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AI活用とAEO・AIO

ChatGPTとMicrosoft Copilotの違いは?ー Copilotが生まれた経緯から、その評判と評価

2025年12月07日

ChatGPTが登場してから、私たちの働き方や情報の集め方は大きく変わりました。文章を考えてくれたり、分からないことを説明してくれたり、アイデアを広げてくれたりする「対話型AI」は、これまでのインターネットにはなかったまったく新しい存在です。

一方で、MicrosoftはChatGPTと同じOpenAIモデルを使いながら、「ソフトの中にAIを組み込む」という独自のアプローチをとりました。その結果として生まれたのが Microsoft Copilot です。登場した当初は、「これがOffice仕事を劇的に変えるのではないか」と大きな期待を集め、Windowsにも標準搭載されるなど、かなり強気の展開が続きました。

しかし現実には、ChatGPTほど高い評価を得られていません。むしろ、「期待したほど便利ではなかった」「思ったより使いこなしが難しい」という声が目立ちます。その一方で、企業ユーザーからは一定の評価を受けている部分もあり、両者の性質は大きく異なります。


Copilotが生まれた経緯


Copilotという名前が初めて広く知られたのは、2021年に登場した GitHub Copilot でした。これはプログラマー向けのAIアシスタントで、コードの続きを提案したり、関数を丸ごと書いてくれたりするツールです。利用者のあいだで「とても便利だ」と評判になり、MicrosoftのAI戦略に大きな手ごたえをもたらしました。

この成功があったことで、Microsoftは「AIを単体のサービスとして提供するより、すでに世界中で使われているOfficeやWindowsに組み込んだほうが圧倒的に普及する」と判断します。そして2023年、ついに Microsoft 365 Copilot を発表し、Word、Excel、Outlook、Teamsなど日常業務で必ず使うアプリにAIを統合し始めました。

Microsoftはこの動きを「AIの副操縦士」という意味で「Copilot」と呼び、社員全員がAIを使える未来をアピールしました。WindowsにもCopilotボタンを組み込み、EdgeブラウザにもAIを搭載し、「Microsoft製品を使う=AIを使う」という状況をつくろうとしたのです。

しかし、現実には、
・AIが状況を理解しきれない
・提案が不自然になることがある
・ユーザーが「どこで使えば便利なのか」をつかみにくい

という課題が表面化しました。そのため、当初の期待ほどのブレイクには至らなかったというのが正直なところです。


ChatGPTとは何か


ChatGPTは、OpenAIが開発した大規模言語モデル(GPTシリーズ)を使った対話型AIです。2022年末に一般公開されると同時に大きな話題になり、今では世界で最も利用されているAIサービスとなりました。

ChatGPTは、使ったその瞬間から「こんなことまでAIができるのか」と感じられるほど、
・文章生成
・要約
・翻訳
・学習支援
・スクリプトやプログラムの生成
・アイデア出し

といった幅広い用途で活躍します。

ユーザーが自由に質問できる「能動的なAI」であり、初心者でも直感的に使えることから、10代〜シニア層まで幅広く普及しているのが特徴です。


Microsoft Copilotとは何か


Microsoft Copilotは、ChatGPTと同じ基本モデルを使用していながら、目的がやや異なります。こちらは「Office作業を効率化するためのAI」として設計されており、文章の下書きやメールの返信、エクセルの分析、会議の議事録作成など、主に業務作業をラクにする方向で機能が整えられています。

ただし、使ってみた人からは、
・思ったほど文章がうまく書けない
・Excelの分析結果が浅い
・アイデアや説明力はChatGPTのほうが上
・どの場面で使うと効率化できるのかが分かりにくい

という感想がよく出ています。


評判:ネット上での肯定・否定の声


Copilotへの否定的な声
ユーザーの書き込みでは「期待より使えなかった」という意見が少なくありません。Wordの文章生成が単調だったり、Excelでの分析が的外れだったりするケースも報告されています。

Copilotへの肯定的な声
一方で、企業ユーザーからは「定型作業が楽になった」「Teamsの議事録が便利」という評価もあります。特にメール処理やレポートの下書きでは一定の成果が出ているようです。


ChatGPTとCopilotの利用状況の違い


AIチャットボットの世界的な利用シェアを見ると、ChatGPTが圧倒的な強さを持っていることがデータからもわかります。Statcounterの2025年の調査では、ChatGPTが世界シェアの8割以上を占めています。それに対し、Microsoft Copilotは10%前後にとどまっています。

多くのユーザーが「Copilotの存在は知っているけれど、実際にはあまり使わない」と答えている背景には、
・Copilotの使い方が分かりづらい
・「どんな時に役に立つのか」イメージしにくい

という問題があります。

これに対しChatGPTは、スマホからでも気軽にアクセスできるうえ、質問すればすぐに答えが返ってくる「わかりやすい体験」が強みです。


ChatGPTとCopilotの構造的な違い


両者は同じOpenAIのモデルを使うことがありますが、「AIとしての立ち位置」が大きく違います。ここを理解すると、なぜChatGPTのほうが広く使われているのかがよくわかります。

ChatGPTは、ユーザーが「何かを知りたい」「文章を書きたい」「アイデアがほしい」と思った瞬間に、自分からアクセスして使います。つまり、ユーザーが主体となってAIを使いにいく「能動的なAI」です。

質問すればすぐ答えが返ってきて、内容も丁寧です。困った時の「相談相手」として成り立つため、利用シーンが非常に広いのが特徴です。

一方Copilotは、Word、Excel、Outlook、Windowsに組み込まれたAIです。こちらは、ユーザーが使っているソフトの中でサポートすることを前提にしており、「文章を作成している時に案を出す」「メール返信のたたきを作る」といった「補助役」として設計されています。

つまり、AI自身に質問して活用するChatGPTとは真逆の性質で、「作業の中に自然に入り込んでアシストするAI」なのです。この構造の違いが、利用体験の差につながっています。


世間の評価はどうか?


ここでは、CopilotとChatGPTに対する世の中の評価を、第三者の報道や調査からまとめます。

Copilotの否定的な評価


The Guardianの記事では、「Copilotは期待されたほど文章作成能力が高くない」という意見が紹介されており、実際に使ってみたユーザーからも「文章が単調」「文脈を理解していない」といった声が寄せられています。


Copilotの肯定的な評価


Fast Companyでは、企業ユーザーから「Teamsの議事録が便利」「メール処理が早くなった」といった肯定的な声も挙げられています。特に、業務のなかで定型作業を多く行う人には、Copilotが一定のメリットをもたらしていることが明らかになっています。

ChatGPTへの評価


ChatGPTは、幅広い用途に使えること、文章生成の質が高いこと、学習コストが低いことから、多くのユーザーが「最も使いやすいAI」と評価しています。特に学生、ビジネスパーソン、クリエイターのあいだで強く支持されています。


私の使用感


結論:実用性ではChatGPTが圧倒的に優れています

私はSEO・Webマーケティングの現場で長年AIツールを使い続け、講座や企業研修でも両者を比較してきました。その経験から断言できるのは、実用的で「日々の仕事に役立つAI」を探している人には、ChatGPTのほうが圧倒的に向いているということです。理由は大きく3つあります。

@ ChatGPTは用途が広く、柔軟に対応できる


文章作成、要約、企画、データ整理、調査など、ほとんどの業務に対応でき、内容も高品質です。

A 直感的で、初心者でもすぐ使える


「AIに話しかけるだけ」というわかりやすい体験のため、学習コストがほぼゼロです。

B 拡張性が高く、企業利用にも向いている


APIやカスタムGPTなどが充実しており、小規模ビジネスから大企業まで利用しやすい仕組みになっています。

一方でCopilotは、あくまでOffice作業の補助として生まれたAIで、文章生成・アイデア出し・説明・企画・学習支援など、広い用途には向いていません。私自身が何度も使った結果としても、「ChatGPTほどの自由度はない」という印象が強いです。


今後のAI普及はどうなるのか?


MicrosoftはWindows・Office・Edgeといった巨大プラットフォームを持っているため、Copilotがこれからもビジネス向けに広がり続けることは間違いありません。特に、企業でOfficeを日常的に使っている人にとっては、今後AIによる自動化が進むでしょう。

しかし、個人ユーザーや中小企業、クリエイターなどが「主体的にAIを使って成果を出したい」と考える場合、ChatGPTのほうが向いています。


まとめ


・ChatGPTは「能動的に使う万能AI」
・Copilotは「Officeに埋め込まれた補助AI」
・世間の評判も、ChatGPTが高評価で、Copilotは賛否が分かれる
・私自身の評価でも、実用性・柔軟性・使いやすさではChatGPTが優位
・Copilotは企業の定型作業では役立つが、汎用AIとしての主役ではない

どちらも進化を続けていますが、「自分でAIを使って成果を出したい」という目的があるなら、ChatGPTのほうが活躍する場面は圧倒的に多いと感じています。用途に合わせて使い分けることで、AI時代をより効率的に進むことができるでしょう。

Googleの「関連する質問」が押せない・開かない原因と対処法

2025年12月05日

最近、会員さんから、「Google検索で『関連する質問』を押しても開かない」といった相談が複数ありました。「関連する質問」とは、Google検索結果に表示される質問形式のボックスで、「SEOとは?」「SEOは無料でできますか?」といったユーザーの関連疑問を自動で表示する機能です。

通常なら、質問をクリックするとその下に回答(抜粋テキスト)と出典ページへのリンクが展開されます。しかし、最近はこれが開かない、反応しないという現象が報告されています。私もクライアント企業の分析中に、複数のブラウザ・端末で同様の症状を確認しました。特にスマートフォンや広告ブロッカーを使用している環境では発生率が高いようです。この記事では、私が現場で検証して得た経験をもとに、「Googleの関連する質問が押せない・開かない原因」と「具体的な解決策」を初心者にもわかりやすく解説します。


「関連する質問」が開かないのはバグ?それとも仕様?


結論から言えば、この現象はGoogleの一時的な不具合またはブラウザ環境の影響によるものであり、ほとんどの場合は端末側の設定を調整することで解消できます。


ただし、近年はGoogleが検索UIを段階的に刷新しており、仕様変更の影響で一時的にクリックイベント(開閉動作)が無効化されるケースもあります。Googleは定期的に検索機能の実験(A/Bテスト)を実施しており、「関連する質問」の動作仕様が地域・端末・ユーザーごとに異なることも珍しくありません。実際、Search Engine Roundtableでは、2024年後半に「関連する質問セクションが一部ユーザーで動作しない」問題が報告されています。


よくある原因@:ブラウザの広告ブロッカー・拡張機能の影響


最も多い原因は、広告ブロッカーやスクリプト制御系のブラウザ拡張機能(例:uBlock Origin、AdGuard、Privacy Badger など)が、GoogleのJavaScript動作を部分的にブロックしてしまっているケースです。



Googleの「関連する質問」は、クリック時にJavaScriptが非同期通信(AJAX)を行って回答データを読み込みます。そのため、スクリプトブロックやプライバシー強化設定を有効にしていると、データの取得が妨げられ、結果的に「押しても何も起きない」状態になります。

■ 対処法


1. 一時的に広告ブロッカーをオフにする
2. Google検索を「例外サイト(ホワイトリスト)」に追加する
3. ブラウザのキャッシュとCookieを削除し再起動する

特にスマートフォンのブラウザでは、セキュリティアプリやプライバシー設定が自動的にスクリプトを制御する場合があります。それらを一時的に無効化すると解消するケースが多いです。


よくある原因A:ブラウザやアプリのバージョンが古い



Googleは検索インターフェースを頻繁に更新しているため、古いバージョンのブラウザやGoogleアプリを使用していると、UI要素が正常に動作しないことがあります。
特にAndroidの標準ブラウザやiOSの旧Safariなどでは、クリックイベントが反応しない不具合が過去にも複数報告されています。
《参考情報》 Google Search Not Working

■ 対処法


・Google ChromeやSafariを最新バージョンに更新する
・Googleアプリ(モバイル)を最新版にアップデートする
・別のブラウザ(Edge、Firefoxなど)で試してみる

私がサポートしている企業の担当者が遭遇したケースでは、Android端末のChromeを更新しただけで「関連する質問」が正常に開けるようになりました。Googleの新しいレンダリングエンジンが導入された影響と思われます。


よくある原因B:JavaScriptが無効になっている



「関連する質問(People Also Ask)」は、JavaScriptを使って質問ボックスを展開します。そのため、ブラウザでスクリプトを無効化している場合、ボックスが開かなくなります。とくにセキュリティ強化のために「JavaScriptをブロック」設定している企業ネットワーク環境ではこの現象がよく発生します。

■ 対処法


・Chromeの場合:
右上メニュー → 設定 → プライバシーとセキュリティ → サイトの設定 → JavaScriptを「許可」にする

・Safariの場合:
設定 → 詳細 → JavaScriptをオンにする
設定後にGoogle検索を再読み込みすれば、クリックで質問が開くようになります。Google自身も公式ヘルプで「検索機能の一部はJavaScriptに依存している」と明記しています。


よくある原因C:Googleのテスト仕様・地域差



GoogleはAIによる概要やAIモードを展開しており、これにより一部の地域やユーザーでは関連する質問の動作が変更されることがあります。2025年現在、米国ではAIによる概要と関連する質問が統合テストされており、AI概要が表示される検索では「関連する質問」が非表示またはクリック無効になるケースがあります。

私のコンサルティングクライアントのうち、米国市場向けにサイトを展開している企業では、「AIによる概要が表示されるクエリでは関連する質問ボックスが押せない」現象が実際に確認されました。これは一時的な実験の可能性が高く、日本の検索でも同様の現象が見られると推測されます。


スマートフォンで「関連する質問」が開かないときの対処法


クライアントから最も多く寄せられるのは、「スマホでだけ関連する質問が押せない」という相談です。この現象は、モバイルブラウザやGoogleアプリ固有の問題であるケースが多く、次のような手順で解決できる可能性があります。

(1)ブラウザのキャッシュとCookieを削除する


モバイル端末ではキャッシュが破損していると、クリックイベントが動かなくなることがあります。ブラウザ設定からキャッシュとCookieをクリアして再起動すると、多くの場合正常に開けるようになります。

(2)Googleアプリではなくブラウザで検索する


Android端末やiPhoneでGoogleアプリを使っている場合、アプリ版では一部のJavaScript機能が制限されることがあります。この場合、SafariやChromeブラウザを開いて「google.com」で検索してみてください。アプリでは反応しなかった関連質問が、ブラウザ経由では正常に開くケースが多いです。

(3)省データモードをオフにする


モバイルの「データセーバー」や「省データモード」が有効になっていると、Googleの非同期通信が途中で遮断されることがあります。設定からデータセーバーをオフにし、Wi-Fi環境で再試行すると改善されやすいです。

(4)別の端末・アカウントで検証する


Googleは検索結果の表示をアカウント単位でテストしているため、自分のアカウントでのみ不具合が出ることもあります。他の端末・アカウント・ネットワークで同じキーワードを検索し、動作を比較すると原因の切り分けがしやすくなります。


その他の技術的要因と確認ポイント


(1)VPNやセキュリティソフトの干渉


VPNを利用している場合、アクセス地域の違いによってGoogleが異なるインターフェースを提供することがあります。特に米国以外のVPNを通している場合、関連する質問が非表示・非反応になることがあります。VPNを一時的にオフにして試すと改善することがあります。

また、企業内ネットワークで通信制御ソフトを導入している場合、Googleのajax.googleapis.comドメインがブロックされていることもあります。これによりクリック後の展開動作が止まる場合があります。システム管理者に確認するのが良いでしょう。

(2)JavaScriptエラーの確認


Webブラウザの開発者ツール(F12キー)を開き、「コンソール」タブでJavaScriptエラーが出ていないか確認します。もし「Uncaught TypeError」「Blocked by client」といったエラーが出ていれば、拡張機能やスクリプト制限が干渉しています。特に「Blocked by client」は広告ブロッカー系拡張機能が原因のサインです。

(3)GoogleのA/Bテストによる一時的挙動


Googleは機能変更を段階的にテストするため、「一部ユーザーだけ関連する質問が押せない状態」になることがあります。Search Engine Landでも、「関連する質問が開かない問題はテスト中の副作用であり、数日後に修正された」と報告されています。

こうした場合はユーザー側での修復は不可能で、Googleの修正を待つしかありません。


SEO視点から見た「関連する質問が開かない」現象の意味


私のSEOコンサルティング経験上、「関連する質問」が開かない状態が一時的に発生しても、検索順位や評価に直接影響することはありません。これはあくまでUI(ユーザーインターフェース)の不具合であり、インデックスや評価ロジックとは無関係だからです。

ただし、GoogleがAIによる概要とAIモードを世界的に展開していく中で、「関連する質問」はAIによる質問生成のデータ基盤として機能しています。もしこの部分に頻繁な不具合が生じている場合は、検索画面の改修やAI統合の準備段階である可能性があります。

つまり、「関連する質問が押せない・開かない」という現象は、Googleが次世代検索に移行している兆候でもあるのです。


現場で見られた実例


ある協会会員のWeb担当者が報告してくれた例では、社内ネットワーク上では「関連する質問」が押せず、家庭のWi-Fi環境では正常に動作していました。調べてみると、企業のセキュリティソフトがJavaScript通信を遮断していたことが原因でした。設定を調整することで解決しています。

また、別のクライアントでは、uBlock Originを使っていたChromeで関連する質問が動作せず、Edgeブラウザでは問題なく開けるという現象もありました。


こうしたケースからわかるのは、「関連する質問の不具合のほとんどはGoogleではなく、端末や拡張機能側にある」ということです。一方で、AIモードや新しいUI実験が始まった直後に全世界的な関連する質問不具合が起きることもあり、最新ニュースを追うことも重要です。


まとめ


Googleの「関連する質問」が押せない・開かないとき、焦る必要はありません。ほとんどの場合、広告ブロッカーや拡張機能、JavaScriptの設定など「環境依存の問題」です。ブラウザのキャッシュ削除、アプリの更新、スクリプト許可設定を確認すれば、ほぼ解消できます。

ただし、AIモードの導入が進む中で、Googleは検索結果の構造を大きく再設計しています。今後は、関連する質問 が「AIによる概要」や「AIモード」に統合され、クリック展開式の質問が廃止される可能性もあります。そのため、SEO担当者としては「関連する質問が動かない=チャンス減少」ではなく、「AIに引用される構造を整える好機」と捉えるべきです。

ChatGPTとPerplexityの比較:どちらを使うべき?その理由と今後の展望

2025年12月03日

生成AIの世界では、OpenAIの「ChatGPT」と、新興の「Perplexity」が大きな注目を集めています。両者はどちらも「質問をするとAIが答えてくれる」という意味では似ていますが、その成り立ちや設計思想、提供する体験には大きな違いがあります。ChatGPTは会話を中心にしたAIとして世界的に普及し、最も一般的な生成AIサービスの座を築きました。一方でPerplexityは「検索を置き換えるAI」として成長を続け、急速に存在感を強めています。

この記事では、まずChatGPTとPerplexityの基本的な特徴を整理し、その違いを明らかにしていきます。そのうえで、今後両者がどのように発展し、ユーザーや企業にどのような影響を与えるのかを展望します。


ChatGPTとは何か


ChatGPTは、OpenAIが開発した大規模言語モデルGPTシリーズに基づく会話型AIです。公開は2022年末ですが、わずか数か月で1億ユーザーを突破し、インターネット史上最速の普及を遂げました。その特徴は、会話の自然さと応用範囲の広さです。ユーザーは簡単な質問をするだけでなく、長文記事の作成やコード生成、翻訳や要約、さらにはクリエイティブなストーリー制作まで幅広い用途に活用できます。

ChatGPTが世界中で広がった背景には、その「万能感」があります。特定の分野に限らず、あらゆる領域の文章生成をこなせることが、個人ユーザーから企業、教育機関まで幅広い層に受け入れられました。OpenAIは有料プランであるChatGPT Plusや、法人向けのChatGPT Enterpriseを提供し、収益モデルも確立しています。


Perplexityとは何か


Perplexityは、2022年に設立された新興企業が提供するAI検索サービスです。ChatGPTのように会話形式でやり取りができますが、大きな違いは「必ず情報源を示す」という設計思想にあります。ユーザーが質問すると、Perplexityは回答文を提示すると同時に、どのウェブサイトを参照したのかを明確に表示します。これにより、回答の信頼性が担保され、利用者は裏付けをすぐに確認することができます。

またPerplexityは「検索の置き換え」を強く意識しています。従来の検索エンジンのようにリンクを羅列するのではなく、AIが情報を整理して回答を返す仕組みは、まさにGoogle検索の代替になり得るものです。2024年以降、急速にトラフィックを伸ばしており、投資家からの注目度も高まっています。


ChatGPTとPerplexityの違い


ChatGPTとPerplexityは、表面上は似たような「会話型AI」ですが、その立ち位置と設計は大きく異なります。ChatGPTは汎用的なAIアシスタントとして設計されており、知識や言語表現の幅広さを生かして、あらゆるテーマで自然なやり取りを可能にしています。そのため、回答の裏付けが明示されないこともあり、ユーザーは「もっともらしいが事実と異なる情報(ハルシネーション)」に注意する必要があります。



一方でPerplexityは、AIが必ず出典を示すことで「信頼できる検索体験」を実現しようとしています。これは、インターネット検索で培われた「どの情報を信じるかはユーザーが選ぶ」という文化を引き継ぎつつ、AIによって効率化した新しい検索スタイルです。



つまりChatGPTが「会話を楽しみながら何でも相談できる万能アシスタント」であるのに対し、Perplexityは「信頼性と透明性を重視した検索代替AI」という位置付けになります。

私自身、SEOコンサルティングや講座運営において毎日のように両方のAIを使い比べていますが、実際の使用感はまったく異なります。

まずChatGPTは、私の仕事の中で「考える作業」を一番強力に支えてくれるAIです。ブログ記事の構成を一緒に考えたり、専門的な内容を初心者向けにわかりやすく書き直したり、SNS投稿のアイデアを出したりと、まさにアシスタントのような存在です。とくに長い文章を作るときの滑らかな語彙選択や論理構成のうまさは、現在のAIの中でも群を抜いていると感じます。一方で、出典を出さずに断言してしまうことも多いため、正確さが求められるシーンでは私自身が内容を検証するクセを必ずつけています。

一方のPerplexityは、使ってみるとすぐに「これは検索の未来だ」と感じるツールです。回答のすぐ下に出典URLが並ぶので、SEOの調査や海外の最新動向を追うときに非常に助かります。特に私はGoogleのAIモードや米国SEO業界の論文を常にチェックしていますが、Perplexityは記事を横断的に調べてエビデンス付きで情報を返してくれるので、情報の信頼性を確かめたいときには欠かせません。また、ChatGPTよりも「情報探索力」が強い印象があり、調査リサーチ系の業務では大きな時短効果を感じます。

総合すると、ChatGPTは「思考と文章を一緒につくるパートナー」、Perplexityは「検索と調査を迅速に行うリサーチャー」という位置づけで、両者を併用するのが現代のAI活用では最も効果的だと強く実感しています。


成長の勢いと市場シェア


現時点での市場シェアを見てみると、ChatGPTが依然として圧倒的です。世界全体では80%以上を占めており、最も広く使われるAIチャットボットとなっています。一方でPerplexityは10%に満たない規模ながらも、成長率では上位に位置しています。調査会社FirstPageSageの分析では、2025年時点での四半期成長率はChatGPTが7%であるのに対し、Perplexityは13%と倍近い伸びを示しています。

この数字は、すでに成熟しつつあるChatGPTに対し、Perplexityが急成長フェーズにあることを表しています。特に米国やインドではPerplexityの利用者が急増しており、従来の検索の代替として使われるケースが増えています。


今後の展望


これからの数年、ChatGPTとPerplexityは異なる進化を遂げながらも、市場においては相互に影響を与える存在になると考えられます。ChatGPTは、既に巨大なユーザー基盤とブランド力を持っているため、その優位性はすぐに崩れることはありません。特に教育やクリエイティブ分野、そして企業向けのカスタマイズサービスにおいては、安定した需要が続くでしょう。

一方でPerplexityは、検索代替という明確なコンセプトを武器に、Google検索に依存してきた情報収集習慣を変えようとしています。ChatGPTが「万能の相談相手」であるのに対し、Perplexityは「情報の信頼性を担保する検索の再定義者」としてユーザーの支持を拡大していくはずです。これはつまり、両者が真っ向から競合するのではなく、それぞれが異なるニーズを満たしながら市場を広げていく可能性を示しています。


企業やユーザーにとっての意味


企業にとって、ChatGPTとPerplexityの違いを理解することは、AIをどう活用するかを決める重要な指針になります。例えば、マーケティング部門や広報活動では、自由でクリエイティブな発想を支援するChatGPTが役立ちます。新しい広告コピーを考えたり、ソーシャルメディア向けの投稿案を素早く作成したりする際には、ChatGPTの柔軟性が強みとなるからです。

一方で、調査やレポート作成のように「正確性」と「出典の明示」が欠かせない業務では、Perplexityが強い味方になります。出典リンクが示されることで情報の裏付けが簡単に取れるため、社内報告書や研究資料の作成に活用しやすいのです。つまり、両者は競合でありながら補完関係にもあり、利用シーンに応じた使い分けが今後ますます一般的になるでしょう。


成長率の裏にあるユーザー心理


成長率という観点から見たとき、Perplexityが急伸しているのは「ユーザーがAIに信頼性を求め始めている」ことの表れでもあります。初期のChatGPTブームでは、とにかく便利で面白い体験が重視されました。しかし利用が広がるにつれて、ユーザーは「この情報は本当に正しいのか?」という疑問を抱くようになり、信頼できる情報源を提示するAIに価値を見いだすようになっています。

この点で、出典を常に示すPerplexityの設計思想は時代に合致しています。今後AIが検索や調査の主要な手段となれば、「情報の信頼性」と「説明責任」はますます重要になるでしょう。ChatGPTもこの課題を認識しており、外部検索機能や参照リンクの統合を進めていますが、Perplexityのアプローチは最初からそこに焦点を当てているため、一定の優位性があります。


まとめ


ChatGPTとPerplexityは、どちらも会話型AIという共通点を持ちながら、その本質的な役割には違いがあります。ChatGPTは万能性を武器に、教育からクリエイティブ、ビジネスまで幅広く活用される「総合アシスタント」として進化を続けています。対してPerplexityは検索の再発明を目指し、信頼性と透明性を前面に出した「AI検索エンジン」として成長しています。

今後は両者が直接的に競い合うというよりも、互いに異なるニーズを満たしながら市場を拡大していく可能性が高いでしょう。ユーザーにとっては、どちらか一方を選ぶのではなく、目的に応じて両方を使い分けることが当たり前になるはずです。そして企業にとっては、ChatGPTとPerplexityをどう組み合わせて業務に取り入れるかが競争力を左右する重要な要素になっていくでしょう。

AIの進化は日々続いています。数年後、検索や情報収集のあり方は今とはまったく違うものになっているかもしれません。その未来を見据えるためにも、ChatGPTとPerplexityの違いを理解し、両者の強みを最大限に活かす視点を持つことが求められています。

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