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何故、ネガティブ情報はGoogleで上位表示されやすいのか?トランプ大統領とGoogleの喧嘩から見えてくるその理由

2018年10月13日

先日、日本経済新聞社の科学部の方から取材を受け2018年10月5日朝刊にGoogleのアルゴリズムに関する私の解説が取り上げられました。



取材の目的は「米グーグルの検索エンジンの結果は政治的に偏っている――。トランプ米大統領がツイッターで名指しで批判し、攻撃を強めている。グーグルは「偏りはない」と反論し、検索エンジンは年に数百回もアルゴリズムを改善していると強調した。」というトランプ大統領とGoogleの喧嘩の背景を探るものでした。

私が述べたことは、確かにそのGoogleの見解は事実であるはずだということです。

その根拠は、Googleは特許情報としても公開していますが、検索順位を決めるアルゴリズムの1つにユーザーエンゲージメントという指標があるからです。

ユーザーエンゲージメントとはサイトに対するユーザーの愛着度を示す数値です。この数値は、サイト訪問者の平均ページビューが多いかどうか、平均サイト滞在時間が長いかどうか、そして検索結果ページへの直帰率が低いかどうかというものです。

検索ユーザーは自分が検索したキーワードに対して的確な答えを載せているWebページや、面白いWebページを見たときにはそのページを信用します。

そして自分が検索したキーワードに関連する他の興味深いページへのリンクを見たときにはそのリンクをクリックして次のページに進みます。その時そのユーザーの見たページ数であるページビューが増えます。

そして文章や画像、あるいは動画などを見ているうちにサイト滞在時間が増えます。それをすることにより1ページだけを見て検索結果ページに帰るという直帰をしなくなります。

このユーザーエンゲージメントの数値が高いページをGoogleは高く評価して徐々に検索結果の上位に表示させるようになります。これを実現するのがユーザーエンゲージメントに関するアルゴリズムです。

こうしたメカニズムが働くことによりトランプ大統領のことについてネガティブなことを言っているページは順位が上がりやすくなるはずです。
何故なら、人は普通の無難な事実だけを言っているページよりも、時に否定的なことを言っているページに目を奪われてそこに書かれているあることないことを面白いと思い読んでしまうのです。

日々のニュースを見ても、まともなことが書かれているページよりも、企業や政治家のスキャンダル、失敗を叩いている記事がネット上にたくさんあふれているのではないでしょうか。

私達読者は時に気がついてみるとそうしたネガティブな記事に目を奪われて時間を費やしてしまうことがあります。

トランプ大統領について正確な記事や、褒める記事を読んでも特に面白くないはずです。そのため検索ユーザーはそれらに対しては多くの時間を費やす可能性は低いです。一方、ネガティブなことを言っている記事は面白がって最後まで読むでしょうし、そこからリンクを張っている他のネガティブな記事を読むユーザーが多い可能性があります。

こうして考えるいかにネガティブなWebページがGoogleで上位表示しやすいかがわかります。

米国の場合はさらに、トランプ大統領の支持者はどちらかというと南部や、中西部の地方の有権者が多く農業などの産業に従事している人が多いと聞きます。一方民主党のヒラリー支持者だった有権者はニューヨークやLA、サンフランシスコ等の大都市のインテリ層が多いとも聞きます。

もしそうした傾向が事実あるのだとしたら、そもそも農業従事者は大都市のインテリ層のように頻繁にWebを見ないのではないでしょうか?ましてや器用にサクサクとGoogleから情報を取ることに長けた人が多いとも思えません。そうなるとトランプ大統領についてポジティブなことを言っているWebページを見る人数が少ない可能性すらあります。だとしたらさらにトランプ大統領についてポジティブなことを言っているWebページはユーザーエンゲージメントが低くなり上位表示に不利に働くはずです。

このようにこの一件から見えてくるのは誹謗中傷記事には大きなニーズがあることと、大きなニーズがあるからこそGoogleはそのページを人気ページだと判断して上位表示させてしまうというメカニズムがあるという事実です。

このメカニズムを活用して自社サイトを上位表示させるためには、やみくもにページを増やすのではなく、検索ユーザーのニーズを調べて、そのニーズを満たすユーザーエンゲージメントの高いサイト造り、サイト運営が求められます。
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