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2017年03月04日

【胸が痛くなる相談が増えている】広告依存のサイトは最終的に破綻するはず・・・

2017年03月04日
最近非常に胸の痛くなる相談が増えています。それは「ネット広告費を払って集客をしてきたが限界を感じるようになった・・・」というものや「SEOで順位が落ちてきたのでネット広告費を増額したが、売上は立つものの売れば売るほど赤字になる。。。」というような相談です。

私は個人的にSEOの仕事をしているので以前よりネット広告、特にGoogleやヤフーのリスティング広告の買いすぎには気をつけて欲しいということを自分のセミナーや会員さんとの集まり、個別のコンサルティング時には常に伝えるようにしてきました。

私のスタンスはこれまで:

1、SEOをすることによりGoogle、ヤフーの自然検索で上位表示をして低コストで集客をして下さい!

2、利益が上がってきたらその一部をさらに市場シェアを拡大するために検索結果ページの上下に表示されるリスティング広告に投資をして下さい。

というものでした。

実際に経営が安定しているところや、無理の無い成長を実現している企業のほとんどがこのようにSEOか、広告か?という二者択一ではなく、両方の集客メソッドを使っているところばかりです。

何故二者択一ではいけないのでしょうか?

(1)SEOをすると確かに検索順位は高くなりますが、「いつも上位表示する」ということは無く、Googleの仕様変更、つまりアルゴリズムの更新により自然検索の順位が下がるリスクがある

→ 順位が上がっている時はSEOだけすれば売上の維持、成長は期待できます。しかし、順位が落ちた時は急に新規客が減ることが多く、そのためこれまで好循環として回転していた歯車が逆に動くようになり、売上は減りそれを支える人達の仕事自体が消滅することがあるのです。これは経営の根幹を揺さぶる危機を企業にもたらします。そして企業の終了という最悪の事態を招くことになります。

(2)広告だけで新規客を獲得するという思想もありますが、それは必ずいつか破綻する思想

→ 何故なら、広告が手頃な料金で買える時期は比較的高い利益率を確保できますが、そのような平和が長く続くことはまずありません。何故なら安い広告費を払うだけでたくさんの新規客が集まるなどという天国のような状態を自分一人で楽しめるほど世の中は甘くはないからです。
必ずそうした状況は競合他社や、新規参入のチャンスを窺う異業種の企業が低コストで集客出来る商材がある、安い広告費を払いさえすれば新規客がどんどん集まるという甘い蜜があることを見つけてくるからです。情報通の人や、見る人が見ればどの業界、どのキーワードに「バブルがあるか?」はちょと調べれば分かるものです。

単に広告費を払い、そのクリック先であるWebページを魅力的にすれば儲かるという「とても美味しい話」を知る人の数は時間とともに急増するのです。
そして何が起きるのかというと検索エンジンビジネスの儲けのアルゴリズムが作動するのです。

その儲けのアルゴリズムというのは競争入札制という仕組みのことです。

多くの企業が「儲かるキーワード」を発見し、検索ユーザーがそのキーワードで検索した時に自社サイトの広告を表示するにはどうすれば良いのか?それは、1クリックあたりの広告費をより高く入札しなくてはなりません。無論、サイトの品質や広告の品質というアルゴリズムもあるのですが、歴史的にgo.comとその後身であるオーバーチュアという会社が最初に考えだしたのは、「オークション方式の広告」というシステムが広告提供企業という胴元が必ず儲かる仕組みとして設計されているのです。

そうしたことも知らない、あるいは知っていても忘れようとする企業たちはより多くの1クリックあたりの金額で広告を入札することにより、広告単価が釣り上がっていくのです。

私はこれまで何度も見たことがありますが、この過酷なサイクルは、あまりにも広告費が高いので「もう、ついて行けない・・・」と資金力が無い広告主達が挫折するまで続きます。

そして誰が最後に生き残るかというと最も豊富な資金を持っているお金持ちの企業です。

体力の無い競合企業が全滅することにより最も豊富な資金を持っている企業は最終的に楽をすることが可能になります。

言うまでもなくそのような企業は資本金が最も豊富で人材も豊富な企業であることがほとんどです。そして彼らのほとんどがその業界で最も有名な企業や上場している企業です。

私のポジションはSEO業界にあるので、どうしても広告にアンチ的な言い方になってしまうことがあります。それはSEO技術をもっと多くの企業に活用して欲しいという「ポジショントーク」という利己的な意識がそうさせているだと思います。

しかし、それだけでは無くなってきています。その理由はあまりに多くの同じ内容の相談が最近増えているからです。それは冒頭でお伝えした「ネット広告費を払って集客をしてきたが限界を感じるようになった・・・」というものや「SEOで順位が落ちてきたのでネット広告費を増額したが、売上は立つものの売れば売るほど赤字になる」というような相談です。

あまりにも胸がいたくなる事がこの国で実際に増えてきているのです。

「ポジショントーク」という利己的な意識を抑えて考えてみます。私達サイト運営者は結局何をすれば良いのでしょうか?

それは「リスク分散」をするための「流入元の分散」です。

つまり、Googleやヤフーのリスティング広告に依存するでもなく、SEOだけをするのでもなく、ソーシャルメディアだけを活用するのでもなく、アフィリエイト広告を活用するというだけでもなく、YouTubeを使った動画マーケティングもするという、ありとあらゆる集客手段を全て試すということです。

そしてちょっとやって結果が出ないで諦めたり、後悔するのではなく、現実的な目標値をそれぞれの集客メディアに対して設定するのです。

その上で、結果が出るまで飽きずに諦めずに長期的視点に立って継続するのです。無論同じやり方を続けても上手くいくはずはありません。
最初は何であれいきなり上手く行くはずはありません。何でもやってみて、上手く行かなかった理由を考え別のアングルで試すということを繰り返す必要があります。

こうした複数の集客手段を使わなくてはならないという考え方は、4年も、5年も前に米国のWebマーケティング業界の人達が言い始めるようになった「デジタルマーケティングを実践しなくてはならない」という考えそのものです。

「デジタル的な手段で新規客を集めるメディアは全て使う」というある意味とても厳しい試練です。

しかし考え方を変えればこれほど低リスクなことはありません。

受験に例えれば1科目だけの試験で合否が決まるのではなく、5科目も、6科目も、7科目もあればいくつかが20点でも30点でも得意科目では80点、90点も目指し平均点が高ければ合格出来るというのと似ているのではないでしょうか?

しかも、1人ではなく様々な個性や得意技をもった仲間が取り組めば良いのです。受験は1人で試験を受けるものですが、デジタルマーケティングは何人でも同時に取り組むことが出来ます。

よく考えてみると、Google依存、ヤフー依存ほど怖いものはありません。どこかに依存してしまえば批判も出来なくなり、彼らの指示に従う他なくなります。

いつも独裁者の顔色を窺うのは、ドナルド・トランプではありませんが、精神的に不健全です。

長々となってしまい恐縮ですが、考え方を変えれば今ほど「自由」がある時代は無いのかも知れません。その自由を認識できるか見過ごすかは、自分の考え方次第のはずです。

どうせやるなら自由を楽しみましょう。ただ自由ほど厳しいものはないと思いますが、その厳しさに慣れさえすればきっと自分らしく働くことが可能になり、本来の自分が本当に望む幸せを掴むことが出来るのではないでしょうか?

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一般社団法人 全日本SEO協会 代表理事

 鈴木将司

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