課題
今回ご紹介するのは、特定業界に特化した求人ポータルサイトを運営している企業様の事例です。
この企業様は愛知県に本社を構え、特定業界の求人情報だけを専門に扱う求人ポータルサイトを運営していました。業界を絞り込んでいることから、求職者と企業のマッチング精度も高く、一定の認知度と検索流入を獲得していました。しかし、Googleのコアアップデートをきっかけに状況が大きく変わりました。それまで安定していた検索順位が大きく変動し、検索エンジンからのアクセスが急激に減少してしまったのです。
求人ポータルサイトにとって検索流入は事業の基盤です。そのため順位下落は単なるSEO上の問題ではなく、応募数や売上にも影響する深刻な課題となっていました。実際にサイトを分析すると、いくつかの問題点が見えてきました。
まず目立ったのは、検索意図とのズレです。このサイトでは以前から「転職」という言葉を中心にコンテンツ設計を行っていました。しかし実際の検索データを詳しく調べると、ユーザーの多くは「求人」というキーワードで検索していることが分かりました。つまり、ユーザーが探している情報とサイトが発信しているメッセージの間に少しずつズレが生まれていたのです。
また、サイト構造にも改善の余地がありました。トップページには多くの情報が掲載されていましたが、情報量が多すぎるあまり、ユーザーが必要な情報へたどり着きにくい状態になっていました。特にスマートフォンで閲覧した場合は縦に長い構成になっており、操作性にも課題がありました。
さらに、検索エンジンに評価されるべき重要なページが十分にインデックスされていないケースも見つかりました。せっかく作成したコンテンツが検索結果に表示されなければ、集客にはつながりません。
そして、もう一つ大きな課題だったのが信頼性です。求人サイトはGoogleが特に信頼性を重視するジャンルの一つです。
そのため、
・誰が運営しているのか
・どのような実績があるのか
・本当に信頼できる企業なのか
といった情報が検索順位にも大きく影響します。しかし当時のサイトでは、そうした運営者情報や実績の発信が十分ではありませんでした。その結果、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の面でも改善の余地がある状態になっていました。
つまり、このサイトが順位を落とした原因は一つではありませんでした。検索意図とのズレ、ユーザー体験、インデックスの問題、信頼性不足などが複合的に重なり、コアアップデートの影響を大きく受けてしまっていたのです。そこで、単なる順位回復ではなく、長期的に評価され続ける求人ポータルサイトへ改善するためのプロジェクトがスタートしました。
実施内容
まず最初に取り組んだのは、検索意図の見直しです。私はSEOで成果を出すためには、まずユーザーが何を求めて検索しているのかを正しく理解することが重要だと考えています。そこで検索データを詳しく分析し、求職者が実際にどのような言葉で仕事を探しているのかを調査しました。その結果、「転職」よりも「求人」の検索需要が大きいことが分かりました。
そこでサイト全体の表現を見直し、「転職」中心だった表現を「求人」を意識した内容へ段階的に変更していきました。ただし、SEOでは急激な変更が逆効果になることもあります。そのため順位の変化を確認しながら慎重に調整を進めました。
次に取り組んだのがユーザー体験の改善です。トップページの構成を見直し、必要な情報へ素早くアクセスできるようにしました。情報の詰め込みすぎを解消し、視認性を高めることで、求職者が迷わず目的の情報へ進めるよう改善しました。また、スマートフォンでの表示についても最適化を行いました。求人サイトはスマートフォンから利用するユーザーが非常に多いため、モバイル環境での使いやすさは重要です。
さらに、求人一覧ページの改善も行いました。求職者が条件を絞り込みやすいように検索機能や導線を見直し、自分に合った求人を探しやすい構造へ変更しました。サイト内の回遊性向上にも力を入れました。求人詳細ページだけでなく、関連する求人や特集ページへ自然に移動できるようにし、複数ページを閲覧しながら比較検討できる環境を整えました。
並行して行ったのがインデックス改善です。検索エンジンに十分評価されていないページについて、
・タイトルの改善
・見出しの見直し
・コンテンツ追加
・内部リンク強化
を実施しました。
また、比較表や詳細情報、実体験に基づく情報なども追加し、独自性を高めていきました。そして今回のプロジェクトで特に重要だったのが信頼性の強化です。運営会社情報を充実させ、
・会社概要
・運営実績
・専門性
・サービス内容
を分かりやすく整理しました。さらに実際の現場写真や運営の様子も公開し、「実在する企業が運営しているサイト」であることを明確に伝えました。
加えて、プレスリリース配信や外部サイトとの連携も進め、外部からの評価向上にも取り組みました。こうした改善を積み重ねながら、検索エンジンにもユーザーにも信頼されるサイトへ育てていったのです。
成果
改善を続けた結果、検索順位は徐々に回復していきました。特に大きかったのは順位の安定化です。以前はコアアップデートのたびに順位変動が起きていましたが、改善後は大きく順位を落としにくくなりました。最終的には同業界の求人サイトの中で検索順位2位という非常に高いポジションを安定して維持できるようになりました。
また、アクセス数だけでなく流入の質も向上しました。検索意図に合わせたコンテンツ改善によって、実際に求人を探しているユーザーが増えたのです。その結果、
・応募数
・問い合わせ数
・会員登録数
なども改善しました。
さらに、サイト全体の評価が高まったことで、新しく作成したページも比較的早い段階で検索結果に表示されるようになりました。これは単に一部のページが評価されたのではなく、サイト全体の信頼性や専門性が向上したことを意味しています。結果として、この企業様はコアアップデートによる順位下落を乗り越えただけでなく、以前よりも強いサイトへ成長することができました。SEOに依存するだけではなく、長期的に安定した集客基盤を構築できたことが最大の成果だったと思います。
まとめ
今回の事例で改めて感じたのは、コアアップデートは必ずしも悪い出来事ではないということです。順位が下がると焦ってテクニックに走りたくなります。しかし本当に重要なのは、「検索意図は合っているか」「ユーザーは使いやすいか」「信頼されるサイトになっているか」という基本に立ち返ることです。
今回の求人ポータルサイト様も、検索意図、ユーザー体験、信頼性というSEOの本質を見直したことで大きな成果につながりました。SEOは小手先のテクニックだけでは長続きしません。ユーザーに価値を提供し続けることが、結果として検索順位や応募数の向上につながります。今回の成功事例は、そのことを改めて教えてくれた事例でした。
