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ChatGPTは人々の「仕事」と「学習」をどう変えているのか― OpenAI公式・経済研究レポートが示す「静かな変化」

2026年01月03日

今回の記事では、前回に引き続きOpenAIが公式に公開した経済研究レポート「How People Use ChatGPT」を読み解いていきます。

このレポートは、OpenAIの経済研究チームが中心となり、大学研究者と共同でまとめたものです。最大の特徴は、実際のChatGPT利用ログ(匿名化された大規模データ)をもとに分析している点にあります。

つまりこの研究は、「ChatGPTは、たぶんこう使われているだろう」、「AIは仕事を奪う/奪わないはずだ」といった推測や感想ではなく、現実に人々がどんな場面で、どんな目的でChatGPTを使っているのかを、数量データから明らかにした一次資料です。

SEOやWebマーケティングの世界では、どうしても「アルゴリズム」や「テクニック」に目が向きがちですが、長期的に成果を出すために最も重要なのは、ユーザーの行動がどう変わっているかを正しく理解することです。このレポートは、検索・学習・仕事という、私たちの仕事そのものに直結する領域で、すでに起きている変化を静かに、しかし明確に示しています。

今回はその中でも、「仕事」と「学習」の現場で、ChatGPTがどのように使われているのか?という点に焦点を当てて解説します。


「仕事を奪うAI」という議論が、少しズレている理由


ChatGPTが話題になった当初、日本でも「AIに仕事が奪われるのではないか」という議論が盛んに行われました。

しかし、このレポートを読むと、その問い自体が少し単純すぎることがわかります。なぜなら、実際のChatGPTの使われ方は、「人の仕事を丸ごと置き換える」という方向には進んでいないからです。

レポートの分析によれば、ChatGPTは特定の職業を完全に代替する形では使われていません。むしろ、多くの人が「自分の仕事の一部」を補助してもらうために使っています。
ここが非常に重要なポイントです。


ChatGPTは「作業担当」ではなく「補佐役」


仕事におけるChatGPTの利用内容を詳しく見ると、次のような特徴が浮かび上がります。

人々はChatGPTに対して、完成品をそのまま求めるよりも、
・考えを整理するための壁打ち相手
・書きかけの文章を整える補助
・自分の理解が正しいかを確認する相手

として使っているケースが圧倒的に多いのです。

たとえば、企画書をゼロから丸投げするのではなく、「この構成で問題ないか」「他に視点はないか」といった形で相談する。あるいは、専門的な内容を「初心者にもわかるように説明してほしい」と頼む。これは、人間同士の仕事の進め方に非常によく似ています。


なぜ「生産性が上がる」と感じる人が多いのか


レポートでは、ChatGPTを使うことで「仕事が速くなった」と感じている人が多いことにも触れられています。ただし、ここでいう生産性向上は、単純な作業時間の短縮だけを意味していません。

むしろ重要なのは、考え始めるまでのハードルが下がっている点です。多くの人は、仕事で悩んだとき、
「どこから手をつければいいかわからない」
「考えがまとまらず、手が止まる」

という状態に陥ります。ChatGPTは、その状態を解消する役割を果たしています。最初の一歩を一緒に考えてくれる存在がいることで、人はスムーズに作業に入れるようになる。この効果は、想像以上に大きいのです。


ホワイトカラー業務との相性が良い理由


レポートでは、ChatGPTの利用が特に増えている分野として、知的労働、いわゆるホワイトカラー業務が挙げられています。これは決して偶然ではありません。

ホワイトカラーの仕事は、
・正解が一つではない
・判断や整理が求められる
・情報を扱う時間が長い

という特徴を持っています。ChatGPTは、まさにこの部分を支援するのが得意です。逆に言えば、手作業中心の仕事や、現場での身体的な作業を直接置き換えるものではありません。レポートのデータも、その点をはっきり示しています。


学習の現場で起きている静かな変化


このレポートで、もう一つ見逃せないのが「学習用途」です。学生や社会人が、ChatGPTを家庭教師のように使うケースが急増しています。ただし、ここでも重要なのは、「答えを教えてもらう」使い方ではないという点です。

多くの場合、
・わからない部分を別の言い方で説明してもらう
・自分の理解が合っているか確認する
・つまずきやすいポイントを教えてもらう

といった形で利用されています。これは、従来の検索や教科書だけでは補いきれなかった部分です。


SEO初心者がここから学ぶべきこと


ここで、SEOを学び始めたばかりの方に向けて、ひとつ重要な視点を共有します。
ChatGPTが仕事や学習に深く入り込んでいるということは、「情報の受け取り方」が変わっているということです。人々は、断片的な情報ではなく、「理解できる形」に整理された情報を求めるようになっています。

これは、Webサイトやブログに求められる役割にも直結します。単に情報を並べるだけでは足りません。「なぜそうなるのか」「どう考えればいいのか」を丁寧に説明するコンテンツが、これからますます重要になります。


「生産性が上がる」という言葉の誤解


ChatGPTについて語られるとき、「生産性が上がる」という表現がよく使われます。しかし、この言葉は非常に曖昧です。

多くの人は、生産性向上=「作業時間が短くなる」「仕事が速く終わる」と考えがちです。ところが、OpenAIのレポートを読むと、ChatGPTがもたらしている効果は、単純な時短とは少し違うことがわかります。実際に起きているのは、「考え始めるまでの時間が短くなる」「途中で止まらなくなる」という変化です。


仕事が止まる最大の原因は「考えがまとまらないこと」


私自身、長年SEOコンサルタントとして多くの現場を見てきましたが、仕事が遅くなる最大の原因は、作業量ではありません。

多くの場合、
・何が正解かわからない
・どの順番で進めればいいかわからない
・間違った方向に進んでいないか不安

といった「思考の停滞」が原因で、手が止まります。ChatGPTは、この状態を解消する役割を果たしています。答えを出すというよりも、「考えるための足場」を用意してくれる存在です。


レポートが示す「補助的利用」の意味


OpenAIのレポートでは、ChatGPTの仕事利用の多くが、補助的(assistive)であることが示されています。つまり、人が主役であり、AIはあくまで脇役です。
これは非常に重要なポイントです。

もしChatGPTが「仕事を完全に代替する存在」だとすれば、使える人と使えない人の差は、それほど大きくならないでしょう。しかし現実には、ChatGPTを使いこなせる人ほど、生産性や成果に大きな差が出始めています。なぜなら、AIは「考えを持っている人」を助けるのが得意だからです。


「AIを使える人」と「使えない人」の決定的な違い


このレポートを読み、さらに現場での経験を重ねて感じるのは、AIを使える人と使えない人の差は、ITスキルではないということです。

差が出るのは、次のような点です。
・ChatGPTを使える人は、自分が何に悩んでいるのか、どこがわからないのかを、ある程度言語化できます。一方、使えない人は、「とりあえず何か出してほしい」と丸投げしてしまいます。
・その結果、前者はAIから有益なヒントを得られ、後者は「思ったほど使えない」という感想を持つことになります。


SEOの世界でも同じことが起きている


これはSEOやWeb制作の現場でも、まったく同じです。ChatGPTをうまく活用している人は、
・検索意図を整理する
・記事構成のたたき台を作る
・見落としている視点を洗い出す

といった使い方をしています。

一方で、「記事を全部書かせよう」「上位表示する文章を出させよう」と考える人ほど、成果が出にくい傾向があります。これは、ChatGPTが万能ではないからではありません。使い方が、仕事の本質と噛み合っていないからです。


AI時代に価値が上がる人の特徴


ここからは、私自身の考察です。AIが普及すればするほど、「考えられる人」の価値は下がるどころか、むしろ上がります。なぜなら、AIは問いを立てることができないからです。ChatGPTは、問いがあって初めて力を発揮します。その問いの質を決めるのは、人間です。

SEOでも同じです。「このページは誰の、どんな悩みに答えるのか」この問いを立てられる人が、AIを使っても成果を出せます。


仕事・学習・SEOに共通する本質的な変化


OpenAIのレポートを通じて見えてくるのは、AIが仕事や学習を「楽にする」というよりも、「思考の前提」を変えているという事実です。これまで、人は一人で悩み、考え、試行錯誤してきました。これからは、AIと対話しながら考えることが、当たり前になります。

これは、決して人間が怠けるという意味ではありません。むしろ、より高度な判断や創造に集中できる環境が整いつつある、ということです。


まとめ


今回のレポートでは、OpenAIの公式レポートをもとに、ChatGPTが仕事と学習にもたらしている変化を掘り下げました。重要なのは、ChatGPTが「答えを出す機械」ではなく、「考える力を引き出す存在」として使われている点です。この使われ方を理解できるかどうかが、今後の仕事やSEOの成果を大きく左右します。

次回は検索行動の変化、AIに引用されるサイトの条件、そして結論を解説していきます。

ChatGPTは実際にどう使われているのか?― OpenAI公式・経済研究レポートから読み解く「利用実態の全体像」

2026年01月03日

今回はOpenAIが公開した「How People Use ChatGPT」という研究レポートについて解説します。このレポートは、OpenAIの経済研究チームが中心となり、米国の大学研究者と協力してまとめられたもので、2024年から2025年にかけての実際のChatGPT利用ログを大規模に分析しています。いわゆるアンケート調査や想像ベースの議論ではなく、「人々が実際にChatGPTに何を聞いているのか」を統計的に解析した、非常に信頼性の高い一次資料です。

日本では「ChatGPT=文章作成ツール」「仕事を効率化するAI」というイメージが先行していますが、このレポートを読むと、その認識がいかに一面的かがわかります。ChatGPTはすでに、検索、学習、意思決定、日常生活の相談まで含めた、新しい情報インフラとして使われ始めているのです。


このレポートは「何がすごい」のか


まず強調しておきたいのは、このレポートの位置づけです。世の中には「ChatGPTが仕事を奪う」「AI時代の働き方」など、刺激的な記事や動画が数多く出回っています。しかし、その多くは印象論や一部事例の紹介にとどまっています。

一方、今回のOpenAIのレポートは、
・数億人規模の実ユーザーデータ
・実際の入力内容(プロンプト)の分類
・利用目的・時間帯・職業属性の推定

といった要素を組み合わせて分析しています。つまり、「ChatGPTがどう使われているか」を語るうえで、現時点で最も客観性が高い資料だと言えます。

SEOやWebマーケティングを学ぶ人にとって重要なのは、ユーザーの行動そのものがどう変わっているかを知ることです。このレポートは、その変化を数字で示してくれています。


ChatGPTの利用規模は、すでに「異次元」


レポートの中でも、まず目を引くのが利用規模です。
OpenAIはこの研究の中で、2025年時点におけるChatGPTの週次アクティブユーザー数が約7億人に達していると報告しています。これは、世界人口の約10人に1人が、毎週のようにChatGPTを使っている計算になります。

インターネット、スマートフォン、SNSといった技術も急速に普及しましたが、ChatGPTの広がり方はそれらをさらに上回るスピードです。理由はシンプルで、「使い方を覚えなくても使える」からです。

検索エンジンでは、キーワードを考え、検索結果を比較し、複数ページを読む必要があります。一方、ChatGPTでは、普段人に話しかけるように質問するだけで、ある程度整理された答えが返ってきます。この体験の違いが、爆発的な普及を後押ししています。


人々はChatGPTに「何を」聞いているのか


では、これだけ多くの人は、ChatGPTに何を求めているのでしょうか。レポートでは、ChatGPTへの質問内容を複数のカテゴリに分類しています。その中で、特に利用が多いのは次のような内容です。

一つ目は、日常生活や学習、仕事に関する「実用的なアドバイス」です。たとえば、勉強方法の相談、文章の書き直し、スケジュールの考え方、健康や生活習慣に関する質問などが含まれます。これは単なる検索ではなく、「自分の状況を踏まえた助言」を求めている点が特徴です。

二つ目は、情報収集です。ニュースの要約、専門用語の意味、商品やサービスの比較など、従来は検索エンジンで行っていた行動が、そのままChatGPTに置き換わりつつあります。ただし、ユーザーは単なる情報の羅列ではなく、「理解しやすく整理された説明」を期待しています。

三つ目は、文章に関する支援です。メール文の下書き、企画書の構成、文章の要約や言い換え、翻訳などがこれに当たります。日本でよく知られているChatGPTの使い方は、実はこのカテゴリに集中しています。

レポートによれば、これらの利用目的だけで、ChatGPTの利用全体の大半を占めているとされています。つまり、ChatGPTは「特殊な人が使うAI」ではなく、日常の思考や作業を支える道具として使われているのです。


「仕事で使われている」は本当か?


日本では「ChatGPTは仕事効率化ツール」という文脈で語られることが多いですが、レポートを読むと、少し意外な事実が見えてきます。

確かに、登場初期のChatGPTは、仕事や学業での利用割合が非常に高いものでした。しかし、時間が経つにつれて、仕事以外での利用が急増しています。現在では、日常生活や個人的な相談、学習補助など、非仕事用途の割合が大きくなっています。

これは、ChatGPTが「仕事専用ツール」から「生活インフラ」に近づいていることを意味します。検索エンジンが、仕事でもプライベートでも使われているのと同じ状態です。
この点は、SEOやWebサイト運営を考える上で非常に重要です。なぜなら、ユーザーはもはや「調べ物=Google」という固定観念を持たなくなりつつあるからです。


検索行動の「前段階」に入り込むChatGPT


ここで一つ、SEO初心者の方にぜひ知っておいてほしい視点があります。ChatGPTは、いきなり検索エンジンを置き換える存在ではありません。しかし、検索の前段階に入り込んでいます。つまり、「何を調べるべきか」「どう考えればいいか」を整理する役割を担い始めているのです。

人はこれまで、疑問が浮かんだらとりあえず検索し、結果を見ながら考えていました。今はその前に、ChatGPTに聞いて頭を整理してから、必要に応じて検索する、という行動が増えています。


レポートが示す「意外な使われ方」


OpenAIのレポートの中で、私が特に注目したのは、ChatGPTの利用目的が「作業の自動化」よりも、「思考の整理」に寄っている点です。多くの人は、AIというと「人の仕事を代わりにやってくれる存在」をイメージします。しかし、実際の利用データを見ると、ChatGPTは必ずしも「答えを丸投げする相手」として使われていません。

たとえば、ユーザーは次のような形でChatGPTを使っています。あるテーマについて自分なりの考えをまとめたいとき、いきなり完成形を求めるのではなく、「考え方の整理」「抜けている視点の指摘」「別の切り口の提案」を求めるケースが非常に多いのです。

これは、検索エンジンでは得られなかった体験です。検索では、すでに存在する情報を探すことはできても、自分の思考に寄り添ってくれるわけではありません。


「答え」よりも「考えるプロセス」が求められている


レポートの中では、ChatGPTが意思決定支援(decision support)として使われている点が強調されています。これは非常に重要なキーワードです。

意思決定支援とは、最終的な判断をAIが下すのではなく、人が判断するための材料や視点を提供する役割のことです。実際、多くのユーザーはChatGPTの回答をそのまま鵜呑みにしているわけではありません。

「こういう考え方もありますよ」
「この点は注意したほうがいいですよ」

といった補助的な情報を受け取り、自分で考え、決めています。この使われ方を見ると、ChatGPTは「検索エンジン+相談相手」を組み合わせたような存在になっていると言えるでしょう。


なぜ検索エンジンだけでは足りなくなったのか


ここで一度、SEO初心者の方にもわかるように整理しておきます。検索エンジンは、「すでに答えが存在している問い」に対しては非常に強力です。しかし、現実の多くの悩みや疑問は、そう単純ではありません。

たとえば、
・どのサービスを選ぶべきか迷っている
・何から手をつければいいかわからない
・正解が一つに決まらないテーマで悩んでいる

こうした状況では、検索結果をいくら眺めても、答えは出ません。情報が多すぎて、かえって混乱することもあります。ChatGPTは、この「情報が多すぎる問題」を一度噛み砕いてくれます。しかも、ユーザーの質問内容に応じて、説明の仕方を変えてくれる。この点が、人々を惹きつけている理由です。


SEOにとって、これは何を意味するのか


ここからが、SEOを学ぶ人にとって本題です。
ChatGPTの普及によって、「検索される前の行動」が変わり始めています。ユーザーは、いきなり検索窓にキーワードを打ち込むのではなく、まずChatGPTに相談して頭を整理するようになっています。その結果、検索エンジンに入力されるキーワードも変化します。

以前は、断片的なキーワードが多く使われていました。しかし今後は、ChatGPTとの対話を通じて整理された、より具体的で意図のはっきりした検索が増えていく可能性があります。これは、SEOにとってチャンスでもあり、脅威でもあります。


SEOは「答えを出す競争」から変わる


ここからは、私自身の経験を踏まえた考察です。私は長年、SEOの現場で「検索意図を理解することが重要だ」と言い続けてきました。しかし、ChatGPTの登場によって、その重要性は一段階上がったと感じています。

これからのSEOは、「答えを早く出すページ」が評価されるだけでは不十分になります。むしろ、
・なぜその答えに至るのか
・どう考えればいいのか
・他にどんな選択肢があるのか

といった、思考の道筋を丁寧に示しているコンテンツが強くなります。

なぜなら、人々はすでにChatGPTで「即答」を得られるからです。Webサイトに求められる役割は、その先に移っています。


「質問に答えるサイト」から「考えを深めるサイト」へ


SEO初心者の方に伝えたいのは、ここです。
これからサイトを作る、あるいは記事を書くときに、「検索キーワードに答える」ことだけを意識していると、ChatGPTと競合することになります。しかし、「考えを深める」「判断を助ける」内容であれば、ChatGPTとは補完関係になります。

たとえば、実体験、失敗談、業界特有の事情、現場でしかわからない判断基準。こうした要素は、今後ますます価値が高まります。


ChatGPT時代における「人の役割」


レポート全体を通して感じるのは、AIが人を置き換えるというよりも、「人の考える力を拡張している」という点です。
ChatGPTは万能ではありません。しかし、考えるための土台を整えてくれる存在として、人々の生活に溶け込み始めています。SEOやWebの世界でも同じことが起きます。AIがすべてを書き、すべてを判断する時代ではありません。むしろ、人がどんな視点を持ち、どう価値を付け加えるかが、より問われる時代になります。


まとめ


今回は、OpenAIの公式レポートをもとに、ChatGPTがどのように使われ、どんな役割を担い始めているのかを見てきました。ChatGPTは、検索エンジンの単なる代替ではなく、人々の思考や判断を支える存在として使われています。この変化は、SEOの前提条件そのものを少しずつ書き換えています。

次回は、「ChatGPTは人々の仕事と学習をどう変えているのか」というテーマに進みます。生産性、ホワイトカラー業務、学習行動の変化などを、レポートの引用と日本語訳を交えながら、さらに深く解説していきます。

ChatGPT・AIモード・Perplexity ではどんな検索クエリが入力されているのか?AI検索時代の「問い」を分析する

2026年01月03日

ここ数年、Google検索だけでなく、ChatGPT、Perplexity、Gemini(AIモード)など、AIを用いた新しい検索手段が急速に広がっています。私のクライアント企業や協会会員からも、「お客様が ChatGPT で商品を検索するようになった」、「Perplexity で比較されているので対策が必要だ」という声が増えてきました。

しかし、そもそも人々は AI検索でどのようなクエリ(質問)を入力しているのか?これは今後のSEO・AI時代のコンテンツ戦略を考える上で、非常に重要な問題です。今回は、信頼できる海外調査・研究・実証データを出典を明記しながら紹介し、AI検索で使われているクエリの傾向を分析します。


AI検索のクエリは「キーワード」ではなく「自然文の質問」に変わった


AI検索における最大の変化は、「キーワード検索 → 質問検索」への転換です。従来のGoogle検索では「大阪 焼肉 個室」「iPhone 価格 比較」のようにキーワードを羅列するのが一般的でした。



しかし AI検索では、ユーザーは自然な文章で質問します。

例:
「大阪で個室があってゆっくり食事できる焼肉店をおすすめ順に教えて」
「iPhone と Android の違いを初心者でもわかるように比較して」
「40代で副業を始めるなら何がおすすめ?」



この傾向は国内外の調査でも明らかです。

AI-REACH の分析によれば、AI検索の入力内容には「日常会話のような自然文」が圧倒的に多いと報告されています。これは、AIが「文章の意味」を理解し、意図を解釈する能力に長けているため、ユーザーが「話しかけるように検索する」スタイルに移行しているためです。

私のクライアント企業でも、「ChatGPTに聞いたら○○と出たので、それを参考に比較しました」という声が増え、自然言語での「相談系クエリ」が増加していることを日々感じます。


実証データ:ChatGPTで多いクエリは「情報収集」「実用」「提案依頼」「文章作成」が中心


ChatGPT の利用目的を分析した論文(OpenAI社と学術研究者による共同調査)では、ユーザーが ChatGPT に投げるクエリの 約77% が「情報検索・実用的なガイド・文章作成支援」 のいずれかに分類されると報告されています。

この論文は、ChatGPT の最も利用されるカテゴリとして次を挙げています:
・Practical Guidance(実用的アドバイス)
例:「明日面接があります。質問の答え方を教えてください」

・Seeking Information(情報探し)
例:「ブログのSEOとは何か?初心者向けに説明して」

・Writing(文章作成支援)
例:「採用メールのテンプレートを作ってほしい」

これはつまり、ChatGPTは「調べる」「まとめる」「文章を作る」という作業の入口として使われているということです。この傾向は私の現場経験とも一致します。企業担当者の多くは、Google検索よりも ChatGPT で情報整理を先に行うようになっています。


AI検索では「比較系」「おすすめ系」「提案系」のクエリが著しく増えている


AI検索と従来検索の最大の違いは、「比較してほしい」「提案してほしい」という高度な要求が急増している点です。
これは、AIに「ランキング」「おすすめ理由」「選択肢の整理」を求めるユーザーが増えたためです。

たとえば:
・「2025年に買うべきノートPCを用途別におすすめして」
・「東京で小規模歯科医院を探している。料金が安くて上手なところは?」
・「中学生の子どもに合うオンライン英会話を比較して」

このことはDataCamp社の調査結果により裏付けされています。


DataCamp は AI検索クエリを大きく次のように分類しています:
・Informational(情報収集)
・How-to(方法・手順)
・Comparison(比較)
・Recommendations(おすすめ)
・Opinion-based(意見を求める)

これらのうち、特に伸びているのが「How-to」「Comparison」「Recommendations」です。



私はこの傾向を「AI比較時代」と呼んでいます。ユーザーは「選ぶ前にAIに整理させる」行動を取るようになり、企業側は AIに「比較される前提」のコンテンツを用意しなければ勝てない時代に突入しています。


Perplexity では「情報ソースを指定する質問」が増えている


Perplexity は、単なる生成AIではなく、リアルタイム検索と出典提示を前提に設計されたAI検索エンジンです。回答には常に参照元ページへのリンクが番号付きで表示され、「どの情報を根拠に答えているのか」をユーザーが即座に確認できる構造になっています。



そのためユーザー側も、「とりあえず聞いてみる」ではなく、「どの情報源に基づく答えなのか」を最初から意識した質問を行うようになります。


この設計の影響で、Perplexity では次のような「情報源を条件として含むクエリ」が増えています。

例:
・「最新の不動産価格を政府統計の数値で教えて」
・「SEOに強い米国の専門家が語っている2025年のトレンドは?」
・「今日のAIニュースを一次情報だけで要約して」

これは、回答の正しさ=出典の信頼性という認識が、ユーザー側に強く根づき始めていることを意味します。

このようなユーザー行動の変化は、会話型・回答型検索(Answer-focused / Conversational Search)に関する研究でも確認されています。

生成AIによる検索では、
・出典が少ない
・出典が曖昧
・回答と出典の対応関係が分かりにくい

といった場合に、ユーザーの信頼度が大きく低下することが報告されています。


さらに、AI検索においては「出典の見せ方そのもの」がユーザー行動に影響することも分かっています。出典リンクが明確に表示されるほど、ユーザーは
・回答を鵜呑みにせず
・根拠を確認し
・必要に応じて情報源を指定して再質問する

という行動を取りやすくなります。

つまり Perplexity が「証拠を提示しながら回答するAI検索」であること自体が、
・情報源を意識した質問
・一次情報・専門家・公式データを指定するクエリ

を自然に増やしている、と言えます。

私は実際、クライアント企業の担当者から「この情報、Perplexityで調べたら政府統計から引用されていました」という話を頻繁に聞きます。

従来の検索エンジンでは、ユーザーが「どこ情報か」を明示して検索する習慣はほとんどありませんでした。この点は、AI検索時代における非常に大きな質的変化だと感じています。


AIによる概要のクエリは「要点をまとめて」が中心


Google が検索結果に導入したAIによる概要(AI Overview) は、ユーザーの検索クエリに対して、複数のページ内容を横断的に整理・要約し、最初に提示する機能です。

従来の検索結果のように「青いリンクを並べて、どれを読むかはユーザーに任せる」のではなく、Google自身が「まず要点をまとめて提示する」設計になっています。

この仕様の影響で、ユーザーの検索クエリも次のような「要約・整理を前提とした聞き方」が増えています。

例:
・「このニュースのポイントだけ教えて」
・「日本の所得税制度の概要を簡単に」
・「渋谷で話題のカフェをまとめて知りたい」

これは、検索行動が「自分で複数ページを読む」→「AIにまず整理してもらう」方向へ明確にシフトしていることを示しています。



Google はこの変化を前提として、AIによる概要が参照する情報源の評価基準についても明確に言及しています。AI が要約を生成する際には、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を重視して参照先を選ぶことが強調されています。

重要なのは、ここで起きている変化は「AIが勝手に要約している」のではなく、ユーザー自身が最初から「要約される前提」でクエリを入力しているという点です。

つまり、「細かく調べたい人向けの検索」ではなく「全体像を素早く把握したい人向けの検索」が、AIによる概要を前提に増えている、ということです。

この文脈においては、「網羅的で整理された一次情報・公式情報・専門家情報を持つページ」ほどAIによる概要に参照されやすくなります。

逆に言えば、
・断片的
・主観的
・根拠が弱い

コンテンツは、要約の材料として選ばれにくくなるという構造です。


AI検索に入力される「具体的なクエリ例」


AI検索では、従来の「名詞の羅列」ではなく、文脈・背景・条件・目的を含むクエリが入力されます。以下は、出典に基づいて整理した「AI検索に非常に多い」クエリの傾向です。

@ 問題解決・相談型クエリ(Practical Guidance)


AI検索で最も多いのは「相談に乗ってほしい」という種類の質問です。
例:
・「40代でキャリアに行き詰まっています。今からできる転職準備を教えてください」
・「客単価を上げたいのですが、飲食店でできる取り組みは?」
・「子どもの寝つきが悪い原因は?今日からできる改善策は?」

この論文では、ユーザーのクエリの多くが「実用的アドバイス(Practical Guidance)」であると明確に説明されています。
これは、AI検索が「相談相手」として利用されていることを意味します。

A やり方・手順のクエリ(How-to)


How-to クエリは、ChatGPT検索で最も伸びているカテゴリのひとつです。

例:
・「GA4でコンバージョン設定を行う手順を初心者向けに教えて」
・「WordPressでブログ記事を公開するまでの流れをわかりやすく」
・「SEOで上位表示を狙うための記事構成の作り方を教えて」

これらはユーザーの「知識不足を補ってほしい」「先生になってほしい」というニーズを反映しています。

B 比較クエリ(Comparison)


AI検索では「比較の代行をAIに求める」ケースが急増しています。

例:
・「医療脱毛と美容脱毛の違いを料金・効果・痛みで比較して」
・「Indeedと求人ボックスの違いを採用側目線で教えて」
・「ShopifyとBASEはどちらが初心者に向いているか?」

比較は従来、複数サイトを回って行うものでしたが、AIは同時に複数情報を統合して比較表のようにまとめるため、相性がよいのです。

DataCamp の調査でも「Comparison」が主要カテゴリとして挙げられています。

C おすすめクエリ(Recommendations)


AI検索での定番クエリが「おすすめしてください」です。

例:
・「渋谷でデートに向いたレストランを3つ教えて」
・「福岡の注文住宅会社で評判が良いところを教えて」
・「プログラミング未経験者におすすめの副業を教えて」

ユーザーは、自分で情報を探すより、AIに「最適解」を提示してほしいと考えるようになっています。

D 文章作成補助クエリ(Writing)


文章の「骨組み」や「下書き」を作らせるための検索も非常に多いです。

例:
・「クレーム対応メールの文例を作って」
・「採用ページの自己紹介文のテンプレートを作って」
・「歯科医院のブログ記事を初心者向けに書いて」

先ほどの OpenAI の論文でも、Writing は ChatGPT の主要利用カテゴリであるとされています。

E ニッチな悩み・ロングテールクエリ


従来の検索では届きにくかった「細かい情報」でもAIは理解できるため、細分化された質問が増えています。

例:
・「軽度の吃音がある中学生が自信をつけるには?」
・「40代男性、体力が落ちているが週3で運動可能。おすすめのトレーニングは?」
・「小規模歯科医院でスタッフが辞めないためのマネジメント方法は?」

このような「人に聞くレベルの相談」は、AI検索になって初めて可能になったクエリです。


AI検索クエリから見える「ユーザーの本音」


これらのクエリ傾向から、ユーザーがAI検索に求めているものが見えてきます。

@「手間を省きたい」


AI検索は、比較・調査・整理を代行してくれます。これは、多忙な社会人や専門知識の少ないユーザーにとって大きな価値です。

A「第三者の中立的アドバイスがほしい」


AIは特定企業の広告に左右されないため、「中立的な提案」を期待するユーザーが増えています。これは企業にとって「AIに選ばれる重要性」を意味します。

B「後押ししてほしい」


特に買い物・サービスの利用に関する質問は、「迷っているから後押ししてほしい」という心理が強く反映されています。


企業が取るべき「AI検索対策(AEO)」は何か?


@ まず「比較される前提」でコンテンツを作る


AIは比較して回答するので、
・特徴
・違い
・他社との差別化
・料金
・利点と弱点

を公式サイトで明示しないと、AIはその企業を紹介できません。

A E-E-A-T の証拠をサイトに載せる


AIは裏取り可能な情報を好みます。Google公式も E-E-A-T を強調しています。多くの企業サイトはこれが不足しているため、AIに選ばれません。

B 「おすすめ質問」に答えるページを作る


AI検索に最適化されたFAQやブログ記事が必要です。


まとめ


AI検索の普及により、ユーザーの「問い」は大きく変わりました。Google検索のような断片的なキーワードではなく、背景・悩み・条件を含んだ「自然文の相談クエリ」が主流になっています。

企業がやるべきことはただ一つ。それは、AIに紹介されるだけの証拠(E-E-A-T)と、AIが比較しやすい情報構造をサイトに持たせることです。これを実行した企業から順に、
ChatGPT、Perplexity、AIモードの「検索結果」に表示されるのです。

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