課題
東京都内で感染症治療や各種検査を提供されている内科クリニック様からご相談をいただいた時、その状況はかなり深刻なものでした。
もともとこのクリニック様は検索エンジンから安定して集客できており、1日2,000PV以上のアクセスを獲得していました。しかし、ある時期を境にGoogleからの自然検索流入が急激に減少し、ほぼ検索結果から姿を消したような状態になってしまったのです。
当然ながら、検索からの患者数も大きく減少しました。その結果、以前はSEOを中心に集客できていたにもかかわらず、広告への依存度が急激に高まりました。同じ売上を維持するために、以前よりも多くの広告費を投下しなければならなくなり、経営面にも大きな負担がかかっていました。
私はまず、この原因を徹底的に分析しました。すると、単純な順位変動ではなく、サイト全体の構造に複数の問題が存在していることが見えてきました。最も目立ったのは、過剰なSEO対策です。当時のサイトでは、
・タイトルタグ
・見出し
・本文
・画像の説明文
などに同じキーワードが何度も繰り返されていました。以前のSEOでは有効だった時代もありますが、現在のGoogleは不自然な最適化を好みません。むしろ過剰なキーワード使用はマイナス評価につながることがあります。
さらに大きな問題だったのが、複数ドメインの運用でした。感染症関連の情報が複数のサイトに分散して掲載されており、Googleから見ると「どのサイトを評価すべきか」が分かりにくい状態になっていました。せっかく良いコンテンツを作っても、評価が複数サイトに分散してしまえば順位は上がりにくくなります。
また、コンテンツの品質にも課題がありました。特にQ&Aページの中には数行しか書かれていないものもありました。利用者の疑問に十分答えられないページが大量に存在していたため、サイト全体の品質を下げる要因になっていたのです。
さらに、サイト全体がテキスト中心で構成されていました。感染症や検査というテーマは専門性が高く、文章だけでは理解しづらい内容も少なくありません。しかし当時のサイトには、
・図解
・院内写真
・検査機器の写真
・検査の流れ
などの視覚的な情報がほとんどありませんでした。その結果、利用者にとって分かりにくく、滞在時間も短くなっていました。
つまり当時のサイトは、
・過剰最適化
・ドメイン評価の分散
・低品質コンテンツの蓄積
・視覚情報の不足
・ユーザー体験の低下
という複数の問題を抱えていたのです。そしてそれが、検索順位の大幅な下落を招いていました。
実施内容
私はまず、「検索順位を回復させる前に、サイト全体を正常な状態へ戻すこと」を優先しました。SEOはテクニックの問題ではなく、サイト全体の設計の問題だと考えたからです。
最初に取り組んだのはドメインの整理でした。複数サイトに分散していた情報を整理し、評価を一つのサイトへ集約する方向で改善を進めました。これによって、これまで分散していたGoogleからの評価を一箇所へ集めることができるようになりました。
次に行ったのが低品質ページの整理です。
サイト内のページを一つずつ確認し、
・内容が薄いページ
・重複しているページ
・ほとんど閲覧されていないページ
を洗い出しました。そして、
・削除
・統合
・大幅加筆
を行いながら再構築していきました。特にQ&Aページについては、「利用者が本当に知りたいことに答える」という視点で全面的に見直しました。単に文字数を増やしたのではありません。患者様が抱える不安や疑問を解消できる内容へ作り変えていったのです。
さらに今回の改善で非常に大きな役割を果たしたのが、オリジナル画像の活用でした。私は医療系サイトでは画像が非常に重要だと考えています。そこで、
・院内写真
・検査機器
・診察風景
・検査の流れを示す図解
・症状解説イラスト
などを大量に追加しました。
例えば検査の流れを文章だけで説明しても、利用者には伝わりにくいことがあります。しかし図解を使えば数秒で理解できます。また、実際の院内写真を見ることで、患者様は来院前に安心感を得ることができます。これらの画像は単なる装飾ではありません。利用者の理解を助けるためのコンテンツとして設計しました。
ページ構成も大幅に見直しました。以前は一つのページに様々な情報が詰め込まれていましたが、
・症状について知りたい人
・検査について知りたい人
・治療について知りたい人
というように検索意図ごとにページを分離しました。その上で、それぞれを内部リンクでつなぎました。これによって利用者は迷うことなく必要な情報へたどり着けるようになりました。
さらに、このプロジェクトでは広告運用の専門家とも連携しました。広告では、
・どんな言葉がクリックされるのか
・どんな表現が反応されるのか
・どんな導線で問い合わせにつながるのか
を日々分析しています。その知見をSEOにも応用し、
・タイトル
・見出し
・ボタン配置
・導線設計
を改善しました。検索順位だけではなく、「問い合わせにつながるサイト」を目指したのです。
成果
改善を続けた結果、検索順位は徐々に回復していきました。圏外まで落ちていた主要キーワードが再び検索結果に表示されるようになり、関連キーワードでも上位表示が増えていきました。
特定のキーワードだけではありません。感染症や検査に関連する様々な検索語句で露出が増え、サイト全体の検索流入が回復していきました。アクセス数も大きく改善しました。ほぼゼロに近かった自然検索流入が再び安定して発生するようになり、広告への依存度を大幅に下げることができました。
特に効果が大きかったのは、オリジナル画像によるユーザー体験の改善です。図解や写真によって内容が理解しやすくなった結果、
・滞在時間の向上
・回遊率の向上
・直帰率の改善
が見られるようになりました。利用者が複数ページを見るようになったことで、サイト全体の評価もさらに向上していきました。
また、広告運用の知見を取り入れたことでクリック率も改善しました。検索結果に表示されるだけではなく、実際にクリックされ、問い合わせにつながるサイトへ進化したのです。その結果、
・検索順位の回復
・自然検索流入の増加
・広告費の削減
・問い合わせ数の増加
・安定した集客基盤の構築
を実現することができました。SEOと広告がそれぞれ補完し合う理想的な集客体制を作れたことが、この案件の最大の成果だったと思います。
まとめ
このクリニック様の事例を通じて改めて感じたのは、SEOの問題は順位そのものではなく、サイト構造に原因があることが多いということです。今回も検索順位が下がったことが問題なのではありませんでした。本当の問題は、
・ドメインの分散
・コンテンツ品質の低下
・ユーザー体験の不足
・情報設計の不備
にありました。それらを一つひとつ改善した結果として、検索順位が回復したのです。
特に近年のGoogleは、利用者が理解しやすいサイトを高く評価する傾向があります。その意味では、今回のオリジナル画像や図解の活用は非常に大きな効果を生みました。
私はこれまで数多くの医療系サイトを支援してきましたが、成果を出し続けているサイトには共通点があります。それは検索エンジンのために作られているのではなく、患者様のために作られていることです。
今回のクリニック様も、患者様が知りたい情報を分かりやすく整理し、不安を解消するサイトへ改善したことで大きな成果につながりました。SEOとは順位を上げる技術ではなく、必要としている患者様に安心してもらうための情報設計なのだと改めて実感した事例でした。
