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オウンドメディアとは何か?

執筆:一般社団法人全日本SEO協会代表理事 鈴木将司
作成:2021年8月15日

Youtube動画・ブログ・SNS……と、企業は「Webマーケティングのために数々のアカウントを持たなくてはならない」、時代の空気はそのような方向に向かっています。

自社サイト以外にも数々の「デジタル資産」を持たないと、ネット上の販促行動がままならないことは否定のしようがありません。デジタル資産を増やし、活用したいならもうひとつ目を向けたほうが良いものがあります。

それが「オウンドメディア」です。

オウンドメディアとは、現在どのような意味で使われている言葉なのか

この点を理解するには、いまどきの企業が利用できるチャンスがあるメディアが、3種類に分かれることに気づかないといけません。

1.オウンドメディア

「オウンドメディア」とは「Owned Media」というスペルを持つ言葉。「Owned」とは「所有した」「所有している」というニュアンスになります。もともと「Own」とは「所有する」という意味の動詞です。

企業にとってのオウンドメディアとは「自社で所有しているメディア」を意味します。メディアといえばマスコミが連想されるかもしれません、もちろんTV局や新聞社を持つなんてことは一般企業には想像もつかないことです。

しかしネット上なら、小規模なメディアであれば誰でもつくれてしまいます。「メディア」の定義を広げるなら、自社サイトだって、何らかの情報を発信している以上はメディアなのです。自社で所有しているコンテンツや書籍でも、一種のメディアと定義することは可能なのです。

デジタル資産を何らかの方法で増やすだけでも、オウンドメディアを作成・公開できます。

しかも、必ずしも費用や手間暇がかかるとは限らないです。

2.ペイドメディア

では、メディアを全然持っていない個人や集団は、どうしなければならないでしょうか? 顧客やターゲットとなる消費者向けに、何か情報を伝えたいことができたら、どうしなければならないでしょうか? 

ネット普及の前は、ほとんどの企業がそうするしかなかったのですが、↓の左にある「ペイドメディア」を、その都度利用させてもらうしかないでしょう。

ネットに限定するなら、Yahoo!やGoogleといった著名なサイトに所定の料金を払って、自社の情報なり広告なりを載せてもらうしかないでしょう。

自社サイトがある場合でも、なかなか人に見てもらえないサイトの場合なら、Yahoo!等に広告でも載せてもらって、自社サイトに誘導することになるでしょう。

さてペイドメディアは、日本語に訳すなら「有料メディア」となりますね。「ペイド」とは「Paid」、「(料金等を)支払って使うメディア」といったニュアンスになるのです。

3.アーンドメディア

そしてメディアにはもう1種類の区分があります。それが「アーンドメディア」です↓

「アーンド」とは「Earned」、「獲得したメディア」といったニュアンスになります。「earn」という動詞は辞書で引くと「稼ぐ」「儲かる」といった解説が最初に出てくるかもしれませんが、「手に入れる」といった意味合いでも使われます。

さてアーンドメディアは、オウンドメディア・ペイドメディアよりややわかりにくいかもしれません。

上の図には、Facebook・TwitterといったSNSのロゴが並んでいますが、事実上ソーシャルメディアを表す語として「アーンドメディア」は使われています。

その理由は何でしょうか?

ソーシャルメディアは個人から法人まで誰もがアカウントを持っています。そのため、ポジティブなうわさや評判をソーシャルメディアで流布してもらえたら、あっという間に広がりますね(たいていの場合は、口コミを流すときに自社サイト等にリンクをしてくれるでしょう)。これらのリンクは「(自社にとって)獲得したメディアとなる」とみなすことができる~、というわけです。

それではここで、すでに何度も持ち出してきた言葉「デジタル資産」の定義や範囲をおさらいしておきましょう。

デジタル資産を分類するとこれだけの数がある

 

デジタル資産に関して、現代のSEO研究における権威のひとりジム・ボイキン氏が次のような図にまとめて発表しています。

それでは、ひとつひとつの説明に入ります。

1.PDF

PDFはとても便利なファイルフォーマットでほとんどの皆さんが使っているのではないでしょうか? Adobeが世界に送り出したサービスの中でもとびぬけて成功したサービスです。

PDFは文書等のデジタル化を劇的に変えました。アップロードや印刷をするときもとにかく便利です。そんなPDFを企業が使うとしたら、たいていの場合は自社の販促資料や申込用紙等の配布のためではないでしょうか。

PDFはWebページの一部として通用できますし、ダウンロードも簡単です。

2.Slideshows and Presentations

パワーポイントもビジネスの場ではとてもおなじみのツールでしょう。PPTはMicrosoftの製品ですが、パワーポイントをネット上にアップするとスライドショーのような形で資料を見せることができます。

パワーポイントは企業の研修等で当たり前のように出てきますし、数多くの社会人がその利便性をよく知っています。このためパワーポイントで資料をアップしているとそれだけで人が集まることだってあるでしょう。

3.eBook

eBookは電子書籍のことです。Amazon Kindleが普及している今、電子書籍の普及ぶりは目を見張るほどです。また電子書籍は紙媒体と異なり、発行までの障壁が低いのが特徴です。

以上の理由から電子書籍をよく読む層には、eBookを提供すると熱心にサイトに集まってくる可能性があるでしょう。

4.White Papers

ホワイトペーパーは、PDFでよく作成される資料の一種でもありますが……。ホワイトペーパーは厳密に訳すなら、何らかの「白書」のことです。政府や自治体はしばしば、何らかの白書をよく発行していますが、企業も最近は白書をつくるようになっています。

企業が白書をつくる目的は、見込み客等に向けた資料の提供が大半でしょう。

※たとえばbigdata関連の商材を販売しているIT企業がbigdataを収集するためのソフトを開発したとしましょう。買い手が集まらないときは、そのソフトを用いたデータの収集でどんなメリットがあるのか何らかの方法でわかりやすく伝えたほうが得策ですね。そのデータ収集がもたらす効能を実験したり調査したり……したら、その成果は、ぜひまとめて公開するべきでしょう。

そのレポートがホワイトペーパーの模範例です。

5.Polls

これは世論調査の一種だと思ってください。TwitterのようなSNSにもアンケート機能が搭載されているご時世ですが、オーソドックスなWebサイトでもときどき投票機能を目にすることがあります。

不特定多数のネットユーザから票を集めることで、世の中の有力な意見や人気の集まり方を調べることができます。また、投票の結果が世論を左右することもしばしば。票が集まっている商品を、人気がある商品と思ってなんとなく買おうとする行動は、消費者心理としてとても自然なものです。

6.Q and A's

「Q&A」「FAQ」は、企業サイトによくあるコンテンツになって久しいです。

よくある質問をまとめてあると、消費者の疑問がまとめて解消されるためすごく喜ばれます。

7.Forums/Communities

「フォーラム」という言葉は「公開討論」というニュアンスで使われることが多いですが、ネット上では公開討論はとても簡単にできるはず。 ようするに掲示板のような開かれた書き込みスペースが、Forum Communitiesとなります。

8.Excel Documents

9.Word Documents

PDFやパワーポイント以外の資料もネット上でよく公開されています。MS WordやMs Excelの形式でダウンロードできる資料だって珍しくないでしょう。

たとえばエクセルであれば、書式集や何らかの公的文書のひな型が、よくある例といえます。

10.Pictures

写真やイラストのような画像のことです。

文章では説明し切れない情報をひと目で伝える作用があることから、画像はWebサイトに必須のコンテンツとなっています。

11.Recording Google Hangouts

これはGoogleが管理するメッセージングサービスです。メッセージの音声や映像が配布されたものです。

12.Video(Youtube)

映像コンテンツは、画像より容量が巨大なためアップロードに制限がかかりますが……Youtubeの埋め込み等が楽にできる時代になりましたし、映像コンテンツを採用する企業サイトは年々増えているはずです。

13.Video Transcripts

動画は、情報を伝える効果が絶大ですが……再生するときに時間がかかるといったデメリットも出てきます。また、通信状況によってはうまく再生できないこともあるでしょう。

そこで、動画内の会話等を文字起こししてサイト内に合わせて公開するとユーザに喜ばれることがありますね。これをVideo Transcriptsと呼びます。

14.Podcasts

ポッドキャストは、音声や動画を配信して、iPodやスマートフォン等で視聴して楽しむサービス。インターネット上のラジオ・TVのようなイメージで独特の人気をもたれています。

15.Blog Posts

企業ブログの記事投稿です。単なる日記を書くのではなく、見込み客のために役立つ情報をコラムやハウツー記事として書くものです。

16.Tools

SEOを究めたいなら、ツールやソフトを使いまくらないといけません。キーワード候補を取得するソフトや被リンクを分析するソフトは、いい例ではないでしょうか。

17.Widgets

これは日本流に置き換えるなら、ブログパーツを意味します。ブログに設置するカレンダーや今日の天気予報などが代表例です。

18.Contests

コンテストはオフラインでもしょっちゅう催されていますが、インターネットがはじまるとオンラインでも開催がはじまりました。

というわけで、コンテストをサイト内で企画するなら、それもオウンドメディアのコンテンツとみなすことができます。

「あなたの好きなレシピのコンテスト」「可愛い犬・ネコを選ぶコンテスト」「美人コンテスト」~といった、単純なアイデアのコンテストも、立派なコンテンツとして数えることができます。

19.Apps

これはSEOに限らず、WebやITに関係したカンファレンスでは頻出するワード。いわゆるアプリのことです。

アプリ市場は今、コンテンツの配布という観点で最大級の有望ジャンルと化しているのです。

20.In-depth Articles

「Article」は「記事」という意味ですが、「In-depth」という単語は見慣れない単語かもしれません。

結論から書くなら、これは「テーマを深く掘り下げた記事」のことですね。ただ自分の考え等をまとめた記事は該当しません。

というわけで、一般企業のサイトで取り入れるとしたら「深い調査をした」「取材を試みた」といった場合に向いています。

全日本SEO協会の会員さんの中で、実際にIn-depth Articlesを公開したよい例がありました。

全日本SEO協会のニュースレターで、「ミャンマーではこのようなチャンスがある」「ミャンマーの人の生活ぶりについて」といったテーマでレポートを掲載したことがありますが、あれは、実際にミャンマーへの数ヶ月単位の滞在を繰り返すことで増えた見聞をもとに書かれたものでした。

「自分自身で行動して、一次情報を取得する」これこそIn-depth Articlesの真髄です(他人から聞いたり読んだりした二次情報にはない説得力がありますから)。

デジタル資産もこのように、種類が豊富です。これだけ豊かなら、自社サイトに適したものを選んで増やす努力をしていくことができるはずです。

まとめ: 第一に「デジタル資産を増やす」第二に「オウンドメディアを増やす」

SEOおよび自社の広報活動という意味で、オウンドメディアおよびデジタル資産の増強はとても大切です。

  • 「オウンドメディア」「ペイドメディア」「アーンドメディア」いずれも企業にとって有益で、使いこなすことで集客および売上の向上を成し遂げることが可能。
  • その中でひと際オウンドメディアが注目されている理由は、何といっても企業にとって非常に増やしやすい(小規模なメディアでもかまわない)という美点があるため。
  • 現在は、デジタル資産の種類が増えていて、20種類前後に分類することができるくらいである。したがって、利益を生み出すオウンドメディアを増やすことは難しい話ではない。

もちろんデジタル資産とオウンドメディアの利用方法は現在も増えつつあります。今後新しいものを発見したら随時報告させていただきます。

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