているとのことで、そのひとつがドメインネームの転売ではないかという噂があります。
アメリカではドメインネームは「隠れた資産」と化している、と書くこともできるでしょう。
第3レベルドメインは変更可能
ドメインネームを買ったら、第3レベルドメイン(URLの「www」の部分ですね)に関しては、使用しているレンタルサーバの設定画面等で自由に変更できます。
「www」は、サブドメインとも呼ばれる部分です。あってもなくてもよい部分です。残すのであれば、自由に文字列を入れられます。
ここを「www2」や「www3」にすることだってできますね。実際にそうしているところは多々あります。
Yahoo!JAPANのサイトでは、ドメインはどうなっていたでしょうか?
ご覧のように「www.yahoo.co.jp」です。
前述したように、サブドメイン「www」は第4レベルドメイン。ドメインの所有者に変更する権利があります。
Yahoo!JAPANでは実際に、下層カテゴリページでよくサブドメインを変更していますね。Yahooのトラベルのカテゴリに移動すると、「travel.yahoo.co.jp」というドメインになっています。
ニュースのカテゴリなら、「news.yahoo.co.jp」。
オークションのカテゴリなら、「auctions.yahoo.co.jp」。
というわけで、値打ちのあるドメインネームを1種類でも買うことができたら、サブドメインを好きなようにいじって役立てるのがベスト。
サイトの運営目的に合わせて、サブドメイン(≒第4レベルドメイン)をわかりやすく変更するのがいちばんでしょう。管理も難しくありませんし、コストもかかりません(この点は改めて後述します)。
ドメインネームとSEOにはどんな関係があるのか?
それではそろそろ、本題となるSEOにテーマを移りましょう。ドメインネームはSEOにどう関係するのでしょうか?
1、ドメインに対するGoogleの評価方法
現在のGoogleは
- そのサイトのドメインに、どのぐらい値打ちがあるか?
- そのサイトのドメインに、社会的評価があるか?
~といった条項を大切にしています。
Googleはドメインすら、SEOの参考材料にしているのです。値打ちのないドメインだとみなされるような真似はくれぐれも避けたいものです。
それにしても、ドメインネームの値打ちはどうやったら上がるのでしょうか。
その手順はこちら。
- あるドメインネームの中にサブドメインを増やす
- そのサブドメインを使って、小さなWebサイトを立ち上げる
- 各サイトのアクセス数を増やす
この手順がうまくいくと、Googleはそれぞれのサイトを人気が高いサイトとみなします。すると、ドメイン自体に対しても、人気があるものとみなすようになるのです。
この点で、模範例となっているのは楽天市場でしょう(楽天にしてもサブドメインばかりを使っているわけではなく、Yahoo!のように他のドメインも持っていそうですが)。
楽天のドメインは、有名です。「www.rakuten.co.jp」です。「www」が消されないで残っています。
それでは「楽天への出店」という画面を選んでみましょう。
これも「www.rakuten.co.jp」です。
それでは「楽天ブログ」なら、どうなるでしょうか?
「plaza.rakuten.co.jp」となっています。
※これは昔からあるドメインです。10年以上前から、ブログのレンタルサービスや掲示板を楽天は運営していました。
楽天は、サイトごとにサブドメインを(適宜)増やしているのです。
2、海外での第2レベルドメイン事情
それから楽天市場は、海外にも進出しようと躍起になっている企業ですね。第二のアマゾンのような存在になることを目指しているのかもしれません。
こちらに、楽天のアメリカ版へ行けるリンクがありますね。
すると? ドメインは「rakuten.com」になっています。
アメリカ合衆国では、いちばん値打ちがあるのは「.com」です。だから「rakuten.com」にしたのでしょう。
※そういえば「.com」とは、どういう意味の言葉なのでしょうか?
これはおそらく、
- ドット・カンパニー(.company)
- ドットコミュニケーション(.communication)
ではないでしょうか。
しかしそのままでは長いため、コンパクトに「.com」にしたのかもしれません。
- 世界全体でいちばん値打ちがあるドメインネームは
→「.com」
しかし国によって、その他のドメインも値打ちがあります。 - 我が国、日本国内で値打ちが高いドメインネームは
→「.co.jp」または「.jp」
ちなみに「.co.jp」も、カンパニーの略です。
※「.co.jp」は、1法人で1種類しか買えないという決まりがあります!
しかし「.jp」なら、いくつでも買ってOKですね
……年間の維持費が3,000円以上します。
というわけで海外展開をもしやりたいなら、楽天を見習って、「.com」を選ぶ(つまり、ドメインを別途購入する)のが妥当です。
しかし、楽天のように資金や人員をつぎ込めない企業のほうが多いでしょう。
その場合は無理して別ドメインにせずに、これまでのドメインの中にサブドメインを設けてもよいでしょう。
楽天であれば、「usa.rakuten.co.jp」なんていうサブドメインを持つことが考えられます。
※実は「.com」のような別ドメイン選ぶという手法にも弱点があります。
新しく買ったドメインでは、Googleからの評価は「ゼロからのスタート」です。しかしサブドメインなら、それまでのドメインの評価が利用できます。
…実際に、新たなドメインの評価を上げたいならまた時間・労力・資金がかかります。それがうまくいかず、中途半端なドメインで終わってしまう恐れは無視できません。
以上をまとめますと、国内向けのサイトの場合でも……
- ドメインを別に設けるなら、集客できるようになるまでにやはりコストがかかる(人的なコスト等も含む)
- 経営状態に余裕がないときは、無理にドメインを増やすよりもサブドメインを選んだほうが無難
~ということになります。
後者を選ぶなら、たとえば今あるドメインの中にサブドメインという形で、wwwのところをauctionですとか事業の名前に置き換える程度でもかまいません。
または「www.aaaaa.co.jp/auction/」というように、サブディレクトリという形を選んでもOKでしょう。
※ちなみにGoogleは、2018年11月に開いたラスベガスでのカンファレンスで、重要な発表に踏み切っています。ゲイリー・イリーズいう著名な技術者が「サブドメインもサブディレクトリも評価は同じである」と公言しているのです。
Googleからのお墨付きがある以上は、サブドメインでもサブディレクトリでもどちらもよいわけですね。安いドメインネームが見つかっても、むやみに買うことは賢明な策ではないのです。
まとめ: ドメインネームが集客等に及ぼす影響は低いものではない
端的に書くなら「ドメインネームは賢く買って、賢く使う」これが結論です。
- WebサイトのURLは、まったく同じものはふたつとない。気に入ったURLがあっても、専門の組織にお願いして照合しないといけない。
- 好きなスペルに決められるのは「第3レベルドメイン」の部分。第3レベルドメインはできれば1語でシンプルに、短めのほうが好ましい。
- URLの中でも「第2レベルドメイン」の部分は、「Value domain(バリュードメイン)」や「お名前ドットコム」のような専門のサイトで厳正に管理されている。
- 「Value domain」等で、まだ買い手のついていない第2レベルドメインを買う場合、1年ごとに所定の料金を払うことになる。
- 人気の高い第2レベルドメインは高値が付くようになっている。転売・買収は珍しいことではない。
- 第4レベルドメインに関しては、自由に変えられる。「www」を取り除いてもよいし、好きなスペルに変えてもよい。
- ドメインネームはGoogleのSEO評価の判断指標のひとつである。サブドメインを使って、自社サイトを増やすことでドメイン全体の評価及び自社サイト全体の評価が上昇する。
- 自社のビジネスを海外展開したいなら、「.com」のようなドメインが望ましいため、ドメインを別途購入したほうがよい。そのほかにも、ドメインを増やしたほうがよさそうなケースは考えられる。
- ただし新たなドメインの評価を上げるのは並大抵のことではないため、余裕がないときは第4レベルドメインを変えて(サブドメインを使って)サイトを分けたり増やしたりしたほうが無難。
最後にちょっとした警告を残させてください。
ドメインネームは、管理を怠ると気づかないうちに「失効」してしまうことがあります。 支払いが1日でも遅れると、人手に渡ってしまう恐れが発生するのです。
万一、買い取ったのがライバル会社だったら最悪です……顧客をまとめて奪われる始末です! そのドメインネームをずっと覚えている顧客はたくさんいるでしょう。Googleでも検索にひっかかるはず。
支払いを含めて、ずさんな管理はくれぐれもしないようにしましょう。