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なぜ「AIによる概要」が表示される検索と、されない検索があるのか?
2025年10月19日

最近、SEOコンサルティングのクライアントさんや全日本SEO協会の会員さんから、「Googleで検索したときに、ページの上の方に『「AIによる概要」』が出るときと出ないときがある。どんなキーワードで検索すると表示されるのか?」という相談が増えています。
確かに、今のGoogle検索結果は以前とはまったく違います。これまでは検索結果の上位にWebページが並び、その中から自分でクリックして情報を探していました。しかし今では、AIが複数のサイトから情報を集め、検索結果ページの最上部で自動的に要点をまとめて見せてくれる「AIによる概要」が表示されるようになりました。まるで「検索しなくても答えが出る」時代に突入したように見えます。
とはいえ、この「AIによる概要」はすべての検索で出るわけではありません。出るときと出ないときの違いには、GoogleのAIの判断基準や、検索意図、そしてコンテンツの信頼性など、いくつもの要素が関係しています。この記事では、私がこれまでに多くのSEOコンサルティング現場や協会会員とのやり取りの中で分析してきた「AIによる概要」が出る・出ないの条件と、今後のSEO対策のヒントをわかりやすく解説します。
「AIによる概要」とは何か? なぜ登場したのか?
「AIによる概要」は、Google検索の結果ページで、ユーザーの質問や調べたいテーマに対してAIが自動的に要約した答えを提示する機能です。Googleによると、この機能は「複雑なトピックや質問に対して、ページをクリックしなくても全体像をつかめるようにする」ことを目的としています。

さらに、Google公式の開発者向けサイトでは、「「AIによる概要」は、検索結果を要約して主要なポイントを提示し、必要に応じて信頼できる情報源へ導くことを目的としている」と明記されています。
この機能が導入された背景には、以下のような理由があります。
•情報があふれる中で、ユーザーが「最短で答えを知りたい」と考える傾向が強まっている
•ChatGPTやPerplexity、Bingなど生成AIを使った検索体験が普及し、Googleも「検索体験の進化」を迫られている
•Google自身が「AIによる検索」を検索エコシステムの中心に据え、ユーザー離れを防ぎたいと考えている
Googleは今後もこの機能を拡張し、より多くの国や言語に「AIによる概要」を展開していくと発表しています。将来的には、ユーザーがAIの出す概要の詳細度を調整できるようにする可能性もあるといいます。
「AIによる概要」が出る時の条件・傾向
では、どんな検索をしたときに「AIによる概要」が出やすいのでしょうか?私のコンサルティング経験と、海外の信頼できる調査をもとに整理すると、主に次のような傾向が見られます。
(1)質問型・解説型のキーワード
「〜とは何か」「〜のやり方」「〜のメリット」「〜の比較」など、ユーザーが知識や理解を求める検索では、「AIによる概要」が出やすくなります。AIはこうした「説明を要する質問」に対して最も力を発揮します。
(2)信頼できる情報ソースが多い分野
AIは概要を作る際、複数のWebサイトを参考にします。信頼性の高い情報源(Wikipediaや公式サイト、ニュースメディアなど)が揃っているテーマでは、AIが自信を持って概要を出しやすくなります。
(3)ユーザーの検索意図が「理解」や「要約」に向いている
たとえば「SEOとは」「生成AIの仕組み」など、知識を整理して理解したいタイプの検索ではAIが答えを生成しやすいのです。反対に、「料金」「場所」「購入」など行動目的が強い検索では、AIよりも広告やローカル検索結果が優先されます。
これらのクエリでは、「AIによる概要」が出る確率が特に高いです。
「AIによる概要」が出ない時・抑制される時の理由
一方で、検索結果に「AIによる概要」が表示されない場合もあります。その理由は単純ではありませんが、次のような傾向が見られます。
(1)信頼性の担保が難しいテーマ
医療・法律・金融など、誤った要約がユーザーに害を与える可能性のある分野では、AIは意図的に概要を出さないように設計されています。これはGoogleの「E-E-A-T(専門性・経験・権威性・信頼性)」の基準に基づく判断です。
(2)検索意図が「行動」や「特定ページ訪問」に近い場合
「◯◯公式」「◯◯予約」「◯◯店舗」など、ユーザーが特定の行動を起こしたい検索では、AIが要約を出すよりも直接リンクを表示するほうが便利なため、概要は非表示になります。

(3)情報が断片的・矛盾しているトピック
AIは複数の情報を統合して要約しますが、情報源が少ない、または相反している場合、Googleは誤情報防止のために「AIによる概要」を出さない判断を行います。
(4)Googleの内部評価で「追加価値が少ない」と判断された時
Googleは、「AIによる概要」がユーザーに新しい価値を提供できると判断した場合のみ表示する仕組みです。単純な検索(例:「天気 東京」)や短い定義文が明確な場合には、あえて概要を省略していると考えられます。

「AIによる概要」がもたらす影響:クリック率とWeb全体の変化
「AIによる概要」が表示されるようになってから、世界中のWebサイト運営者が口をそろえて言うのが「アクセスが減った」という現象です。実際に、Pew Researchの調査によると、Google検索で「AIによる概要」が出た場合、ユーザーがリンクをクリックする割合が明らかに下がる傾向が確認されています。
つまり、「AIによる概要」が検索結果の上に出ると、ユーザーはその時点で「もう答えを得た」と感じてしまい、Webサイトを訪れないことが増えるのです。これはSEOにとって非常に大きな変化です。私のクライアントの中でも、ある医療系の企業サイトでは、特定の健康関連キーワードで「AIによる概要」が出るようになった直後から、該当ページのクリック率が約25%下がりました。別の教育関連企業では、同様の現象が見られた一方で、概要内に自社サイトが引用・リンクされると、逆にブランド認知が高まり、新しい問い合わせが増えた例もあります。

このように、「AIによる概要」が出ることは一概に悪いこととは言えません。自社サイトが「AIによる概要」の中に「信頼できる情報源」として紹介されるようになれば、それはむしろ新たな露出機会になります。重要なのは、「AIに引用される側」に回ることなのです。
「AIによる概要」に間違った情報が出るリスク
「AIによる概要」は便利な一方で、「間違った情報を出すことがある」というリスクも存在します。2024年以降、米国ではGoogleのAI概要が「ピザにのりを使うべき」などという誤情報を出してしまった例がSNS上で話題になりました。こうした誤要約は、AIが文脈を誤解したり、ジョークや風刺を真に受けてしまったり、古い情報を最新のものとして扱ってしまうことが原因とされています。
このリスクを踏まえると、検索エンジン運営者は慎重にならざるを得ません。特に「健康・金融・法律」など人の生活に大きな影響を与えるテーマでは、「AIによる概要」が出ない(もしくは出ても限定的)傾向があります。
これは単に技術的な制約ではなく、Googleが「誤った情報を拡散しない」という倫理的な方針に基づいているのです。
専門家として見た「AIによる概要」時代のSEO対策
私はこれまで、数多くの企業・店舗・メディアのSEO支援を行ってきました。その経験から言えるのは、「AIによる概要」時代のSEOでは、従来の「順位争い」だけでなく、「AIにどう引用されるか」という新しい観点が必要だということです。
では、AIに引用されやすくするには何をすれば良いのでしょうか。以下に、私がクライアント指導の中で実践している具体的な対策を紹介します。
(1)明確で構造的な文章を書く
AIは構造を重視します。見出し(h2, h3タグ)や箇条書きを使って、要点を整理しているページはAIに理解されやすい。
特に「〇〇とは?」「〇〇の特徴」「〇〇の手順」などの見出しを使うと、AIがその部分を「回答候補」として拾いやすくなります。
(2)信頼できる出典を明記する
AIは引用元を選ぶ際に「信頼性」を最重視します。論拠を明示し、公式データや第三者の調査結果を出典付きで書くことで、AIに「このサイトは信頼できる」と認識されやすくなります。
《関連情報》 ブログ記事の質を高める関連リンクと出典リンクの使い方
(3)E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を高める
SEOの基本でもあるE-E-A-Tは、AI時代にはさらに重要になりました。実際に現場経験やデータに基づく具体的な説明を盛り込むと、AIにも「実体のある専門家の意見」として認識されやすくなります。全日本SEO協会の会員さんが運営しているサイトでも、実際の施工事例・顧客の声・取材記事などを追加したことで、「AIによる概要」への引用率が上がったケースがありました。
(4)質問形式の見出しを活用する
AIは「質問→回答」という構造を好みます。記事内に「〜とは?」「〜の効果は?」「〜のやり方は?」といった見出しを設けることで、AIが「答えを拾いやすい構成」を作れます。
(5)定期的な更新を行う
AIは「古い情報」を嫌います。内容が古いと判断されると、「AIによる概要」から除外されやすくなります。特に日付の表示(最終更新日)は、信頼性シグナルとして非常に重要です。
《関連情報》 コンテンツの鮮度を高めることが上位表示にプラスに働く
私が実際に見てきた「成功事例」と「失敗事例」
全日本SEO協会の会員の中には、早くから「AIによる概要」対策に取り組んでいる企業が増えています。たとえば、ある法律事務所では、難しい法律用語をやさしく解説し、Q&A形式でまとめたページが「AIによる概要」に引用されました。
一方、別の企業では、AIが要約しづらい文章(専門用語が多く文が長い)を書いていたため、「AIによる概要」では他社サイトばかり引用され、自社名がまったく登場しないという結果になりました。同じ内容でも、「伝え方」と「構造」でAIに選ばれるかどうかが変わるということです。
「AIによる概要」を「敵」ではなく「味方」にする時代へ
「AIによる概要」が出るか出ないかは、単にアルゴリズムの気まぐれではありません。そこには、「ユーザーにとって有益か」「情報が信頼できるか」「AIが理解しやすい構造か」という明確な基準があります。
SEOの目的が「検索で上位表示されること」だった時代から、「AIに選ばれ、引用されること」へと移行しつつあります。これは脅威ではなく、新しいチャンスです。もしあなたのコンテンツが「AIによる概要」に採用されれば、数百万件の検索の中でもトップに立つことができるのです。
AI時代のSEOは、これまで以上に「本物の専門性」と「ユーザー目線の分かりやすさ」が試されます。私がこれまで見てきた成功企業に共通しているのは、「AIを恐れず、AIに理解されやすいコンテンツを作る努力を続けている」ということです。これからの時代、検索結果ページの上に出る「AIによる概要」は、単なる要約ではなく、あなたのサイトが「AIに選ばれるかどうか」を示す新しい指標になるでしょう。
《関連情報》 Googleが求めるサイトの専門性とは?
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