課題
今回ご紹介するのは、医療機器の製造を行う企業様の採用サイト改善事例です。
この企業様は、医療機器という専門性の高い製品を製造しており、製品やサービスの集客については以前からSEO対策に取り組み、一定の成果を上げていました。一方で、人材採用については大きな課題を抱えていました。
特に医療機器製造業は一般的なサービス業や小売業と比べて求職者の母数が少なく、求人媒体へ掲載しても応募数が安定しにくい業種です。実際、この企業様も求人媒体への掲載を続けていましたが、期待するほど応募が集まらず、採用活動に苦労されていました。
また、採用専用サイト自体は用意されていましたが、その内容は一般的な企業によく見られる構成でした。掲載されていたのは、
・会社概要
・募集要項
・仕事内容の簡単な説明
といった基本情報が中心でした。
もちろん必要な情報ではありますが、それだけでは求職者の不安や疑問を十分に解消することはできません。求職者が本当に知りたいのは、
・実際の職場の雰囲気はどうなのか
・未経験でも働けるのか
・どんな人が働いているのか
・残業は多いのか
・将来どのようなキャリアを描けるのか
・入社後に後悔しないだろうか
といった、求人票だけでは分からない情報です。
ところが当時のサイトには、そのような情報がほとんどありませんでした。そのため、サイトを訪れた求職者が企業について十分理解できず、応募をためらってしまうケースが少なくなかったのです。
さらにSEOの観点から見ても課題がありました。求人サイトは募集要項ページだけを掲載していても検索エンジンから高く評価されにくい傾向があります。求職者が検索する疑問や悩みに答えるコンテンツが必要になりますが、当時のサイトにはそうした記事コンテンツがほとんど存在していませんでした。実際に検索エンジンからの流入も少なく、求人サイトとして十分に機能している状態とは言えませんでした。
また、競合企業の採用サイトを分析すると、応募数が多い企業ほど、
・社員インタビュー
・仕事紹介
・職場紹介
・動画コンテンツ
などを積極的に発信していることが分かりました。
この企業様にも素晴らしい社員の方々が在籍していましたが、その魅力が十分に発信されていなかったのです。そこで、求人媒体だけに頼らず、自社の採用サイトから継続的に応募者を獲得できる仕組みを作りたいということでご相談をいただきました。
実施内容
まず最初に取り組んだのは、社員インタビューコンテンツの強化です。私は採用サイトのSEOを行う際、「求職者が自分の将来を想像できるか」を非常に重視しています。
そのため、単なる社員紹介ではなく、実際の社員の方々へ詳しいインタビューを実施しました。
具体的には、
・入社のきっかけ
・応募前に感じていた不安
・入社後に感じたギャップ
・仕事のやりがい
・苦労した経験
・今後の目標
などを丁寧にヒアリングし、一人ひとりの記事として公開しました。これによって、求職者が「自分がこの会社で働いたらどうなるのか」を具体的にイメージしやすくなりました。
次に行ったのが、求職者向けコンテンツの制作です。企業が伝えたい情報ではなく、求職者が検索する情報を優先してテーマを決めました。
例えば、
・医療機器メーカーの仕事内容とは
・製造業は未経験でも働けるのか
・医療機器業界の将来性
・製造業でキャリアアップする方法
・工場勤務のメリットとデメリット
といったテーマの記事を継続的に作成しました。これらの記事はSEO対策として検索流入を増やすだけでなく、求職者の不安を解消する役割も果たします。
また、それぞれの記事から社員インタビューや募集要項ページへ自然に誘導できるよう内部リンクも設計しました。検索で訪れたユーザーが、
検索
↓
記事を読む
↓
会社を知る
↓
社員を知る
↓
募集要項を見る
↓
応募する
という流れを作れるようにしたのです。
さらに、動画コンテンツも積極的に活用しました。文章だけでは伝わらない職場の雰囲気や社員の人柄を伝えるため、
・社員インタビュー動画
・職場紹介動画
・仕事紹介動画
などを制作しました。
医療機器製造業は一般の方には仕事内容がイメージしにくい業種です。そのため動画によって実際の作業風景を見てもらうことで、仕事内容への理解を深めてもらいました。
また、職場の空気感や人間関係も動画を通じて伝えられるようになりました。これらの動画は採用サイトだけでなくYouTubeにも公開し、新たな流入経路としても活用しました。
さらにサイト構造も見直しました。トップページから、
・社員インタビュー
・仕事内容紹介
・ブログ記事
・募集要項
へスムーズに移動できるよう導線を整理しました。求職者が複数の情報を確認しながら安心して応募を判断できるサイトへ改善していったのです。
成果
こうした改善を継続した結果、採用サイトへの検索流入は大きく増加しました。それまでほとんどアクセスがなかった状態から、求人関連キーワードや業界関連キーワードで安定して訪問者を集められるようになりました。
特に、
・仕事内容
・未経験採用
・業界研究
・キャリア形成
といったテーマの記事が多くのアクセスを集めました。
また、サイト内の回遊率も大きく向上しました。記事を読んだユーザーが社員インタビューを閲覧し、その後募集要項ページへ進む流れが生まれたのです。その結果、最も重要な成果である応募数の増加につながりました。求人媒体だけに依存していた状態から、自社サイト経由でも継続的に応募者を獲得できるようになりました。
さらに大きかったのは応募者の質の向上です。社員インタビューや動画を通じて企業理解が深まった状態で応募するため、面接時のミスマッチが減少しました。応募者自身も仕事内容や職場環境を理解した上で応募しているため、入社後のギャップも少なくなりました。結果として採用後の定着率向上にもつながりました。
また、企業側としても「会社の魅力を伝える資産」が蓄積されていきました。社員インタビューや動画は一度作れば長期間活用できるため、採用活動全体の効率化にも貢献しました。採用サイトが単なる求人情報の掲載場所ではなく、優秀な人材を継続的に集める採用メディアへ成長したのです。
まとめ
今回の事例で改めて感じたのは、採用サイトのSEOでは求人情報を掲載するだけでは十分ではないということです。求職者は仕事を探しているだけではありません。自分に合う会社を探しているのです。そのためには、「どんな人が働いているのか」「どんな職場なのか」「どんな未来を描けるのか」、そうした情報を丁寧に伝えることが重要になります。
今回の医療機器製造業様も、求職者の視点に立って情報発信を見直したことで、検索流入の増加だけでなく応募数や採用の質の向上にもつながりました。採用活動に悩んでいる企業様ほど、求人媒体だけに頼るのではなく、自社サイトを通じて企業の魅力を発信することの重要性を改めて考えてみる価値があると思います。この成功事例は、SEOが売上向上だけでなく採用活動にも大きな力を発揮することを教えてくれた事例でした。
