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ChatGPT時代に「検索」と「SEO」はどう変わり始めているのか― OpenAI公式・経済研究レポートが示す時代の転換点

2026年01月03日

前回に続いて、OpenAIが公開した公式の経済研究レポート「How People Use ChatGPT」について考えます。このレポートは、OpenAIの経済研究チームが中心となり、大学研究者と共同で執筆したもので、2024年から2025年にかけての実際のChatGPT利用ログを大規模に分析しています。アンケートや仮説ではなく、「人々が現実にAIとどのように接しているか」を数量的に示した、極めて信頼性の高い一次資料です。

SEOやWebマーケティングに携わる人にとって、このレポートが特別に重要なのは、ChatGPTの話題そのものではありません。重要なのは、人々の「情報の探し方」「考え方」「判断の仕方」が、すでに変わり始めていることを、このレポートがはっきり示している点です。

検索エンジンは、ユーザー行動の変化によって進化してきました。そして今、そのユーザー行動の前提が、ChatGPTによって書き換えられつつあります。


検索は「最初の行動」ではなくなりつつある


従来、何かわからないことがあれば、まず検索エンジンを開くのが当たり前でした。キーワードを入力し、上位に表示されたページをいくつか読み比べ、そこから答えを探す。これが長年続いてきた情報収集の基本行動です。

しかし、OpenAIのレポートを読むと、この流れが少しずつ変わってきていることがわかります。人々は今、いきなり検索する前に、ChatGPTに相談するようになっています。しかも、その相談内容は「〇〇とは何か」といった単純な質問だけではありません。「自分の場合はどう考えればいいか」「どこから調べればいいか」といった、より曖昧で人間的な問いが多くなっています。


ChatGPTは「検索の代替」ではなく「検索の入口」


ここで誤解してはいけないのは、ChatGPTがすぐに検索エンジンを完全に置き換えるわけではない、という点です。実際には、ChatGPTは検索の入口として使われ始めています。

たとえば、ユーザーはまずChatGPTに状況を説明し、全体像や考え方を整理してもらいます。そのうえで、「もう少し詳しく知りたい」「公式情報を確認したい」と思ったときに、検索エンジンを使う。この二段階の行動が増えています。つまり、検索は「最初の行動」ではなく、「確認や深掘りの手段」に変わりつつあるのです。


検索キーワードの質が変わる


この変化は、SEOに直接影響します。ChatGPTと対話した後に行われる検索は、以前よりも具体的で、意図が明確になる傾向があります。ユーザーは、自分が何を知りたいのかを言語化した状態で検索するためです。

これまでのような、短く曖昧なキーワードだけでなく、より文脈を含んだ検索が増えていきます。これは、「キーワードを詰め込むSEO」がますます通用しなくなることを意味します。


「答えを載せているだけのページ」が弱くなる理由


ChatGPTが普及する中で、真っ先に影響を受けるのは、「答えだけ」を提供しているWebサイトです。なぜなら、ChatGPTはすでに、一般的な質問に対する即答を非常に得意としているからです。用語の意味、基本的な手順、一般論といった内容は、ChatGPTに聞けばその場で理解できます。そのため、「〇〇とは何か」「〇〇の方法5選」といった形式のページは、相対的に価値が下がっていきます。


それでもWebサイトが必要とされる理由


では、Webサイトやブログは不要になるのでしょうか。答えは明確に「NO」です。OpenAIのレポートを読んでいて感じるのは、ChatGPTが万能であるがゆえに、人間の経験や文脈がより重要になっているということです。ChatGPTは、一般論や平均的な考え方を示すのは得意ですが、特定の業界事情、実体験、失敗談、判断の背景までは持っていません。ここに、Webサイトが果たす役割があります。


SEO初心者が理解すべき本質的な変化


SEO初心者の方に、ここで一つ大切なことをお伝えします。これからのSEOは、「検索順位を上げる技術」ではなく、「検索される前後の行動を理解する力」が問われます。ユーザーは、ChatGPTで考えを整理し、そのうえで検索しています。つまり、Webサイトは「答えを与える場所」から、「考えを深め、判断を助ける場所」へと役割を変えていく必要があります。


SEOは終わらない、ただ形が変わる


ここで、私自身の考えを少し述べておきます。これまで何度も、「SEOは終わる」「検索はなくなる」と言われてきました。しかし、現実にはSEOは終わっていません。ただ、その形が変わり続けてきただけです。ChatGPTの登場も、その延長線上にあります。検索エンジンが不要になるのではなく、検索の前後に新しい行動が加わったと考えるほうが、現実に即しています。


ChatGPTに「引用される情報」とは何か


最近、「ChatGPTに引用されるサイトになりたい」「AIに選ばれるコンテンツを作りたい」という相談を受けることが増えています。しかし、この考え方には少し注意が必要です。

OpenAIのレポートを読んでわかるのは、ChatGPTが情報を扱う際、単に文章が整っているかどうかではなく、「信頼できる背景があるか」「文脈として筋が通っているか」を重視している点です。つまり、AIに引用されるかどうか以前に、人間にとって信頼できる情報かどうかが問われているのです。


AIは「表面的なまとめ」を好まない


ChatGPTは大量の情報を要約するのが得意です。そのため、既存情報を薄くまとめただけのページは、AIにとって新しい価値を持ちません。レポート全体を通じて感じるのは、ChatGPTが参照する情報の多くが、「すでに整理された一般論」ではなく、「背景や理由が説明されている情報」であるという点です。これはSEOにおいても同じです。

結論だけを書いたページよりも、
・なぜそうなるのか
・どういう前提があるのか
・どんなケースでは当てはまらないのか

といった説明が含まれているページのほうが、結果的に価値を持ちます。


「経験」が最大の差別化要因になる


ここで、私自身の長年の経験から、はっきり言えることがあります。AI時代に最も価値が高まるのは、「実際にやってきた人の経験」です。

OpenAIのレポートでも、ChatGPTが意思決定支援として使われていることが示されています。これは裏を返せば、「最終判断は人が行う」という前提が変わっていないことを意味します。人は、判断するときに「実体験」を重視します。成功例だけでなく、失敗例や試行錯誤の過程がある情報は、AIにも人にも価値があります。


SEO初心者が陥りやすい誤解


SEO初心者の方が、AI時代に陥りやすい誤解があります。それは、「AIがあるから、自分で考えなくていい」という発想です。OpenAIのレポートを通じて一貫して言えるのは、ChatGPTは「考える力を奪う存在」ではなく、「考える力を引き出す存在」だということです。AIに丸投げしたコンテンツは、結局どこかで見たような内容になります。それでは、検索エンジンにも、AIにも、ユーザーにも選ばれません。


AI時代のSEOは「問い」を作る仕事になる


これからのSEOで最も重要になるのは、「答えを書くこと」ではなく、「問いを正しく立てること」です。ChatGPTは答えを生成できますが、「何を問うべきか」は決められません。ユーザーの悩みや迷いを理解し、「本当に知りたいことは何か」を言語化する役割は、人間にしかできないのです。これは、これまで私がSEOの現場で重視してきた「検索意図の理解」と、完全に一致しています。


SEOは「人の理解」に戻っていく


この連載を通じて、私が強く感じたのは、AIの進化によってSEOが難しくなるのではなく、本来あるべき姿に戻っていくということです。かつてSEOは、
・キーワードを入れる
・テクニックを使う
・検索エンジンをだます

といった方向に歪んだ時期がありました。

しかし、ChatGPTやAI検索の登場によって、「人にとって役に立つか」「理解を助けているか」という原点が、再び強く問われるようになっています。

もしあなたが、これからWebサイトを作る、あるいは記事を書こうとしているなら、次の点を意識してください。
・AIに勝とうとしてはならない。
・AIと役割を分け合う。
・AIが得意なのは整理と要約だということを知る。
・人が得意なのは経験と判断。

この役割分担を理解できれば、AI時代でもWebサイトの価値は下がらないはずです。
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一般社団法人 全日本SEO協会 代表理事

 鈴木将司

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