課題
今回ご紹介するのは、東京都内で電話代行サービスを提供している企業様の事例です。
この企業様は長年にわたり電話代行サービスを提供しており、
・電話代行
・秘書代行
といったキーワードで検索上位を獲得していました。そのため、SEOによる集客は一定の成果を上げており、検索エンジンから継続的に問い合わせを獲得できていました。
一見すると大きな問題はないように見えました。しかし経営者の方は将来に対する不安を感じていました。その理由は、「集客の大部分をGoogle検索に依存している」ことでした。検索順位が上がれば問い合わせは増えます。反対に、Googleのアルゴリズム変更や競合サイトの台頭によって順位が下がると、問い合わせも大きく減少してしまいます。つまり集客の主導権を自社ではなく検索エンジンに握られている状態だったのです。
私はこの状況を見て、長期的にはリスクが大きいと感じました。近年はAI検索やゼロクリック検索の影響もあり、検索結果をクリックせずに情報収集を終えるユーザーが増えています。SEOは今後も重要ですが、それだけに依存する集客モデルには限界が見え始めていました。
さらに、電話代行サービスには別の特徴もありました。電話代行を探している人は、
・電話対応に困っている
・人手不足に悩んでいる
・営業電話が多すぎる
・クレーム対応で疲れている
といった課題を抱えています。しかし、そのような人たちが必ずしもすぐに「電話代行」と検索するわけではありません。実際には、
・電話が鳴るたびに仕事が止まる
・集中したいのに電話が鳴る
・社員が電話対応に追われている
・本来の業務に時間を使えない
という悩みを抱えながらも、まだ解決策を探していない人が数多く存在していました。つまり検索で接触できるのは顕在層だけであり、その手前にいる潜在層にはアプローチできていなかったのです。
また、この企業様には大きな強みがありました。それは長年の運営で培った電話対応のノウハウです。現場には、
・クレーム対応のコツ
・顧客満足度を高める話し方
・電話で信頼を得る方法
・企業イメージを向上させる応対技術
など、他社にはない知識が数多く蓄積されていました。しかし、その価値はWebサイトの中に眠ったままでした。外部に向けて発信されていなかったため、潜在顧客はその存在すら知らなかったのです。
このようにコンサルティング開始前には、
・SEOに依存した集客
・顕在層にしか接触できていない
・自社の強みが伝わっていない
・ブランド認知が弱い
という課題を抱えていました。
実施内容
今回のプロジェクトで私が提案したのは、「サービスを売るのではなく共感を作ること」でした。多くの企業アカウントは、
・サービス紹介
・機能説明
・キャンペーン告知
ばかりを発信しています。しかし私は、SNSではそれだけでは成果が出ないと考えています。特にX(旧Twitter)は広告を見る場所ではなく、共感を求める場所だからです。
そこで最初に取り組んだのが投稿内容の見直しでした。従来のようなサービス紹介中心の投稿ではなく、電話対応をテーマにしながらも、ユーザーの感情に寄り添う内容へと方向転換しました。
例えば、
・営業電話が鳴るたびに集中力が切れる
・電話が怖いと感じる新人社員
・クレーム対応で疲弊する担当者
・電話が多すぎて仕事が進まない
といった、多くの人が共感できる悩みをテーマにしました。
ここで重要だったのは、「検索される情報」ではなく、「共感される体験」を発信することでした。実際に人は正しい情報よりも、自分の気持ちを代弁してくれる投稿に反応します。そのため、
・電話が鳴るだけで仕事が止まる
・クレームの一本で一日中気分が沈む
・本当は集中したいのに電話に追われる
といった感情を言語化していきました。
すると少しずつ、
・いいね
・リポスト
・コメント
が増えていきました。
さらに工夫したのが、「結論を言い切らない投稿」です。企業アカウントは最後まで説明したくなります。しかしSNSでは全てを説明すると、その場で終わってしまいます。そこで、「実は電話対応で一番大切なのは○○ではありません」、「多くの会社が見落としていることがあります」といった形で余白を残しました。その結果、
・プロフィール訪問
・サイト訪問
・フォロー
につながりやすくなりました。
また投稿文も全面的に見直しました。専門用語をできるだけ減らし、
・短い文章
・スマホで読みやすい構成
・一文ごとに意味が伝わる内容
を意識しました。
さらに発信を継続するため、
・電話対応
・コミュニケーション
・接客
・仕事の悩み
というテーマごとにネタを整理し、毎日投稿できる体制を作りました。
そして、この取り組みで特に大きかったのがSNSとSEOの連携です。私はSNSを単独の施策として考えていません。実際に反応が良かった投稿を分析すると、ユーザーの本音が見えてきます。そこで、
X投稿
↓
反応分析
↓
ニーズ発見
↓
記事化
↓
SEOコンテンツ化
という流れを構築しました。これによってSNSとSEOが互いに強化し合う状態を作ることができたのです。
成果
こうした取り組みを継続した結果、集客構造は大きく変化しました。まず最も大きかったのは、検索以外の流入経路ができたことです。これまでは検索順位が集客を左右していました。しかしXからの流入が増えたことで、検索順位に依存しない集客チャネルが生まれたのです。
また、SNS経由のユーザーには特徴がありました。検索ユーザーは、「今すぐ電話代行を探している」という顕在層が中心です。一方でSNS経由のユーザーは、「電話対応に悩んでいる」「何とかしたいと思っている」という潜在層が中心でした。そのため、サービスを知った段階で強い共感が生まれやすく、問い合わせや成約にもつながりやすくなりました。さらに投稿が拡散されることで、それまで接点のなかった層にも認知が広がりました。これは広告だけではなかなか実現できない効果です。
また、SNSで得られたユーザーの反応をもとにサイトコンテンツを改善したことで、SEOにも良い影響が現れました。ユーザーのリアルな悩みを反映した記事は検索エンジンからも評価されやすく、順位の安定化につながったのです。その結果、
・新規流入の増加
・問い合わせ数の増加
・成約率の向上
・ブランド認知の向上
・SEO効果の向上
を同時に実現することができました。そして何より大きかったのは、「電話代行会社」ではなく、「電話対応の専門家」として認識されるようになったことでした。
まとめ
今回の事例で改めて感じたのは、SNSは商品を売る場所ではなく、共感を作る場所だということです。特にXでは、正しい情報よりも「自分のことだ」と感じてもらえることの方が重要です。
今回の成功要因は、
・サービス紹介中心の発信をやめたこと
・感情に寄り添った投稿へ変えたこと
・共感を起点にしたこと
・SNSとSEOを連携させたこと
にありました。
私はこれまで多くの企業のSNS運用を支援してきましたが、成果を出している企業には共通点があります。それは商品を語る前に、ユーザーの悩みを語っていることです。今回の企業様も、「電話代行が便利です」と発信するのではなく、「電話対応で困っている人の気持ち」を発信し続けました。その結果として共感が生まれ、認知が広がり、問い合わせにつながったのです。
これからの時代は、検索されるのを待つだけでは十分ではありません。SNSで共感され、信頼され、そして検索される。今回の電話代行会社様の取り組みは、その流れを実現した非常に良い成功事例だったと思います。
