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2026年11月

「1位から10位」はもう当てはめにくい――Googleのミューラー氏の発言から考えるAI時代のSEO報告の作り方

2026年11月08日

「今月は〇〇というキーワードで3位から2位に上がりました」。SEOの報告書といえば、長いあいだ、検索順位の表が中心でした。どのキーワードで何位に表示されているかを並べ、先月と比べて上がった、下がったを確認する。多くの企業が、この形でSEOの成果を測ってきたはずです。

その前提について、Google自身から重い発言が出ました。Googleで検索に関する情報発信を担当しているジョン・ミューラー氏が、掲示板サイトのReddit(レディット)で、従来の「1位から10位」という考え方は、今の検索結果には当てはめにくく、サイト運営者にとって役立つ形にもしにくいと答えたのです。

この記事では、ミューラー氏の発言の中身と、サーチコンソールの生成AIレポートで何が分かり何が分からないのか、そしてこれからのSEOの報告で何を見ればよいのかを、SEOのコンサルティングに長く携わってきた立場から解説します。


ミューラー氏がRedditで答えたこと


このやりとりを伝えたのは、海外のSEO専門メディアSearch Engine Roundtableです。2026年9月10日の記事で、同メディアの編集長バリー・シュワルツ氏が紹介しています。

きっかけは、RedditのSEOに関する掲示板に寄せられた質問でした。サーチコンソールの生成AIに関するレポートで、表示回数はどのように数えられているのか、というものです。

サーチコンソールとは、Googleが無料で提供している、自社サイトの検索での表示回数やクリック数、掲載順位などを確認できる分析ツールのことです。ミューラー氏の回答の要点は、次のとおりです。

1. 生成AIの表示は「一つのまとまり」として数えている
「AIによる概要」などの生成AIの表示は、ほかの検索機能と同じように、一つのまとまりとして記録しています。

2. 生成AIレポートの中では順位を分けていない
生成AIのレポートでは、その中での順位を個別に分けて出してはいません。


3. 従来の「1位から10位」は当てはめにくい
今の検索結果には、利用者が触れる場所があまりに多くあり、昔の「1位から10位」という考え方を当てはめること自体が難しく、サイト運営者にとって役立つ形にもしにくいと説明しています。

そのうえで同氏は、順位の追跡について、どんな情報があれば役に立つかの意見を募っています。


生成AIレポートで分かること・分からないこと


話題になっている生成AIレポートについて、整理しておきましょう。

このレポートは、自社サイトへのリンクが、「AIによる概要」や「AIモード」の中に何回表示されたかを確認できる機能です。海外のSEO専門メディアSearch Engine Journalによると、Googleは2026年8月31日に、このレポートを全世界のすべてのサイトに提供したと発表しました。日本のサイトでも使えます。


ただし、Googleのヘルプページによると、このレポートで分かるのは表示回数だけです。クリック数、クリック率、掲載順位は含まれていません。データは、ページ別、国別、日付別、デバイス別に見ることができますが、通常のレポートのように検索キーワード別に見ることはできません。

また、同じサイトの2つのリンクが1つの生成AIの回答の中に表示された場合でも、表示回数は1回として数えられます。表示回数が少ないサイトでは、レポート自体が表示されない場合もあるとされています。

なお、Googleは同じ時期に、生成AIの機能で自社のコンテンツを使わないようにする設定もサーチコンソールに加えています。


生成AIの表示は「一つのまとまり」として数えられる


ミューラー氏の言う「一つのまとまり」とは、どういうことでしょうか。

Googleのヘルプページでは、通常の検索パフォーマンスのレポートでの順位の数え方が説明されています。検索結果に並ぶ要素は、中に1つのリンクしかなくても、たくさんのリンクが含まれていても、それぞれが1つの順位を占めるという考え方です。

「AIによる概要」もその一つです。「AIによる概要」は検索結果の中で1つの順位を占め、その中に表示されたすべてのリンクに同じ順位が割り当てられます。たとえば「AIによる概要」が検索結果の一番上に表示され、そこに自社のリンクが5番目に出ていても、順位は「AIによる概要」全体の順位として扱われるのです。


つまり、「AIによる概要」の中で自社が何番目に紹介されたかという意味での順位は、そもそも記録されていないということです。


通常のレポートでもAIの分は切り分けられない


もう一つ知っておきたいのが、通常の検索パフォーマンスのレポートでの扱いです。

同じヘルプページによると、「AIモード」の中での順位も、通常の検索結果と同じ考え方で数えられます。また、「AIによる概要」や「AIモード」の中のリンクがクリックされた場合も、通常のクリックとして数えられます。

さらにGoogleの別の説明では、「AIによる概要」や「AIモード」からのアクセスは、サーチコンソールでは通常の検索と同じ「ウェブ」の中に含めて集計されるとしています。つまり、通常のレポートを見ても、どのクリックがAIの回答から来たもので、どのクリックが普通のリンクから来たものかは区別できません。

生成AIレポートでは表示回数だけが分かり、通常のレポートではAIの分とそれ以外の分が混ざっている。この2つの制約を知ったうえで数字を読むことが大切です。


なぜ「1位から10位」は当てはめにくいのか


ミューラー氏が「1位から10位」を当てはめにくいと言う理由は、今の検索結果の画面を見れば分かります。かつての検索結果は、青いリンクが上から10本並んでいるだけでした。どのサイトが何番目かは、誰が見てもはっきりしていました。

今の検索結果はどうでしょうか。一番上に「AIによる概要」が出て、その下に地図とお店の一覧、動画の枠、「他の人はこちらも質問」という質問の一覧、画像の枠などが並び、その間に通常のリンクが入ります。検索した人の目に最初に留まるのが、どこなのかも一定ではありません。


これは、新聞と雑誌の違いに似ています。新聞の記事は上から順に並んでいるので、何番目の記事かを数えやすい。ところが、写真や囲み記事やコラムが入り組んだ雑誌の誌面では、「何番目」と数えること自体にあまり意味がありません。今の検索結果は、雑誌の誌面に近づいているのです。

シュワルツ氏も、今の検索結果にはさまざまな表示の形があり、単純な「1位」はもう存在しないという趣旨で、ミューラー氏の指摘に同意しています。


順位表だけの報告では見えないもの


ここで誤解のないように補足しておくと、通常の検索パフォーマンスのレポートから順位がなくなるわけではありません。順位は今後も確認できますし、順位を見ること自体が無意味になったわけでもありません。

問題は、順位表「だけ」を軸にした報告では、実際に起きていることが見えにくくなっているという点です。

たとえば、あるキーワードで順位が3位から変わっていなくても、その上に「AIによる概要」が表示されるようになれば、クリックは大きく減ることがあります。反対に、順位は下がっていても、「AIによる概要」の中で紹介されるようになり、ブランドを知ってもらう機会が増えていることもあります。順位の数字は同じでも、その意味がまったく違うのです。

しかも、同じキーワードで検索しても、検索した人の地域や使っている端末、過去の検索の傾向によって、表示される画面の組み合わせは変わります。順位を一つの数字で表すこと自体が、以前よりずっと難しくなっているのです。


「順位は上がったのに問い合わせが減った」という相談


先日、ある法律事務所のクライアントさんから、こんなご相談をいただきました。「毎月の報告書では主要キーワードの順位がどれも上がっているのに、ホームページからの相談の申し込みが半年前より減っている。報告書の数字を信じていいのか分からない」と。

サーチコンソールで一緒に確認すると、順位が上がったキーワードの多くで、検索結果の上部に「AIによる概要」が表示されるようになっていました。表示回数は増えているのに、クリック数は減っていたのです。

私は、報告書の作り方を変えることをご提案しました。順位の表は残しつつ、その前に「ページ別の表示回数とクリック数の推移」「生成AIレポートでの表示回数」「事務所名での検索の回数」の3つを置く形です。今は、報告書の数字と実際の相談件数の動きを、毎月並べて確認しているところです。


これからの報告で見たい3つの数字


ミューラー氏の発言を受けて、これからのSEOの報告では、順位表に加えて次の3つの数字を見ることをお勧めします。

1. ページ別の表示回数とクリック数の推移
キーワードの順位ではなく、ページ単位で表示回数とクリック数がどう変わったかを見ます。表示回数は変わらないのにクリック数が減っているページは、検索結果の上部のAIに答えを先に言われている可能性があります。比べるときは、前月とではなく前年の同じ月と比べると、季節による増減の影響を受けにくくなります。

2. 生成AIレポートの表示回数
自社のページが、「AIによる概要」や「AIモード」の中にどれだけ表示されているかを見ます。どのページがAIの回答の材料として選ばれているかが分かります。このレポートにはキーワード別の数字がないので、表示回数の多いページを開き、そのページがどんな質問に答えているかを考えてみてください。AIがどんな場面で自社を選んでいるのか、おおよその見当がつきます。

3. 指名検索の回数
指名検索とは、会社名やブランド名、商品名で行われる検索のことです。AIの回答で知ってもらった人が、後から社名で検索してくれることもあります。通常の検索パフォーマンスのレポートで、社名を含むキーワードの表示回数を追っておきます。

まずは来月の定例報告で、順位の表の前にこの3つを置くところから始めてみてください。


まとめ


今回の話をまとめると、Googleのミューラー氏は、生成AIの表示はほかの検索機能と同じく一つのまとまりとして記録しており、生成AIレポートの中で順位は分けていないと説明しました。さらに、今の検索結果には利用者が触れる場所が多すぎて、従来の「1位から10位」は当てはめにくく、サイト運営者に役立つ形にもしにくいと述べています。生成AIレポートは2026年8月31日に全世界のサイトに提供され、日本でも使えますが、分かるのは表示回数だけです。

健康診断で体重だけを見て健康かどうかを決める人はいません。血圧や血液検査の数字を合わせて見て、初めて体の状態が分かります。SEOの報告も同じです。順位という一つの数字を眺める時間を少しだけ減らし、表示回数、クリック、指名検索という複数の数字から、自社のサイトが今どう見られているのかを読み取っていきましょう。

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