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失敗して分かったAIを導入しても成果が出ない会社の特徴

2026年07月30日

ChatGPTが話題になり始めた頃、多くの企業から同じ相談を受けました。

「先生、うちでもAIを導入した方がいいですよね。」

2023年頃から、この質問を何十回、何百回と聞いてきました。ところが、その数年後、今度は全く違う相談が増えてきました。

「AIを導入したのですが、思ったほど成果が出ません。」
「社員が最初だけ使って、今は誰も使っていません。」
「AIの利用料だけ払っている状態です。」

私はこの相談を受けるたびに、数年前の自分を思い出します。実は私自身も、AIを導入すれば自然と仕事が効率化すると考えていた時期があったからです。


私はAIさえ導入すれば会社は変わると思っていました


ChatGPTが登場した頃、私はかなり興奮していました。

「これは仕事のやり方を根本から変える。」
「どの会社でも生産性が大きく上がる。」

そんな期待を持っていました。

実際、私自身も毎日のようにAIを使い始めました。

・ブログ記事を書く。
・セミナー資料を作る。
・企画を考える。
・メールを書く。

次々とAIを仕事へ取り入れていきました。そして私は、「クライアントさんの会社でも同じことが起きる」と思っていました。

しかし現実は違いました。AIを導入して成果が出る会社と、ほとんど変わらない会社にきれいに分かれたのです。最初は理由が分かりませんでした。

・同じChatGPTを使っています。
・同じような研修も受けています。
・それなのに結果は全く違う。

私はこの違いがずっと気になっていました。


ある会社で気付いた「誰も悪くない失敗」


ある会社では、全社員へChatGPTのアカウントを配布していました。社長も、「どんどん使ってください。」と言っています。研修も実施しました。使い方も説明しました。これならAI活用は成功すると思っていました。



数か月後に訪問すると、ほとんど誰も使っていませんでした。理由を聞くと、「何に使えばいいか分からないんです。」という答えが返ってきました。

私はここで、自分の大きな勘違いに気付きました。私は「AIの使い方」を教えていました。しかし、「仕事の変え方」は教えていなかったのです。この違いは非常に大きいものでした。


包丁を配っただけでは料理は増えません


私はその出来事以来、AIを包丁に例えて説明するようになりました。包丁を買えば料理が上手になるでしょうか。もちろん、そんなことはありません。包丁は道具です。誰が使うか。何を作るか。どんな料理を目指すのか。それが決まって初めて価値が生まれます。

AIも全く同じです。ChatGPTを導入しただけで成果が出る会社はありません。AIをどの業務に使うのか。誰が最終判断するのか。浮いた時間を何に使うのか。そこまで設計して初めて成果につながります。

私は以前、この設計を十分考えないまま、「まずAIを使いましょう」と勧めていました。今思えば、それは反省すべき点でした。AIを導入することと、AIを活用することは全く別の話だったのです。


成果が出る会社は、AIではなく「仕事」を見直していました


多くの企業を見てきて、今では一つ確信していることがあります。成果が出る会社は、「AIを導入しよう。」とは考えていません。「仕事をどう変えよう。」と考えています。AIは、そのための手段でしかありません。

この考え方の違いが、数か月後、数年後には非常に大きな差になって現れます。私自身も、AIを見る時間より、お客様の仕事を見る時間の方がずっと重要だと考えるようになりました。それが、「AIを知ること」と「AIで成果を出すこと」の違いだったのです。


AI活用が定着する会社には共通点がありました


では、実際にAI活用が定着している会社には、どのような共通点があるのでしょうか。私は数多くの企業を支援する中で、一つの傾向に気付きました。成果を出している会社は、「AIを使うこと」を目的にしていません。

「社員がもっとお客様と向き合う時間を増やそう。」
「企画を考える時間を増やそう。」
「単純作業を減らそう。」

まず、この目的が明確なのです。その上で、「そのためにAIをどこへ使おうか」と考えています。

一方で、成果が出ない会社は逆です。「AIを導入しよう。」から始まります。その結果、「では何に使おうか。」という順番になってしまいます。この順番の違いは小さなことのように思えますが、実際には非常に大きな違いになります。


AIは優秀な新人社員によく似ています


最近、私はAIを説明するときに、「優秀な新人社員」という例え話をすることが増えました。

もし今日、非常に優秀な新人社員が入社したとします。その新人は、文章を書くのも速い。調査も得意。資料も短時間で作れる。そんな優秀な人材です。しかし、社長がその新人に、「とりあえず自由に仕事をしてください。」と言ったらどうなるでしょうか。

おそらく新人は困ってしまいます。何を優先すればいいのか。誰に相談すればいいのか。どこまで自分で判断していいのか。分からないからです。AIもまったく同じです。AIは非常に優秀です。しかし、目的や役割を与えなければ、本当の力を発揮できません。

私は以前、「AIは何でもできる」と考えていました。しかし今では、「AIは役割を明確にすると驚くほど力を発揮する」と考えています。




私が企業へ最初に質問することが変わりました


AI導入コンサルティングを始めた頃、私は企業へこんな質問をしていました。

「どんなAIを使いたいですか。」
「ChatGPTは導入されていますか。」
「画像生成AIにも興味がありますか。」

ところが今では、最初に聞くことは全く違います。

「社員の皆さんは、一日の仕事で何に一番時間を使っていますか。」
「その中で、一番面倒だと感じている作業は何ですか。」
「本当はもっと時間を使いたい仕事は何ですか。」

この質問をすると、企業の課題が見えてきます。

その課題が分かって初めて、「それならAIでこの部分を改善できます。」という提案ができます。つまり、AIから考えるのではなく、仕事から考えるようになったのです。これは私自身の大きな変化でした。


成果が出る会社は、小さく始めていました


もう一つ興味深いことがあります。成果が出ている会社ほど、最初から大規模なAI導入をしていません。例えば、議事録だけAIに任せる。メールの下書きだけAIに任せる。ブログ記事の構成だけAIに考えてもらう。こうした小さな成功体験を積み重ねています。

すると社員も、「これは便利だ。」「次はこの仕事にも使えそうだ。」と自然に活用範囲が広がっていきます。反対に、「今日から全部AIでやりましょう」という会社ほど、うまくいかないことが多いのです。



これはダイエットにも似ています。いきなり毎日10キロ走ろうとしても、多くの人は続きません。しかし、毎日15分歩くことから始めれば、少しずつ習慣になります。AI活用も同じです。続けられる小さな改善の積み重ねが、大きな成果につながります。


私がAI時代に考え方を変えた理由


今振り返ると、私はAIそのものばかり見ていました。

「新しいAIは何だろう。」
「どんな機能が追加されたのだろう。」

そんなことばかり考えていたのです。

しかし、企業を支援し続ける中で、私の視点は変わりました。見るべきなのはAIではありません。仕事です。働く人です。そして、その先にいるお客様です。

AIはその間をつなぐ道具に過ぎません。道具が主役になることはありません。主役は、いつも人です。だから私は今でもAIを学び続けています。しかし、それは新しい機能を自慢するためではありません。目の前のお客様が、より良い仕事をするためです。


まとめ


私は以前、「AIを導入すれば会社は変わる」と考えていました。しかし、それは間違いでした。本当に会社を変えるのはAIではありません。AIを使って仕事の進め方を変えようとする人たちです。

これまで数多くの企業を支援してきましたが、成果が出る会社には共通点があります。AIを目的にしていないことです。お客様への価値を高めること。社員がもっと創造的な仕事をできるようにすること。その目的があるからこそ、AIは力を発揮します。

もしこれからAIを導入しようと考えているのであれば、ぜひ最初に考えてみてください。「AIを導入すること」が目的になっていないでしょうか。本当に考えるべきなのは、「AIを使って、どんな会社になりたいのか」です。その答えが明確になった会社は、AIを一時的な流行ではなく、未来を切り開く強力なパートナーとして活用できるようになると、私は確信しています。

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