課題
今回ご紹介するのは、神戸市を中心に呼吸器内科診療を提供しているクリニック様の事例です。このクリニック様は、咳や喘息、気管支炎、睡眠時無呼吸症候群などの呼吸器疾患の診療に力を入れており、地域でも高い専門性を持つ医療機関でした。実際に患者様からの評価も高く、以前は検索エンジンから非常に多くのアクセスを獲得していました。
特に、
・咳
・喘息
・呼吸器内科
といった重要キーワードでは上位表示されており、検索エンジン経由で多くの患者様が来院していました。しかし、Googleのコアアップデートをきっかけに状況が大きく変わりました。それまで安定していた検索順位が大幅に下落し、アクセス数も急激に減少してしまったのです。当然ながら、検索流入の減少は来院数にも影響しました。クリニック経営において新規患者の獲得は非常に重要です。そのため、この順位下落は経営面でも大きな課題となっていました。
さらに深刻だったのは、「なぜ順位が落ちたのか分からない」という状況でした。サイトの見た目を大きく変更したわけではありません。ところが検索順位だけが大きく下がってしまったため、従来のSEOの考え方だけでは説明がつかない状態になっていたのです。実際にサイト全体を分析すると、いくつかの問題が見えてきました。
まず目立ったのがコンテンツ構造の問題です。記事数自体は多く存在していましたが、
・テーマが曖昧なページ
・検索意図と合っていないページ
・内容が断片的なページ
も少なくありませんでした。その結果、Googleがページの主題を正しく理解しにくい状態になっていました。
また、低品質ページの存在も課題でした。文字数が少ないページや情報量が不足しているページが数多く存在しており、サイト全体の品質評価を下げる要因になっていました。
Googleは近年、医療分野に対して特に厳しい評価基準を適用しています。そのため、こうしたページが積み重なることでサイト全体の評価低下につながっていたのです。
さらに、信頼性の見せ方にも改善の余地がありました。医療分野はYMYL領域に該当します。そのためGoogleは、
・誰が情報を発信しているのか
・どのような根拠に基づいているのか
・信頼できる情報なのか
を非常に重視します。しかし当時のサイトでは、
・著者情報
・参考文献
・外部情報への引用
などが十分に整理されていませんでした。
また、内部リンクにも課題がありました。関連性の低いページ同士が結び付いている一方で、本来評価を集めるべき重要ページへのリンクが不足していました。当時のサイトは、
・検索意図とのズレ
・低品質コンテンツの蓄積
・信頼性の不足
・内部構造の乱れ
という複数の問題を抱えていたのです。そこで、検索順位の回復だけではなく、長期的に評価される医療サイトへ再構築するためのSEO改善を進めることになりました。
実施内容
まず最初に取り組んだのは、サイト全体の品質改善です。私はコアアップデートで順位が下がった場合、まずサイト内部に原因があると考えます。そのため最初に行ったのは全ページの精査でした。サイト内のページを一つひとつ確認し、
・内容が薄いページ
・検索意図に合わないページ
・テーマが曖昧なページ
を洗い出しました。そして、
・削除
・統合
・リライト
のいずれかを実施し、サイト全体の品質向上を図りました。
次に取り組んだのが検索意図への対応です。Googleは近年、検索キーワードの意味を以前よりも正確に理解するようになっています。そのため、「呼吸器内科」という大きなテーマだけではなく、
・咳が止まらない原因
・喘息の症状
・気管支炎の治療
・長引く咳の対処法
など、ユーザーが実際に検索するテーマごとにページを作成しました。1ページ1テーマを徹底し、それぞれの検索意図に対して最適な情報を提供できる構造へ改善したのです。
さらに力を入れたのがトピッククラスター戦略です。
例えば、
「咳が止まらない」
というテーマに対して、
・原因
・検査方法
・関連疾患
・治療法
・受診の目安
などの関連ページを作成し、それらを内部リンクで結び付けました。これによって、呼吸器疾患に関する専門サイトとしての網羅性を高めていきました。
また、オリジナル画像の追加も積極的に行いました。医療サイトでは独自性が重要になります。そこで、
・院内設備
・医療機器
・診察風景
・説明用図解
などを制作・撮影し、各ページへ掲載しました。患者様にとっても理解しやすくなり、検索エンジンからの評価向上にもつながりました。さらに信頼性向上にも力を入れました。記事には医師プロフィールへのリンクを設置し、誰が監修しているのかを明確にしました。他には、大学や研究機関、公的機関などの情報も引用しながら、情報の根拠を分かりやすく示しました。
その他、内部リンク構造も全面的に見直しました。関連性の高いページ同士を適切につなぐことで、サイト全体のテーマ性を強化しました。そして、この改善を継続的に進めるために、
・Web制作会社
・ライター
・デザイナー
・エンジニア
などの専門家と連携しながらチーム体制で改善を進めていきました。
成果
こうした改善を継続した結果、検索順位は徐々に回復していきました。それまで順位を落としていた主要キーワードでも再び上位表示を獲得できるようになったのです。アクセス数も大きく改善しました。減少していた検索流入が回復し、再び安定して患者様を集められるようになりました。
また、アクセス数だけでなく流入の質も向上しました。検索意図に合ったページから訪れる患者様が増えたため、問い合わせや来院につながる割合も高くなりました。さらに、サイト全体の評価が向上したことで、新しく作成したページも比較的早く上位表示できるようになりました。これは単に順位が回復しただけではなく、サイト全体の信頼性と専門性が高まったことを意味しています。
そして最も大きな成果は事業そのものの成長でした。安定して患者様を集められるようになったことで経営基盤が強化され、新たに大阪エリアへの分院展開を実現しました。その後も神戸市内や兵庫県内で複数の分院を展開するまでに成長し、事業規模を大きく拡大することができました。SEO改善が単なるアクセス回復ではなく、クリニックの成長戦略そのものを支える結果につながったのです。
まとめ
今回の事例で改めて感じたのは、コアアップデートによる順位下落には必ず理由があるということです。順位が下がると、Googleのせいだと考えたくなることもあります。
しかし実際には、
・検索意図に合っているか
・十分な情報を提供できているか
・信頼性を示せているか
・サイト全体の構造は整理されているか
こうした基本的な部分に原因があることが少なくありません。
今回の呼吸器内科クリニック様も、サイト全体を見直しながら品質・専門性・信頼性を高めたことで大きな成果につながりました。SEOは順位を上げるためのテクニックではなく、ユーザーにとって価値のあるサイトを作るための取り組みです。その積み重ねが、検索順位の回復だけでなく、患者数の増加や分院展開という事業成長にもつながりました。今回の成功事例は、そのことを改めて実感させてくれた事例でした。
