課題
今回ご紹介するのは、医療機器や関連設備、各種サービスを医療機関や調剤薬局向けに提供している医療機器製造業様の事例です。
この企業様は長年にわたり医療業界に携わっており、多くの医療機関との取引実績を持っていました。取り扱う製品やサービスの幅も広く、専門性の高い提案ができる企業様でした。しかし、その強みがWebサイト上では十分に伝わっていませんでした。
ご相談いただいたきっかけは、京都市内のWeb制作会社様からのご紹介でした。お話を伺うと、営業活動や既存顧客からの紹介では一定の成果が出ているものの、検索エンジン経由での新規問い合わせがなかなか増えないという課題を抱えていました。医療機器業界は一般消費者向けの商品とは異なり、検索する人の目的が非常に明確です。
例えば、
・特定の検査機器を探している
・クリニック開業時に必要な設備を調べている
・業務効率化につながるシステムを探している
・医療機関の課題を解決できる製品を比較検討している
といった具体的なニーズを持っています。ところが当時のWebサイトでは、製品やサービスが大まかに分類されているだけで、それぞれの検索意図に対応するページが十分に用意されていませんでした。実際にサイトを分析すると、トップページは会社紹介としてはよく作られていましたが、「どの分野に強い会社なのか」「どのような課題を解決できるのか」がひと目で分かりにくい状態でした。検索エンジンから見ても、医療機器メーカーとしての専門性や強みが伝わりにくい構造になっていたのです。
また、医療業界では特に重要となる信頼性の訴求も不足していました。製品紹介は掲載されているものの、
・どのような医療機関で導入されているのか
・どのような課題を解決したのか
・どのようなサポートを行っているのか
といった実績情報が十分に整理されていませんでした。そのため、比較検討している医療機関の担当者が安心して問い合わせできる状態とは言えませんでした。
さらに、ブログや新着情報は継続的に更新されていましたが、それらのコンテンツが製品ページやサービスページとうまく連携していませんでした。せっかくコンテンツを発信していても、問い合わせにつながる導線が弱く、SEOの効果も十分に活かしきれていなかったのです。このままでは、本来獲得できるはずの見込み客を逃し続けることになります。そこで、検索エンジンから継続的に見込み客を獲得できる仕組みを作りたいということでSEO改善プロジェクトがスタートしました。
実施内容
まず最初に取り組んだのは、サイト全体の構造を見直すことでした。私はBtoB企業のSEOを行う際、単に検索順位を上げることよりも、「見込み客が必要な情報へ最短でたどり着けること」を重視しています。そのため、トップページの役割を大きく見直しました。
従来は会社紹介の要素が強い構成でしたが、改善後は、
・どの業界向けの製品なのか
・どのような課題を解決できるのか
・どのようなサービスを提供しているのか
がすぐに分かる構成へ変更しました。また、用途別や課題別に情報へ進める導線を設置し、訪問者が自分に関係する情報を探しやすくしました。
次に行ったのが、製品ページやサービスページの再構築です。医療機器業界では検索ニーズが非常に細分化されています。そこで、
・検査機器
・手術関連設備
・調剤支援システム
・クリニック向け設備
・病院向け設備
・薬局向けサービス
など、用途や対象ごとにページを細かく整理しました。
さらに、それぞれのページでは単なる製品紹介ではなく、
・どのような課題を解決できるのか
・どのような現場で利用されているのか
・導入するとどのような効果が期待できるのか
を具体的に説明しました。これによって検索意図との一致度が大きく向上しました。
また、内部リンク構造も全面的に見直しました。従来はブログ記事や新着情報が独立して存在していましたが、改善後は関連する製品ページやサービスページへ自然に誘導できるよう設計しました。検索で訪れたユーザーが、
検索
↓
情報収集
↓
製品理解
↓
導入事例確認
↓
問い合わせ
という流れで行動できるようになったのです。
さらに力を入れたのが導入事例コンテンツです。医療機器は高額な投資になるケースも多く、導入前には慎重な比較検討が行われます。そのため、
・どのような課題があったのか
・どのような製品を導入したのか
・どのような成果が出たのか
を分かりやすく紹介する事例ページを多数整備しました。これによって、見込み客が自分と似たケースを確認できるようになりました。
また、会社情報やサポート体制についても整理しました。医療業界では曖昧な表現よりも具体的な情報が信頼につながります。対応領域やサポート内容、実績などを分かりやすく整理し、企業としての信頼性向上にも取り組みました。加えて、SNSや動画も活用し、新しいコンテンツや導入事例を継続的に発信する仕組みも整備しました。
成果
こうした改善を継続した結果、検索エンジンからの流入の質が徐々に変化しました。以前は限られたキーワードからしかアクセスがありませんでしたが、改善後は用途別ページや課題別ページからも安定して訪問者が集まるようになりました。
特に成果が大きかったのは、具体的な課題を持った見込み客の流入が増えたことでした。単に情報収集しているだけではなく、導入を真剣に検討している医療機関や事業者からのアクセスが増加したのです。
また、内部リンクの改善によって回遊率も向上しました。複数ページを閲覧するユーザーが増え、サイト滞在時間も伸びました。その結果、検索エンジンからの評価も高まり、多くの関連キーワードで上位表示できるようになりました。さらに、導入事例ページの充実によって問い合わせ率も向上しました。実際に導入した医療機関の事例を確認できることで安心感が生まれ、問い合わせへの心理的ハードルが下がったのです。
また、問い合わせ内容の質も向上しました。事前にサイト内で十分な情報収集を行った上で相談するケースが増えたため、商談化率も高くなりました。結果として、検索エンジン経由で継続的に見込み客を獲得できる体制が整い、営業活動だけに依存しない安定した集客基盤を構築することができました。Webサイトが単なる会社案内ではなく、24時間働く営業担当として機能するようになったのです。
まとめ
今回の事例で改めて感じたのは、BtoB企業のSEOでは検索順位だけを追いかけても成果にはつながらないということです。特に医療機器業界のように専門性が高い分野では、
「どの分野に強いのか」「どの課題を解決できるのか」「どのような実績があるのか」、これらを分かりやすく伝えることが非常に重要になります。
今回の医療機器製造業様も、サイト全体の構造を見直し、見込み客が知りたい情報を整理したことで大きな成果につながりました。SEOはテクニックだけで成果が出るものではありません。お客様が知りたい情報を分かりやすく整理し、信頼できる企業であることを丁寧に伝えることが重要です。今回の成功事例は、その積み重ねが問い合わせ数の増加や商談化率の向上につながることを改めて教えてくれた事例でした。
