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サブドメインとサブディレクトリの違いを専門家が解説

執筆:一般社団法人全日本SEO協会代表理事 鈴木将司
作成:2021年9月25日

自社サイトが順調に伸びたら、どんどんページ数は増えるでしょう。

増えてきたら、各ページの管理もしんどい作業になるものですが、いったんやり方を間違えてしまうとどうなるでしょうか?

…数十ページや数百ページの訂正は、手間暇を要します。できたら、無駄なことはしたくないものでしょう。そのためには、各ページの管理方法を早い段階からきちんと計画するべき。

さて、今回のテーマである
「サブドメインとサブディレクトリ」の使い分けもページの管理という意味で重要です。

※「サブディレクトリ」は「サブフォルダ」と呼ばれることもありますが、今回は「サブディレクトリ」で統一します。

サブドメインとサブディレクトリ、使い分けに向けてのGoogle側の見解

全日本SEO協会では「サイトクリニック」を毎年開催していますが、

  • 「サブドメインってどうなの?」
  • 「サブフォルダとサブディレクトリはどう違うの?」

~といった質問が頻繁に寄せられます。これは、オフラインによるセミナーやウェビナーでもあまり変わらない傾向です。

これは、SEOの施策にも影響するポイントです。

その答えを知るには、Googleの代表的なWebマスタートレンドアナリストであるゲイリー・イリーズ(Gary Illyes)氏の公言内容を思い出す必要があります。

イリーズ氏の2018年度のPubconというSEOカンファレンスで、23のアドバイスを発表しています。

その中の16番目のアドバイスにヒントが隠されています。

イリーズ氏は

  • 「サブドメインとサブディレクトリはどうなの?」
  • 「どのように違うの?」
  • 「どのようにSEOに影響があるの?」

~といった質問を受けても、たったのひと言しか口を開いていません。

それは

「Google doesn't care.」。

訳すなら

「Googleは気にかけません」

という意味でした。

サブドメインとサブディレクトリで、評価は変わらないという趣旨なのだと解釈すべきでしょう。

しかし、これだけでは「なかなか納得できない」というのが本音ではないでしょうか?

なぜ、評価が同じなのか教えてくれないと不安だという方のために、サブドメインやサブディレクトリの間の差や違いを振り返りましょう。

サブドメインとサブディレクトリの比較

サブドメインやサブフォルダの概念を振り返るにあたって、全日本SEO協会のSEO検定3級の資料に、わかりやすいパーツがあります。

1 サブドメインの仕組み

↓のサブドメインとサブディレクトリの対比をご覧ください。

左ページのサブドメインに関しては、真っ先に日産のサイトの例があがっています。

日産の公式サイトは

http://www.nissan.co.jp/

~というドメインです。

通常、どこの公式サイトでもトップページは「wwww.」というパーツがあるものです(これは「World Wid Web」を短縮した、一種の略称でもあります)。日本のネットユーザなら誰もがお世話になっている、Yahoo!JAPANのサイトだってそうです。

Yahoo!JAPANのトップページは↓ですが


http://www.yahoo.co.jp/
~というドメインです。

日産もYahoo!も「wwww.」が前のほうに入っているわけです。

この「wwww.」のパーツを、ほかの文字列に置き換えてあると、それが「サブドメイン」なのです。

日産のサイトも、あれだけの大企業ですからサイトのスケールは途方もないサイズですが、サイト構造がわかりにくくなったり、ドメイン&URLが長くなりすぎたりする事態を避けています。そのために、「wwww.」のパーツを何らかのサブドメインに置き換えています。その結果、無数のジャンルの(サブの)サイトが下層に存在します。

たとえば「ev」に置き換えたドメインがありますが、これはおそらく電気自動車という意味でしょう。

そのいっぽう、商用車専門のドメインであればnissan.co.jpの前に「biz」という文字列に置き換えています。

※サブドメインを用いると、「見た目がよくなる」と感じるユーザが少なくないようです。

もちろん、各サイトの名前を憶えやすいという効果も強く期待できます。ドメインの先端に、そのサイトのテーマが書き込まれるわけですから。

次にYahoo!のサイトでも、どんなサブドメインがあるのか数例取り上げます。

たとえば「Yahoo!ショッピング」は、Amazon Japan・楽天市場と並んで、国内の三大ショッピングモールとしてとても有名です。

ここでもまたもやサブドメインが使われています。
http://shopping.yahoo.co.jp/

いわゆる「ヤフオク」もその典型といえます。


http://auction.yahoo.co.jp/

ヤフーニュースも、サブドメインが使われたサイトなのです。
http://news.yahoo.co.jp/

サブドメインのメリットをほかにもご紹介しましょう。これは技術上のポイントです。

大企業が運営するような超大型のサイトともなると「サーバの機能(転送する速度)」が妨げられるという厄介な課題をだいぶ前から抱えてきましたが、それへの対処にサブドメインが役に立つのです。

Yahoo!JAPANへのアクセスは、1日当たり1億を超えると計算されています。ここまでの超人気サイトのサーバは、どんなに巨大化させても、どんなに高性能にしても、サーバの処理能力を超えるアクセスが集中してしまいます。

※同時に1億人がアクセスするわけではありませんが、数十万~数百万人くらいでも、サーバの歩みを遅々とさせるにはじゅうぶんすぎるくらいなのです。並みのサーバなら間違いなく使い物になって誰も見られなくなってしまうでしょう。

誰でも知っているような巨大なサイトがサブドメインを使うのは、使わないとサイトの表示が困難になるという事情もあるのです。

このようにアクセスの激増は、サイト運営側としてはうれしいことではあるものの、サーバが止まりかねないというリスクと隣り合わせなのですが、サブドメインにしておけば一気に救われるのです。

※ドメインの一部を、「www.」を違う文字列に置き換えるだけではありません、サーバのハードウェアを別々のものに分散したり、サーバの置き場を地理的に分散したり(東京・北海道・沖縄……、海外にも置き場は探せます。日本の大企業がアメリカ合衆国やフィリピンのような国に置き場を求めることはよくあります)も、できます。

2 サブディレクトリの仕組み

サブディレクトリはサブドメインの対極にある概念です。

もう一度、全日本SEO協会のSEO検定3級試験の資料を、今度は右側ページをご覧ください。

日産の次はHONDAのサイトを引用してみましたが……

HONDAの公式サイトはまさにサブディレクトリの模範例です。
http://www.honda.co.jp/

HONDAには、商用車専門サイトがありますが……

日産の場合は、
http://biz.nissan.co.jp
でした、がHONDA場合は? 

http://www.honda.co.jp/fleetsales/
~と、ドメインネームのあとが変わっているのです。

HONDAの子供専用サイトも、
http://www.honda.co.jp/kids/
~と、なっていますが、

日産であれば、
http://kids.nissan.co.jp
~と変えていたことでしょう。

これが「ドメイン直下型のディレクトリ」(一般には「サブディレクトリ」と呼ばれています)。

※サブドメインは左側が、
サブディレクトリは右側が
変わる~、という区別をしたらわかりやすいでしょうか。

サブドメインとサブディレクトリ、どちらを選んだらいいのか

サブドメインとサブディレクトリの評価は、ある時期までは違いました。少なくともGoogleからの見方には差異がありました。

しかしゲイリー・イリーズ氏のこのたびの言及から、現在ではすっかり同等の評価になったことがうかがえます。

というわけで、今から新規サイトの作成をするとなったら、サブドメインでもサブディレクトリでも、どちらを使ってサイトを分けても違いはないでしょう。

  • 見た目を重視するなら?
    →サブドメイン
  • 見た目にこだわらないなら?
    →サブディレクトリ

まとめ:サブドメインとサブディレクトリ、現在はSEOの際に差がつかなくなっている状態

  • サイトが成長してページ数が膨れ上がると、サブドメインやサブディレクトリの需要が自然と生じる。
  • URLの「wwww.」のパーツを、ほかの文字列に置き換えると「サブドメイン」と呼ばれる。
  • サブドメインには、サイトの名前や目的を覚えやすくなる効果があり、見た目の印象もよい。また、サーバの負荷を軽減するという大きなメリットもある。
  • サブディレクトリは、ドメインネームのあとを変える(階層を増やす)点が特徴。
  • 見た目等にこだわらないなら、サイトの整理の際はサブディレクトリを選んでもOK。
  • サブドメインとサブディレクトリを選んでもSEOへの影響はほとんどないはず。サイトが大きくなってきたときにドメインを増やして対応すると、その都度Googleからの評価を上げる努力が必須となるため、サブドメインを使って対処することがおすすめ。

ドメイン管理は、計画的に進めるほうが安全です。サブドメイン等の活用に失敗すると、取り返すときの工数は膨大なものになるかもしれない点は忘れないようにしましょう。

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