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ChatGPTは実際にどう使われているのか?― OpenAI公式・経済研究レポートから読み解く「利用実態の全体像」

2026年01月03日

今回はOpenAIが公開した「How People Use ChatGPT」という研究レポートについて解説します。このレポートは、OpenAIの経済研究チームが中心となり、米国の大学研究者と協力してまとめられたもので、2024年から2025年にかけての実際のChatGPT利用ログを大規模に分析しています。いわゆるアンケート調査や想像ベースの議論ではなく、「人々が実際にChatGPTに何を聞いているのか」を統計的に解析した、非常に信頼性の高い一次資料です。

日本では「ChatGPT=文章作成ツール」「仕事を効率化するAI」というイメージが先行していますが、このレポートを読むと、その認識がいかに一面的かがわかります。ChatGPTはすでに、検索、学習、意思決定、日常生活の相談まで含めた、新しい情報インフラとして使われ始めているのです。


このレポートは「何がすごい」のか


まず強調しておきたいのは、このレポートの位置づけです。世の中には「ChatGPTが仕事を奪う」「AI時代の働き方」など、刺激的な記事や動画が数多く出回っています。しかし、その多くは印象論や一部事例の紹介にとどまっています。

一方、今回のOpenAIのレポートは、
・数億人規模の実ユーザーデータ
・実際の入力内容(プロンプト)の分類
・利用目的・時間帯・職業属性の推定

といった要素を組み合わせて分析しています。つまり、「ChatGPTがどう使われているか」を語るうえで、現時点で最も客観性が高い資料だと言えます。

SEOやWebマーケティングを学ぶ人にとって重要なのは、ユーザーの行動そのものがどう変わっているかを知ることです。このレポートは、その変化を数字で示してくれています。


ChatGPTの利用規模は、すでに「異次元」


レポートの中でも、まず目を引くのが利用規模です。
OpenAIはこの研究の中で、2025年時点におけるChatGPTの週次アクティブユーザー数が約7億人に達していると報告しています。これは、世界人口の約10人に1人が、毎週のようにChatGPTを使っている計算になります。

インターネット、スマートフォン、SNSといった技術も急速に普及しましたが、ChatGPTの広がり方はそれらをさらに上回るスピードです。理由はシンプルで、「使い方を覚えなくても使える」からです。

検索エンジンでは、キーワードを考え、検索結果を比較し、複数ページを読む必要があります。一方、ChatGPTでは、普段人に話しかけるように質問するだけで、ある程度整理された答えが返ってきます。この体験の違いが、爆発的な普及を後押ししています。


人々はChatGPTに「何を」聞いているのか


では、これだけ多くの人は、ChatGPTに何を求めているのでしょうか。レポートでは、ChatGPTへの質問内容を複数のカテゴリに分類しています。その中で、特に利用が多いのは次のような内容です。

一つ目は、日常生活や学習、仕事に関する「実用的なアドバイス」です。たとえば、勉強方法の相談、文章の書き直し、スケジュールの考え方、健康や生活習慣に関する質問などが含まれます。これは単なる検索ではなく、「自分の状況を踏まえた助言」を求めている点が特徴です。

二つ目は、情報収集です。ニュースの要約、専門用語の意味、商品やサービスの比較など、従来は検索エンジンで行っていた行動が、そのままChatGPTに置き換わりつつあります。ただし、ユーザーは単なる情報の羅列ではなく、「理解しやすく整理された説明」を期待しています。

三つ目は、文章に関する支援です。メール文の下書き、企画書の構成、文章の要約や言い換え、翻訳などがこれに当たります。日本でよく知られているChatGPTの使い方は、実はこのカテゴリに集中しています。

レポートによれば、これらの利用目的だけで、ChatGPTの利用全体の大半を占めているとされています。つまり、ChatGPTは「特殊な人が使うAI」ではなく、日常の思考や作業を支える道具として使われているのです。


「仕事で使われている」は本当か?


日本では「ChatGPTは仕事効率化ツール」という文脈で語られることが多いですが、レポートを読むと、少し意外な事実が見えてきます。

確かに、登場初期のChatGPTは、仕事や学業での利用割合が非常に高いものでした。しかし、時間が経つにつれて、仕事以外での利用が急増しています。現在では、日常生活や個人的な相談、学習補助など、非仕事用途の割合が大きくなっています。

これは、ChatGPTが「仕事専用ツール」から「生活インフラ」に近づいていることを意味します。検索エンジンが、仕事でもプライベートでも使われているのと同じ状態です。
この点は、SEOやWebサイト運営を考える上で非常に重要です。なぜなら、ユーザーはもはや「調べ物=Google」という固定観念を持たなくなりつつあるからです。


検索行動の「前段階」に入り込むChatGPT


ここで一つ、SEO初心者の方にぜひ知っておいてほしい視点があります。ChatGPTは、いきなり検索エンジンを置き換える存在ではありません。しかし、検索の前段階に入り込んでいます。つまり、「何を調べるべきか」「どう考えればいいか」を整理する役割を担い始めているのです。

人はこれまで、疑問が浮かんだらとりあえず検索し、結果を見ながら考えていました。今はその前に、ChatGPTに聞いて頭を整理してから、必要に応じて検索する、という行動が増えています。


レポートが示す「意外な使われ方」


OpenAIのレポートの中で、私が特に注目したのは、ChatGPTの利用目的が「作業の自動化」よりも、「思考の整理」に寄っている点です。多くの人は、AIというと「人の仕事を代わりにやってくれる存在」をイメージします。しかし、実際の利用データを見ると、ChatGPTは必ずしも「答えを丸投げする相手」として使われていません。

たとえば、ユーザーは次のような形でChatGPTを使っています。あるテーマについて自分なりの考えをまとめたいとき、いきなり完成形を求めるのではなく、「考え方の整理」「抜けている視点の指摘」「別の切り口の提案」を求めるケースが非常に多いのです。

これは、検索エンジンでは得られなかった体験です。検索では、すでに存在する情報を探すことはできても、自分の思考に寄り添ってくれるわけではありません。


「答え」よりも「考えるプロセス」が求められている


レポートの中では、ChatGPTが意思決定支援(decision support)として使われている点が強調されています。これは非常に重要なキーワードです。

意思決定支援とは、最終的な判断をAIが下すのではなく、人が判断するための材料や視点を提供する役割のことです。実際、多くのユーザーはChatGPTの回答をそのまま鵜呑みにしているわけではありません。

「こういう考え方もありますよ」
「この点は注意したほうがいいですよ」

といった補助的な情報を受け取り、自分で考え、決めています。この使われ方を見ると、ChatGPTは「検索エンジン+相談相手」を組み合わせたような存在になっていると言えるでしょう。


なぜ検索エンジンだけでは足りなくなったのか


ここで一度、SEO初心者の方にもわかるように整理しておきます。検索エンジンは、「すでに答えが存在している問い」に対しては非常に強力です。しかし、現実の多くの悩みや疑問は、そう単純ではありません。

たとえば、
・どのサービスを選ぶべきか迷っている
・何から手をつければいいかわからない
・正解が一つに決まらないテーマで悩んでいる

こうした状況では、検索結果をいくら眺めても、答えは出ません。情報が多すぎて、かえって混乱することもあります。ChatGPTは、この「情報が多すぎる問題」を一度噛み砕いてくれます。しかも、ユーザーの質問内容に応じて、説明の仕方を変えてくれる。この点が、人々を惹きつけている理由です。


SEOにとって、これは何を意味するのか


ここからが、SEOを学ぶ人にとって本題です。
ChatGPTの普及によって、「検索される前の行動」が変わり始めています。ユーザーは、いきなり検索窓にキーワードを打ち込むのではなく、まずChatGPTに相談して頭を整理するようになっています。その結果、検索エンジンに入力されるキーワードも変化します。

以前は、断片的なキーワードが多く使われていました。しかし今後は、ChatGPTとの対話を通じて整理された、より具体的で意図のはっきりした検索が増えていく可能性があります。これは、SEOにとってチャンスでもあり、脅威でもあります。


SEOは「答えを出す競争」から変わる


ここからは、私自身の経験を踏まえた考察です。私は長年、SEOの現場で「検索意図を理解することが重要だ」と言い続けてきました。しかし、ChatGPTの登場によって、その重要性は一段階上がったと感じています。

これからのSEOは、「答えを早く出すページ」が評価されるだけでは不十分になります。むしろ、
・なぜその答えに至るのか
・どう考えればいいのか
・他にどんな選択肢があるのか

といった、思考の道筋を丁寧に示しているコンテンツが強くなります。

なぜなら、人々はすでにChatGPTで「即答」を得られるからです。Webサイトに求められる役割は、その先に移っています。


「質問に答えるサイト」から「考えを深めるサイト」へ


SEO初心者の方に伝えたいのは、ここです。
これからサイトを作る、あるいは記事を書くときに、「検索キーワードに答える」ことだけを意識していると、ChatGPTと競合することになります。しかし、「考えを深める」「判断を助ける」内容であれば、ChatGPTとは補完関係になります。

たとえば、実体験、失敗談、業界特有の事情、現場でしかわからない判断基準。こうした要素は、今後ますます価値が高まります。


ChatGPT時代における「人の役割」


レポート全体を通して感じるのは、AIが人を置き換えるというよりも、「人の考える力を拡張している」という点です。
ChatGPTは万能ではありません。しかし、考えるための土台を整えてくれる存在として、人々の生活に溶け込み始めています。SEOやWebの世界でも同じことが起きます。AIがすべてを書き、すべてを判断する時代ではありません。むしろ、人がどんな視点を持ち、どう価値を付け加えるかが、より問われる時代になります。


まとめ


今回は、OpenAIの公式レポートをもとに、ChatGPTがどのように使われ、どんな役割を担い始めているのかを見てきました。ChatGPTは、検索エンジンの単なる代替ではなく、人々の思考や判断を支える存在として使われています。この変化は、SEOの前提条件そのものを少しずつ書き換えています。

次回は、「ChatGPTは人々の仕事と学習をどう変えているのか」というテーマに進みます。生産性、ホワイトカラー業務、学習行動の変化などを、レポートの引用と日本語訳を交えながら、さらに深く解説していきます。
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一般社団法人 全日本SEO協会 代表理事

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