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Googleが「AIモード」の公式ガイドを公開!これからのSEOはどう変わる?

2025年11月09日

2025年、Googleはついに「AIモード」に関する公式ガイドを世界に向けて公開しました。これまで多くの方が「AIによる概要(AI Overviews)」や「AIモードって一体どういう仕組みなの?」「どんなページが選ばれるの?」と疑問を感じていたと思います。

今回のGoogle公式ガイドによって、その仕組みや考え方が初めて明確に説明されました。私は企業や店舗、専門家の方々のSEO対策をコンサルティングという形でサポートしていますが、最近は「AIによる概要に自社サイトを載せたい」「AIモードで取り上げられるようにしたい」という相談が非常に増えています。この記事では、Googleが発表したAIモードのガイダンスをわかりやすく紹介しながら、私自身が現場で見ている「AI検索時代のSEO」の変化と、これから取るべき対策について解説します。


Googleがついに公式に説明した「AIモード」とは?


Googleの開発者向け公式サイト「Search Central」に、新しいドキュメント「AI機能とウェブサイト(AI Features in Search)」が公開されました。この中では、「AIによる概要」や「AIモード」がどのように動いているのか、どんなコンテンツが選ばれるのかについて、初めて公式に説明されています。

Googleによると、AIモードで特別なマークアップや新しいSEO設定を行う必要はありません。つまり「AIモード対応」といっても、特別なタグを入れたり、AI専用の設定を追加したりすることは不要ということです。

基本的には、これまでのSEOの基本をきちんと守っていれば、AIモードでも評価されるという考え方です。ただし、AIモードの内部では従来とは違う「検索の仕組み」が使われています。それが「クエリファンアウト(Query Fanout)」という新しい考え方です。


「クエリファンアウト」とは?


クエリファンアウトとは、AIが検索のときに行う「情報の広げ方」のことです。たとえば、あなたがGoogleに「コーヒーは健康に良いの?」と入力したとします。AIはその質問を1つのまま検索するのではなく、次のように複数の小さな質問に自動的に分けて検索します。

・コーヒーの健康効果についての研究
・カフェインの取りすぎのリスク
・1日あたりの適切なコーヒー摂取量
・睡眠への影響
・医療機関や専門家の見解

このようにAIは、1つの質問から「関連するテーマ」をいくつも枝分かれさせて検索し、それぞれの情報を集めた上で要約して表示します。これが「クエリファンアウト(Query Fanout)」の仕組みです。



つまり、AI検索では人間が調べ物をするときのように、「複数の角度から調べて、総合的にまとめる」というリサーチを自動で行っているのです。この仕組みの登場によって、AI検索やAIモードでは「幅広く、しかも深い情報を提供しているサイト」が選ばれやすくなりました。逆に、内容が薄かったり、1つの視点しかない記事はAIに選ばれにくくなる傾向があります。


AIモードで評価されるサイトの特徴


Googleの公式ガイドでは、「AIモードで選ばれるために特別な設定をする必要はない」と述べています。しかし、AIがどのようにページを選んでいるかを理解すると、「選ばれやすいサイトの特徴」が見えてきます。たとえば、次のようなサイトです。

・各ページがしっかりとインデックス登録されている
・内部リンクの構造が整理されていて、関連ページ同士がつながっている
・読者にとってわかりやすい内容と見やすいレイアウトになっている
・本文と構造化データ(schema)の内容が一致している
・ページの読み込み速度が速く、スマートフォンでも快適に見られる

私がコンサルティングを行っている企業でも、これらの基本をしっかり実践しているサイトほど、AIによる概要に引用される可能性が高い傾向があります。AIモードでは、単に「キーワードを入れたページ」よりも、「トピックを深く掘り下げ、関連テーマにもきちんとリンクしているページ」が評価されます。これはまさに、従来のSEOで重要とされてきた「専門性と網羅性」の考え方と一致しています。


SEOの本質は「AIになっても変わらない」


AIモードの登場によって、検索の見た目や仕組みは大きく変わりました。しかし、Googleが最も重視しているのは今も昔も「ユーザーにとって役立つ情報を提供しているか」です。

私のもとに相談に来るクライアントの中には、「AI検索の時代になったらSEOは終わりなのでは?」という不安を抱える方もいます。しかし、実際にAIモードを詳しく分析してみると、AIによる概要に引用されているページの多くは、これまでのSEOでも高く評価されていたサイトばかりです。

つまり、SEOの本質は何も変わっていません。GoogleはAI時代になっても、「人々に信頼される情報」「専門的で正確な内容」「読みやすく、理解しやすい構成」を重視しているのです。


AIモードでの検索データはどう見ればいいのか?


AIモードが登場してから、サーチコンソールでのデータの見方も少し変わってきました。Google公式によると、「AIによる概要」や「AIモード」で表示されたページも、通常の検索と同じ「ウェブ検索」タイプとして計測されています。



つまり、AIモード経由でアクセスがあった場合でも、サーチコンソール上では通常検索からのクリックとしてカウントされています。このため、今後は単にクリック数や表示回数を見るだけでなく、「どんなクエリでAIによる概要が表示されたのか」「その時に表示された自社ページはどんな特徴があるのか」を意識して分析することが大切です。

私が企業コンサルティングでよく行っている方法は、「滞在時間」や「離脱率」も合わせて見ることです。AIによる概要に引用されたページは、ユーザーが内容を信頼しているため、滞在時間が長くなる傾向があります。こうしたデータの変化を観察すると、自社のコンテンツがAIモードでどのように評価されているかを間接的に把握できます。




中小企業や個人サイトが今からできる「AIモード対策」


AIモードは、まだすべての検索で表示されるわけではありませんが、すでに全検索クエリの50%以上で「AIによる概要」が検索結果ページに表示されています。つまり、今から準備をしておくことが非常に重要です。特に中小企業や個人の方でも、次のようなシンプルな取り組みでAIモードに評価されるチャンスを増やすことができます。

@ トピックを深く掘り下げる記事を作る


1つのテーマについて、表面的な説明で終わらせず、「背景」「理由」「具体例」「注意点」などをセットで書くようにしましょう。AIは「深さ」を見ています。つまり、ユーザーの疑問を先回りして答える構成のページが選ばれやすいのです。

A 関連ページを内部リンクでつなげる


クエリファンアウトでは、AIが「関連する複数のページ」を横断的に見ています。そのため、1つのテーマだけでなく、関連トピックにもリンクを張っておくことが大切です。私のクライアントであるある工務店のサイトでは、「リフォーム費用」「断熱リフォーム」「補助金」などのページを相互リンクでつなげたところ、「AIによる概要」への引用に成功したことがあります。

B 構造化データを正しく記述する


GoogleはAIによる概要を作る際、構造化データ(schema.org)も参考にしています。記事の内容と一致した構造化データを正しく設定しておくと、AIが内容をより正確に理解できます。

C 実名・実績を明示する


AI時代では「誰が書いた情報か」も重視されます。
著者名を明記し、専門的な立場や経験を紹介しておくと、AIによる評価が上がる傾向があります。これはE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の観点でも重要です。


現場で感じる「AIモードで成功しているサイトの共通点」


私が全日本SEO協会で日々、多くの会員企業のデータを見ている中で、AIモードで引用されやすいサイトには共通点があります。それは、「人の悩みを解決しているサイト」であるということです。

たとえば、ある美容クリニックの事例では、「シミ治療 費用」「ダウンタイム 比較」「失敗例」というように、ユーザーが不安に感じるキーワードに丁寧に答えるページを作ったところ、AIによる概要に引用されるようになりました。

また、ある学習塾では「勉強 集中できない」「やる気を出す方法」など、生徒や保護者のリアルな悩みに答える記事を増やした結果、AIモードで上位に表示されるケースが増えています。これらの例に共通しているのは、「ユーザー視点に立った構成」と「明確な専門性」です。つまり、AIモードでも従来のSEOでも、「人の役に立つ情報」が最も強いということです。


Googleが強調する「特別なAI対策は不要」というメッセージ


Googleは公式ガイドの中で、「AI機能に合わせて特別な最適化を行う必要はありません」とはっきり述べています。AIモードで引用されるサイトは、これまでのSEOの基本をきちんと実践しているだけなのです。この点は非常に重要です。

AIモード時代のSEOは、技術的なトリックよりも「本質的な信頼性」が問われています。つまり、「このサイトの情報は正確そうだ」「この人の説明なら信頼できそうだ」と思われるような運営体制を築くことが最も効果的なのです。


AIモード時代のSEOは「原点回帰」


AIによる概要やAIモードの登場によって、検索の見え方は確かに大きく変わりました。しかし、Googleの基本方針はこれまでと変わっていません。

検索エンジンが進化しても、最終的に評価されるのは「ユーザーに役立つ内容」「信頼できる情報」「わかりやすく整理された構成」です。これまで私が20年以上にわたってSEOを研究・指導してきた中で、最も成果を上げてきたサイトは、どれもこの基本を徹底していました。

AI時代になっても、それは変わりません。むしろ、AIが人間の代わりに「信頼できるサイト」を探してくれるようになった今こそ、本物の専門家としての情報発信が求められています。AIモードの時代は、テクニックよりも「誠実なコンテンツづくり」が成果を分ける時代です。この変化をチャンスと捉え、自社の強みや専門性をわかりやすく伝えるコンテンツを育てていきましょう。

AIエージェントとは何か? 現在人気のAIエージェントと将来の展望

2025年11月06日

最近、「AIエージェント」という言葉が注目を集めています。これは単に「会話ができるAI」という意味ではありません。AIチャットボット(例えばChatGPT)とは異なり、AIエージェントは「自律的に目標を遂行しようとするAI」です。タスクを判断し、ツールを使い、計画を立てて行動するという、高度な知的主体性を備えた存在です。この記事では、AIエージェントがどんな概念であり、現在どんなエージェントが人気を集めているのか、そして今後どう進化していくのかをわかりやすく解説します。


AIエージェントとは何か?


AIエージェントとは、目標達成のために自律して行動できる人工知能システムのことです。一般的なチャットボットが「ユーザーの入力に反応するだけ」であるのに対し、AIエージェントは自らタスクを分解し、適切なツールを使い、状況を判断しながら動く能力を持ちます。

例えば旅行の計画を任せると、目的地や予算、日程に基づいて自ら調べ、フォームに入力し、予約まで進める存在です。こうしたエージェントは、ユーザーの意図を踏まえて「仕事をしてくれるAI」と言えます。こうした定義は、Google Cloudの解説でも紹介されており、AIが感知し、計画し、意思決定し、実行に移すことがエージェントの本質とされています。


現在人気のあるAIエージェントは?


2025年現在、注目されているAIエージェントにはいくつかの潮流があり、それぞれ用途やユーザー層が異なります。まず、GoogleのGemini Agent Modeは、フォーム入力やブラウザ操作に特化し、自動でタスクを完了できます。このエージェントは、最も高いマーケットシェアを持ち、利便性の面でトップです。

AnthropicのClaude(Computer Use)は知識ワーカー向けに注力され、コード作成や資料の作成などで活用が進んでいます。一方、Devin AIはソフトウェア開発タスクに特化し、プロジェクトを自動で完成させる能力でも注目されています。

またAutoGPT、LangChain Agents、AgentGPTなどはいわゆるオープンソース系エージェントとして、旅行の計画や契約文書の要約など多様な用途を持ち、小規模組織や個人による利用が増えています。

さらにGoogle DeepMindのProject Marinerは、ウェブブラウザ操作を自動化する技術実験として注目され、チャットとブラウザ操作を融合した新しいエージェント体験として進化しています。


AIエージェントの市場シェアの現状


2025年の調査によると、AIエージェント市場はすでに明確なリーダーが存在し、特定のプラットフォームが大きなシェアを握っています。
AIエージェントとは、ユーザーが設定した目標をもとに、自律的にタスクを分解し、計画を立て、実際に行動を起こす人工知能システムのことです。単なるチャットボットと異なり、状況を判断してツールを使い分けながら、複数のタスクを連続して実行できる点が特徴です。

今回の調査では、主要AIエージェントの月間アクティブユーザー数(MAU)をもとに、市場シェアが算出されました。その結果、Googleの「Gemini(Agent Mode)」が全体の約58%を占め、圧倒的な首位となりました。これは検索エンジンやAndroidとの統合による広範なユーザー基盤が背景にあります。

次いで「Claude(Computer Use)」や「Devin」など、知識労働者や開発者向けのエージェントが上位に入りました。一方で、「LangChain Agents」や「AgentGPT」「AutoGPT」など、企業の業務自動化や個人の生産性向上に使われるエージェントも急速に利用が拡大しています。

この結果からは、次のような市場動向が読み取れます。
・大手プラットフォームとの連携を持つエージェントがシェアを独占している。
・一方で、個人や中小企業向けの軽量エージェントの成長率が高く、今後の拡大が期待される。
・企業向けのエージェントは導入コストや運用体制の整備に時間を要し、普及スピードはやや緩やかである。

《AIエージェントの比較》




市場規模と成長率


AIエージェント市場はまだ始まったばかりですが、その成長速度は驚異的です。調査会社FirstPageSageのレポートによれば、2025年のAIエージェント市場は既に数十億ドル規模に達しており、2030年までに年間成長率30%以上で拡大すると予測されています。

特にGoogle Geminiの「Agent Mode」が発表されて以降、消費者の関心が一気に高まりました。旅行予約やオンラインショッピングの自動化といった具体的なユースケースが提示されたことで、一般ユーザーにも「自律的に働くAI」という概念が理解されやすくなったのです。

さらに、ソフトウェア開発に特化したDevin AIの登場は、開発者の間でAIエージェントの実用性を強く印象付けました。コード生成やバグ修正だけでなく、テストの実行やドキュメント作成までを自律的にこなすことで、「AIがエンジニアの一部業務を肩代わりする未来」が現実味を帯びてきたのです。


企業や消費者への影響


企業にとってAIエージェントは、単なる生産性向上ツールにとどまりません。たとえば金融業界では、AIエージェントが投資分析や顧客相談を行い、担当者はより高度な判断に集中できるようになります。小売業界では、在庫管理や需要予測をAIエージェントが担うことで、ヒューマンエラーを減らし効率化を図る動きが進んでいます。

消費者の生活面でも影響は大きく、AIエージェントが生活の一部を「代行」するようになっています。旅行の計画を立てるときには、ユーザーが条件を指定するだけで宿泊先や航空券の予約を完了し、スケジュール表まで自動で生成してくれる。買い物に関しても、定期的に必要な日用品をエージェントが自動発注するようになれば、人々の生活はより効率的で快適なものになります。

こうした変化は一部の未来予想ではなく、既に一部のユーザーが体験している現実です。AIエージェントが普及すればするほど、私たちは「探す」「比較する」「選ぶ」といった時間のかかる行動から解放され、AIに任せる領域が広がっていくでしょう。


安全性と信頼性の課題


ただし、AIエージェントの普及には課題も伴います。最大の懸念は「意思決定の透明性」と「安全性」です。ユーザーが依頼したタスクをエージェントがどのような基準で処理し、どのような情報源を参照しているのかが不明瞭な場合、誤情報や偏った判断が入り込むリスクがあります。

IBMはAIエージェントの解説の中で、エージェントが扱う情報の信頼性やアルゴリズムの透明性を確保することが不可欠だと強調しています。特にヘルスケアや金融のような人々の生活に直結する分野では、AIエージェントの判断に誤りがあれば重大な影響を与える可能性があるため、監査可能な仕組みと人間の最終判断を組み合わせる必要があります。


将来の展開予想


AIエージェントは今後どのように進化するのでしょうか。第一の方向性は「日常生活への浸透」です。スマートフォンやパソコンに標準搭載され、ユーザーが特別にアプリを開かなくても常時タスクを処理してくれる存在になるでしょう。GoogleやAppleのようなプラットフォーマーは、OSレベルでAIエージェントを組み込むことで市場を支配しようとしています。

第二の方向性は「専門分野への特化」です。Devin AIのように開発者向け、あるいは医療専門エージェントや教育支援エージェントといった形で、特定領域に最適化されたエージェントが次々に登場すると予想されます。これはChatGPTのような汎用型モデルと共存し、状況に応じて使い分けられる世界をつくるでしょう。

第三の方向性は「協調型エージェント」です。将来的には複数のエージェントが連携し、ひとつのプロジェクトを自律的に進めるようになるかもしれません。たとえば建築プロジェクトであれば、設計エージェント、法規制確認エージェント、資材調達エージェントが協力し、効率的にタスクを完了させる未来が想像されます。



まとめ


AIエージェントとは、ユーザーの指示を単に待つのではなく、自ら考え、ツールを使い、タスクを遂行する自律的な存在です。現在はGoogle GeminiのAgent ModeやAnthropicのClaude Computer Use、Devin AIなどが注目を集めており、オープンソース系のAutoGPTやLangChain Agentsも開発者の間で利用が広がっています。市場は急速に拡大しており、2030年には日常生活やビジネスの多くの領域に浸透することが予想されます。

ただし、その一方で安全性や透明性、倫理的な利用に関する課題も残されています。AIエージェントの未来は明るいものですが、信頼性を確保しつつ社会に統合していくための議論と技術開発が不可欠です。これから数年の間に、私たちは「AIが人間の代わりに考え、行動する社会」を本格的に体験することになるでしょう。

SNS運用から撤退する会社が多い本当の理由と、成果を出す再挑戦の道

2025年11月04日

最近、東京商工リサーチが発表した「企業のSNS運用に関するアンケート(2023年)」の結果を読むと、驚きを禁じえません。全企業の 54.8% が「SNSを運用していない」と回答しており、資本金1億円以上の大企業でも 53.1% が運用を行っていないという状況です。
なぜ、多くの企業がSNS運用に踏み切れず、あるいは途中で撤退してしまうのでしょうか? 本記事では、私がSEO・Webマーケティング支援を多数手がけてきた経験、および協会会員やコンサル先からの相談をもとに、「なぜ撤退が多いか」を整理したうえで、後半では「どうすればSNS運用で成果を出せるか」の具体策を解説します。


なぜ撤退が多いのか?


SNS運用から撤退を選ぶ企業が多い理由を、複数の要因に分けて分析します。



1. リソース・人材不足(時間・人手・予算の制約)


東京商工リサーチの調査報告でも、SNS未運用の最大要因として「リソース(人員・予算・時間)が割けない」が挙げられています。

中小企業であれば特に、Web部門もマーケティング部門も兼任しているケースが多く、SNS担当者を専任できない、また投稿準備やクリエイティブ作成に手がかかるという実務負荷が壁になります。

同じく、大企業であっても「SNSという領域を担当する部門」が明確でないケースが多く、現場で手が空いている人がちょっと投稿する程度、という「寄せ集め対応」になりがちです。そうなると、投稿頻度・質ともに維持できず、労力に見合った成果が出ない→モチベーション低下、最終的に撤退という流れになります。

また、SNS運用には撮影・編集、コピーライティング、デザイン、広告運用、投稿スケジュール管理、ユーザー対応など多様なタスクがあります。これらを社内でまかなえる体制がなければ、初期段階でつまずくことになります。

2. ノウハウ・スキルの不足


SNSごとにアルゴリズムや特性(タイムライン、リール、ストーリー、ハッシュタグ、ハッシュバズ、インフルエンサー連携など)が異なるため、「これが正解」という汎用フォーマットは存在しません。特にBtoB企業など、SNSで何を発信すればよいか・どの切り口が響くかがわからず、手探りで進めて失速するケースが多いです。

東京商工リサーチの調査では、SNSを運用している企業のうち 29.3% が「効果は得られなかった」と回答しています。

これは、ノウハウ不在が要因になっていることを示しています。たとえば、「投稿頻度が低すぎてフォロワーが増えない」「内容がセールス色が強すぎて反応されない」「ユーザーとのエンゲージメント(いいね/コメント)が続かない」など、よくある壁です。

また、SNS広告やインフルエンサー連携、効果測定(KPI設計、分析)などは高度なスキルを要する分野であり、内製では難しいと判断して外部に委託したもののコスト対効果が見合わないというケースもあります。

3. 成果が見えにくい/ROIが低い感覚


SNSは通常、即効で売上に直結するチャネルというより、認知・信頼形成・コミュニティづくりなど中長期の効果を期待するメディアです。しかし、社内経営層はしばしば「運用コストに見合うリターンが欲しい」と考えがちです。投稿しても「いいね」や「フォロワー数」が増えるだけで、具体的な問い合わせや売上につながらないと評価できず、「効果なし」と判断されてしまう。

このギャップは、SNSを 「媒体」 ではなく 「販促チャネル」 と捉えすぎる企業が陥る典型パターンです。特に、成果を数値(売上、問い合わせ件数)でしか評価しないと、SNS運用の持つ「関係性発展」「長期育成」などの価値が見えづらくなります。

4. リスク・炎上・ガバナンスへの不安


SNS運用にはリスクも伴います。投稿ミスや表現の炎上、クレーム対応、社内のポリシー違反、法規制遵守(著作権、肖像権、個人情報)など、ガバナンスをきちんと設計していないと企業イメージを傷つけるリスクがあります。新入社員教育や投稿ガイドライン整備をしていない企業では、「炎上したらどうしよう」という心理的なブレーキが強く働き、運用に踏み切れない、あるいは途中で停止することがあります。

特に、コメント対応を怠ると炎上や風評拡散につながる危険があり、それを恐れて 「発信だけやって放置」 という形でユーザー対応を怠ると逆効果になるため、管理可能性の観点から撤退を選ぶ企業もあります。

5. 組織文化・意思決定構造の壁


SNSは即時性・双方向性を持つメディアであるため、柔軟な意思決定や現場判断が求められます。社内承認プロセスが複雑であったり、担当者が発信を自由にできない体制(広報・法務チェックのラグが長いなど)では、発信が 「遅れる・躊躇する・回数が減る」 ことになります。結果として運用が停滞し、撤退に至るという流れです。

また、企業の文化として「慎重・失敗回避型」が強いと、リスクを取って発信を試すフェーズにも進みづらい。こうした企業風土の制約も、SNS運用を諦めさせる要因になっています。

6. 既存チャネル重視・SNS不要論


中には「わが社には既にホームページ/メール/展示会など従来チャネルがあり、SNSをやる必要性を感じない」という意見もあります。実際、東京商工リサーチの調査報告では、SNS未運用企業の意見としてそうした声も紹介されています。

しかし、この考え方はデジタル時代ではリスクも伴います。消費者接点がSNS中心へとシフトしている現代において、SNSを無視することは潜在顧客との接点を自ら放棄することになるかもしれません。

7. 成長フェーズの限界・飽和感


最初のうちはフォロワーが増えて盛り上がっても、ある時点から伸び悩む「壁」にぶつかる企業・アカウントも多く見られます。投稿ネタ枯れ、反応低下、エンゲージメント率の低下などが原因で、「これ以上伸びないなら止めよう」という判断を採ることがあります。

また、SNS運用を長く続けるには継続力と粘りが必要ですが、途中で方向転換せずに「惰性運用」になってしまい、効果が出ず、最終的に撤退を選ぶ企業も見られます。


SNS運用で成果を挙げるための実践策


ここからは、前半で述べた「撤退の原因」を乗り越え、SNSで実際に成果を出すための実践的なアプローチを紹介します。これは私がこれまで多くの企業をコンサルティングしてきた中で、成功した企業に共通していた考え方と行動の特徴でもあります。



(1)まず「目的」を明確にし、成果指標(KPI)を設計する


多くの企業が失敗する理由は、「SNSをなぜやるのか」という目的が曖昧なまま始めてしまうことです。
たとえば「売上を伸ばしたい」「認知度を上げたい」「求人応募を増やしたい」など、ゴールによって運用方針も、投稿内容も、評価指標も全く異なります。

「新規顧客獲得」が目的なら、KPIはフォロワー数ではなく「問い合わせ数」や「クリック率」を追うべきです。逆に「ブランディング」や「信頼構築」が目的であれば、「コメント率」や「エンゲージメント率」を優先します。

Googleも「目的とKPIを明確にしたうえで、データをもとに改善を繰り返すことが、成果の出るデジタルマーケティングの基本である」と明示しています。

目的と指標を定義せずに運用を続けると、いつの間にか「投稿が目的」になり、本来のビジネス成果に結びつかなくなります。

(2)フォロワー数より「関係性の深さ」を重視する


SNSの本質は「つながり」です。単にフォロワー数を増やすことよりも、「ユーザーとどれだけ双方向で関わりが持てるか」が重要です。

たとえば、Instagramのアルゴリズムでは「関係性の深いアカウント」が優先的に表示される仕組みになっています。過去にコメントを交わした相手、DMを送った相手、投稿をよく閲覧する相手ほど、ホーム画面やリールで表示されやすくなるのです。

私のクライアントの中でも、フォロワー数が1万人以下でも安定した集客を維持している企業が複数あります。共通点は、コメントへの返信率が非常に高いことです。ユーザーの声にリアクションを返すことで、「この会社はちゃんと見てくれている」という信頼が生まれ、再来訪やリピート購入につながります。

SNSの成果とは、単発のバズではなく「長期的な信頼関係の積み重ね」によって得られるものです。

(3)コンテンツを「顧客目線」で設計する


SNS運用が失敗するもう一つの大きな理由は、「発信内容が自社中心になっている」ことです。「自社商品をどう見せるか」ばかりを考えると、投稿は宣伝っぽくなり、ユーザーの関心を引けません。

たとえば、美容院なら「新商品トリートメントの紹介」よりも、「湿気の季節でも髪が広がらないケア方法」を教える投稿のほうが保存されやすく、コメントも増えます。

私のクライアントの美容サロンでも、こうした「顧客の悩みを解決する投稿」に切り替えた結果、エンゲージメント率が約3倍に向上しました。
SNSで反応が得られるのは、「役に立つ情報」「共感できる体験談」「人間味のあるストーリー」です。

企業であっても、「人が書いている感」を出すことが大切です。Googleの検索品質評価ガイドラインでも「E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)」が評価の中心にあります。これはSNSにも当てはまる考え方で、発信者が「実際に経験したこと」を語るほど信頼を得やすくなります。


(4)「継続」を仕組み化する


SNS運用の最大の敵は「三日坊主」です。最初は熱心でも、2〜3か月後には投稿が止まる企業がほとんどです。

投稿を続けるには、社内に「運用ルール」と「スケジュール」を明文化することが欠かせません。

・誰がどの曜日に投稿するか
・どんなテーマを扱うか
・どのKPIを毎週チェックするか

このように運用を「習慣化」すれば、担当者が変わっても継続できます。

また、AIツールを使えば投稿案や画像を自動生成できます。ChatGPTやCanvaなどをうまく組み合わせれば、投稿作業の負担を半減できます。

(5)SNSとSEOを連動させる


SNS単体では成果が出にくいと感じている企業も、「自社サイトやブログと連携させる」ことで一気に効果を高められます。

たとえば、ブログ記事を要約してInstagramで紹介したり、X(旧Twitter)で記事の冒頭を投稿してリンクを貼ることで、SNSが「トラフィックの入り口」になります。

SNSで反応の良かったテーマをブログで深掘りすれば、SEOでも上位表示を狙いやすくなります。Googleも「SNSの投稿が直接SEO順位を左右することはないが、ブランド認知や外部リンク獲得に寄与する」と明言しています。

つまり、SNSはSEOの「補助線」として活用すべきです。検索とSNSを別物と考えず、双方をつなぐ設計を行うことで、成果が長期的に安定します。

(6)広告を「テスト的」に活用する


オーガニック運用だけで伸び悩む場合、SNS広告を小規模で試すのも有効です。特にInstagramやFacebookでは、地域・年齢・興味関心を細かく設定できるため、ターゲットに直接アプローチできます。

ただし、最初から高額予算を投じるのではなく、まずは少額テストで「どんなクリエイティブが反応するか」を検証するのがコツです。データを分析しながら広告内容を改善すれば、無駄な出費を抑えつつ高い効果を得られます。


SNSを「やめる理由」ではなく「続ける価値」で考える


多くの企業がSNS運用から撤退しているのは、「やっても意味がない」からではなく、「目的や仕組みが整っていない」からです。SNSは時間も労力もかかりますが、それだけに積み重ねた信頼が競合との差を生みます。

AIの時代だからこそ、企業が人の言葉で語るSNS運用には価値があります。ユーザーは「共感できる企業」を選びます。そして、その共感がSEOにもブランドにも連鎖していくのです。

私が支援してきた企業の中には、「投稿1本から数百万円の案件につながった」「求人応募が2倍に増えた」という成果を上げた事例もあります。共通していたのは、「戦略的に継続していた」こと。SNSを続ける企業とやめる企業の分かれ道は、「発信を作業で終わらせるか、それとも戦略に昇華させるか」です。撤退ではなく、改善と再挑戦のサイクルを回すことで、必ず結果はついてきます。


SNS活用検定が2025年10月に始まる


本記事で述べたように、SNSを正しく運用するには体系的な知識と実践力が不可欠です。そこで全日本SEO協会では、2025年10月より新たに 「SNS活用検定」 を開始します。



この検定は、SNSを使って集客や売上アップを実現したい方のための 実務直結型スキル検定 です。2級では「安心して始められる基礎運用スキル」、1級では「成果を出すための投稿設計・広告運用・分析」まで体系的に学べます。

教材は、実際に企業や店舗のSNSを支援してきたプロチームが監修。写真・動画・文章の作り方から反応を増やすコツ、広告出稿や分析の基礎までをわかりやすく解説しています。

SNSを「なんとなく投稿する場所」から「成果を生み出すビジネスの武器」に変える——。それがこの新しい検定の使命です。SNS運用に課題を感じている方は、ぜひこの機会に「SNS活用検定」で体系的に学び、確かな知識と自信を持って、成果を出せるSNS運用へと一歩踏み出してください。

「AIによる概要」でエラー表示が出た時の原因と対処法

2025年11月02日

最近、Google検索で「AIによる概要」が出てほしいのに『エラーが発生しました』と表示されて出ない、ログインしてるのに 「AIによる概要」が機能しない・・・という相談が複数ありました。

確かに、Google の 「AIによる概要」という機能は便利ですが、いつも正しく動くわけではありません。原因は複数考えられます。この記事では、私の現場での経験やユーザー報告、技術情報を元に、「AIによる概要」でエラーが発生する原因、そのときに試すべき対処法、運営者として抑えておきたい注意点などを初心者にもわかりやすく解説します。


「AIによる概要」エラーが出る具体例と報告


まず、実際にユーザーが経験しているエラー表示をいくつか紹介します。

uBlock Origin(広告ブロッカーなど)を有効にしていると、Google 検索画面で「Can’t generate an AI overview right now. Try again later(今は 「AIによる概要」を生成できません。後でもう一度どうぞ)」というメッセージが表示される、という報告があります。これは、広告ブロックやスクリプトブロック設定が 「AIによる概要」関連の API 呼び出しを遮断している可能性を示唆します。



また、Google のヘルプ コミュニティには「AI Overviews(「AIによる概要」) が私のアカウントで機能しない」「Incognito モードだと 「AIによる概要」が出ない」「ログインしていても表示が出ない」などの相談が複数投稿されています。



これらは、必ずしも重大な不具合ではなく、設定・環境・Google 側の制限・仕様変更等が影響している可能性があります。


考えられる原因とそのメカニズム


「AIによる概要」がエラーになる原因は、ユーザー側・ネットワーク側・Google 側の仕様・アルゴリズム制御など、複数の要因が絡み合っています。以下に主な原因とその背景を整理します。

(1)ブロッカー・プライバシー保護設定が干渉している


広告ブロッカーやスクリプト遮断系拡張機能(例:uBlock Origin, AdGuard, NoScript など)を使っていると、Google が概要生成時に使う API やスクリプト呼び出しを遮断してしまい、概要ブロックを生成できずエラーになるケースがあります。先述の uBlockOrigin フォーラムでは、これが原因で概要が「エラー表示」される例が実際に報告されています。



また、ブラウザのプライバシー設定(トラッキング防止モード、Cookie 制限、サードパーティ Cookie のブロックなど)が 「AIによる概要」のデータ取得を妨げる可能性があります。

(2)アカウント設定やログイン状態・地域制限


「AIによる概要」は、Google アカウントにログインしていることや、Search Labs オプトイン設定が必須になるケースがあります。ログアウト状態、Incognito(シークレットモード)使用中、地域制限(その国や言語で 「AIによる概要」未提供)などが要因となって、概要生成機能が無効化されている可能性があります。



(3)Google 側でそのクエリには概要表示を抑制している


Google はすべての検索クエリに 「AIによる概要」を出すわけではなく、内部アルゴリズムで「概要を出す価値が低い/誤情報リスクが高い」と判断したクエリでは、概要を生成しないよう制御しています。これが「エラー」と表示されているように見えるケースの一部と考えられます。

さらに、Google の発表にもあるように、「AIによる概要」が誤情報を出したケースがメディアで話題になった後、Google は複数の技術改善を行っています。たとえば、ナンセンスなクエリ(意味をなさない問い)や信頼性の低いユーザー生成情報への依存を抑えるフィルター強化などを導入したとの報告があります。

(4)一時的なサーバー負荷・通信エラー


「AIによる概要」はリアルタイムで生成を行う処理が関わるため、サーバー負荷や通信遅延、タイムアウトなどのインフラ側要因で概要生成が失敗し、「エラーが発生しました」表記になることがあります。


ユーザーが試せる対処法


エラー表示が出たときに、まず試してみるべき対処法を段階的に紹介します。










































ステップ方法ポイント
@ 拡張機能無効化 / ホワイトリスト化uBlock Origin や AdGuard などの広告ブロック・スクリプト遮断拡張を一時的にオフ、もしくは www.google.com を信頼サイトに追加先述のフォーラム報告でもこの方法でエラーが消えた例がある
A ログイン状態・モード確認一度ログアウト → 通常モードで再度 Google 検索。Incognito モードをオフにしてみるログイン時・標準閲覧モードでしか AI 概要を有効化していない設定もあるため
B ページ再読み込み・キャッシュクリアCtrl+F5(PC)やページ更新、Cookie/キャッシュ削除を試す通信やキャッシュの問題で読み込み失敗しているケースがあるため
C 他のクエリで試す同じ端末で他のキーワード(一般的な質問型)を検索し、AI 概要が出るか試すもし他のクエリで概要が出るなら、対象クエリに制限がある可能性
D 他端末・ブラウザで試すスマホ・別ブラウザ等で同じクエリを検索し、AI 概要が出るか確認端末依存の設定や環境差を切り分けるため
E フィードバック送信Google の「フィードバックを送信」機能で問題を報告Google 側の改善材料となる可能性がある



これらを順番に試せば、多くの場合はエラー表示が解消される可能性があります。ただし、Google 側の制御や仕様変更が原因の場合は根本的な解決にはなりません。


「AIによる概要」エラーとSEOの関係


この「AIによる概要」が出ない・エラーになる現象は、ユーザー体験の問題であると同時に、サイト運営者側のSEO戦略にも関係してきます。

(1)「AIによる概要」が出ない=コンテンツがAIに引用されない可能性


Googleの「AIによる概要」は、検索結果から信頼できる情報を自動的に抽出・要約して生成します。もし特定テーマの検索で「エラー」や「概要が生成されない」となっている場合、GoogleがそのテーマをAIにとって「リスクがある」「十分な情報がない」と判断している可能性があります。

つまり、その分野ではまだ「AIが引用できる信頼性の高い情報源」が少ない状態です。これは逆に言えば、その領域で正確かつ構造的な情報を提供するサイトが現れれば、将来的に「AIによる概要」の引用元として選ばれるチャンスがあるということでもあります。

(2)誤情報リスクが高い分野では、「AIによる概要」が意図的にオフになる


Googleは2024年5月以降、「AIによる概要」のアルゴリズムを大幅に見直し、「医療・法律・政治など、誤情報が社会的影響を及ぼすテーマでは「AIによる概要」を抑制する」仕様を導入しました。この制御が強く働いている場合、検索画面には「エラーが発生しました」と表示されることがあります。

つまり、AIが出せないテーマは「まだAIに扱わせるには危険」とGoogleが判断している分野です。SEO的には、そうした領域こそ一次情報・専門家監修を備えた高品質コンテンツを出すべき場所と言えるでしょう。


サイト運営者ができる3つの「AIによる概要」対策


私が企業コンサルティングの現場で伝えているのは、「AIによる概要」に依存しないSEO体制を整えることです。AIがエラーを出すような検索状況でも、ユーザーが確実に正しい情報にたどり着ける導線を作ることが重要です。

(1)AIに引用される前提で「構造的なコンテンツ」を作る


AIは構造化されたページを好みます。
見出しタグ(h2, h3)を適切に使い、Q&A形式・箇条書き・要点のまとめなどで情報を整理しておくことで、AIが情報を再利用しやすくなります。
これは、「AIによる概要」だけでなく「音声検索」「生成AI回答型検索(AEO)」にも通じる対策です。

(2)公式情報を出典として明示する


「AIによる概要」エラーの一因に「出典が曖昧である」ことがあります。
「出典:」「参考:」「引用元:」をページ内に明示しておくと、AIや検索エンジンが「この情報は根拠がある」と認識しやすくなります。
GoogleもAI引用の判断基準として「明確な出典と日付」を推奨しています。

(3)AIが誤情報を出した際はフィードバックを送信


Google検索の「AIによる概要」下部には、「不正確な情報を報告」ボタンが設けられています。ユーザーや運営者がフィードバックを送ることで、GoogleのAIモデルが学習を改善します。



私のクライアントでも、複数回の報告後に、翌月には正しい情報が「AIによる概要」に表示されるようになった例がありました。つまり、誤情報を「放置せず改善に協力する」ことも、長期的には自社の信頼性を高める行動になるのです。

「「AIによる概要」のエラー」は「無視すべきバグ」ではない
「AIによる概要」で「エラーが発生しました」と表示されると、多くの人は単なる不具合と思いがちですが、実際にはGoogleがそのテーマに慎重になっているサインです。
それは、まだAIが安全に扱えないテーマ・信頼できる情報源が少ない領域で起きやすい現象です。

したがって、
• ユーザーとしては「信頼できる出典を確認する」
• サイト運営者としては「AIに引用されても誤情報にならないコンテンツを作る」

という意識が欠かせません。

SEOの世界では、検索順位だけでなく、AIやChatGPTのような生成エンジンに「引用される資格を持つサイト」であることが重要になります。AIが出せない情報を、正確に・分かりやすく・構造的に伝える。それこそが、AI時代の新しいE-E-A-Tの実践であり、検索アルゴリズムが変わっても生き残る唯一の道だと私は考えています。

「強調スニペット」と 「AIによる概要」の違いとは?どちらを狙えば良いのか?

2025年10月31日

最近、SEOコンサルティングのクライアントさんや全日本SEO協会の会員さんからよく聞く質問があります。『Google検索で、「強調スニペット」は出ていたのに、今は 「AIによる概要」 が出ていて、「強調スニペット」とどう違うのか?』『自分のサイトはどちらを狙えばいいのか?』という相談です。

実際、これまで「強調スニペット」が SEOの切り札とされてきましたが、Googleが 「AIによる概要」を導入してから、検索結果の表示形式やクリック動線が大きく変わりつつあります。本記事では、「強調スニペット」と「AIによる概要」の違い、それぞれの強み・弱み、そして今後の戦略について解説します。


「強調スニペット」とは何か?


まず、「強調スニペット」(Featured Snippet)の意味を改めて確認しておきましょう。

「強調スニペット」は、Google検索結果において、特定のクエリに対して「最も適切と判断された Webページの一部分(段落、箇条書き、表など)」を抜き出して、検索結果の上部に表示する仕組みです。いわゆる 「ポジションゼロ (Position 0)」 表示として注目され、アクセス流入を大きく稼ぐ対象となってきました。


多くの SEO分析では、「強調スニペット」が表示されると、当該 Webページのオーガニッククリック率(CTR)が高まる傾向が観察されてきました。「強調スニペット」は、該当ページからそのまま 「引用」 される形式で表示されるため、「強調スニペット」に選ばれたページが目立つ露出効果を得られます。

過去の研究では、「強調スニペット」の 48% は検索結果の最上位ページから抽出されているという分析もあります。



「強調スニペット」は、クエリと一致する 「単一のページの一部」 を抜き出して表示する方法であり、原則的にはそのページへのリンクと出典が明示されます。



「AIによる概要」とは何か?「強調スニペット」との比較軸


次に、「AIによる概要」の仕組みと特色を押さえましょう。それを「強調スニペット」と比較することで、両者の違いがより明確になります。

「AIによる概要」の特徴


「AIによる概要」は、Googleの生成 AI(現在は Gemini モデルなど)を使って、複数のウェブ情報を統合・要約し、検索者の意図に即した「合成的な回答」を提示する機能です。「強調スニペット」が「1つのページから引用」する形式であるのに対し、「AIによる概要」は「複数の情報源を参照して、新たな要約文を生成」します。



構造化データ(schema.org など)は、「強調スニペット」と同様に評価対象ですが、AI 概要はさらに API 経由でのリアルタイム情報取得、自然言語理解(NLU)を通して要約を生成できる特徴があります。

現在、Googleは 「AIによる概要」を「強調スニペット」よりも上位に表示する傾向を強めており、「強調スニペット」枠が AI 概要枠に置き換わる傾向も報告されています。

《両者を比較する主な違い(比較軸)》




















































比較項目強調スニペットAIによる概要
引用元の扱い単一の Webページをそのまま抜粋複数の情報源を統合して要約
表示方式原文の一部(段落・リスト・表)生成 AI による文章、要約文
参照リンク明示的にそのページへのリンク複数の出典リンクを付すことが多い(ただしリンクの目立ち度は低いことも)
出典の可視性出典ページがはっきりわかる出典表示は出るが、リンクが目立たない場合もある
最適化のしやすさ比較的制御しやすい(構造化データ、見出し、FAQ 形式など)不確定要素が多く、最適化が難しい
クリック動線への影響「強調スニペット」表示後、ユーザーが詳細を見るためにクリックする可能性があるユーザーが概要で満足してクリックしない「ノークリック検索」になりやすい
トラフィック分散特定サイトにトラフィック集中複数サイトにトラフィック分散する可能性がある
検索クエリの適用性比較的単純な質問型クエリで出やすい複雑・説明系クエリ、比較型クエリでも使われる傾向あり


たとえば、クエリ「東京 タワー 高さ」は「強調スニペット」で「333メートル」など一文で答える「強調スニペット」が出やすいですが、クエリ「Aai革命 いつ」は、「強調スニペット」では扱いきれず、「AIによる概要」が複数論点を統合して提示される可能性が高くなります。



両者の「SEO上の影響」の違い


「AIによる概要」が登場したことで、SEOの世界では「クリックされる検索結果」が変化しつつあります。ここでは、「強調スニペット」と「AIによる概要」の検索流入への影響を比較してみましょう。

(1)クリック率(CTR)の違い


「強調スニペット」は、検索者に「答えの一部を見せて続きが気になる」形で誘導できるため、クリック率が上がるケースがあります。一方で「AIによる概要」は、ユーザーがページを訪れなくても「答えを完結に理解できる」ため、CTRが下がる傾向があります。

Pew Researchの調査では、「AIによる概要」が出た検索結果ではクリック率が平均で約25〜30%減少していると報告されています。

ただし、「AIによる概要」に自社サイトが引用されている場合、そのブランド露出はむしろ強化されるため、単純に「悪い変化」とは言えません。AI時代のSEOは、「クリックされるかどうか」ではなく「AIに引用されるかどうか」が新しい指標になりつつあります。

(2)トラフィックの分散


「強調スニペット」は、基本的に1ページだけが目立ちます(1位独占型)。対して「AIによる概要」は、複数サイトを並べて要約・比較するため、トラフィックが分散します。


このため、特定ページが独占的に流入を得るチャンスは減りますが、逆に「中堅サイトでも「AIによる概要」に引用されるチャンス」が生まれる側面もあります。

(3)SEOアルゴリズムの違い


「強調スニペット」は、クエリとのマッチング精度やページ構造(FAQ、箇条書き、定義文など)が評価基準の中心です。一方「AIによる概要」は、コンテンツ全体の「整合性・専門性・出典の信頼度」がより重視されます。つまり、E-E-A-Tの強いページほど「AIによる概要」に引用されやすくなる傾向があります。


「強調スニペット」と「AIによる概要」、それぞれに強いコンテンツ戦略


両者は仕組みが異なるため、最適化の方法も変わります。SEOコンサルティングの現場で私が実践している最適化ポイントを、分野ごとにまとめました。

(1)「強調スニペット」を狙うときの最適化


• 見出し(h2, h3)に「〜とは?」「〜の方法」「〜の理由」といった質問形式を入れる
• 冒頭で定義・結論を1〜2文で簡潔にまとめる
• 箇条書き・表形式で情報を整理する
• FAQ構造化データ(FAQPage schema)を設定する

Googleは、構造的に整理された短い回答文を抽出しやすいため、こうした構成が有効です。

(2)「AIによる概要」に引用されるための最適化


• 情報源(出典)をページ内で明確に示す(例:「出典:厚生労働省 2024年調査」)
• 定義だけでなく「背景・理由・複数視点」を加える(AIは多面的情報を好む)
• 定期的に更新日を表示し、最新性を維持する
• 構造化データ(ArticleやHowTo)を設定し、文意を明確化する
• 誤情報を避け、根拠を添えた信頼性ある記述にする


「AIによる概要」では、単一の短い答えよりも「多角的で信頼できる説明」が好まれます。つまり、「AIが引用しやすい」コンテンツを意識することが重要です。



クライアント現場での実例


私のクライアント企業の中で、ある法律事務所のウェブサイトでは、「交通事故 慰謝料 計算」というキーワードで「強調スニペット」に選ばれ、長年トップを維持していました。
しかし、2025年5月頃からGoogle検索では、そのキーワードで「AIによる概要」が優先的に表示されるようになり、「強調スニペット」枠が消えました。

「AIによる概要」には複数の法律相談サイトが引用され、同社の記事もその一つとして参照される形になりました。結果、クリック数は一時的に減りましたが、「AIによる概要」内で事務所名とロゴが露出したことで、問い合わせ数自体はほぼ横ばいを維持。つまり、「強調スニペット」で「クリックを取る」戦略から、「AIによる概要」で「信頼を取る」戦略へ移行した成功例となりました。

「強調スニペット」と「AIによる概要」は競合ではなく進化の関係


「強調スニペット」と「AIによる概要」は、Googleの検索体験を進化させるための「連続的な仕組みの変化」です。両者の本質的な違いをまとめると、次のようになります。





































観点強調スニペットAIによる概要
本質「引用」「生成」
出典数単一複数
目的早く答えを見せる深く理解させる
SEO効果クリック増加ブランド認知・信頼構築
最適化手法構造化・簡潔回答出典・網羅性・信頼性


「AIによる概要」の時代になっても、「強調スニペット」の基本構造は変わりません。むしろ、「強調スニペット」で選ばれるページ構成はAIにも好まれる傾向があります。したがって、「強調スニペット」最適化を意識してページを作ることは、結果的に「AIによる概要」にも引用されやすい「信頼性設計」につながります。

SEOの本質は常に変わらず、「人が求める答えを、正確に・わかりやすく伝えること」。AIが検索体験を支配する時代でも、真に価値あるコンテンツは必ず評価されます。「強調スニペット」と「AIによる概要」の両方に「選ばれるサイト」を目指して、構造化と信頼性を磨くことが、これからのSEO成功のカギです。


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一般社団法人 全日本SEO協会 代表理事

 鈴木将司

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