課題
今回ご紹介するのは、相続に関する情報提供と専門家紹介を行っている相続ポータルサイト様の事例です。
このサイト様は以前からSEOに力を入れており、
・横浜 相続
・相続手続き
・相続放棄
・遺産分割
などのキーワードで上位表示を実現していました。その結果、検索エンジンから安定したアクセスを獲得し、多くの利用者が訪れるサイトへ成長していました。
一見すると順調に見える状況でしたが、私は一つの課題を感じていました。それは、「検索している人にしか接触できていない」ということです。相続というテーマは少し特殊です。例えば転職や不動産購入であれば、自ら積極的に情報収集する人が多くいます。しかし相続は違います。
多くの人は、
・親が高齢になった
・家族が亡くなった
・相続問題が発生した
という状況になって初めて調べ始めます。
つまり、検索するタイミングそのものが遅いのです。実際には、
・将来の相続が不安
・親の財産管理が心配
・兄弟との相続トラブルが不安
という方は数多く存在します。しかし、その段階ではまだ検索していません。そのためSEOだけに依存した集客では、
・まだ相続問題が顕在化していない人
・将来的に相続で悩む可能性がある人
・漠然と不安を感じている人
との接点を持つことができませんでした。
また、サイトが成長する中で別の課題も見えてきました。アクセス数は増えているものの、
・行政書士
・司法書士
・税理士
などの専門家からの掲載依頼が思ったほど増えていなかったのです。アクセスはあるのに、ブランド力が十分に伝わっていない状態でした。
そこで私は原因を分析しました。すると、多くの利用者はサイトを利用しているものの、「誰が運営しているのか」が十分に伝わっていないことが分かりました。相続というテーマは非常にセンシティブです。利用者は情報だけではなく、
・誰が発信しているのか
・本当に信頼できるのか
・安心して相談できるのか
を確認したいと考えています。しかしテキスト中心のサイトだけでは、人柄や考え方までは十分に伝わりません。
さらにSEOを取り巻く環境も変化していました。
以前は記事を増やせばアクセスが伸びる時代もありました。
しかし現在は、
・AI検索
・ゼロクリック検索
・AIによる概要表示
の普及によって、
「良い記事を書くだけ」
では以前ほど成果が出なくなっています。
つまり当時は、
・検索流入への依存
・潜在層との接点不足
・ブランド認知の弱さ
・信頼性の伝達不足
という課題を抱えていたのです。
実施内容
今回のプロジェクトで私が提案したのは、「SEOだけではなくSNSと動画を活用して認知と信頼を広げること」でした。
まず最初に行ったのは、媒体ごとの役割を整理することです。多くの企業は同じ内容をそのまま全ての媒体へ投稿してしまいます。しかし私は、それでは成果が出にくいと考えています。そこで、
・Webサイト → 詳しい専門情報
・ブログ → 実務ノウハウの蓄積
・SNS → 人柄や考え方の発信
という形で役割を分けました。これによってコンテンツの重複を防ぎながら、それぞれの媒体の強みを活かせるようになりました。
次にSNSの発信内容を見直しました。それまでの投稿はサービス紹介が中心でした。しかし利用者が興味を持つのはサービスそのものではなく、人です。そこで、
・実際の相談事例
・セミナーや研修の様子
・日々感じたこと
・相続に関する気付き
・現場でよくある相談
などを積極的に発信するようにしました。その結果、「この人なら相談してみたい」と感じてもらえる投稿が増えていきました。
さらに大きな転機となったのがYouTubeの活用です。私は以前から、相続分野は動画と非常に相性が良いと考えていました。なぜなら相続は文章だけでは理解しにくいテーマだからです。そこで、
・相続手続きの流れ
・遺言書の作り方
・相続放棄の方法
・よくある相談事例
・Q&A
などをテーマに動画を制作しました。
特に意識したのは、「専門家が専門家向けに話す動画」にしないことでした。一般の方が理解できるよう、
・専門用語をできるだけ使わない
・具体例を使う
・一つのテーマに絞る
ことを徹底しました。
また、一度の取材や撮影から複数のコンテンツを作る仕組みも構築しました。例えば2時間のインタビューを行った場合、
・長尺動画
・ショート動画
・SNS投稿
・ブログ記事
へ展開しました。これによって、一つのコンテンツから何倍もの発信ができるようになりました。
さらに動画はYouTubeだけで終わらせませんでした。動画を、
・Webサイトへ埋め込む
・ブログ記事へ掲載する
・SNSで拡散する
という形で活用しました。
また、動画の文字起こしを記事化することで、大量のオリジナルコンテンツも生み出しました。こうして、
SNS
↓
動画
↓
Webサイト
という流れを構築していったのです。
成果
こうした取り組みを継続した結果、集客構造は大きく変化しました。まず最初に成果が現れたのは認知度です。それまで接触できなかった潜在層にも情報が届くようになり、「相続といえばこのサイト」という認識が徐々に広がっていきました。
また、YouTube経由の流入も増加しました。特に、
・〇〇の方法
・〇〇の手続き
・〇〇のやり方
といったテーマの動画は検索にも強く、安定したアクセス源になりました。
さらに大きかったのは、動画視聴者の行動です。動画を見た利用者は、すでに一定の信頼を持った状態でサイトを訪問します。そのため、
・滞在時間が長い
・複数ページを見る
・問い合わせ率が高い
という特徴が見られるようになりました。
指名検索も増加しました。以前は、「横浜 相続」といった一般キーワードが中心でした。しかし次第に、
・サイト名
・会社名
・担当者名
で検索する人が増えていったのです。これはブランド認知が高まった証拠でもあります。
さらに、
・行政書士
・司法書士
などの専門家からの掲載依頼も増加しました。単なるポータルサイトではなく、「相続分野で影響力のあるメディア」として認識されるようになったのです。その結果、
・SNS経由の認知拡大
・YouTube経由の流入増加
・指名検索の増加
・問い合わせ率の向上
・掲載依頼の増加
・ブランド力の向上
を実現することができました。そして何より大きかったのは、検索順位に依存しない集客基盤を構築できたことでした。
まとめ
今回の事例で改めて感じたのは、これからの集客は「検索されるのを待つ」だけでは難しくなるということです。もちろんSEOは今後も重要です。しかしSEOだけでは、まだ検索していない人とは出会えません。
今回の成功要因は、
・SNSで接点を作ったこと
・動画で信頼を構築したこと
・Webサイトで詳しく説明したこと
・媒体ごとの役割を明確にしたこと
にありました。
私はこれまで多くの士業サイトやポータルサイトを支援してきましたが、成果を出している企業には共通点があります。それは、「情報を発信している」のではなく、「人との接点を作っている」ということです。
今回の相続ポータルサイト様も、相続で悩む人たちが検索する前の段階から接点を持ち、信頼関係を築くことができました。その結果、SEOだけでは実現できなかった認知拡大とブランド構築につながったのです。検索で見つけてもらい、動画で信頼してもらい、Webサイトで理解してもらう。今回の取り組みは、その流れを実現した非常に良い成功事例だったと思います。
