課題
今回ご紹介するのは、東京都内で建築事業を営む企業様が、新たな事業として立ち上げたインバウンド向け宿泊施設の集客事例です。
この企業様はもともと住宅建築を主業としており、宿泊施設の運営や集客についてはほとんど経験がありませんでした。
そこで、自社で建設した宿泊施設の集客をどのように進めればよいのかということでご相談をいただきました。
宿泊施設そのものには大きな魅力がありました。
・木造一戸建てならではの温かみのある空間
・完全非接触で利用できる宿泊スタイル
・自然素材を活かした居心地の良い設計
・一般的なホテルにはないプライベート感
といった特徴があり、実際に宿泊された方からの評価も高い施設でした。しかし、どれだけ良い施設でも存在を知ってもらえなければ予約にはつながりません。
特に今回の施設は客室数の多いホテルではなく、一棟貸し型の小規模宿泊施設でした。そのため、大手ホテルチェーンのように多額の広告費を使って集客する方法は現実的ではありませんでした。さらに当時は社会情勢の影響もあり、訪日外国人旅行者の動向が不安定でした。
当初はインバウンド需要を中心に考えていましたが、それだけに依存するのはリスクが高く、ターゲット戦略そのものを見直す必要がありました。また、Webサイトにも課題がありました。施設の特徴は掲載されていましたが、
・どのような人に向いているのか
・どのような目的で利用できるのか
・他の宿泊施設と何が違うのか
といった情報が十分に伝わっていませんでした。
さらに、
・検索エンジンからのアクセスが少ない
・SNS運用がほとんど行われていない
・宿泊予約サイトへの掲載も十分ではない
という状態だったため、開業後すぐに予約が入る状況ではありませんでした。
つまり、
・認知がない
・検索流入がない
・予約導線が弱い
という課題を抱えた状態からのスタートだったのです。
実施内容
今回のプロジェクトでは、SEOだけに頼るのではなく、「SEO・SNS・宿泊予約サイトを組み合わせた集客設計」を軸に改善を進めていきました。
まず最初に取り組んだのは、Webサイトのコンセプト設計の見直しです。当初のサイトは施設紹介が中心でした。しかし、ユーザーは施設を探しているのではなく、自分の目的に合う宿泊先を探しています。
そこで、
・どのような人に利用してほしいのか
・どのようなシーンで利用できるのか
を明確に打ち出す方向へ変更しました。
具体的には、
・長期滞在や仮住まいとして利用したい方
・ワーケーションで利用したい方
・家族でゆっくり過ごしたい方
・人との接触を避けて滞在したい方
・都内で静かな時間を過ごしたい方
といった利用シーンごとのページを作成しました。
これにより、
・仮住まい
・ワーケーション
・自主隔離
・長期滞在
など、さまざまな検索ニーズに対応できるようになりました。
次に取り組んだのがコンテンツの充実です。特に力を入れたのがQ&Aページでした。宿泊を検討している方が実際に疑問に思う内容を整理し、一つひとつ丁寧に解説するページを作成していきました。
例えば、
・駐車場は利用できるのか
・何人まで宿泊できるのか
・長期滞在は可能なのか
・チェックイン方法はどうなっているのか
といった質問に詳しく回答しました。
その結果、多くのロングテールキーワードで検索結果に表示されるようになり、検索エンジンからのアクセスが増えていきました。さらに動画コンテンツの活用も進めました。
宿泊施設は写真だけでは伝わりにくい部分があります。
そこで、
・ルームツアー動画
・施設紹介動画
・周辺環境の紹介動画
などを制作し、YouTubeに公開しました。実際に宿泊した時のイメージが伝わりやすくなり、ユーザーの不安を減らすことができました。
また、SNS運用も強化しました。InstagramやYouTubeを中心に、建設中の様子から情報発信を始め、完成後も継続的に施設の魅力を発信していきました。宿泊施設の場合は文字よりも写真や動画の影響が大きいため、視覚的な訴求が非常に効果的でした。
さらにインバウンド対策として、日本の住宅文化や暮らし方を紹介する動画も制作しました。単なる宿泊施設紹介ではなく、「日本の生活を体験できる宿」として情報発信したことで、海外ユーザーからの関心も高まっていきました。
外部施策としては、
・Booking.com
・Airbnb
・Tripadvisor
などの宿泊予約サイトへの掲載も進めました。
宿泊施設の場合、検索順位だけでなくレビューも重要です。実際に宿泊された方の口コミが増えることで信頼性が高まり、予約率の向上につながりました。
その後プレスリリースも活用しました。木造一戸建て型の宿泊施設という独自性や、完全非接触型という特徴を打ち出したことで、メディアに取り上げられる機会も増えていきました。
成果
こうした取り組みを継続した結果、集客と収益の両面で大きな成果が現れました。
まずSEOの面では、利用シーンごとのページやQ&Aページが評価され、多くのロングテールキーワードで上位表示されるようになりました。その結果、広告費に依存しなくても安定したアクセスを獲得できるようになりました。
また、SNSやYouTubeからの流入も増加しました。施設の雰囲気や魅力が伝わることで、「ここに泊まってみたい」と感じるユーザーが増えていったのです。さらに宿泊予約サイトからの予約も順調に増加しました。レビューが蓄積されることで信頼性が高まり、予約率も向上していきました。
その結果、
・SEO
・SNS
・YouTube
・宿泊予約サイト
が相互に機能する理想的な集客モデルが完成しました。
開業当初は予約がほとんど入らない日もありましたが、徐々に稼働率が向上し、現在では満室になる日も珍しくない状況まで成長しています。特に大きかったのは、「単なる宿泊施設」ではなく、「特定のニーズを持つ人のための宿泊施設」として認知されるようになったことです。
それにより、価格だけで比較されることが少なくなり、独自のポジションを確立することができました。最終的には安定した収益を確保できるようになり、当初予定していた事業計画を大きく上回る成果につながりました。
まとめ
今回の事例で改めて感じたのは、これからの集客はSEOだけでは完結しないということです。検索順位を上げることは重要ですが、それだけで十分ではありません。
ユーザーは検索だけでなく、
・SNS
・YouTube
・口コミ
・宿泊予約サイト
など、さまざまな場所で情報収集をしています。そのため、複数の集客チャネルを連携させることが重要になります。
また、今回の成功の大きな要因は、宿泊施設の特徴を伝えるのではなく、「どのような人に、どのような場面で利用してほしいのか」を明確にしたことでした。ユーザーは施設そのものを探しているのではありません。自分の悩みや目的を解決してくれる場所を探しています。
その視点で情報発信を行うことで、検索順位の向上だけでなく、実際の予約や売上にもつながる集客を実現することができました。今回の成功事例は、SEO・SNS・動画・口コミを組み合わせた総合的な集客戦略の重要性を示す好例だと思います。
